いわゆる異世界転移

夏炉冬扇

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834:医家の派遣

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「此度のことで?そうならば、医家の派遣をお受けすることはできません。」
「わざわざ、やってきたというのに!!
コットワッツに医家はいないはず。
いたとしても王都にいるこちらの方々が上。
それを手配したんですよ?失礼ではないですか?
タレンテ家に対して!!」

タレンテ家の従者だと名乗るだけで、
名前は言わない。
それだけでこちらとしては不敬となるのに。
臨時会合でなにも学んでいないのか?

「ではなぜ、わざわざ今回だけ派遣してくださるのですか?
以前コットワッツから医家の派遣を依頼したときには、
断ったと記憶していますが?」
「何を言っている?
領主の護衛が銃で撃たれただろ?そして血を流し倒れた!
ここ王都でだ!情けない!
田舎領国では満足な医家はいないだろ?
医家を有しているタレンテ家が派遣するのも当然!
慈悲の心で連れてきたんだ!ありがたいとは思わないのか!!」
「ああ、なるほど。
それの見返りは?また、コットワッツの護衛2人を寄こせというのですか?
お聞きですよね?そのことをまたここでお話しますか?
こちらとしてはかまわないですよ?」
「・・・施してやろうというのだ!!」
「タレンテ家は優れた医家を有するのは
存じ上げております。
さすが王族、タレンテ家でございます。
領国の派遣依頼は断るが、
今回のそれは王都で負傷したからと?」
「そうだ!辺境領国には派遣なんぞできないだろ?
ここを離れている間にタレンテ家に何かあったらどうするんだ?
だか、ここ王都ではすぐに駆け付けることができるんだ。
王都内でのことは王族が面倒を見てやっているんだ!
同じニバーセル国民を見殺しにすることはない!」
「さすが!さすがニバーセル国を支える王族タレンテ家でごさいますね。」
「ははは!では、早く案内してくれ!」
「ドーガーさん?」
「わかりました。」

セサミナ様から会話の合間に思考が聞こえる。
これ、無意識?いや、わざとだ。
・・・・怖い。

(名乗れ!)
(あの父親と同じで間抜けしかいないのか!!)
(姉上を侮辱するとは!お前の顔、覚えたぞ!)
(あの挨拶を習得した暁にはお前にやってやる!!)
(施し?大笑いだ!
都下、下町の病人を先に診ろ!!)
(ドーガー!!放り出せ!!)


「こちらに。」

入り口の前を通るように進んでいく。
後ろについてくるタレンテ家のものは自慢気に笑ってた。
館内に入れるとでも思ったのだろうな。

立ち止まり大声で。

「皆さま!ただいまタレンテ家から医家の派遣が、
慈悲の心、無料でとの申し出がありました!
が、我が領ではそれをお受けすることはできない。
それは、今現在、都下、下町でお困りの方々がたくさんいるからです。
それを差し置いて辺境領国が受けることはできないのです!
どうぞ、このタレンテ家の申し出を皆皆さまでお受けください!
タレンテ家の方、医家の方々!
ありがとうございました!」

タレンテ家が騒ぎ出す。

「何を言っている!!」
「ご理解ください。
いま、この時点でタレンテ家の施しは受けることはできない。
モウ様のことを思ってだとはおもいますがそれなら、
せめてタレンテ家の名は伏せていただきたかった。
わかりますよね?
先程の会合の内容、お聞きではないのですか?
タレンテ家はセサミナ様を、コットワッツを侮辱したんですよ?
それをあの場では不問にした。
なのに、施しだと言われたら、主セサミナの怒りに触れる。
それでも言うなら、会合時での不敬の謝罪を要求します。
主セサミナから不敬だと言われないうちにお引き取りください。
会合での話、ここでのやり取り、
大声で騒げば騒ぐほど家名に傷がつきますよ?」
「な!!」

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