いわゆる異世界転移

夏炉冬扇

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591:それぞれのいきさつ

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「お呼びでしょうか?」
「どこに行く?」
「報告はしております。その、なにか?」
「わたしも行きたい。」
「へ?え?いや、失礼しました。今なんと?」
「わたしも行こうと思う。」
「ど、ど、どうして?」
「問題は無いぞ。な?いま、誰もいないから。さ、行こうか!」
「ああああああ。」

─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘


「ダクツ?」
「・・・ガイライ、その、今日の食事会な、
その、もう1人連れて行っていいか?」
「なるほど。主の言うとおりだな。」
「主?え?王?」
「いや、モウという。会っただろ?あの方はわたしの主だ。
臣の腕を捧げている。」
「お前がか?どうして?」
「それはいまはいいだろう?これを。」
「なんだ?」
「主は今日の食事会を楽しみしている。
来てもいいが、他に気取れるなと。
気付かれないようにすればいい。服と、かつらだ。」
「そ、それを身に付けろと?」
「ダクツのお連れの方。
わたしには今、主の命を受けております。
主からは、来てもいいが、誰にも分らぬようにとだけ。」
「そうか。では、これを着て、これを被るのか?
ふふふ。この時点ですでに楽しいな!」
「ああああああ。」



─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘

「ワイプは?本当に寝ただけか?」
「寝たというより、失神だな。王が礼を言ったんだ、名前と。」
「どういういきさつで?」

りーん、りーん、りーん

「ん?本人に聞けばいい。」
 
(ワイプ、ガイライの館だ)
(行きます)


「参りましたよ。」
「呼ばれたのか?名を?」
「ええ。笑顔と礼付です。」
「それは、死ぬな。」
「なに?それだけで?もっと会う機会を作ろうか?」
「やめて!マティス君!ほんとに死にますよ?」
「あれだけにはやらせんさ。
で、愛しい人が心配したことはいいんだな?」
「ええ。」
「それは?」
「予算ですよ。あなたとニック殿が分隊になったとしても、
根本的に足らないんですよ。それをね、補う方法を王に頼んだんです。
倍の予算が手に入りました。これで、やっと眠れる。」
「予算か。それはどうにもならんな。
軍が2つに分かれることで、
決められた予算以上に雑費が出ていくのは目に見えているからな。」
「砂漠石がここまで高騰しなければ、なんとか年内は持つ計算でしたが、
各院がリングではなく、砂漠石で要求してきましたからね。あっという間に。
もともと資産院の予算が前任のおかげでありませんでしたからね。
回収も年に5万リングずつ。情けない。」
「よくそんなことを許したな。」
「中央院ですよ。余程のつながりがあるんですね。調べたんですが、
分からずじまいでしたよ。」
「お前がか?余程だな。」
「中央院だけでなく、中央が見えた時点で終わりますから。」
「では、中央に売る話は?うまくいくのか?」
「何を売るんだ?」
「中央が喜びそうな話ですよ。それを王が、売ると。」
「モウが持ってきた話だな?それは?」
「ええ。砂漠の砂の中に金銀銅、鉄が含まれていると。
砂を水に沈めれば、鉱物だけ浮く。この話をね。」
「え?そんなこと聞いた事もない!!」
「だけど、試したこともないでしょ? 」
「それはそうだ。誰がそんなことをするんだ?ああ、モウだからか。」
「木が浮き、鉄が沈むらしいですよ?故郷では。」
「逆なんだな。」
「ええ。彼女は?寝てる?
全く食べていなかったでしょ?」
「茶漬けは食べた。おそらく明日の食事の為だな。
空腹は最高の調味料と言っていたから。」
「何を食べるんです?」
「旧王都市場で買った虫だ。」
「なんでそんなことに?」
「いろいろだ。あの虫と木の実はあれだが、最後のは喜んで買っていたなから。」
「なにを買ったんですか? 」
「キャムロンと虫無しの赤い実とスーリム?」
「!わたしも食べたことないですよ?
その、大丈夫なんですか?彼女は?」
「大丈夫だろう。スーリムは好きな食べ物らしいぞ?」
「それは、それは。確実においしいものなんですね?いつ食べるんです?」
「いや、それはわからん。キャムロンは明日だろう。
が、スーリムは数日、箱の中に生きたまま入れたままにしておくそうだ。」
「え?なんで?え?生きてるの?」
「詳しくは聞けなかったが、腹の中を綺麗するためらしい。」
「わかりませんね。」
「そうだな。」
「明日は半分でタトートにいくが、行けるのだな?」
「ええ。」
「わたしも誘われたが?擁護してほしいと。」
「ドロインには、私達がすることが、不安なのだろう。
挙句、ワイプのことをまともだといっていたからな。
それの方が不安だからだろう。」
「よくわからんな。とにかくいっしょにいこう。」
「マティス君?」
「なんだ?」
「新年のことを、王に話しました?」
「話はしていない。が、彼女はチョコのお披露目は新年だと言った時に、
少し、ほんのわずかだが、気が揺れた。
「なるほど。知っていると考えていいですね。そして回避方法も知っている、
もしくは調整できると。」
「どうして?」
「新年の王の言葉は各国共通です。
中央が絡んでいる。というか、中央主導でしょ?自分の懐に入れた予算を、
盗られないようにするでしょうね。その回避方法ですよ。」
「ウダーのルンバにな、新年、高いところに登れば忘れることないと。
月の出を見るそうだ。村中で。外に出稼ぎに行っているものは
その地の一番高いところか、櫓宿に泊まる。
そう話してくれた。」
「また、あなたはとんでもない話を仕入れてきますね。
しかし、それ、どうなんですか?だったら、皆がやってることでしょう?
「ワイプ、新年に違和感を持ったのはマティスに言われてからだ。
それがなければ、誰もしない。高いところに登ればいいのか?」
「高いところで、月の出を見るんだ。
月の出を見た事があるか?
この前、セサミナと3人で見た。震えていたよ。
それを愛しい人と2人で抱きしめた。
私と愛しい人がいるから、絶対に安全だと思うから見れたと。
妻たちと一緒に見たいとも思わない。
私たちがいるから、でないと見ようとは思わないそうだ。」
「・・・・そうですね。なるほど。わたしも今は見たいとは思わないですね。」
「月が海に沈んでいくのは美しいぞ?
海から昇るのもさらに美しいだろうな。いつか、見てみたいものだ。
愛しい人と約束しているんだ。」
「・・・・それを見たいと思うのはあなた方2人だけでしょう。」
「・・・・。」
「なに?」
「私はそんなに変わったのだろうか?」
「変わったのではなく、気付いたということでしょう。そしてそれを受け入れている。
うらやましいですよ。」
「・・・。王がお前を褒めていた。それを伝えてくれと。
彼女はさすが師匠だと喜んでいたよ。」
「あー。それは、うれしくない。正直に言って。」
「そうか!ふはははは!彼も死ね死ね団にはいった。10点もちの
名誉会員だ。はははは!楽しいな!」
「・・・ええ。楽しいですね。てっきり、甘々団かと思いましたが?」
「・・・・そっちもだ。彼女は大量に甘味を持たせて帰らせた。」
「あはははは!それはいいですね。」
「いいな。わたしはどちらも入る事ができないからな。」
「・・・今度、にほんしゅがうまくできれば、酒の友の会を作ると言っていたぞ?」
「それはいい!!楽しみだな!!」




─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘



(セサミン?おはよう?今いい?)
(ええ、もちろん。今日ですよね?今から?)
(半分過ぎにね。師匠とガイライも一緒に)
(ガイライ殿も?)
(うん。でね、あの例の砂漠の鉱物の話、王に話したんだ)
(ちょっと待って!!どういういきさつで!)
(なんか、ニバーセルお金がないみたい。師匠が心労で倒れたんよ)
(え?大丈夫ですか?)
(うん、今はもう元気。昨日、カニ食べたしね)
(おいしかったです!あの付けダレ、これが絶品でしたね!)
(ね!あれはいい味が出たと思うよ?)
(みなも満足でしたよ。ありがとございます。ああ、それで?どこで王が?)
(その食事会によ、メディング呼ぶから、生産院の院長もついでってなって、
当然オート君も来るでしょ?で、ガイライも誰ぞ呼んどいでってなったら、
王の護衛のダクツさんが来て、それについてきた)
(・・・わかりません。後で、ワイプ殿に聞きます)
(うん、そうして。でさ、いまさらながら、
セサミンに断り入れてなかったなって、話すのまずかったかな?)
(いえ、それはかまいません。実際、なにもできなかったのが現状ですし、
ルグとドーガーにも王が絡むと話しておきましょう。
そうすれば誰にも話すこともない。
(セサミンが知ってるってことは話してるんよ?まずかった?)
(・・・・その話も後で聞きますから)
(うん。じゃ、半分過ぎに迎えに行くから、お昼は向こうで食べようね)
(ええ、わかりました)
(紅は送るね)
(ありがとうございます)



「セサミンには話したよ。くわしくは師匠に聞くって。」
「そうだな。そのほうがいいだろう。」
「わかりました。いきさつは話しておきましょう。」

朝、月が沈む前に起きて、師匠の館とガイライの館にある食料庫の補充に努めた。
師匠は当然なのだが、ガイライもこっちとコットワッツとそのたもろもろ
なんかしているようなので、食事をちゃんととってないようだったから。


「夜はニックと食べてますよ?」
「お酒を飲んでるの間違いでしょ?食べてから飲むように。
あと手軽に食べれるのを作ってるから、籠に入れて、持っていきなさい。」
「はは!わかりました。カンターウォーマーですか?
それを1つ売ってください。これだと自分で入れてもおいしいですから。」
「毎度あり!」








─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘


「ナーチア?持ってきましたよ?」
「も、モウさん!!こっち!!」

10個のカンターウォーマーとなると結構な量だ。
背負子に入れて、店を訪ねるとナーチアが手招きする。
奥の棚の陰で座り込んで話し始めた。

「なんかあった?」
「ここの陶磁器組合ともめました!
あの土を一袋1万リングで買うのは高いって!!」
「え?そうだった?運送費考えるとそんなもんかなって思たんだけど?」
「違います!!ただで、いいえ、あの土の場所を教えろって。」
「あー、そうなるのか。ナーチア?実際どうなの?
高い?安い?」
「わたしの計算では安いです。そりゃ、最初は失敗を見込みますけど、
それでも適正、白磁が売れれば、安い計算ですよ。」
「だよね?わたしもちょっとは計算したからね。
焼きの方法は?皆で共有した?」
「ええ。なのに、最後の最後でそんなことを!!」
「んー、困ったな。ご主人は?何と言ってる?」
「まだ、話し合いに。」
「そうか、ほんと、困ったね。教えるわけにはいけんのよ。」
「わかっています。土というのは窯で独自の採取場所があるのに!
それを教えろだなんて!!」

「ナーチア!」

ご主人が疲労困憊で帰ってきた。

「どうだった?」
「ダメだ。挙句、そんな高い土はいらないって。
ナーチアの焼の方法で新しいものを作るって。」
「そんな!焼の方法だって、秘密だったのに!!」
「隠匿は?掛けなかったの?」
「あの化粧瓶のようにみなで掛けた方がいいと思って。」
「ケースバイケースだね。
仕方がないね。でも、これで、また違った焼きができるかもしれないね。」
「モウさん!」
「いや、だってそうでしょ?
ここはあんまり、いろいろなことを試すってことしないから。
何か切っ掛けがあれば、発展するからね。
あの土は?ああ、皆で分けたのか。そんなにすぐにできるもん?」
「教えたとしてもそんなにすぐにできてたまりますか!!どれだけ苦労したことか!!」
「だよね?試行錯誤している間になくなるね。
もう一袋置いとくから、ナーチアだけが使えばいい。」
「モウさん、それはダメです。きちんと買います。」
「そう?ま、今回は特別ね。次回からきっちりだから。
それと、こういう形のものを作ってくれる?6つ穴が開いてるの。
これを、10皿分ね。」
「それはすぐにでも。この大きさ?はい。
モウさんの依頼は絵と大きさが分かるので、
すぐですよ。」
「いくら?」
「いえ、これは、作らせてください。」
「あー、これね、きっとほかの人は買わない。
作っても、なにこれ?ってなるから、
きっちりお金を取って?」
「では、これは作らせてください。もらってばかりなので。」
 「あー、それもダメだ。土は、まだ投資的なものが有るけど、
これはね?それこそきっちり仕事して?」
[モウさん!」
「うん、10皿で30リングでいい?」
「もらいすぎです。」
「最初だからね。それにね、いま、ちょっとお金持ちなんだ。
カンターウォーマー好評なんよ。王都でね、かなりの数を納品できたの。
あれもまた作っておいて?また、200ほど。」
あ、これが完成品。10個?今回のことで減ったんじゃないの?」
「ええ。皆に配ろうかと。喜んでもらえると思ったのに!
メディケのところだけ儲かってるって!僻んでるんですよ!!」
「そういうの難しいね。よかれと思ってしたことが相手にとっては苦痛とかね。
他人でも家族でもわからんもんよ。
大事な人なら、聞けるけどね。いいものだから売れると思うよ?
売値は5リングだけど、卸値は3リングなんだ。
税金とか、帳簿付けは別でね。それでいいなら、卸すよ?」


結局10個卸して、エスカルゴ皿とトントンだ。
1個分の5リングの売値。

ここのご主人とマティスはまた絵付けのことで話している。
マイセンみたいなのが生まれるのだろうか?
楽しみだ。
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