いわゆる異世界転移

夏炉冬扇

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689:スポーツブラ

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20人ほどが鍛練場内に入り込み、
わたしに槍を向ける。

こういう複数戦?


「そこの者!我らが王がお呼びだ!!!」

(モウ?対応できますか?
彼は中央院副院長だが、王族上位です。
できればなにも言わないで。
そして、彼らだけお帰り願いたい)

師匠が無茶を言う。
余程のえらいさんなのね。

でもそうだね、しゃべるのもついていくのもしんどい。

(ラーフィング?起きてる?いまいい?)
(モウ!今王都だろ?できたんだな?見せてくれ!)
(いや、それは会合後だよ。いまね、なんか、わたしに王さんが会いたいからって
サブコ?とやらが来たんだけど?で、連行されそう。)
(え?知らん)
(だろうね)
(会いたいことは会いたいぞ?)
(ダメだ!)
(いや、マティスも一緒だぞ。甘味を食べよう!)
(それ、用意するのこっちだよね?)
(あと、茶が欲しい)
(買え!!)
(買う!買う!)
(金持ちはすぐにそうゆう風に言う。
ま、いいや、ラーフィングがゆってないなら適当にあしらうよ)
(言えば会えるのか?)
(二度と甘味は食えんな。そしてコートも売れん)
(・・・・・)
(新作あるんだ。周りは熱々なのに中が冷たいアイス!)
(待ってるから!)
(ん。)





「寄こせ!」

わたしの手から交換した鍛練場にある槍を奪い取り、
縄をかけている。


「抵抗できずか!連れていけ!」
「お待ちください!
それをどうするのですか?」


ここでオート君が問いただす。

「オート殿か?
我らが王がお呼びなのだ、この者をな。」
「それをですか?王が?
しかし、女性に対してそのようなことを!皆の見ている前で!
恥を知りなさい!!」
「なにをいうか!王にいきなり面会もできないだろう?
先に尋問だ。
王に対して無礼がないようにな。」
「無礼ですか?それが?どうして?」
「どうして?これは異国の者だと聞く。
どこの誰だとわからないものを拘束してなにが悪い?
もし、我らが王に危害を加えるものだとしたらなんとする?」
「・・・・。」

え?それだけで黙っちゃうの?
王様の為だっていえば通るんだね。




「では、失礼する。」

ぞろぞろと出ていった。
たいへんだーねー。


「ワイプ?あれは特殊だったのか?」
「いえ、そんなことはないんですが。」
「びっくりしましたよ!いきなり服脱がしていくんだもの。
ちょっと胸元は改造しましたけど。それかな?
まさか皆の前で追いはぎに会うとは。
下に着といてよかったですよ。」


連行されたのはわたしの着ていた服だ。
今は、スポーツブラと短パン。
これは恥ずかしくない。
しかも宣伝になるかもしれないな!




競技を見ていた人たちは、わたしの服を脱がして、
それに縄をかけているように見えている。
実際そうなのだから。

あの集団に対しての言霊だ。





「寄こせ!」

『この槍ですね?どうぞ。』

「縄を掛けろ!」

『この服が問題で調べに来たのですね?
繊維一つ一つ調べなければ!ほつれてそれが王の鼻に入ったら
くしゃみが止まらず大変だ!鼻毛も伸びる!
今脱ぎます!どうぞ!
思う存分、納得がいくまでお調べください!!』

「抵抗できずか!連れていけ!」


手合わせを見ていた人たちもなんなんだという顔をしている。
わたしの服を引きずるように持っていったのだから。


「なにか特殊なことを調べているのだろうな。
仕方がないな、これにて終了!」


ニックさんが笑いをこらえながら、宣言した。

「ルカリ殿!最後の1本は無効ですね!
そうなると5対4か!参りました!」
「なんの!あれがなければ、取られてましたよ!」

礼をして終わる。
見学者にもだ。

おおおおお!とまたどよめきが起こる。


「じゃ、ご飯行きましょう!」


誰かが、何を言ってもあの集団は徹底的に
あの服を調べる。
尋問もするだろう。
だけど、服がしゃべるわけがない。
切り刻んで、どうにもならなくなって、
これ以上調べようがないと思った時に、何やってんだと思うだろう。


思い込みというのは、げに恐ろしき、だ。

そしてその馬鹿話はすぐに広まる。
赤い塊のモウを捕えるのではなく、
その着ていた服に縄をかけ、意気揚々と引き上げたと。
またわたしにちょっかいを掛けれない。

服をまたどうにかするのだろうと言われるからだ。
肯定も否定もできない。

肯定すればまさしく変態。
否定すれば、では、あれは何だったんだ?ってことになる。
あの服が怪しかったんだと言っても、あれは軍部支給の服。


直接は来ない。
絡め手で来る。
そうなれば、即滅だ。


・・・・ちょっと過激になってるか?
事情だけは聞くようにしよう。






─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘




「シート!」
「モウさん!ティスさん!待ってたよ!
見て!俺の店!肉屋だよ!」
「やったね!えっと、でも、その、お客さんいないね。
その、大丈夫?」

下町はいつでも人があふれている。
半分をすぎているが、通りは人がいっぱいだ。
なのにシートが出した店には誰もいなかった。

「違うよ!
モウさんが来るから貸し切りなんだよ!肉も急いで調達したよ!
食べていって!」
「すごい!焼肉屋さんを貸し切りなんて夢のようだ!!」

憧れですよね、焼肉屋の貸し切り!
もちろん、店のお肉みんな食べてもいいんだよね?


シートはマティスに教わった通りに、
調理前の手洗い、不要物の処理、
最後の清掃を守っている。
下町の店だが、清潔だ。

ダカルナの炭火屋さんの話や、フレシアの焼き鳥屋さんの話をし、
風の仕組みも教える。
あとは岩塩プレートでの焼肉。
これは商売だよ?
そして、豆ソースから作った焼肉のたれ。
これはソヤ監修。
これの売り込み。



皆が一緒に来ている。
チュラル達とソヤも。
ツイミさんもツニールとして。で、オート君も。
変装しているよ、リカの兄貴もだ。


お酒はビールを提供した。

「エールってどこで作ってるの?」
「酒はどこででも作ってるよ?エールは下町でも作ってる。」
「そうなんだ。仕入れでね、なんか失敗したエール買ったの。
もちろん格安だったよ?ああ、どこでっていうのは内緒なんだ。
恥ずかしいから言うなって条件で。
樽で買ってね、背負子には冷蔵庫が先に陣取ってるから、
その中にねいれたの。
それがこれなんだ。冷やすとおいしい!
どこかで再現できるとこないかな?
ああ、これに関しては売った方もどうでもしてくれっていうからね。
隠匿掛けてもいいよ。
下町発のおいしいビール!焼肉にピッタリ!
ただし冷やさないといけないけど。
冷蔵庫も貸し出すよ。で、いれるものも冷やしておくのね。
これ、ブラスのカップ。
ちょっと濡らして、これは冷凍庫で凍らす。
冷凍庫も貸し出しするから。
うまくいったら大型買ってね?」
「ほんとだ!うまい!肉に合う!!」
「ね?再現できるまで、エールも冷やして売ればいい。
これは、1つだけ置いといて、後は飲んじゃおう!」
「シート殿?これ、必ず売れますから、隠匿等はきっちりと。
不安がある場合は資産院を通してください。
生産院に横取りされないように。
そして納税を。」
「・・・・はい。」
「師匠!脅さないで!納税はきちんとするんだから!
でも、シート?隠匿はそうだね、資産院の口添えがあったほうがいい。
王都のソースのことも知ってるでしょ?
こういうのに資産院を使えばいいんだよ。」
「そうだ、シート、使い倒せ!」
「ティスさんもそういうの?そうなん?
うん、わかった。」

「モウ、商売はあとでいいですから先に食べましょう。」


肉!ビール!お醤油!!!
うますぎる!!


食いもの屋もいいなとソヤが言えば、
オート君と師匠が、それをまとめるのがいいんですよと、
資産院の良さをアピールしていた。



オート君には、
彼女さんの態度を謝られたが、こっちは何とも思っていない。
むしろ、注意をしてくれたんだと感謝を伝える。

「ああ、今は変装してるんだから関係なしでお願いしますね。」 
「もちろん!ッ、ツミール嬢には驚きましたよ。」
「ふふ。なにか悩んでいたみたい。
吹っ切れたようだけど。」
「そうですね。よかった。」
「あなたは?」

タンダートのことが外に漏れている。
おそらくタミナ嬢が漏らしたのだろう。
間者だな。
そう師匠に聞くと頷いていた。

「わたしですか?少し、少し思うところはあります。」
「そう。あなたはあなた、向こうは向こうの仕事をしていただけだ。
何もかもが偽りじゃない。頭ごなしの拒否はしないで?
どうしてあなたからの贈り物を
これ以上いらないといったか、考えて?
報告するのが嫌になったんですよ。包容力も必要ですよ?」
「は!まさに!」





「モウ様?これ、重いし、苦しいんですが?」
ツイミさんが小声で言う。
偽乳が苦しいらしい。

「んー、慣れるよ。」
わたしも慣れた。


「しかも、締め付け感があって、食べにくい。」
「うん、でも、いつも通り食べてるよね?」
「ええ。おいしいです。」

食べ方も上品だ。
なくなる速さはわたしと同じだけど。

傍から見れば、
女2人がものすごい速さで肉を消費していっていく。



これでいつでもビールは飲める。
ブラスのコップも売れる。
当然、冷蔵庫と冷凍庫も。

出せる持ちネタは
チョコと火薬以外全部出せたかな?





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