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side穂奈美
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大学の同期は女性が苦手らしい。
一緒にお酒を飲んだ時にそう言っていた。
コーヒーのいい香りが漂い、白髪交じりの渋いマスターのいる喫茶店、、、
だったら良かったなぁと思いつつ、ただの女子大生の私は、チェーン店のカフェでコーヒーをたしなんでいた。
たしなむ、と言っても特別コーヒーが好きというわけでもなく、フレッシュとかを入れて、少し甘くした方が飲みやすい。
ブラックの方が大人っぽくてかっこいいとも思うが、苦いものは苦いので、背伸びをせず、ありのまま、自分の好きなように飲めばいいと思う。
それこそ、「え~、その歳にもなってブラック飲めないの~?」とか言ってくるうざい男がいたら、ち〇こを握りつぶしてやればいい。
まぁ、そんな物騒な話はさておいて、
私が一人、コーヒーでくつろぐ中、目の前に座る後輩ちゃんは、緊張のせいかずっとコーヒーとにらめっこしている。
あ、飲んだ。
が、すぐに舌を出して、いかにも苦い~という顔をする。
はっは、かわいいなおい。
さっきの私の話ではないけど、無理にブラックを飲む必要はないと思うので、後輩ちゃんに砂糖を渡す。
「え、あ、えっと…」
遠慮しないの。私に見栄張ってどうする。相手が違うんじゃない?
「…ありがとうございます」
そう言って、後輩ちゃんはコーヒーに砂糖を入れた。
勘違いしてほしくないのだが、私は後輩ちゃんを取って食おうなんて思ってもいないし、いじめるつもりもない。
ってか私そんなひどい女じゃないし。
まぁ、見た目とか見た目とか見た目とかのせいで、女に好かれることはほとんどないんだけど。
みんな外見で決めすぎなのよ。
そりゃ私はかわいいから?私の周りにキモイ男どもが身体目当てで群がってくるけど、私としたらいい迷惑だし、好きで囲まれてるわけがない。
それでも、「私の彼氏を誘惑したでしょ」とか「彼氏を返してよ」とか言ってくる女が後を絶たない。
いや知るかよ、って話なわけよ。
ちょっときつく言うなら、あなたにその程度の魅力しかなかったんじゃないの?って感じ。
誤解されないように言っておくけど、私彼女持ちの男に手を出したことないから。
キスだってないし、ましてやヤッたこともない。
にも関わらず、あることないこと言ってくるから女も質が悪い。
ほんと、男も女もましな奴がいない。
まぁ、あいつはなんだかんだいいやつだったけどさ…。
それに、なんかよくわかんないけど、目の前の後輩ちゃんに対しては、ちゃんと誤解を解いておきたいと思った。
なんでだろうね。
いやまぁ、どっちかっていうと、今回に関しては私が手を出したようなものだけどさぁ?
いろいろと、後輩ちゃんを刺激もしたけどさぁ?
なんか、この子とは、ちゃんと正面から向き合いたいのよね。ほんと、なんでだろ。
「あ、あの…」
色んなことを考えて、煮詰まっていた私に、後輩ちゃんの方から声をかけてきた。
意外と根性座ってるなぁこの子。
「正直に答えてください…。碓氷さんは、先輩と付き合ってるんですか?」
ふーん。見た目以上に心が強いのかな。自分が傷つくかもしれないとわかっていながら、ちゃんと正面からぶつかってくる。
他の女も、あなたみたいな感じだったら…なんて考えても仕方ないけどさ。
とりあえず、
穂奈美でいいよ。碓氷さん、なんてくすぐったい。
「え、あ、はい」
ほんとはあいつにも言いたいんだけどねぇ。でもあいつ絶対女のことファーストネームで呼ばなそうだもんねぇ。
「先輩は、ガード固いですから」
あっはっは。ガード固いって、女子かよ。
…日和ちゃんは、あいつのこと好きなんだよね?
「あぅっ、、、えっと、その…」
え~。かわいいかよ。天使かよ。は?これをほっとく悠馬もどうなの?
後輩ちゃん、耳まで顔を真っ赤にして俯いてしまった。初心だねぇ。
安心して、ほんとに付き合ってないから。
「ほんとですか!?でも、夜一緒にに過ごしたって…」
あー、あれね、まぁ嘘ではないけど、私の部屋で一緒にお酒飲んだだけよ。
私は、あの日起こった出来事を、後輩ちゃんに話した。
朝のこと、家の前でばったり出会ったこと。そして悠馬が、手を出してこなかったことを。
「先輩って感じですね…」
私の話を聞いて、なぜか後輩ちゃんはジトっとした目であいつをディスりだした。
「まぁそこが先輩のいいところでもあるんですけど…」
大好きかよ。
「わ、悪いですか!?」
開き直ったよこの子。潔いな。あーかわいい。
「でも、ほんとに付き合ってないんですよね?」
だからそうだって。どんだけ信用ないの私?…ってまぁそういう風に見られてる自覚はあるし、自業自得か。
「じゃあ、大丈夫です」
ホッと胸をなでおろす後輩ちゃん。
でも、私もしっかりと言っておかなければならない。
確かに、今は付き合ってないし、出会ったのも昨日だけど、私がそういう感情を持たないとも限らないよ?
「え?」
今すぐに付き合いたいとか、好きとかじゃないけど、さっきも言ったように悪い奴じゃないし、一緒にいて面白いしね。
「……………」
後輩ちゃんは、黙って私を見つめた。その目は、さっきまでのおどおどした感じではなく、しっかり私を見ていた。
「その時はその時です。先輩は優しいので、穂奈美さんが好きなってしまうかもしれないというのはわかります。だから…」
ぐっと口をつむぐ日和ちゃん。
「その時は負けません!先輩が誰を選ぼうと、それは先輩の自由なので、それまでに、悔いのないように、私も頑張ります」
はー、いい子かよ。まったく。
でも、こんな正面きって宣戦布告してくる女の子なんて今までいなかったし、ちょっと新鮮かも。楽しくなってくるね。
なんか少し変な感じもするけど、これからもよろしくってことで。
「はい!よろしくお願いします!」
はいかわいい。
まったく、あいつもこんな感じで素直だったらなぁ。
なんであいつは女性が苦手なんだか。
一緒にお酒を飲んだ時にそう言っていた。
コーヒーのいい香りが漂い、白髪交じりの渋いマスターのいる喫茶店、、、
だったら良かったなぁと思いつつ、ただの女子大生の私は、チェーン店のカフェでコーヒーをたしなんでいた。
たしなむ、と言っても特別コーヒーが好きというわけでもなく、フレッシュとかを入れて、少し甘くした方が飲みやすい。
ブラックの方が大人っぽくてかっこいいとも思うが、苦いものは苦いので、背伸びをせず、ありのまま、自分の好きなように飲めばいいと思う。
それこそ、「え~、その歳にもなってブラック飲めないの~?」とか言ってくるうざい男がいたら、ち〇こを握りつぶしてやればいい。
まぁ、そんな物騒な話はさておいて、
私が一人、コーヒーでくつろぐ中、目の前に座る後輩ちゃんは、緊張のせいかずっとコーヒーとにらめっこしている。
あ、飲んだ。
が、すぐに舌を出して、いかにも苦い~という顔をする。
はっは、かわいいなおい。
さっきの私の話ではないけど、無理にブラックを飲む必要はないと思うので、後輩ちゃんに砂糖を渡す。
「え、あ、えっと…」
遠慮しないの。私に見栄張ってどうする。相手が違うんじゃない?
「…ありがとうございます」
そう言って、後輩ちゃんはコーヒーに砂糖を入れた。
勘違いしてほしくないのだが、私は後輩ちゃんを取って食おうなんて思ってもいないし、いじめるつもりもない。
ってか私そんなひどい女じゃないし。
まぁ、見た目とか見た目とか見た目とかのせいで、女に好かれることはほとんどないんだけど。
みんな外見で決めすぎなのよ。
そりゃ私はかわいいから?私の周りにキモイ男どもが身体目当てで群がってくるけど、私としたらいい迷惑だし、好きで囲まれてるわけがない。
それでも、「私の彼氏を誘惑したでしょ」とか「彼氏を返してよ」とか言ってくる女が後を絶たない。
いや知るかよ、って話なわけよ。
ちょっときつく言うなら、あなたにその程度の魅力しかなかったんじゃないの?って感じ。
誤解されないように言っておくけど、私彼女持ちの男に手を出したことないから。
キスだってないし、ましてやヤッたこともない。
にも関わらず、あることないこと言ってくるから女も質が悪い。
ほんと、男も女もましな奴がいない。
まぁ、あいつはなんだかんだいいやつだったけどさ…。
それに、なんかよくわかんないけど、目の前の後輩ちゃんに対しては、ちゃんと誤解を解いておきたいと思った。
なんでだろうね。
いやまぁ、どっちかっていうと、今回に関しては私が手を出したようなものだけどさぁ?
いろいろと、後輩ちゃんを刺激もしたけどさぁ?
なんか、この子とは、ちゃんと正面から向き合いたいのよね。ほんと、なんでだろ。
「あ、あの…」
色んなことを考えて、煮詰まっていた私に、後輩ちゃんの方から声をかけてきた。
意外と根性座ってるなぁこの子。
「正直に答えてください…。碓氷さんは、先輩と付き合ってるんですか?」
ふーん。見た目以上に心が強いのかな。自分が傷つくかもしれないとわかっていながら、ちゃんと正面からぶつかってくる。
他の女も、あなたみたいな感じだったら…なんて考えても仕方ないけどさ。
とりあえず、
穂奈美でいいよ。碓氷さん、なんてくすぐったい。
「え、あ、はい」
ほんとはあいつにも言いたいんだけどねぇ。でもあいつ絶対女のことファーストネームで呼ばなそうだもんねぇ。
「先輩は、ガード固いですから」
あっはっは。ガード固いって、女子かよ。
…日和ちゃんは、あいつのこと好きなんだよね?
「あぅっ、、、えっと、その…」
え~。かわいいかよ。天使かよ。は?これをほっとく悠馬もどうなの?
後輩ちゃん、耳まで顔を真っ赤にして俯いてしまった。初心だねぇ。
安心して、ほんとに付き合ってないから。
「ほんとですか!?でも、夜一緒にに過ごしたって…」
あー、あれね、まぁ嘘ではないけど、私の部屋で一緒にお酒飲んだだけよ。
私は、あの日起こった出来事を、後輩ちゃんに話した。
朝のこと、家の前でばったり出会ったこと。そして悠馬が、手を出してこなかったことを。
「先輩って感じですね…」
私の話を聞いて、なぜか後輩ちゃんはジトっとした目であいつをディスりだした。
「まぁそこが先輩のいいところでもあるんですけど…」
大好きかよ。
「わ、悪いですか!?」
開き直ったよこの子。潔いな。あーかわいい。
「でも、ほんとに付き合ってないんですよね?」
だからそうだって。どんだけ信用ないの私?…ってまぁそういう風に見られてる自覚はあるし、自業自得か。
「じゃあ、大丈夫です」
ホッと胸をなでおろす後輩ちゃん。
でも、私もしっかりと言っておかなければならない。
確かに、今は付き合ってないし、出会ったのも昨日だけど、私がそういう感情を持たないとも限らないよ?
「え?」
今すぐに付き合いたいとか、好きとかじゃないけど、さっきも言ったように悪い奴じゃないし、一緒にいて面白いしね。
「……………」
後輩ちゃんは、黙って私を見つめた。その目は、さっきまでのおどおどした感じではなく、しっかり私を見ていた。
「その時はその時です。先輩は優しいので、穂奈美さんが好きなってしまうかもしれないというのはわかります。だから…」
ぐっと口をつむぐ日和ちゃん。
「その時は負けません!先輩が誰を選ぼうと、それは先輩の自由なので、それまでに、悔いのないように、私も頑張ります」
はー、いい子かよ。まったく。
でも、こんな正面きって宣戦布告してくる女の子なんて今までいなかったし、ちょっと新鮮かも。楽しくなってくるね。
なんか少し変な感じもするけど、これからもよろしくってことで。
「はい!よろしくお願いします!」
はいかわいい。
まったく、あいつもこんな感じで素直だったらなぁ。
なんであいつは女性が苦手なんだか。
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