いわゆる異世界転移

夏炉冬扇

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532:休日

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朝ごはん出来たら呼びます。
交代で食べに来てくださいねと師匠に伝える。
ガイライ達にはマティスが伝えてくれたようだ。
みんなが揃わないのなら、バイキング形式の朝ごはんがいいな。
コーヒーウォーマーはどうなっただろう?
軍曹とコーヒー屋さんには2度ほど往復している。
コーヒー屋さん、カンターさんのとこで、OKが出れば、
その形で数を作ってもらう段取りだ。

セサミンとドーガーは仕事に戻ってもらって、
マティスと準備にかかる。
セサミンはほんとに忙しいのだ。
移動できることでかなり助かっているというが、
その分仕事をするので、ゆっくりできない。
時間があればあるだけしてしまうのだ。
強制的に仕事をしない日というのを作らないと。
休肝日ならぬ休仕日だ。うーん、それが休日なんだけどな。
ないよね、休日って。
それがまとめてある雨の日か。
20日の休日。
1年が720日なのに20日だけか。
ブラックだ。ここからすでに。

「どうした?」
「2人だけでも、だらだらする日を作ろうね。」
「そうだな。合わさりの月の日前後は休もう。
日が短いからか、あなたは体調を崩してしまうからな。」
「んー。それはその日に鍛練するからでは?」
「そうだ。だから、その後は休日だ。」
「違うの!それはわたしだけが爆睡しているだけでしょ?
マティスも休むの。ダラダラするの。どこかにピクニックとか、買い物とか。
そういう日!」
「?毎日ではないか?行商している以外は。」
「おお!!」

そうだった。
わたしはそんなに働いてないよ!
毎日働いてる、セサミンや師匠はやっぱり偉いね!

「おいしいものいっぱい作ろう!
それでみんなに食べてもらおうね!」
「ん?それもいつものことだな。」
「うん。コーヒーウォーマーどうなったか聞いてくるよ。」
「わたしが行こう。向こうに行けば、エデトがすぐにかぎつけるからな。」
「そんな暇ないでしょう?」

2回ともマティスが往復している。

「すぐに行ってすぐ戻るよ。
2人とも行くわけにはいかないしね。軍曹のところにも顔を出す。
あと金物屋さんも。」
「道具屋ルッションか?」
「そうそう。ルッションさんとこ。ちょっと頼みたいものあるんだ。
きっと、まだ、ナソニールの税のことは知らないはず。
さきに、お仕事頼んでおくよ。
そしたら、不安な気持ちも起きないでしょ。」
「そこまで気を使うことはないのでは?」
「遅いか早いかの違いだけだよ。どうせ頼むんだもの。」
「わかった。すぐに戻って来ておくれ。」
「はーい。じゃ、行ってきます。」
「お!行ってらっしゃい。」

ここで、20分のロスは仕方がないのだ。




「カンターさん。今いいですか?」

店の前に移動して、店に入った。
はー、いい匂い。

「いらっしゃい。嬢ちゃんが来たのかい?
この前、あんたの旦那が来てすぐに、エデト様も来て残念がってたよ。」
「え?そんな話聞いてないです。」
「そりゃそうだろ?旦那が嫁さんにする話じゃないな。」

ここの人にはわたしが女で、マティスの奥さんだということは話してある。
長い付き合いになるのなら偽っているのは面倒なのだ。

「そんなもんですか?」
「そりゃそうだろ?
あんたがいないってわかると、がっかりしてな。
あんたの旦那はすることをしてからにしろって言われて、トボトボ帰っていくんだよ。
おかしくてね。」
「仕事さぼってきたらダメだよね。」
「そういうことだ。詳しくはまだ発表がないが、いろいろ忙しいはずだからな。」

カンターさんはコーヒーを出してくれた。
おいしい。

「はー、やっぱりおいしいね。
うちの人が入れてくれる次においしい。」
「あんたの旦那もそういうよ。うれしいね。しかし、ほんとにうまいか?」
「うん。なんで?」
「ふふふ。それは、6杯目、最後のコーヒーだ。かなり時間もたっている。」
「うそ!おいしい!入れたてみたいだよ!やった!!」
「器の形と、温度、豆の煎り方。それらの組み合わせだ。」
「すごい!!量産に入るよ!カンターさんのところで、隠匿掛けれる?
こんな複合物はどうするんだろう。ここに生産院ってあるの?」
「そういうのはないな。そこまで隠匿をかけることなんぞないからな。
香木と香料関係はあるだろうけどな。」
「そうなの?どうしよう。こっちで掛ける?
食べ物にかけるのは極力したくないけど、これはカンターさんの努力の結晶だもの。
へたに真似されたくないな。」
「そうだけど、掛けなくていいよ。」
「どうして?」
「そんなちょっとやそってではまねできんからな。
それで同じようにできるんならそいつも俺と同じか
それ以上に努力したってことだからな。いいんだよ。」
「かっこいい!」
「その秘訣を探ろうと、とりあえずここに買いに来るだろ?
それが狙いだけどな!」
「おお!」
「それに、素直に教えてくれっていう奴がいたら教えるよ。
コーヒーが広まるほうがいいからな。」
「おお!元首はあれだけど、国民は素晴らしいね。」
「ははは!ここは長寿だからな。俺ぐらいになればそう思うさ。」
「そうか。んー、失礼ですけど、おいくつ?」
「そうだな、まぁ、結構な年齢だな。」
「そうなんだ。ん、来るね。」
「そうか?ああ、あの蹄の音か。結構来るぞ?おい、大丈夫か?」
「こっちは何も悪いことしてない。あ!密入国だ!まずい!匿って!」
「なに!どうやって入ってこれたんだ!隠れて!ほら!」



「モウ!ん?」
「エデト様?いらっしゃいますか?」
「あれ?いない。お前も見てくれ、香はするのだが。
眼鏡を外しても見えない、掛けてもだ。」
「わたくしにも見えません。」
「エデト様、奥方様、いらっしゃいませ。」
「主!今日こそモウ殿が来られただろう?」
「エデト!ほんとにいるのか?」
「テルマ様まで!」

えー、おじい様もいるの?
仕方がないな。無法入国で罰せられることはないだろうけど。
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