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(※アンドレ視点)
これは所謂、ダブルデートというものなのか?
私の隣にはエマ様が座り、テーブルを挟んで向かい側には、ヘレン様と殿下が並んで座っている。
運ばれてきた料理を口にし始めたが、どうも、私の想像していたダブルデートとは、ほど遠いような気がする。
ダブルデートというのは、もっと楽しいものだと思っていた。
しかし、なんだ、この重苦しい空気の食卓は……。
二人とは偶然お店の前で出会ったので、流れで同じ席に座ることになったが、なんて気まずいシチュエーションなんだ……。
いや、女性陣は、それほど気にしている様子はない。
ヘレン様はナチュラルに姉のエマさまの料理を奪って勝手に食べている。
しかし、辛かったのか、顔を赤くして水を飲んでいる。
そんな姉妹のやり取りを眺めていたが、私は目の前にいる殿下に視線を向けた。
ずっとこっちを睨んでいる……。
殿下と目があったので、私は思わず視線を逸らした。
女性陣は話しているので、こちらも何か、話した方がいいのだろうか?
先ほどから気になっていたのは、殿下の腕に、包帯が巻かれていることである。
そのことについて話してみるというのは、会話の始まりとしては悪くなさそうだ。
しかし、ここで一つ、ある問題があることに気付いた。
私は殿下を、なんとお呼びすればいいのだ?
今までは当然、殿下と呼んでいた。
しかし、彼は今、王族ではない。
王子ではなく、ただの平民なのだ。
そんな彼に対して、殿下と呼ぶのは、嫌みに聞こえないだろうか?
こちらはそんなつもりはなく、ただ今まで通り、殿下と呼んでいるだけでも、向こうには、殿下(笑)と聞こえるかもしれない。
その可能性は、充分にある。
そしてそうなれば、彼は怒って暴れだすかもしれない。
エマ様にまで被害が及んだら大変だ。
それだけは、避けなければ……。
じゃあ、ウィリアム君とでも呼ぶか?
私の方が年上だろうし、彼は平民なのだから、べつに問題はない。
しかし、今までとの落差が激しい。
それに、王族としてのプライドを未だに持っているのなら、この呼び方はまずい。
その場合は、今まで通り、殿下というのが正解だ。
私はいったい、どちらを選択するべきなんだ?
殿下呼びか?
それとも、ウィリアム君呼びか?
うーん……、よし、間を取って、ウィリアムさんでいこう。
これが一番、無難なような気がしてきた。
「あの、ウィリアムさん……」
私は腕の包帯のことについて聞こうと思って、彼に話しかけた。
しかし……。
「誰がウィリアムさんだ。平民の分際で、調子に乗るなよ」
彼はものすごい形相で、こちらを睨んできた。
あぁ、未だに王族時代のプライドを引きずっているパターンだったか……。
「も、申し訳ございません、殿下……。あの、その腕は、いったいどうしたのですか?」
私は呼び直して、腕のことについて聞いてみた。
「貴様に教えてやる義理などない」
殿下は吐き捨てるようにそう言った。
うーん、この人とは、会話のキャッチボールがうまくできない。
こちらが投げたボールを受け取ってはくれるのだが、そのあと物凄い剛速球を返される感じだ。
続けていても、こちらが怪我をするだけ。
とりあえず今は、黙々と料理を食べることにしよう。
私は料理を食べていたが、隣に座っているエマ様を見た。
すると彼女は、視線を宙に漂わせていた。
「そうよ……、腕だわ……。違和感の正体は、これね……」
彼女は、私にしか聞こえない程小さな声で、そう呟いた。
えっと、違和感というと……、まさか、事件の資料を見ていた時に感じたという違和感のことか?
もしかすると、彼女は何かに気付いたのかもしれない……。
これは所謂、ダブルデートというものなのか?
私の隣にはエマ様が座り、テーブルを挟んで向かい側には、ヘレン様と殿下が並んで座っている。
運ばれてきた料理を口にし始めたが、どうも、私の想像していたダブルデートとは、ほど遠いような気がする。
ダブルデートというのは、もっと楽しいものだと思っていた。
しかし、なんだ、この重苦しい空気の食卓は……。
二人とは偶然お店の前で出会ったので、流れで同じ席に座ることになったが、なんて気まずいシチュエーションなんだ……。
いや、女性陣は、それほど気にしている様子はない。
ヘレン様はナチュラルに姉のエマさまの料理を奪って勝手に食べている。
しかし、辛かったのか、顔を赤くして水を飲んでいる。
そんな姉妹のやり取りを眺めていたが、私は目の前にいる殿下に視線を向けた。
ずっとこっちを睨んでいる……。
殿下と目があったので、私は思わず視線を逸らした。
女性陣は話しているので、こちらも何か、話した方がいいのだろうか?
先ほどから気になっていたのは、殿下の腕に、包帯が巻かれていることである。
そのことについて話してみるというのは、会話の始まりとしては悪くなさそうだ。
しかし、ここで一つ、ある問題があることに気付いた。
私は殿下を、なんとお呼びすればいいのだ?
今までは当然、殿下と呼んでいた。
しかし、彼は今、王族ではない。
王子ではなく、ただの平民なのだ。
そんな彼に対して、殿下と呼ぶのは、嫌みに聞こえないだろうか?
こちらはそんなつもりはなく、ただ今まで通り、殿下と呼んでいるだけでも、向こうには、殿下(笑)と聞こえるかもしれない。
その可能性は、充分にある。
そしてそうなれば、彼は怒って暴れだすかもしれない。
エマ様にまで被害が及んだら大変だ。
それだけは、避けなければ……。
じゃあ、ウィリアム君とでも呼ぶか?
私の方が年上だろうし、彼は平民なのだから、べつに問題はない。
しかし、今までとの落差が激しい。
それに、王族としてのプライドを未だに持っているのなら、この呼び方はまずい。
その場合は、今まで通り、殿下というのが正解だ。
私はいったい、どちらを選択するべきなんだ?
殿下呼びか?
それとも、ウィリアム君呼びか?
うーん……、よし、間を取って、ウィリアムさんでいこう。
これが一番、無難なような気がしてきた。
「あの、ウィリアムさん……」
私は腕の包帯のことについて聞こうと思って、彼に話しかけた。
しかし……。
「誰がウィリアムさんだ。平民の分際で、調子に乗るなよ」
彼はものすごい形相で、こちらを睨んできた。
あぁ、未だに王族時代のプライドを引きずっているパターンだったか……。
「も、申し訳ございません、殿下……。あの、その腕は、いったいどうしたのですか?」
私は呼び直して、腕のことについて聞いてみた。
「貴様に教えてやる義理などない」
殿下は吐き捨てるようにそう言った。
うーん、この人とは、会話のキャッチボールがうまくできない。
こちらが投げたボールを受け取ってはくれるのだが、そのあと物凄い剛速球を返される感じだ。
続けていても、こちらが怪我をするだけ。
とりあえず今は、黙々と料理を食べることにしよう。
私は料理を食べていたが、隣に座っているエマ様を見た。
すると彼女は、視線を宙に漂わせていた。
「そうよ……、腕だわ……。違和感の正体は、これね……」
彼女は、私にしか聞こえない程小さな声で、そう呟いた。
えっと、違和感というと……、まさか、事件の資料を見ていた時に感じたという違和感のことか?
もしかすると、彼女は何かに気付いたのかもしれない……。
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