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(※サム視点)
「ボニー……、そろそろ来る頃か……」
現在おれは、待ち合わせ場所でボニーを待っている。
今日は、彼女とのデートである。
一応外では、おれたちはベタベタとはしない。
ただの友人のように振る舞う。
おれは世間体を気にしているからその方が都合がいいし、ボニーもおれに合わせてくれている。
あぁ……、おれの人生、なんて順調なんだ……。
まさか、ボニーとこの町で再会できるとは思わなかった。
彼女は何年も前に遠くの街へ行ってしまっていたから、もう一生会えないかと思っていた。
別に付き合っていたわけではなかったが、彼女ともう会えないと悟った時は、ショックだった。
そんな時に出会ったのが、アマンダだった。
彼女とは急速に仲が発展して、気付けば婚約をしていた。
あの頃のおれは確かに、アマンダのことを愛していたと思う。
しかしそれは、もうボニーとは一生会うことはないと思っていたからだ。
もしまた彼女と会えると分かっていたら、アマンダと婚約なんてしなかっただろう。
ボニーに比べればほかの女なんて、どんなに美しくても霞んでしまう。
それくらい、ボニーの美しさは絶対的だった。
彼女の美しさは、ほかとは比べ物にならない。
そんなボニーがこの町に帰って来た時、おれたちは偶然再会した。
その時は彼女は素っ気なかったが、いろいろと話すうちに打ち解けて、彼女と体を重ねるようになった。
彼女は、おれにアマンダという婚約者がいると知っていたのに、迫ってきた。
つまり、それだけおれのことを、本気で愛してくれているというわけだ。
「おまたせ」
ボニーが笑顔でやってきた。
あぁ、今日もなんて美しいんだ……。
「それじゃあ、早速行くか……」
今日は、二人で買い物をする予定だ。
彼女と会う時は、買い物をする機会が多い。
支払いをするのは、もちろんおれだ。
そうすれば、彼女が嬉しそうな顔をして、喜んでくれるから。
服やバッグを彼女が選んで、おれが支払う。
そして、彼女がそれらのものを次のデートで身につけてきてくれると、おれは心から喜んでいた。
わざわざそれらを選んできてくれる彼女の気遣いや優しさが、本当に嬉しかった。
「えっとね……、私が欲しいのはこれと、あとこれと……」
店内に入って、彼女が商品を選び始めた。
おれはそれらを手に取る。
最終的にすべて会計することになるので、値札を見てみると、ゼロが多いのではないかと思うことも何度かあった。
しかし、そんなことは些末なことだ。
これらをすべて買えば、彼女は喜んでくれる。
そしてそのことが、おれも嬉しい。
そういえば、再会したばかりの時はそっけなかった彼女の態度が、いつ変わったのか、そのきっかけはなんだったのだろう……。
確か、おれがアマンダと婚約していると聞いた時から、彼女は急に俺に迫ってきて、体を重ねることになったのだ。
えっと……、ということは、つまり……、なかなか素直になれず素っ気なくしていたが、婚約者がいると分かったおれにジェラシーを感じて、積極的になったというわけだな。
なんだ、なかなか可愛いところがあるじゃないか……。
おれは一人納得して、どんどん商品を選んでいる彼女を眺めて微笑んでいた。
これから起こる悲劇も知らずに……。
「ボニー……、そろそろ来る頃か……」
現在おれは、待ち合わせ場所でボニーを待っている。
今日は、彼女とのデートである。
一応外では、おれたちはベタベタとはしない。
ただの友人のように振る舞う。
おれは世間体を気にしているからその方が都合がいいし、ボニーもおれに合わせてくれている。
あぁ……、おれの人生、なんて順調なんだ……。
まさか、ボニーとこの町で再会できるとは思わなかった。
彼女は何年も前に遠くの街へ行ってしまっていたから、もう一生会えないかと思っていた。
別に付き合っていたわけではなかったが、彼女ともう会えないと悟った時は、ショックだった。
そんな時に出会ったのが、アマンダだった。
彼女とは急速に仲が発展して、気付けば婚約をしていた。
あの頃のおれは確かに、アマンダのことを愛していたと思う。
しかしそれは、もうボニーとは一生会うことはないと思っていたからだ。
もしまた彼女と会えると分かっていたら、アマンダと婚約なんてしなかっただろう。
ボニーに比べればほかの女なんて、どんなに美しくても霞んでしまう。
それくらい、ボニーの美しさは絶対的だった。
彼女の美しさは、ほかとは比べ物にならない。
そんなボニーがこの町に帰って来た時、おれたちは偶然再会した。
その時は彼女は素っ気なかったが、いろいろと話すうちに打ち解けて、彼女と体を重ねるようになった。
彼女は、おれにアマンダという婚約者がいると知っていたのに、迫ってきた。
つまり、それだけおれのことを、本気で愛してくれているというわけだ。
「おまたせ」
ボニーが笑顔でやってきた。
あぁ、今日もなんて美しいんだ……。
「それじゃあ、早速行くか……」
今日は、二人で買い物をする予定だ。
彼女と会う時は、買い物をする機会が多い。
支払いをするのは、もちろんおれだ。
そうすれば、彼女が嬉しそうな顔をして、喜んでくれるから。
服やバッグを彼女が選んで、おれが支払う。
そして、彼女がそれらのものを次のデートで身につけてきてくれると、おれは心から喜んでいた。
わざわざそれらを選んできてくれる彼女の気遣いや優しさが、本当に嬉しかった。
「えっとね……、私が欲しいのはこれと、あとこれと……」
店内に入って、彼女が商品を選び始めた。
おれはそれらを手に取る。
最終的にすべて会計することになるので、値札を見てみると、ゼロが多いのではないかと思うことも何度かあった。
しかし、そんなことは些末なことだ。
これらをすべて買えば、彼女は喜んでくれる。
そしてそのことが、おれも嬉しい。
そういえば、再会したばかりの時はそっけなかった彼女の態度が、いつ変わったのか、そのきっかけはなんだったのだろう……。
確か、おれがアマンダと婚約していると聞いた時から、彼女は急に俺に迫ってきて、体を重ねることになったのだ。
えっと……、ということは、つまり……、なかなか素直になれず素っ気なくしていたが、婚約者がいると分かったおれにジェラシーを感じて、積極的になったというわけだな。
なんだ、なかなか可愛いところがあるじゃないか……。
おれは一人納得して、どんどん商品を選んでいる彼女を眺めて微笑んでいた。
これから起こる悲劇も知らずに……。
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