629 / 869
629:御託
しおりを挟むマティスはテントを出して、寝床を置くと、
そこにモウちゃんを寝かしていた。
パフンと体が沈んだ。
それいいな!
雨の日前に作ってもらうことにした。
もちろん、金は払う。
が、帳簿はつけたくないというので、
トックスに卸すからそこで買えと言われた。
なんでも、モウちゃんが言うには、
こっちに来てから何がよかったかというと、
言霊とかは関係なく、
マティスに会えたことと帳簿付けから解放されたことらしい。
モウちゃんのところでは余程面倒な仕様なのだろう。
それで、そのままここでパン焼きの窯を作っている。
俺たちは月無し石からの報告を分担して聞いていく。
「カリクの護衛は元暗部だ。
ガイライが入る前の人間だがな。」
「問題は無いと?」
「ないだろうな。そいつらがこの時点でカリクの配下ならな。」
「なるほど。カリク殿の後継者狙いは元配下だと?」
「そういうこった。」
─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘
「半分を近くになりましてからの面会、申し訳ありません。
何分、早ければ早いほど良いと判断いたしましたので。」
「御託はいい。なにを持ってきたの?」
あははははははは!!
「モウちゃんの言うとおりだな!」
「パターンエー?は有りませんでしたね。
断るというのは。」
「パターンシーは3件?
断ってあとで襲うというもの。ということはカリク殿の手に3個の
コールオリンが手に入ったと。
これ、キャムロンの石だとしても大丈夫なんですかね?」
「食われるなと言霊を掛けている。ほら、コーヒーだ。」
マティスが、コーヒーを持ってきてくれた。
なんというか、モウちゃんがそうだからか?
いや、思えば昔からだな。
どこが緑の眼なのだろうか?
赤チーズが入ったクッキーはうまい!
「例の3人娘は買ったのか?」
「ええ。3人同時。3人一緒でしたからね、宿も。
7件分、2100万リングですか?素晴らしい!早速預けてくれていますね。」
「お前がいたからな。詮索されようがないからだろう。」
「あとで、メモ帳を渡さなくては!」
「それに音石を仕込んでいるのか?」
「そうしたかったんですが、モウに止められました。
強行すれば資産院に信用無しと触れ回るぞと言われましてね。」
「元からないだろう?」
「あはははは!まさか!」
「門外から戻ってくるようだな。」
「ガイライ?聞こえるのか?」
「カリクがさっそく襲われているぞ?
音石が拾っている。小さな音だ。それを月無しが届けている。
お前たちでは聞こえないだろう。
盗賊が来る。」
「どうだ?勝てそうか?」
「わからん。音もこれ以上は聞こえん。」
「ちょっと戻るわ。カリクがいないとモウちゃんが虫のことを頼めないからな。」
「行ってこい。馬車で帰ってくるならカリクの飯の用意もしておこう。」
ガイライとワイプ、3人で10番門外に移動。
交渉中か?
30人ほどのいかにもな盗賊。
(ガイライ、ワイプと繋げてくれ。知ってる顔は?)
(便利ですねー。わたしは、盗賊のほうですね。5人ほど)
(わたしは後方6人と1人。あれは、タンダードだな?)
一番前にいる男、タンダードだ。
こんなところに。
(だれです?)
(かなり前の奴だよ。ガイライと同時期に軍に入った。
ガイライと同格と言われていたがな)
(で、落ちぶれたと?)
(いや、もっと修行すると言って辞めたんだ。止めたよ?
だが、平和すぎたな、あの時代は。もっと腕を磨きたいと。しばらくは噂話も聞こえてきたがな
お前たち、ワイプとマティスの名が出るころにはまったくな)
(どこにいたんでしょうね?最後の噂は?)
(東方だ)
(面白いですね~。腕はどうなんでしょう?)
(ガイライと同等。ガイライ以上に鍛錬をしていればそれ以上だ)
(ガイライ殿は耳のことがありましたからね、どうでしょうか?)
「クインタの手配?今、ここで襲うのは余りにも愚かだ。
そうではないと思いたいですね。
ではお嬢関連?それほどの手練れはいないし、それこそ愚かだ。
が、それ半分と、別口半分?便乗ですか?」
「後方、3組は面会時にいたものたちですね。」
「なるほど。では残りは?」
「クインタの手の者。5人とあらたに3人。
あとは、東方あたりでしょう。あの腰飾りはエルトナガのルロイド入れだ。
守りも兼ねている。」
「ルロイドはいま品薄ですからね。儲かりますね。」
「親父殿?それ強盗ですよ?」
「おや、そうなるんですか?」
「またあの連中と商売するんでしょ?見抜きますよ?
特にあの女。二度と商売ができなくなるでしょうね。」
「それは困りますね。正直に言えばいいのでは?
襲われることは予測していた。そこから頂いたと言えばいいのでは?
彼女は別に清廉潔白ではないですよ?なかなかにご自分の念をお持ちだ。
ああ、早く帰りたい。知ってますか?砂漠の民は食事を3度するそうですよ?
今から急げば、月入り後の食事を一緒に出来るとおもうんですよ。
報告がてらにね。」
「・・・・・。」
「何?」
「いいえ。」
(彼強いですね)
(俺と同期だよ?歳も同じだ。いやー、年取ったな!)
(軍部からこちらに?)
(暗部の仕事の途中で嫁さんもらって、抜けた)
(ああ!ムムロズですか!資産院で有名ですよ?数字系では?)
(お前と一緒だ。数字と武だな。俺は武だけの暗部だったけどな)
(なんで有名なんだ?)
(数字だけでも嫁が来ると。資産院の妻帯者は少ないんで。皆の憧れです。
数字だけじゃなかったんですね。これは残念だ)
(かなり前だろ?わたしは知らないしな。名前も)
(ガイライが入る前だもんな。あの頃は軍も暗部も余裕があったからな
あー、これ言い出すと年取ったと思うよ)
(まったく)
(やめてくださいよ?ほんと、爺臭い。で?問題は?
カリク殿に付いているのが彼だけなんですが?)
(残り3人は寝返ったようだな)
(東側に?そのクインタとやらに?)
(分からんな。クインタとやらが東と手を組んで、お嬢関連が便乗?)
(彼一人では無理だろ?タンダードはわたしが)
(護衛の仕事だな。10リングじゃない仕事をしようか!)
(納税してくださいよ!わたしは参加しませんから!!)
「カリク殿?いまからお戻りなんですか?」
「な!ニック殿?」
「ニック!!」
「いよ!ムムロズ!元気そうだな?」
「お前!よくも俺の前に顔を出せたな!!」
「えー、まだ怒ってんの?テンレは元気?」
「元気だよ!!」
「それはいいな!で、カリク殿?護衛は必要?
ガイライと2人、対人一人500リングで片を付けますが?」
「殺さず確保で。」
「700だ。」
「600ですね。ん?お嬢さんは?」
「食事の支度をしてると思いますよ?ああ、わたしは参加しませんから。」
「それはいいですね!ではお願いします。
ムムロズ?お前が頑張れば、払わなくて済むからな?
その分、半分は報酬としてお前にやろう。」
「よっしゃ!!」
13
あなたにおすすめの小説
異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました
雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。
気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。
剣も魔法も使えないユウにできるのは、
子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。
……のはずが、なぜか料理や家事といった
日常のことだけが、やたらとうまくいく。
無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。
個性豊かな子供たちに囲まれて、
ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。
やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、
孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。
戦わない、争わない。
ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。
ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、
やさしい異世界孤児院ファンタジー。
魔界建築家 井原 ”はじまお外伝”
どたぬき
ファンタジー
ある日乗っていた飛行機が事故にあり、死んだはずの井原は名もない世界に神によって召喚された。現代を生きていた井原は、そこで神に”ダンジョンマスター”になって欲しいと懇願された。自身も建物を建てたい思いもあり、二つ返事で頷いた…。そんなダンジョンマスターの”はじまお”本編とは全くテイストの違う”普通のダンジョンマスター物”です。タグは書いていくうちに足していきます。
なろうさんに、これの本編である”はじまりのまおう”があります。そちらも一緒にご覧ください。こちらもあちらも、一日一話を目標に書いています。
神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします
夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。
アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。
いわゆる"神々の愛し子"というもの。
神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。
そういうことだ。
そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。
簡単でしょう?
えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか??
−−−−−−
新連載始まりました。
私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。
会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。
余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。
会話がわからない!となるよりは・・
試みですね。
誤字・脱字・文章修正 随時行います。
短編タグが長編に変更になることがございます。
*タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。
ユーヤのお気楽異世界転移
暇野無学
ファンタジー
死因は神様の当て逃げです! 地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました!
【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】
皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました!
本当に、本当にありがとうございます!
皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。
市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です!
【作品紹介】
欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。
だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。
彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。
【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc.
その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。
欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。
気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる!
【書誌情報】
タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』
著者: よっしぃ
イラスト: 市丸きすけ 先生
出版社: アルファポリス
ご購入はこちらから:
Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/
楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/
【作者より、感謝を込めて】
この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。
そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。
本当に、ありがとうございます。
【これまでの主な実績】
アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得
小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得
アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞
第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過
復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞
ファミ通文庫大賞 一次選考通過
異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?
お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。
飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい?
自重して目立たないようにする?
無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ!
お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は?
主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。
(実践出来るかどうかは別だけど)
俺の伯爵家大掃除
satomi
ファンタジー
伯爵夫人が亡くなり、後妻が連れ子を連れて伯爵家に来た。俺、コーは連れ子も可愛い弟として受け入れていた。しかし、伯爵が亡くなると後妻が大きい顔をするようになった。さらに俺も虐げられるようになったし、可愛がっていた連れ子すら大きな顔をするようになった。
弟は本当に俺と血がつながっているのだろうか?など、学園で同学年にいらっしゃる殿下に相談してみると…
というお話です。
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる