700 / 863
700:枯山水
しおりを挟む「我らが王よ、お連れしました。」
大きな部屋に入ってみれば、まさしく謁見の間。
衛兵は両脇に13、13。
で、王の後ろの壁、上部からの視線が5、
右から4、左から4。
小さな穴が無数に開いている。
それと壁のモザイク的な意匠を組み合わせてるんだな。
コットワッツの滞在館にもあった奴だ。
あとの2人は王の斜め前に。
2人とも、かなり派手なドレスだ。
刺繍布も使っているのかな?
しかしなー、なんだかなー。
トックスさんが見れば怒りそうだ。
布がもったいないって。
わたしたちと一緒に入ってきたリーズナは御付きも一緒に
彼女たちと反対側に。
一緒に入ってきた、追いはぎサブコと、
門前での名無しの権兵衛は、
御付きと一緒に王の後ろに陣取った。
中央院の院長はいないね。
王の傍付きの、メレントもいないな。
(壁をどかして、妖精の酒をばらまいて、
妖精の言葉をみんな理解できるようにしたら面白いだろうね)
(それは楽しい!!)
(妖精が壁を壊したようにしようか?)
(できるか?)
(あの小さな穴の内側にお酒を詰めれば?)
(お前がいるときに妖精が暴れるといわれないか?)
(ああ、あり得るね。だけど、それを気付いてどうする?
そこから妖精の酒のことに気付く?)
(ラーフィングは気付いたのだろ?)
(そうか)
(が、気付いたところで今度はモウモウ商会の商品として売ればいいかな?
あの小瓶で、100万リング!)
(悪徳!)
(ふふふふ。誉め言葉だね)
(もちろん)
ロセツさんはラーフィングのすぐ横に付いたので、
わたしたちは一歩前に出て、礼を取る。
謁見の場合、男の人は片膝を付く。
これをするのが、セサミンは嫌でしょうがないといったものだ。
膝の屈伸運動だと思えばいいといえば喜んでいた。
実際によく見るとアキレス腱を伸ばしているような?
騎士の礼?
漫画で見るプロポーズの形?
同じようで同じではなかったのだが。
ここでもそうするのかとマティスに聞いたら、
あの形は謁見の場合。
ここではしない。
おなかを抱えて、頭を下げるだけでいいとか。
自分で自分を抱きしめるのは中央の人に対して。
ではこれは?
ポンポン痛いのポーズ?
まさしく、笑いをこらえながら礼を取る。
その間、妖精たちはよこの2人の派手な女性を拠点に、
あちらこちらを飛んでいた。
そして、必ず女性のところに戻る。
あの2人が飼っているのか?
羽根あるわ。
ものすごく高速で波打っているのがわかる。
あー、だから臭いが拡散するのかしら?
いい香りだったらいいのに。
それは人に寄るか。
そして、陸鳥のようにありとあらゆる悪態と、
酒が欲しいの連呼だ。
妖精と陸鳥で毒舌漫才ができそう。
陸鳥がツッコミになるだろうか?
いや、意外と妖精の方が面白いかもしれない。
ボソっと正論を言う妖精。
うん、なかなかに楽しい。
声を掛けられるまでずっとポンポン痛いポーズ。
妖精に近づかれるのは嫌だな。
虫避けの香とかいいんじゃないかな?
それとも薄荷とか?
ミント系にはまだ出会っていない。
わさびはどうだろうか?
いや、お茶がいいだろう。
妖精の嫌な臭いも消すのだから。
だったら、いつも懐に入れている馬さんおやつの香でいいな。
ぐっと潰して香をもっと出しておこう。
それから、マティスと漫才の話をしていた。
ボケ、ツッコミ、ノリツッコミ。
ボヤキ漫才など。
~
雨がコールオリンの小粒なら、儲けもの
ちなみに、わたしはここの部分しか知らない。
これで、マティスはおなかにぐっと力を入れしまった。
元の歌を知らなくても、歌そのものが面白かったらしい。
動かずにじっとしておくというのは、
なかなかの鍛錬です。
確実に半分を過ぎている。
みんなご飯食べなくていいの?
朝ごはん食べてきてよかった。
セサミンたちのお昼は釜に入れればいいものを
食べてくれるようにはいってある。
敷地外に出ることは護衛として禁止しているからね。
トイレも行っておいてよかった。
たぶん、膀胱の大きさとか、
腸の長さとか、栄養の吸収率とかが違うんだろうな。
人体解剖書みたいのがあればいいんだけど、
動植物の図鑑すら極秘、院扱いだから、
有っても見れないだろう。
見たところでわからないか。
・・・・胃袋が4つあったらどうしよう。
違う世界なんだ。
人型、男と女、これだけでもほぼ同じでよかった。
長期戦なのだろうか?
セサミンから連絡が来た。
カップ君が到着したようだ。
田舎者丸出しの浮かれマンボ状態で入都。
なにを言われても、先にセサミナ様の元に行かねばと振り切ったらしい。
浮かれマンボは演技ではなかったようで、
ドーガーも気付いたようだ。
みっちり鍛錬をやろうということに。
傍付き見習いも一緒に。
だって、次席、傍付きが嫁確定なら、
傍付き見習いが狩人のターゲットに急上昇する。
鍛練場もわたしの貯蔵庫とは反対側に半地下で作っている。
天井は木組みで布を張り、光が外から入るように。
もちろん砂漠石の薄い板で補強しているので、
天井を歩いても問題は無い。
歩かせはしないが。
庭からは、造園でカモフラージュしている。
日本庭園だ。
月無し石君たちにもらった砂を敷き詰めている。
光を通すので、暗くはならない。
が、枯山水もどきを絶賛してくれたのはクーちゃんとビャクだけだった。
ビャクはスルスルと文様を描くのも手伝ってくれたのだ。
クーちゃんもわしゃわしゃと潜ったりして遊んでいた。
やはり砂蜘蛛。砂の中は落ち着くようだ。
だったら、寝床もそうしようか?
と聞いたけど、それは別にいいとのこと。
なぜなら、ここは安全だから。
砂漠は不規則な風が吹くし、カエルがいる。
だから潜るのだそうだ。
カエルは蜘蛛も食べる。
メイガだけじゃないんだね。
なにか特定の一種類だけ食べると思い込んでいたな。
メイガも食べるし、蜘蛛も食べる。
足の長いものが好きなのかな?
クーちゃんはメイガを食べるのを楽しみにしている。
ビャクはカエルを食べるのを楽しみしている。
先にカエル狩りのほうがいいかな?
11
お気に入りに追加
369
あなたにおすすめの小説
義弟の婚約者が私の婚約者の番でした
五珠 izumi
ファンタジー
「ー…姉さん…ごめん…」
金の髪に碧瞳の美しい私の義弟が、一筋の涙を流しながら言った。
自分も辛いだろうに、この優しい義弟は、こんな時にも私を気遣ってくれているのだ。
視界の先には
私の婚約者と義弟の婚約者が見つめ合っている姿があった。
完結 R18 媚薬を飲んだ好きな人に名前も告げずに性的に介抱して処女を捧げて逃げたら、権力使って見つけられ甘やかされて迫ってくる
シェルビビ
恋愛
ランキング32位ありがとうございます!!!
遠くから王国騎士団を見ていた平民サラは、第3騎士団のユリウス・バルナムに伯爵令息に惚れていた。平民が騎士団に近づくことも近づく機会もないので話したことがない。
ある日帰り道で倒れているユリウスを助けたサラは、ユリウスを彼の屋敷に連れて行くと自室に連れて行かれてセックスをする。
ユリウスが目覚める前に使用人に事情を話して、屋敷の裏口から出て行ってなかったことに彼女はした。
この日で全てが終わるはずなのだが、ユリウスの様子が何故かおかしい。
「やっと見つけた、俺の女神」
隠れながら生活しているのに何故か見つかって迫られる。
サラはどうやらユリウスを幸福にしているらしい
私の代わりが見つかったから契約破棄ですか……その代わりの人……私の勘が正しければ……結界詐欺師ですよ
Ryo-k
ファンタジー
「リリーナ! 貴様との契約を破棄する!」
結界魔術師リリーナにそう仰るのは、ライオネル・ウォルツ侯爵。
「彼女は結界魔術師1級を所持している。だから貴様はもう不要だ」
とシュナ・ファールと名乗る別の女性を部屋に呼んで宣言する。
リリーナは結界魔術師2級を所持している。
ライオネルの言葉が本当なら確かにすごいことだ。
……本当なら……ね。
※完結まで執筆済み
【R18】幼馴染の男3人にノリで乳首当てゲームされて思わず感じてしまい、次々と告白されて予想外の展開に…【短縮版】
うすい
恋愛
【ストーリー】
幼馴染の男3人と久しぶりに飲みに集まったななか。自分だけ異性であることを意識しないくらい仲がよく、久しぶりに4人で集まれたことを嬉しく思っていた。
そんな中、幼馴染のうちの1人が乳首当てゲームにハマっていると言い出し、ななか以外の3人が実際にゲームをして盛り上がる。
3人のやり取りを微笑ましく眺めるななかだったが、自分も参加させられ、思わず感じてしまい―――。
さらにその後、幼馴染たちから次々と衝撃の事実を伝えられ、事態は思わぬ方向に発展していく。
【登場人物】
・ななか
広告マーケターとして働く新社会人。純粋で素直だが流されやすい。大学時代に一度だけ彼氏がいたが、身体の相性が微妙で別れた。
・かつや
不動産の営業マンとして働く新社会人。社交的な性格で男女問わず友達が多い。ななかと同じ大学出身。
・よしひこ
飲食店経営者。クールで口数が少ない。頭も顔も要領もいいため学生時代はモテた。短期留学経験者。
・しんじ
工場勤務の社会人。控えめな性格だがしっかり者。みんなよりも社会人歴が長い。最近同棲中の彼女と別れた。
【注意】
※一度全作品を削除されてしまったため、本番シーンはカットしての投稿となります。
そのため読みにくい点や把握しにくい点が多いかと思いますがご了承ください。
フルバージョンはpixivやFantiaで配信させていただいております。
※男数人で女を取り合うなど、くっさい乙女ゲーム感満載です。
※フィクションとしてお楽しみいただきますようお願い申し上げます。
伯爵様の子供を身篭ったの…子供を生むから奥様には消えてほしいと言う若い浮気相手の女には…消えてほしい
白崎アイド
ファンタジー
若い女は私の前にツカツカと歩いてくると、「わたくし、伯爵様の子供を身篭りましたの。だから、奥様には消えてほしいんです」
伯爵様の浮気相手の女は、迷いもなく私の前にくると、キッと私を睨みつけながらそう言った。
仰っている意味が分かりません
水姫
ファンタジー
お兄様が何故か王位を継ぐ気満々なのですけれど、何を仰っているのでしょうか?
常識知らずの迷惑な兄と次代の王のやり取りです。
※過去に投稿したものを手直し後再度投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる