いわゆる異世界転移

夏炉冬扇

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785:競売

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「皆さま、お戻りですね。
不参加の方も着席しててください。
これから、元ナソニール領地の競売に入ります。
質問の返答は資産院副院長ツイミ殿が。
先程の件は、さておき、実質運営に携わった方だ。
なにか質問があれば聞いてください。
その返答に嘘があれば、天秤院ランサーの名において進言しよう。
では。」


ナソニールの歴史から地理、生産物、
ありとあらゆるものの説明。
質問も飛び交う。
眠い。




「湿地のまわりは?」
「なにもないです。小さな集落があるくらいです。
これといった産業はない。領民ですが、ほぼ、自給自足ですね。」
「そうですか。」

と、コットワッツ。


「鉱山一帯は?」

ルカリアだ。

「それなりに産出しています。ここ何年と変動はないです。
鉱山近郊に集落は点在しています。
ふもとの集落です。そこで、製鉄加工、販売をしています。
採掘だけで生計を立てているものはいません。
材料調達と加工、両方です。
ただ、武器等の売り上げは減ってきていました。」
「なるほど。」

こんな感じで。
眠い。


「鉄鋼産業に従事していた職人は
スパイルかルカリアの方に領地替えをしています。
それでも大多数は領地内に。
食料配布はいまや形式となっている領国は多いかもしれませんが、
ナソニール、元ナソニールは必ず必要としている領民がいる。
どうぞ、よろしくお願いいたします。」


「マトグラーサは全てのナソニール領土を習得したい。」

「それは認められません。
領地が競売になるというのは金を作るためです。
領土を買っていただい金額を追徴分に中てるというのが目的です。
税というのは、帳消しにはならないのですよ。
どうしても全土ということになるのでしたら、
追徴課税も期限までに一括での支払いが必要になります。
つまり、ナソニールの何もかもを引き継ぐということです。」

と、資産院オート院長。


「もう一つ。それは、新たに領国となります。
地続きではないので。
マトグラーサ領主以外が統治者です。
なぜか?広範囲に統治はできないからです。」

領土管理?だったか?そのストリンとやらがいう。


「複数の領国が買ってこその競売、特例です。」
「ええ、特例ね。
属国扱いもそうですね?飛び地を納める特例だ。」

ルッションさんが言ってた通りだ。

「ある程度の自治を認められるということ。
そこに領主が住まうことはない。
落ち着けば、その中で独立するのもいいでしょう。
もちろん、統治領国としての義務は果たしますし、
領土の金額は払います。」

(姉さん、砂漠側と湿地買います)
(鉱山は?)
(高い)
(近くのなんていうの捨て山?それ買っていいよ?)
(くず山ですよ?)
(そんなわけない。まだあるね。取り出せる)
(なるほど!)


「素晴らしい考えだ!
自治を促す!新しい領国!さすが、マトグラーサだ。
それを一領国のみの負担にしていただくのは申し訳ない。
全土の金額を買うのはさすがのマトグラーサでも負担でしょう!
コットワッツは、湿地廻りと、砂漠側、鉱山廻りの土地を買いましょう!!
もちろん、領民はコットワッツ領民となります。」
「いや、砂漠側は押さえておきたい。」
「そうなんですか?
しかし、いま、マトグラーサの砂漠は封鎖してますよね?
銃弾を砂漠で作っているとか?
が、それをこっちでされるとされると困るんですよ。
砂漠石の資源がなくなったのは皆様のご存じの通りですが、
動植物は戻りつつあります。
それはコットワッツ領民には必要だ。
実際砂漠は誰のものでもない。
それができるのはルカリアが了承したからだ。
コットワッツ砂漠は?
まずコットワッツは了承しない。
他国もだ。フレシアは?」
「フレシアは砂漠の恩恵は皆無だ。
なんなら、砂漠側を買っていただきたいものだ。」

「フレシア領国、トキシフ殿。
それは今回別の話だ。」

ランサーが止める。
大変だね、進行役は。

「失礼。なんにせよ、フレシアは砂漠に関しては何もありませんよ。」

鉱物が取れると知ったらどうなるんだろ?
いや、それが外に出ることはないのかな?



「鉱山は?」

ルカリアだ。
どうしても鉱山は欲しいみたい。
だったら、領民ごと引き受ければいいのに。
領民はいらないようだ。


「生きてるのはやはり高額ですから。」
「不要な土地を買うと?領民が住んでいる地域も?」
「ええ!少しでもマトグラーサの負担を減らしたいので!
その地域にお住いの領民もコットワッツ領民としてお引き受けします!」
「・・・ルカリアは鉱山を買いましょう。
銃生産での鉄鋼消費がすさまじい。
ある程度別のところでも確保したいので。」
「マトグラーサのように属国扱いにはできませんよ?領民がいない。」
「ええ、だから権利のみだ。
ルカリアも、マトグラーサの負担を少しでお手伝いしたい。」
「それは、その領地の管理者から買ってください。
別の話です!」

なかなかに進まない。
近隣諸国、
コットワッツ、メジャート、フレシアが
3分割で買えば済む話だけど、
メジャートとフレシアは早々に辞退。
じゃ、コットワッツがとなるのがいいんだけど、
お高い。

境界沿いのコットワッツが所有する鉱山の向こう、
ナノニールが作った捨て山、砂漠半分側、湿地廻りと
ほとんど領民がいない土地を購入することとなった。
鉱山はやはりお高いと言うことだ。

土地が増えたが、生産できるものはほぼない。
表面上は。
税金が上がるだけだ。
残りはマトグラーサの属国扱い。
これはどうにもできない。

ルカリアは鉱山使用権のみ購入しようとする。


「えー、その話、次の議題にも関連してきます。
地図が出来上がるまで少しお待ちください。」




あー、眠い。

「愛しい人?眠るか?」
「いや、がんばるよ。みんなは眠くないの?」
「眠くはない。
毎日寝ない。毎日寝るのは、赤子だけだ。」
「そうか。そこらへんが違うのよね。
え?ブツは?毎日が正解だよね?」
「それはな。食べるから。
食べなければ出ないぞ?」
「そうなるのかな?
ルグ?ほんと、奥方と相談して。
オーロラ?それをわたしに教えて?2人で常識人になろうね?」
「わかった!」

人にものを教えるということで人は成長するものだ。
なろう!常識人!

「私が教えるぞ?」
「ごめん。マティスも怪しい。常識的なことに。
さっきのもあんなこと聞いちゃだめだよ?」
「そうなのか?」
「そうだよ。」
「ではどうすればよかった?」


まだ地図はできていないので、みなで会議だ。
無茶な要求をされたときの対処法だ。

マティスとオーロラの意見は即殺。
えげつないな。
もちろんそれは、即却下された。
今後の付き合いを考え、
トックス方式で大声だし、廻りを巻き込み、
領主に報告します、で逃げる、となった。


「いなければいいんだな?」
「もちろん。」

セサミンもえげつなかった。









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