幸せを探そう

06：嬉しいけど怖い気持ち

「け？け…え？」


結婚！？まさか…


「まさか、アルって、女…」

「私は男だ。それに、この世界での結婚に、性別・種族は問題にならない」


アルは男性。

ですよねぇー！！！

って。
ビックリした。性別も種族も問題じゃないんだ。
子供とかどうなるんだろ。

うーーーーん…
それよりもなー。
さらに引っかかる事あるんだけど。


「じゃあ、アルってショタ好き？小さい男の子に興奮すんの？俺、いま、子供の姿なんだけど」


あ。嫌な事思い出しちゃって言い方にトゲが出た。


「ショタ？あぁ、迷い人がたまに使ってる言葉だな。少年趣味という意味だったか？
トウカ。見た目のそれは問題ない。この世界では生物の成長が様々なのだ。
50歳の年齢で、見た目が15歳のままの者も居る。
だから、」


つん、と俺の胸の真ん中を指さされた。


「だから、私はトウカの心に寄り添いたい。そばに居たい。居させて欲しい。
そして、トウカと絆で結ばれた家族、トウカの唯一になりたい」


真剣な顔で見つめられた。


「あ。で、も。俺は、いまさっきアルと出会ったばかり、で」


うー。やばい。容量オーバー気味になってきた。

俺の身体が目的じゃないってアルは言ってる？
心に寄り添いたい？
家族？
唯一？
嬉しいけど怖い。
なにこの気持ち。
走り出したいくらい嬉しい。
でも怖い。
何でかわかんないけど。
けど。
嫌じゃない。
会ったばかりなのに。
俺もアルと一緒に居たいと思ってる。
アルと居ると落ち着くし。
撫でられると胸の奥がふわっと暖かくなる。
一緒に居たのは短い時間だけど、この人と離れたくないって思った。
でも怖いんだ。
何が怖い？
アルの言葉が怖い？
結婚も、家族って言葉も、怖い。
なんで？
なんで？
怖い。
なんで？
わからない。
なんで？

足元に暗い穴が広がっていくみたいで、怖い。
閉じてた箱が無理やり開いてくみたいで怖い。

ざわざわする。これ、考えるの嫌だ。


「………トウカ。突然すまなかった。」


無意識に、手が白くなるまで強く布団を握りしめていたようだ。

そっとアルの手が乗って、握りしめていた手をほぐしてくれた。


「どうしてもトウカと離れたく無くて、焦ってしまったようだ。
父には、トウカの心を落ち着かせると言ったのに
私が乱してしまったな。」


手を包んで温めてくれているアル。

俺は、気付いたら、泣いていた。