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慰めの昼
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「の~ぞみんっ。お昼食べよっ」
午前の授業が終わり、ひかりと静織が私の元へ来た。
「今日は天気もいいし、外で食べようか」
女子高生にはあまり似合わない、黒いレザーの長財布を手にした静織の言葉を、額面どおりに受け取ったりはしない。
天気うんぬんは建前で、その顔は『人には聞かれたくない話をしようじゃないか』と言っている。
「そうだね。じゃあ購買経由で中庭にゴーだ!」
ひかりが弁当箱の入った巾着を掲げる。
私は苦笑しながらも、小さくため息をついた。
ご飯を食べながら、二人に昨日の事を説明する。
説明――ってほど複雑な話じゃない。ただ私が告白して、彼が断っただけ。一瞬の出来事だ。
それでも――話すと昨日を思い出して辛くなった。
「もー。何でなのよ~! あいつ絶対めぐみんの事好きだと思ったのに~!」
話を聞いたひかりが、頬を膨らませながらお弁当に箸を立てた。犠牲になったのは卵焼き。
そして、すぐに申し訳なさそうな顔をする。
「何か――ゴメンね? 私たちがちょっと急かしちゃったかな――なんて……」
「え? ううん。そんな事ないよ。いつかは言おうと思ってたし、二人の所為なんかじゃないよ」
――嘘だ。
私が彼に告白したのは、二人の所為。
『涼君結構女子に人気あるみたいだよ』とか。
『鳶に油揚げさらわれるかもな』とか。
昨日二人に散々煽られたから。
未だ冷めない新学期の高揚感がソレに火を点けて、私の背中をグイと押したんだ。
でも、そう思うのは理不尽だ。
だけど、後悔を誰かの所為にするのは――楽。
少しだけ――自分の弱さに負けそうになる。
「まぁ。こんな時はパーッと騒いで忘れるに限る。ってことで、放課後カラオケでも行こう。奢ってやるよ」
私の肩にポンと手を置いた静織は、女の子にしておくには勿体無いほど格好良い。
「おー! しおりん超イケメン! ごちになりまーす!」
「クリに奢るとは一言も言ってない。それにアタシはメンズじゃねー」
「いたいいたい! ノー暴力! ノーぐりぐり~!」
普段と変わらずじゃれあう二人を見て、少しだけ心が和んだ。
午前の授業が終わり、ひかりと静織が私の元へ来た。
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天気うんぬんは建前で、その顔は『人には聞かれたくない話をしようじゃないか』と言っている。
「そうだね。じゃあ購買経由で中庭にゴーだ!」
ひかりが弁当箱の入った巾着を掲げる。
私は苦笑しながらも、小さくため息をついた。
ご飯を食べながら、二人に昨日の事を説明する。
説明――ってほど複雑な話じゃない。ただ私が告白して、彼が断っただけ。一瞬の出来事だ。
それでも――話すと昨日を思い出して辛くなった。
「もー。何でなのよ~! あいつ絶対めぐみんの事好きだと思ったのに~!」
話を聞いたひかりが、頬を膨らませながらお弁当に箸を立てた。犠牲になったのは卵焼き。
そして、すぐに申し訳なさそうな顔をする。
「何か――ゴメンね? 私たちがちょっと急かしちゃったかな――なんて……」
「え? ううん。そんな事ないよ。いつかは言おうと思ってたし、二人の所為なんかじゃないよ」
――嘘だ。
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でも、そう思うのは理不尽だ。
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「まぁ。こんな時はパーッと騒いで忘れるに限る。ってことで、放課後カラオケでも行こう。奢ってやるよ」
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「おー! しおりん超イケメン! ごちになりまーす!」
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