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5. 男の子が竜になること
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昔々のお話。
ファンタージェンの賢者たちは、ヴォドガバイという都に住んでいた。彼らの仕事は歴史を集めることだった。それは人間の世界のためだった。
この世界へやって来て、幼なごころの君に名前を与えてくれる人間の子どもたちの中には、ずっとここにとどまったまま、さまよい続ける者がいた。その数は少なくはなかった。
子どもたちにファンタージェンの何を見つけたら、自分たちの世界へ帰れるのかを教えるために、ヴォドガバイは建設された。
〈アウリン〉----幼なごころの君の名代である証であり、のぞみを叶える聖なるお守り----を手に入れるやいなや、子どもたちはたいていはみな、勇士になろうとした。
なかには、この世界こそ自分の求めていた世界だと想像する者がいた。
あるいは、彼らは人間の子だったことをすっかり忘れてしまい、もとから勇士だったという顔をして、ここに自分の仕事があるのだと想像し、いつまでもファンタージェンを奔走するのだった。
思い違いではあったものの、たいていの場合、害はほとんどなかった。のちにバスチアン・バルタザール・ブックスという男の子がファンタージェンにやって来たときは、ヴォドガバイは誰も知ることのない過去の遺物となっており、そのために彼は元の世界に帰るためにたいへんな苦労をすることになった。が、それはバスチアンの問題であり、彼も、それまでの誰かも、他の者を傷つけるような問題を引き起こすことはなかった。
なにしろ人間の子たちは、勇士になることをのぞみ、悪魔になりたいなどと考える者は一人もいなかった。誰が好きこのんで嫌われ者になりたがるだろう
〈良いことをしたい〉----ほとんどの者は、アウリンにそんなのぞみをかけた。
* * *
ヴォドガバイ最後の日にやって来た子どもは違っていた。
いつものように人間の子の首には、輝く黄金の〈アウリン〉が下がっていた。髪は黒くて肩までかかり、立派な剣を腰にさしていた。彼は誰が見ても、立派な勇士の姿をしていた。バスチアンのように。
この子は〈アウリン〉にたくさんののぞみをかけていた。そのほとんどは、自分を変えるのぞみだった。
バスチアンがアマルガントの人々のために、大きな図書館を建設してやったような、思いやりの心はその子にはなかった。
バスチアンと同じくらい、弱虫で一人ぼっちで、そのつらさ、悲しさを知っていたのに、彼は困っている誰かのために、のぞみを考えるということを思いつかなかった。この子の心の中には、自分を立派にする夢しかなかった。それは、目的のないのぞみだった。
この子はのぞみをかなえるたびに自分自身を失って、まったく別のものになった。
その別のものとは、彼の、のぞみ、だった。誰一人、友達がなく、何一つ、才能がなく、誰にも感情をむけることのなかった彼は、その反対のものを、のぞみとした。
アウリンはそれを叶えた。
誰にたいしても、何に対しても思うまま、のぞみをかなえられるものになった。それが彼の、のぞみの行き着くところだった。
男の子はすべてを打ち負かせる、強い勇士になった。
黒い瞳を輝かせ、ファンタージェンの者たちの尊敬のまなざしを体中に受けながら、立派な青年のすがたで、男の子はヴォドガバイへやって来た。それは長い探求の旅だった。ヴォドガバイへの道のりは、それを求めた時にはかぎりなく遠いのである。
この世界の美しい景色や不思議な生き物の生活は何一つ、彼の心にとどめられなかった。男の子は自分を立派にすることしかのぞまず、他のことを想像することができなくなっていた。
ヴォドガバイに到着した時、彼は人間の世界に戻ることを拒んだ。彼がここにやって来たのは、ヴァドガバイこそ真の勇士が行き着く聖地だと、ファンタージェン中の者が噂をしていたからである。
* * *
ヴォドガバイの門をくぐると、眼鏡をかけた老若男女が彼を取り囲み、祝い、励ましの声をかけながら円形の広場へと彼を誘った。歓迎の声を聞いて男の子は喜んだが、代表者がすすみでて、アウリンを手放す時が来たと告げた時、彼は青ざめた。それはのぞみを----男の子が自分自身だと思っているものを----手放すことだったからである。
男の子は自分を勇士だと思っていたが、賢者たちに見られていると、不思議と心細さまで感じた。質問をされると、自信がゆらぎはじめた。
もっとも力のある賢者・ミルペが勇士の肩に手をおき、静かに言った。
のぞみを失うことがどうしてそんなに怖いのでしょう?
あなたが本当に何者かであると言い切れるのなら、何を疑う必要があるのでしょうか。
あなたが本当の勇士なら、勇士の仕事があるはずです。自分が何者であるかを知っているのなら、のぞみなど持つ必要はないでしょう。
「アウリンを手放しさえすれば、元の世界へ帰れますよ」賢者たちは優しく言った。
「きっとその方が、あなたにとって最上の喜びとなるはずです」
目の前に立っている勇士の姿は素晴らしいものだったが、勤勉な者たちの目には、小さな男の子が二重写しになって見えていた。のちに、オグラマール姫が悟ったように。本人さえもう忘れていたのに、別の人たちが本当の姿を見ることができるというのは恐ろしいことだが、それはまぎれもない事実だった。
もちろん、男の子は自分自身を信じなかった。これまでずっとそうしてきたのだから。
勇士は----右手で剣を握りしめ、左手でアウリンを自分の胸におしつけた。
賢者たちは影のようにゆらめいている小さな少年が勇士のズボンにしがみつき、怒っているのを見た。男の子の口が動いた----嘘つき! お前たちはみんな嘘つきだ
「では、アウリンを手放しなさい」誰もが静かな声で言った。みんなが心を痛めていた。「こうなりたい、というのぞみを一度、捨ててごらんなさい。あなたは勇士の姿を失って、ただの男の子が残るでしょう。その時、あなたは、あなただということに気付くのです」
「いやだ」彼は頭を抱えてうずくまった。「そんなこと、僕は信じないぞ。僕は僕のものじゃないか。僕をいちばんわかっているのは僕なんだ。なぜお前たちは本当じゃないと言って僕をおどすんだ」
「勇気ある人よ。幼なごころの君に----わたしたちの世界に新しい名前をつけてくれた本当の勇気ある若者よ」賢者たちは言った。「あなたはまぎれもなく、わたしたちの〈救い主〉です。幼なごころの名代なのです。その勇気を、わたしたちは信じています」
男の子はあくまで自分自身を信じなかった。かわりに最後の、のぞみをかなえた。
* * *
アウリンなどなくても、のぞみをかなえられるものになること。どんなことでもできるものになること----。僕は、僕だけを信じる----。
賢者たちはおそれ、おののいた。小さな男の子の姿が、かぎりなく暗くなったかと思うと、アウリンが首からはずれ、白く輝きながら空にのぼっていき、消えてしまった。
男の子は賢者たちの見守る中、おそろしい竜の姿にかわっていった。
口から氷の炎を吐き、人々を氷づけにした。
巨大な怪物は気に入らない者をかたっぱしからつかまえた。一人ものがさなかった。
みんなを石にして地面に叩き付けた。彼はヴォドガバイの何もかもが気に入らなかった。魔法の白い手を地面に押しつけると、破壊された都市はみるみるうちに石になり、やがて白い山になった。
一番腹立たしく思えていた、大賢者・ミルペは、石にもならず、殺すこともできなかった。どうにか出来たのは、呪いをかけることだった。小さな、無力な女の子にしてしまうと、記憶を封じてしまい、『自分から誰かのために何かをしなければ』永遠に解けないようにした。念のため、彼女を大きな都に送り込むと、その都にも呪いをかけた。誰もが自分のことを一番に考えるように。感謝を忘れ、時間に追われるという呪いを。これでミルペがこの街から出ないうちは、彼女の呪いは永遠に解けないだろう。そして彼女はこの街から出るということすら思いつかないだろう。
* * *
こうしてファンタージェンの賢者はめっきり数が減ってしまい、人間の子どもたちは元の世界に帰るのに大変な苦労をすることになった。何を見つけるべきなのか、教えてくれる場所がなくなってしまったから----自分には見つけるものがあるのだと考える者もいなくなってしまったのである。
竜になった男の子----彼の名前はスメーグと言った。スメーグ・シュバイツアー・シュトラウス。
バスチアンなら、きっと、「Sが三つだね」と言ったことだろう。
ファンタージェンの賢者たちは、ヴォドガバイという都に住んでいた。彼らの仕事は歴史を集めることだった。それは人間の世界のためだった。
この世界へやって来て、幼なごころの君に名前を与えてくれる人間の子どもたちの中には、ずっとここにとどまったまま、さまよい続ける者がいた。その数は少なくはなかった。
子どもたちにファンタージェンの何を見つけたら、自分たちの世界へ帰れるのかを教えるために、ヴォドガバイは建設された。
〈アウリン〉----幼なごころの君の名代である証であり、のぞみを叶える聖なるお守り----を手に入れるやいなや、子どもたちはたいていはみな、勇士になろうとした。
なかには、この世界こそ自分の求めていた世界だと想像する者がいた。
あるいは、彼らは人間の子だったことをすっかり忘れてしまい、もとから勇士だったという顔をして、ここに自分の仕事があるのだと想像し、いつまでもファンタージェンを奔走するのだった。
思い違いではあったものの、たいていの場合、害はほとんどなかった。のちにバスチアン・バルタザール・ブックスという男の子がファンタージェンにやって来たときは、ヴォドガバイは誰も知ることのない過去の遺物となっており、そのために彼は元の世界に帰るためにたいへんな苦労をすることになった。が、それはバスチアンの問題であり、彼も、それまでの誰かも、他の者を傷つけるような問題を引き起こすことはなかった。
なにしろ人間の子たちは、勇士になることをのぞみ、悪魔になりたいなどと考える者は一人もいなかった。誰が好きこのんで嫌われ者になりたがるだろう
〈良いことをしたい〉----ほとんどの者は、アウリンにそんなのぞみをかけた。
* * *
ヴォドガバイ最後の日にやって来た子どもは違っていた。
いつものように人間の子の首には、輝く黄金の〈アウリン〉が下がっていた。髪は黒くて肩までかかり、立派な剣を腰にさしていた。彼は誰が見ても、立派な勇士の姿をしていた。バスチアンのように。
この子は〈アウリン〉にたくさんののぞみをかけていた。そのほとんどは、自分を変えるのぞみだった。
バスチアンがアマルガントの人々のために、大きな図書館を建設してやったような、思いやりの心はその子にはなかった。
バスチアンと同じくらい、弱虫で一人ぼっちで、そのつらさ、悲しさを知っていたのに、彼は困っている誰かのために、のぞみを考えるということを思いつかなかった。この子の心の中には、自分を立派にする夢しかなかった。それは、目的のないのぞみだった。
この子はのぞみをかなえるたびに自分自身を失って、まったく別のものになった。
その別のものとは、彼の、のぞみ、だった。誰一人、友達がなく、何一つ、才能がなく、誰にも感情をむけることのなかった彼は、その反対のものを、のぞみとした。
アウリンはそれを叶えた。
誰にたいしても、何に対しても思うまま、のぞみをかなえられるものになった。それが彼の、のぞみの行き着くところだった。
男の子はすべてを打ち負かせる、強い勇士になった。
黒い瞳を輝かせ、ファンタージェンの者たちの尊敬のまなざしを体中に受けながら、立派な青年のすがたで、男の子はヴォドガバイへやって来た。それは長い探求の旅だった。ヴォドガバイへの道のりは、それを求めた時にはかぎりなく遠いのである。
この世界の美しい景色や不思議な生き物の生活は何一つ、彼の心にとどめられなかった。男の子は自分を立派にすることしかのぞまず、他のことを想像することができなくなっていた。
ヴォドガバイに到着した時、彼は人間の世界に戻ることを拒んだ。彼がここにやって来たのは、ヴァドガバイこそ真の勇士が行き着く聖地だと、ファンタージェン中の者が噂をしていたからである。
* * *
ヴォドガバイの門をくぐると、眼鏡をかけた老若男女が彼を取り囲み、祝い、励ましの声をかけながら円形の広場へと彼を誘った。歓迎の声を聞いて男の子は喜んだが、代表者がすすみでて、アウリンを手放す時が来たと告げた時、彼は青ざめた。それはのぞみを----男の子が自分自身だと思っているものを----手放すことだったからである。
男の子は自分を勇士だと思っていたが、賢者たちに見られていると、不思議と心細さまで感じた。質問をされると、自信がゆらぎはじめた。
もっとも力のある賢者・ミルペが勇士の肩に手をおき、静かに言った。
のぞみを失うことがどうしてそんなに怖いのでしょう?
あなたが本当に何者かであると言い切れるのなら、何を疑う必要があるのでしょうか。
あなたが本当の勇士なら、勇士の仕事があるはずです。自分が何者であるかを知っているのなら、のぞみなど持つ必要はないでしょう。
「アウリンを手放しさえすれば、元の世界へ帰れますよ」賢者たちは優しく言った。
「きっとその方が、あなたにとって最上の喜びとなるはずです」
目の前に立っている勇士の姿は素晴らしいものだったが、勤勉な者たちの目には、小さな男の子が二重写しになって見えていた。のちに、オグラマール姫が悟ったように。本人さえもう忘れていたのに、別の人たちが本当の姿を見ることができるというのは恐ろしいことだが、それはまぎれもない事実だった。
もちろん、男の子は自分自身を信じなかった。これまでずっとそうしてきたのだから。
勇士は----右手で剣を握りしめ、左手でアウリンを自分の胸におしつけた。
賢者たちは影のようにゆらめいている小さな少年が勇士のズボンにしがみつき、怒っているのを見た。男の子の口が動いた----嘘つき! お前たちはみんな嘘つきだ
「では、アウリンを手放しなさい」誰もが静かな声で言った。みんなが心を痛めていた。「こうなりたい、というのぞみを一度、捨ててごらんなさい。あなたは勇士の姿を失って、ただの男の子が残るでしょう。その時、あなたは、あなただということに気付くのです」
「いやだ」彼は頭を抱えてうずくまった。「そんなこと、僕は信じないぞ。僕は僕のものじゃないか。僕をいちばんわかっているのは僕なんだ。なぜお前たちは本当じゃないと言って僕をおどすんだ」
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男の子はあくまで自分自身を信じなかった。かわりに最後の、のぞみをかなえた。
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アウリンなどなくても、のぞみをかなえられるものになること。どんなことでもできるものになること----。僕は、僕だけを信じる----。
賢者たちはおそれ、おののいた。小さな男の子の姿が、かぎりなく暗くなったかと思うと、アウリンが首からはずれ、白く輝きながら空にのぼっていき、消えてしまった。
男の子は賢者たちの見守る中、おそろしい竜の姿にかわっていった。
口から氷の炎を吐き、人々を氷づけにした。
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みんなを石にして地面に叩き付けた。彼はヴォドガバイの何もかもが気に入らなかった。魔法の白い手を地面に押しつけると、破壊された都市はみるみるうちに石になり、やがて白い山になった。
一番腹立たしく思えていた、大賢者・ミルペは、石にもならず、殺すこともできなかった。どうにか出来たのは、呪いをかけることだった。小さな、無力な女の子にしてしまうと、記憶を封じてしまい、『自分から誰かのために何かをしなければ』永遠に解けないようにした。念のため、彼女を大きな都に送り込むと、その都にも呪いをかけた。誰もが自分のことを一番に考えるように。感謝を忘れ、時間に追われるという呪いを。これでミルペがこの街から出ないうちは、彼女の呪いは永遠に解けないだろう。そして彼女はこの街から出るということすら思いつかないだろう。
* * *
こうしてファンタージェンの賢者はめっきり数が減ってしまい、人間の子どもたちは元の世界に帰るのに大変な苦労をすることになった。何を見つけるべきなのか、教えてくれる場所がなくなってしまったから----自分には見つけるものがあるのだと考える者もいなくなってしまったのである。
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