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【第1章】日常、そして想い出す
第2話
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「すぅ~、はぁ~」
通学路である田んぼ道を歩きながら大きく深呼吸。
今日は6月24日、木曜日。
まだ梅雨明けはしていないようだが、久しぶりに空は快晴。
夏も間近に迫ってきており、程よい暖かさだ。寝不足の身体にはちょうどいい。
ここは群馬県のはずれにある小さな町。少し歩けば栃木県だ。
群馬、栃木といえば、周りから見れば「本当に関東なの?」とか「あれ? 入国にはパスポートが必要なんじゃないの?」などと馬鹿にされることが多い。
どこのどいつが発表しているのかは興味ないが、毎年公表される都道府県魅力度ランキングでは下から数えた方が圧倒的に早い。
つまりは魅力なんてほとんどないと思われている。
しかし、そんな奴らにはそう思わせておけばいいだけのこと。
住んでみなければ分からない魅力があるし、実際に俺は気に入っている。
周りは田んぼや山だらけで、はっきり言って田舎だが、空気がうまい。
少し風が吹けば、田植えを終え、すくすく育っている苗が揺らめき、パサパサと心地よいメロディを奏でる。
小鳥のさえずり、中でもキジバトの「ホーホー、ホッホー」という鳴き声を聞くと、なんとも言えない平穏が、身体を優しく包み込んでくれる。
人付き合いよりも自然と戯れる時間の方が好きな俺には最高の環境だ。
車や電車で10分程移動すれば、すぐに大きな町に出られる。
田舎過ぎず、都会過ぎず、そんなバランスのとれたこの町を、どこの馬の骨とも分からない連中にとやかく言われようが全く気にしない。
非難するしか能のない愚か者と思う他ない。
コツコツコツ
もう履き慣れつつあるローファーで、通学路を歩いて進む。
学校までは徒歩と電車通いだ。
土地だけは広いため、ほとんどの学生は自転車で登校しているが、運動不足を防ぐために、俺は徒歩と電車で学校に通っている。
さすがに全てを歩いていくと1時間近くかかるため、家から駅までの20分、駅から学校までの10分間をウォーキングがてら徒歩通学しているというわけだ。
電車から降りて、学校まで再び歩きだす。
すると後ろから聞き覚えのある声。
「直行おはよ!」
ギギーッと俺の隣で自転車を止め、残念なことに男から声をかけられた。
「友助おはよう」
小学校からの腐れ縁の友・渋川友助しぶかわ ゆうすけに、いつもと変わらぬテンションで挨拶を返した。
男なので容姿を説明する必要もないと思うが、一言でいうとイケメンだ。
面長で整った顔つき、サッカー部らしく長すぎず短すぎず整髪料でしっかりと今どき風に整えた髪型。
173㎝の俺よりもいくらか高い身長、制服の上からでも分かるくらい程よく筋肉のついた身体。
そのくせ声は優しめで包容力もある。
非の打ちどころのないイケメンだ。
なんか家族よりもベタ褒めしてしまっているな。
しかし良いのは見てくれだけだ。
入学早々いきなり二股をかけたのが相手にバレてビンタをお見舞いされている。
完全なる女ったらした。
だが未だにモテ続けている。
やっぱり性格も含め外面が良いからなのだろうか。
「ん? またお前、勉強とゲームで徹夜したのか? クマができてて目つきがさらに悪くなってるぞ」
「そうだが、さらにとはなんだ。まるでいつも目つきが悪いみたいじゃないか」
「いつも悪いからそう言ったの。そんなんだから女の子にモテないんじゃないの?」
「妹と同じことを言ってくれるな」
妹のことを思い出す。うん、可愛い。
「なんでちょっと微笑んでんだよ、気持ち悪いな」
やっぱり俺って目つきが悪いうえに気持ち悪いのか。
そりゃあ、イケメンで誰かれ構わずモテまくりのコイツと比べられると太刀打ちできない。
しかし、俺もクマをなくせばそこそこイケメンの部類に入ってなくもなくもなくもない。
たぶん。うん。
「ことあるごとに女の子を取っ替え引っ替えしてるRJのお前には分からないよ」
「RJってなんだよ」
「リアルが充実しているクソヤリチン野郎ということだ!」
フンッと腕を高らかに振り上げ、目標物に向かって俺のストロングフィンガーを勢いよく振り下ろす。
カチッ
「おい、ライトを勝手に点けるなよ!」
「うるさい、少しムカついてしまったから報復だ」
「にしても地味な報復だな」
「人を傷つけたくないんだ」
「かっこつけてるようで、全然かっこつけられてねーよ」
まるで青春の一ページのように、ときに憎まれ口をたたきながら、ときに笑い合いながら、再び学校へと足を進めた。
通学路である田んぼ道を歩きながら大きく深呼吸。
今日は6月24日、木曜日。
まだ梅雨明けはしていないようだが、久しぶりに空は快晴。
夏も間近に迫ってきており、程よい暖かさだ。寝不足の身体にはちょうどいい。
ここは群馬県のはずれにある小さな町。少し歩けば栃木県だ。
群馬、栃木といえば、周りから見れば「本当に関東なの?」とか「あれ? 入国にはパスポートが必要なんじゃないの?」などと馬鹿にされることが多い。
どこのどいつが発表しているのかは興味ないが、毎年公表される都道府県魅力度ランキングでは下から数えた方が圧倒的に早い。
つまりは魅力なんてほとんどないと思われている。
しかし、そんな奴らにはそう思わせておけばいいだけのこと。
住んでみなければ分からない魅力があるし、実際に俺は気に入っている。
周りは田んぼや山だらけで、はっきり言って田舎だが、空気がうまい。
少し風が吹けば、田植えを終え、すくすく育っている苗が揺らめき、パサパサと心地よいメロディを奏でる。
小鳥のさえずり、中でもキジバトの「ホーホー、ホッホー」という鳴き声を聞くと、なんとも言えない平穏が、身体を優しく包み込んでくれる。
人付き合いよりも自然と戯れる時間の方が好きな俺には最高の環境だ。
車や電車で10分程移動すれば、すぐに大きな町に出られる。
田舎過ぎず、都会過ぎず、そんなバランスのとれたこの町を、どこの馬の骨とも分からない連中にとやかく言われようが全く気にしない。
非難するしか能のない愚か者と思う他ない。
コツコツコツ
もう履き慣れつつあるローファーで、通学路を歩いて進む。
学校までは徒歩と電車通いだ。
土地だけは広いため、ほとんどの学生は自転車で登校しているが、運動不足を防ぐために、俺は徒歩と電車で学校に通っている。
さすがに全てを歩いていくと1時間近くかかるため、家から駅までの20分、駅から学校までの10分間をウォーキングがてら徒歩通学しているというわけだ。
電車から降りて、学校まで再び歩きだす。
すると後ろから聞き覚えのある声。
「直行おはよ!」
ギギーッと俺の隣で自転車を止め、残念なことに男から声をかけられた。
「友助おはよう」
小学校からの腐れ縁の友・渋川友助しぶかわ ゆうすけに、いつもと変わらぬテンションで挨拶を返した。
男なので容姿を説明する必要もないと思うが、一言でいうとイケメンだ。
面長で整った顔つき、サッカー部らしく長すぎず短すぎず整髪料でしっかりと今どき風に整えた髪型。
173㎝の俺よりもいくらか高い身長、制服の上からでも分かるくらい程よく筋肉のついた身体。
そのくせ声は優しめで包容力もある。
非の打ちどころのないイケメンだ。
なんか家族よりもベタ褒めしてしまっているな。
しかし良いのは見てくれだけだ。
入学早々いきなり二股をかけたのが相手にバレてビンタをお見舞いされている。
完全なる女ったらした。
だが未だにモテ続けている。
やっぱり性格も含め外面が良いからなのだろうか。
「ん? またお前、勉強とゲームで徹夜したのか? クマができてて目つきがさらに悪くなってるぞ」
「そうだが、さらにとはなんだ。まるでいつも目つきが悪いみたいじゃないか」
「いつも悪いからそう言ったの。そんなんだから女の子にモテないんじゃないの?」
「妹と同じことを言ってくれるな」
妹のことを思い出す。うん、可愛い。
「なんでちょっと微笑んでんだよ、気持ち悪いな」
やっぱり俺って目つきが悪いうえに気持ち悪いのか。
そりゃあ、イケメンで誰かれ構わずモテまくりのコイツと比べられると太刀打ちできない。
しかし、俺もクマをなくせばそこそこイケメンの部類に入ってなくもなくもなくもない。
たぶん。うん。
「ことあるごとに女の子を取っ替え引っ替えしてるRJのお前には分からないよ」
「RJってなんだよ」
「リアルが充実しているクソヤリチン野郎ということだ!」
フンッと腕を高らかに振り上げ、目標物に向かって俺のストロングフィンガーを勢いよく振り下ろす。
カチッ
「おい、ライトを勝手に点けるなよ!」
「うるさい、少しムカついてしまったから報復だ」
「にしても地味な報復だな」
「人を傷つけたくないんだ」
「かっこつけてるようで、全然かっこつけられてねーよ」
まるで青春の一ページのように、ときに憎まれ口をたたきながら、ときに笑い合いながら、再び学校へと足を進めた。
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