彼と婚約破棄しろと言われましても困ります。なぜなら、彼は婚約者ではありませんから

「私は彼のことを心から愛しているの! 彼と婚約破棄して!」

「……はい?」

子爵令嬢である私、カトリー・ロンズデールは困惑していた。
だって、私と彼は婚約なんてしていないのだから。

「エリオット様と別れろって言っているの!」

 彼女は下品に怒鳴りながら、ポケットから出したものを私に投げてきた。
 そのせいで、私は怪我をしてしまった。
 いきなり彼と別れろと言われても、それは無理な相談である。
 だって、彼は──。

 そして勘違いした彼女は、自身を破滅へと導く、とんでもない騒動を起こすのだった……。

※この作品は、旧作を加筆、修正して再掲載したものです。
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