いわゆる異世界転移

夏炉冬扇

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700:枯山水

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「我らが王よ、お連れしました。」


大きな部屋に入ってみれば、まさしく謁見の間。
衛兵は両脇に13、13。
で、王の後ろの壁、上部からの視線が5、
右から4、左から4。



小さな穴が無数に開いている。
それと壁のモザイク的な意匠を組み合わせてるんだな。
コットワッツの滞在館にもあった奴だ。



あとの2人は王の斜め前に。
2人とも、かなり派手なドレスだ。
刺繍布も使っているのかな?
しかしなー、なんだかなー。
トックスさんが見れば怒りそうだ。
布がもったいないって。

わたしたちと一緒に入ってきたリーズナは御付きも一緒に
彼女たちと反対側に。
一緒に入ってきた、追いはぎサブコと、
門前での名無しの権兵衛は、
御付きと一緒に王の後ろに陣取った。

中央院の院長はいないね。
王の傍付きの、メレントもいないな。




(壁をどかして、妖精の酒をばらまいて、
妖精の言葉をみんな理解できるようにしたら面白いだろうね)
(それは楽しい!!)
(妖精が壁を壊したようにしようか?)
(できるか?)
(あの小さな穴の内側にお酒を詰めれば?)
(お前がいるときに妖精が暴れるといわれないか?)
(ああ、あり得るね。だけど、それを気付いてどうする?
そこから妖精の酒のことに気付く?)
(ラーフィングは気付いたのだろ?)
(そうか)
(が、気付いたところで今度はモウモウ商会の商品として売ればいいかな?
あの小瓶で、100万リング!)
(悪徳!)
(ふふふふ。誉め言葉だね)
(もちろん)


ロセツさんはラーフィングのすぐ横に付いたので、
わたしたちは一歩前に出て、礼を取る。

謁見の場合、男の人は片膝を付く。

これをするのが、セサミンは嫌でしょうがないといったものだ。
膝の屈伸運動だと思えばいいといえば喜んでいた。


実際によく見るとアキレス腱を伸ばしているような?
騎士の礼?
漫画で見るプロポーズの形?

同じようで同じではなかったのだが。

ここでもそうするのかとマティスに聞いたら、
あの形は謁見の場合。
ここではしない。
おなかを抱えて、頭を下げるだけでいいとか。
自分で自分を抱きしめるのは中央の人に対して。
ではこれは?

ポンポン痛いのポーズ?

まさしく、笑いをこらえながら礼を取る。

その間、妖精たちはよこの2人の派手な女性を拠点に、
あちらこちらを飛んでいた。
そして、必ず女性のところに戻る。
あの2人が飼っているのか?

羽根あるわ。
ものすごく高速で波打っているのがわかる。
あー、だから臭いが拡散するのかしら?
いい香りだったらいいのに。

それは人に寄るか。

そして、陸鳥のようにありとあらゆる悪態と、
酒が欲しいの連呼だ。


妖精と陸鳥で毒舌漫才ができそう。
陸鳥がツッコミになるだろうか?
いや、意外と妖精の方が面白いかもしれない。
ボソっと正論を言う妖精。
うん、なかなかに楽しい。



声を掛けられるまでずっとポンポン痛いポーズ。


妖精に近づかれるのは嫌だな。

虫避けの香とかいいんじゃないかな?
それとも薄荷とか?
ミント系にはまだ出会っていない。
わさびはどうだろうか?
いや、お茶がいいだろう。
妖精の嫌な臭いも消すのだから。

だったら、いつも懐に入れている馬さんおやつの香でいいな。
ぐっと潰して香をもっと出しておこう。


それから、マティスと漫才の話をしていた。
ボケ、ツッコミ、ノリツッコミ。
ボヤキ漫才など。



雨がコールオリンの小粒なら、儲けもの

ちなみに、わたしはここの部分しか知らない。

これで、マティスはおなかにぐっと力を入れしまった。
元の歌を知らなくても、歌そのものが面白かったらしい。

動かずにじっとしておくというのは、
なかなかの鍛錬です。

確実に半分を過ぎている。
みんなご飯食べなくていいの?
朝ごはん食べてきてよかった。
セサミンたちのお昼は釜に入れればいいものを
食べてくれるようにはいってある。

敷地外に出ることは護衛として禁止しているからね。
トイレも行っておいてよかった。

たぶん、膀胱の大きさとか、
腸の長さとか、栄養の吸収率とかが違うんだろうな。
人体解剖書みたいのがあればいいんだけど、
動植物の図鑑すら極秘、院扱いだから、
有っても見れないだろう。
見たところでわからないか。

・・・・胃袋が4つあったらどうしよう。



違う世界なんだ。
人型、男と女、これだけでもほぼ同じでよかった。



長期戦なのだろうか?

セサミンから連絡が来た。
カップ君が到着したようだ。
田舎者丸出しの浮かれマンボ状態で入都。
なにを言われても、先にセサミナ様の元に行かねばと振り切ったらしい。
浮かれマンボは演技ではなかったようで、
ドーガーも気付いたようだ。
みっちり鍛錬をやろうということに。
傍付き見習いも一緒に。
だって、次席、傍付きが嫁確定なら、
傍付き見習いが狩人のターゲットに急上昇する。


鍛練場もわたしの貯蔵庫とは反対側に半地下で作っている。
天井は木組みで布を張り、光が外から入るように。
もちろん砂漠石の薄い板で補強しているので、
天井を歩いても問題は無い。
歩かせはしないが。
庭からは、造園でカモフラージュしている。
日本庭園だ。
月無し石君たちにもらった砂を敷き詰めている。
光を通すので、暗くはならない。
が、枯山水もどきを絶賛してくれたのはクーちゃんとビャクだけだった。
ビャクはスルスルと文様を描くのも手伝ってくれたのだ。

クーちゃんもわしゃわしゃと潜ったりして遊んでいた。
やはり砂蜘蛛。砂の中は落ち着くようだ。


だったら、寝床もそうしようか?
と聞いたけど、それは別にいいとのこと。
なぜなら、ここは安全だから。

砂漠は不規則な風が吹くし、カエルがいる。
だから潜るのだそうだ。


カエルは蜘蛛も食べる。

メイガだけじゃないんだね。
なにか特定の一種類だけ食べると思い込んでいたな。


メイガも食べるし、蜘蛛も食べる。
足の長いものが好きなのかな?


クーちゃんはメイガを食べるのを楽しみにしている。
ビャクはカエルを食べるのを楽しみしている。

先にカエル狩りのほうがいいかな?
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