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420:ひょうたん
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「着いたぞ?気配も戻していい。顔に砂を付けるだろ?
少しでいいぞ?」
「んー。」
ピクトの港町ギーの船も月が沈むと同時に出向。
一人1リング。潮の流れがデルサトールの港町テルニに向かっている。
じゃ、逆は高いのか?これも1リング。
湾の中でうまく渦巻いているそうだ。
月が沈んでから昇るまで。
これは短くても長くても一緒。
今なら6時間だが、明日になれば13時間だ。
ぐるぐる回っている海流。
月に影響されているのだろう。
その海路から外れることはない。
あの岩場の秘密基地に近づく船はない。
「よかった、今日乗れて。
だからこんなに混んでいるのかな?」
「そうだろうな。明日は今日の倍以上となるならな。」
それでも6時間は結構長い。
また甲板の真ん中に陣取る。
ここにはプカプカは出ないんだろうな。
魚は底引き網なんだろうか?
船の後ろに網が付いている。
魚は海流に抵抗するので勝手に入っていくそうな。
魚よ、学習しようぜ!
魚は白身魚だそうだ。
そんな話をさっきからずっと、わたしたちの横に陣取った
お姉さんがマティスに話している。
わたしは朝ごはんのおにぎりを食べているのだ。
マティスもね。
このお姉さんの職業は何だろうか?
ぼくたち兄弟は、行商ということになっている。
黒目黒髪で修行者といえば、ワイプの弟子になるからだ。
ティスとモウの夫婦の行商なら、ミフェルさんが探していることになる。
船に乗る前に一応師匠には問い合わせた。
あれから何も入ってこない。
クスナさんの櫓宿にタオルが入っていることはばれているそうだ。
わざわざ見に来たそうだ。
クスナさん曰く、命の危険を感じたと。
しかし、タオルの評判は上々。クッションもだ。
常連と待合に置いているそうだ。
それに座ったミフェルさんの顔が面白かったらしい。
これは?と聞かれ、これまた命の危険を感じたので
わたしたちから買わされたといったそうな。
そんな言い方になったことを謝罪しているとのこと。
なんせ、命の危険が危ないのだ。仕方がない。
デルサトールにもこれといった話はない。
茶葉の産地だとだけ。
コムとはまた違ったお茶、王都で飲んだ紅茶だ。
師匠の現地うまいもの話はなかった。
その、御紅茶の話もお姉さんがしている。
砂漠の影響が出ないように、
真ん中に街道があり、両脇に店や、住宅。
それらと砂漠の間に、トウミギ畑や、茶畑などの畑がある。
砂漠石の採取と、トウミギ、紅茶が産業。
鉱山はない。海峡石もとっていないようだ。
爆裂の石のことをくず石というのが気に障る。
あれを採る物もいるが、それは貧乏人か他国の者だと。
ん?
デルサトールで採るものは砂漠に住んでいるのかな?
砂漠の民かな?
「一つ月の日に砂漠に入る人たちよ。
その日に石を採るという条件で、
ほかの日もくず石を集めていいってことになっているの。
それに税金も納めていないのよ?
それも免除されているの。恥ずかし人たちなのよ。」
ん?税金を納めるということに価値があるのか?
いや、いいことなんだけど。
「入国税が30よ。一人ね。
あとはかからないわ。格安でしょ?それはわたしたち帝国民が
税をたくさん納めているのからよ。感謝してほしいわ。」
さいでございますか。
ところ変われば品変わる。
「兄さん?60リングある?」
「なんとかな。」
「ああ、大丈夫よ!一つ月の日に砂漠に入るのなら免除されるし、
帝国民の紹介があれば、免除にもなる。
その代わり、その帝国民の指示に従わないといけないけどね。」
「兄さん、ぼくのためたリング使っていいよ?」
「そうか。ありがとう。だったら安心だな。」
このお姉さん怖い!
ものすごくにらまれた。
あとは時間まで船の上で店を広げている人たちの品を眺めていった。
そういうのOKなんだね。
これはピクトからの船。ピクトで仕入れたものだ。
何が売ってる?
塩、化粧水、髪油、魚の皮、あとは干し肉、メイガ、
絹、コーヒー、コメ、小麦。
あのピクトで売っているものと同じだ。
あ!ひょうたんがある。
「兄さん!あのひょうたんが欲しい。」
「ん?ひょうたん?」
「名前は違うよね?おじさん、これなんて名前?」
「アーリアだ。知らないのか?これから化粧水ができるんだぞ?」
「ああ!あれ?カメリって奴じゃなかった?」
「ちがう、ちがう。それは髪油だ。
お前、女に買い物を頼まれて間違って買って帰ると、
どやされるぞ?」
「こ、怖い!じゃ、そのカメリは?」
「それはデルサトールが産地だ。ここにはないよ。」
「へー、じゃ、髪油は今から行くところが本場?」
「ちがう、ちがう。デルサトールで採れる固い実をダカルナで油にするんだよ。」
「そうなんだ。へー。でも、それはいらないな。」
「だろうな。アーリアは?」
「いくら?」
「大きさで違う。水を入れてもいいものは1リング。
中くらいのが5銀貨。」
「中くらいのは何をいれるの?」
「砂漠石だ。小さいものをいれて、まとめて使うことが出来る。」
「あ!知ってる!コットワッツの領主が考えたとか?」
「そうだ。えらいよな。それで、この大きさも売れるようになった。
それまで売れなかったからな。」
「おお!いいね、そういうの。兄さん!
大きいの2つに、中くらいの2つ買おう。」
「ありがとよ!3リングだ。」
腰に下げたらいいんじゃないだろうか?
残りの時間はその加工をしていた。
鉄の棒を突っ込んで中を掃除。
表面を磨いたりもした。紐を編んだり。
赤い瓢箪。いいね。
ますます酔拳の使い手のようだ。
「そういうの好きだな。」
「うん、兄さんもでしょ?」
「ああ。」
「はは!兄弟だからね。」
中々、良い買い物ができたと思う。
あのお姉さんは、馬鹿にした顔でずっと見ていた。
暇なの?
「テルニー!テルニー!」
着いたようだ。
チャークガーンとは言わないんだな。
ゾロゾロと進んでいく。
「次!他国のものだな?はじめてか?」
「そうだ。」
「30リング、2人で60リング。
帝都民の紹介があれば免除。もしくは一つ月の日に砂漠に入るか?」
「いや、60リング払う。」
「珍しいな!」
「ん?みなどうしてるんだ?」
「砂漠に入るか、船の上で帝都民を見つけて紹介者としているな。」
「ああ、一つ月の日までいられないし、紹介者もいないからな。
仕方がないさ。」
「一定の砂漠石を納めることでもいいんだぞ?」
「どれぐらい?」
「砂漠石が一つ月の日以外、爆裂で砂上に出てくるのは?」
「知らん。」
「そうか。くず石となって出てくるんだ。
それをこの籠一杯で30リング免除だな。後から持ってきてもいいぞ?
30リングで買ってもらえるから。」
ぼっただ。
無茶苦茶安い。それだけの爆裂石だったら、100はするよ?
「そうなんだ。考えておこう。」
「そうしろ。ではこれは許可書だ。
買い物するも、物を売るのも税はいらん。
帝国民が支えているからな。感謝しろ。」
「そうらしいな。ありがとう。親切に教えてくれて。
それにも感謝だ。」
「え?な、なんだよ?これは仕事だぜ?」
「いや、あんたは間違いなく親切だった。ありがとう。
ほら、お前も礼を。」
「うん。ありがとうございます。」
「ははは!いいな!ああ、デルサトールにようこそ。」
「それで、悪いんだが、うまい紅茶葉を買いたいんだ。
俺たちは行商なんだ。このまま、砂漠にあたるまで進むつもりだ。
どこかおすすめはあるか?」
「おお!そういうのは人に聞くのが一番だ。
2番目の茶葉屋、西の砂漠側の店だ。そこで俺も買っている。」
「そうか!それはいい話だ!ありがとう!」
「あははははは!」
道なりにまっすぐ進む。目の前にザ・お城だ。
それを迂回すると、また広い街道。
「ほんといい人だったね。」
「そうだな。嘘偽りがなかった。
私たちの懐具合も心配してくれたようだぞ?」
「いや、でも、30リングはお高いよね?
ほんと大丈夫?」
「もちろんだ。何だったら、砂漠石を取りに行くか?」
「いや、あの籠一杯で30だよ?
他の国なら100でも売れるよ?」
「ここは昔から高いんだろうな。コットワッツが一番取れると言われているが、
中央砂漠が一番大きんだ。取っていなかっただけだな。
採ればあるんだ。変動後、できるだけ確保しようとしているんだろう。」
「そうだね。自分のところでそうなったら困るもの。
もしかした、何百年に1度あるって話も、この帝都にもあるかもしれないね。」
「確かめようがないな。」
「そうだね。ん?ここかな?紅茶?あってる?」
「文字は読めるようになったな。そうだ。ここだな。
西側だな。」
「?東側にもあるね。姉妹店かな?」
紅茶屋さん。
いい香りだ。
フレイバーティーを売っているわけではない。
3種類のお茶葉。金額が違うだけだ。
そしてかなり高い。
王都で買ったのは小さな樽で5リングだった。
それでも高いなーと思ったのだが、
師匠が賞金の残りの分をくれたので奮発した。
お安いので8リング、それから。倍々に値が上がっていく。
しかも量は半分ずつ減る。
これはお店の人に聞いて、
嫌々答えてくれたのだ。
んー。
どちらかといえばコーヒー派。
甘々なミルクティーが飲みたい、シフォンケーキに入れる、
これぐらいなので本格的なものはいいか。
「やはり本場のものは高いですね。
とても買えません。
教えてくれてありがとう。」
「え?」
礼だけ言って店をでた。
感謝しろという割には礼を言うと恐縮するというか、
照れている。
「感謝というのは言葉ではなくお金のことなのかな?」
「誠意を見せろ?」
「あははは!それね!ドーガーがどっかで使ってたらどうしよう!」
ドーガーが金を要求するのではなく、
誠意を見せろと言えばいいという話をいたく気に入っていた。
どこかで使う気満々である。
東側の店も覗いてみる。
同じような品揃えだ。
金額が違うとか?
うん、まったく同じ。
同じことを言って出てきた。
「西と東で競争してるとか?」
「なにを?」
「売り上げ?」
よく見ると左右対称まではいかないが、売っている商品は同じだ。
西側を歩く人、東側を歩く人も同じような人数。
どちら側の方が人気ということはない。
真ん中に広場があった。
ここでよその国からの行商が店を出しているようだ。
丸く店を出して、さすがに左右対称ではない。
中に入ってみると、船の上で売っているものと同じ。
ひょうたん屋さんがいたので声を掛ける。
「さっきはありがとう!」
買ったひょうたんはさっそく腰に下げている。
ゴムでコルク栓のようにして、落とさないように細くしたシルクを三つ編みにし、
繋げて砂漠石を入れているのだ。
咄嗟に何かしでかしても、
このひょうたんのなかを覗いて、あー、石が無くなったっていえば、
砂漠石を使たんだと思うだろう。
ひょうたんのくびれのところにも昔流行ったミサンガのように編み込んだ物を
取付、それを腰紐に挟んでいる。
色は基本的にわたしは緑で、マティスはモモ色なのだ。
「あんた達か!どうだい?もう少し買っていかないか?」
この人は砂漠に入る選択をしている。
ものすごく小さいものも出していた。
これは塩コショウ入れだ。メイガと赤粉も入るだろう。
5個ほど買う。
「ここって通りを挟んで左右対称なんですね?
売ってるものも一緒。
なんでか知ってますか?」
「知らないのか?東西で競争してるんだよ。」
「え?ほんとに売り上げを?」
「そうみたいだぞ?で、売り上げがいいほうに、
報奨金がでる。だから店を持ってるものは、
東西に出しているって話だ。」
それは効率的にいいのか?
人件費が倍になるんだが?
ここは褒めたたえられ、
お金が入ってくることが一番の名誉と考えるそうだ。
「ありがとう、教えてくれて。
このアーリアも。お安くしてくれたんですね。」
倍の値段になっているのだ。
「ああ、ここは高い値段のほうが価値があるって考えだからな。
あんたたちよそだろ?ニバーセルか?
ああ、その服はニバーセルだろ?
この金額で売って買てくれなきゃ意味ないからな。
それにな、船で売れたら、ここでも売れるっていう話があるんだよ!
おかげで、結構売れてんだ。
小さいのはあんたたちしか買ってないけどな。」
そうなんだ。
じゃ、小さいのは全部買おう。
20個ほどしかないから。
ちゃんと中をきれいにしないとね。
師匠と、湿地組とトックスさんのところに配ろうかな。
25個で1リングだった。
背負子に入れて、砂漠の方に進む。
乾燥トウミギも売っている。
これも金額を聞いくと嫌な顔をされる。
言い値で買うのが当たり前なので、
金額を聞いてどうする?という感じだ。
が、高い。
ニバーセルには安く入っているはず。ピクトにも。
ここはこの通り限定の金額なのかな?
住民が困るだけなのでは?
その報奨金とやらで還元されるとか?
だったら最初から安くすればいいのに。
損をするのは外からの客か。
あんまり買ってないみたいだけどね。
失策というんじゃないのかしらん?
少しでいいぞ?」
「んー。」
ピクトの港町ギーの船も月が沈むと同時に出向。
一人1リング。潮の流れがデルサトールの港町テルニに向かっている。
じゃ、逆は高いのか?これも1リング。
湾の中でうまく渦巻いているそうだ。
月が沈んでから昇るまで。
これは短くても長くても一緒。
今なら6時間だが、明日になれば13時間だ。
ぐるぐる回っている海流。
月に影響されているのだろう。
その海路から外れることはない。
あの岩場の秘密基地に近づく船はない。
「よかった、今日乗れて。
だからこんなに混んでいるのかな?」
「そうだろうな。明日は今日の倍以上となるならな。」
それでも6時間は結構長い。
また甲板の真ん中に陣取る。
ここにはプカプカは出ないんだろうな。
魚は底引き網なんだろうか?
船の後ろに網が付いている。
魚は海流に抵抗するので勝手に入っていくそうな。
魚よ、学習しようぜ!
魚は白身魚だそうだ。
そんな話をさっきからずっと、わたしたちの横に陣取った
お姉さんがマティスに話している。
わたしは朝ごはんのおにぎりを食べているのだ。
マティスもね。
このお姉さんの職業は何だろうか?
ぼくたち兄弟は、行商ということになっている。
黒目黒髪で修行者といえば、ワイプの弟子になるからだ。
ティスとモウの夫婦の行商なら、ミフェルさんが探していることになる。
船に乗る前に一応師匠には問い合わせた。
あれから何も入ってこない。
クスナさんの櫓宿にタオルが入っていることはばれているそうだ。
わざわざ見に来たそうだ。
クスナさん曰く、命の危険を感じたと。
しかし、タオルの評判は上々。クッションもだ。
常連と待合に置いているそうだ。
それに座ったミフェルさんの顔が面白かったらしい。
これは?と聞かれ、これまた命の危険を感じたので
わたしたちから買わされたといったそうな。
そんな言い方になったことを謝罪しているとのこと。
なんせ、命の危険が危ないのだ。仕方がない。
デルサトールにもこれといった話はない。
茶葉の産地だとだけ。
コムとはまた違ったお茶、王都で飲んだ紅茶だ。
師匠の現地うまいもの話はなかった。
その、御紅茶の話もお姉さんがしている。
砂漠の影響が出ないように、
真ん中に街道があり、両脇に店や、住宅。
それらと砂漠の間に、トウミギ畑や、茶畑などの畑がある。
砂漠石の採取と、トウミギ、紅茶が産業。
鉱山はない。海峡石もとっていないようだ。
爆裂の石のことをくず石というのが気に障る。
あれを採る物もいるが、それは貧乏人か他国の者だと。
ん?
デルサトールで採るものは砂漠に住んでいるのかな?
砂漠の民かな?
「一つ月の日に砂漠に入る人たちよ。
その日に石を採るという条件で、
ほかの日もくず石を集めていいってことになっているの。
それに税金も納めていないのよ?
それも免除されているの。恥ずかし人たちなのよ。」
ん?税金を納めるということに価値があるのか?
いや、いいことなんだけど。
「入国税が30よ。一人ね。
あとはかからないわ。格安でしょ?それはわたしたち帝国民が
税をたくさん納めているのからよ。感謝してほしいわ。」
さいでございますか。
ところ変われば品変わる。
「兄さん?60リングある?」
「なんとかな。」
「ああ、大丈夫よ!一つ月の日に砂漠に入るのなら免除されるし、
帝国民の紹介があれば、免除にもなる。
その代わり、その帝国民の指示に従わないといけないけどね。」
「兄さん、ぼくのためたリング使っていいよ?」
「そうか。ありがとう。だったら安心だな。」
このお姉さん怖い!
ものすごくにらまれた。
あとは時間まで船の上で店を広げている人たちの品を眺めていった。
そういうのOKなんだね。
これはピクトからの船。ピクトで仕入れたものだ。
何が売ってる?
塩、化粧水、髪油、魚の皮、あとは干し肉、メイガ、
絹、コーヒー、コメ、小麦。
あのピクトで売っているものと同じだ。
あ!ひょうたんがある。
「兄さん!あのひょうたんが欲しい。」
「ん?ひょうたん?」
「名前は違うよね?おじさん、これなんて名前?」
「アーリアだ。知らないのか?これから化粧水ができるんだぞ?」
「ああ!あれ?カメリって奴じゃなかった?」
「ちがう、ちがう。それは髪油だ。
お前、女に買い物を頼まれて間違って買って帰ると、
どやされるぞ?」
「こ、怖い!じゃ、そのカメリは?」
「それはデルサトールが産地だ。ここにはないよ。」
「へー、じゃ、髪油は今から行くところが本場?」
「ちがう、ちがう。デルサトールで採れる固い実をダカルナで油にするんだよ。」
「そうなんだ。へー。でも、それはいらないな。」
「だろうな。アーリアは?」
「いくら?」
「大きさで違う。水を入れてもいいものは1リング。
中くらいのが5銀貨。」
「中くらいのは何をいれるの?」
「砂漠石だ。小さいものをいれて、まとめて使うことが出来る。」
「あ!知ってる!コットワッツの領主が考えたとか?」
「そうだ。えらいよな。それで、この大きさも売れるようになった。
それまで売れなかったからな。」
「おお!いいね、そういうの。兄さん!
大きいの2つに、中くらいの2つ買おう。」
「ありがとよ!3リングだ。」
腰に下げたらいいんじゃないだろうか?
残りの時間はその加工をしていた。
鉄の棒を突っ込んで中を掃除。
表面を磨いたりもした。紐を編んだり。
赤い瓢箪。いいね。
ますます酔拳の使い手のようだ。
「そういうの好きだな。」
「うん、兄さんもでしょ?」
「ああ。」
「はは!兄弟だからね。」
中々、良い買い物ができたと思う。
あのお姉さんは、馬鹿にした顔でずっと見ていた。
暇なの?
「テルニー!テルニー!」
着いたようだ。
チャークガーンとは言わないんだな。
ゾロゾロと進んでいく。
「次!他国のものだな?はじめてか?」
「そうだ。」
「30リング、2人で60リング。
帝都民の紹介があれば免除。もしくは一つ月の日に砂漠に入るか?」
「いや、60リング払う。」
「珍しいな!」
「ん?みなどうしてるんだ?」
「砂漠に入るか、船の上で帝都民を見つけて紹介者としているな。」
「ああ、一つ月の日までいられないし、紹介者もいないからな。
仕方がないさ。」
「一定の砂漠石を納めることでもいいんだぞ?」
「どれぐらい?」
「砂漠石が一つ月の日以外、爆裂で砂上に出てくるのは?」
「知らん。」
「そうか。くず石となって出てくるんだ。
それをこの籠一杯で30リング免除だな。後から持ってきてもいいぞ?
30リングで買ってもらえるから。」
ぼっただ。
無茶苦茶安い。それだけの爆裂石だったら、100はするよ?
「そうなんだ。考えておこう。」
「そうしろ。ではこれは許可書だ。
買い物するも、物を売るのも税はいらん。
帝国民が支えているからな。感謝しろ。」
「そうらしいな。ありがとう。親切に教えてくれて。
それにも感謝だ。」
「え?な、なんだよ?これは仕事だぜ?」
「いや、あんたは間違いなく親切だった。ありがとう。
ほら、お前も礼を。」
「うん。ありがとうございます。」
「ははは!いいな!ああ、デルサトールにようこそ。」
「それで、悪いんだが、うまい紅茶葉を買いたいんだ。
俺たちは行商なんだ。このまま、砂漠にあたるまで進むつもりだ。
どこかおすすめはあるか?」
「おお!そういうのは人に聞くのが一番だ。
2番目の茶葉屋、西の砂漠側の店だ。そこで俺も買っている。」
「そうか!それはいい話だ!ありがとう!」
「あははははは!」
道なりにまっすぐ進む。目の前にザ・お城だ。
それを迂回すると、また広い街道。
「ほんといい人だったね。」
「そうだな。嘘偽りがなかった。
私たちの懐具合も心配してくれたようだぞ?」
「いや、でも、30リングはお高いよね?
ほんと大丈夫?」
「もちろんだ。何だったら、砂漠石を取りに行くか?」
「いや、あの籠一杯で30だよ?
他の国なら100でも売れるよ?」
「ここは昔から高いんだろうな。コットワッツが一番取れると言われているが、
中央砂漠が一番大きんだ。取っていなかっただけだな。
採ればあるんだ。変動後、できるだけ確保しようとしているんだろう。」
「そうだね。自分のところでそうなったら困るもの。
もしかした、何百年に1度あるって話も、この帝都にもあるかもしれないね。」
「確かめようがないな。」
「そうだね。ん?ここかな?紅茶?あってる?」
「文字は読めるようになったな。そうだ。ここだな。
西側だな。」
「?東側にもあるね。姉妹店かな?」
紅茶屋さん。
いい香りだ。
フレイバーティーを売っているわけではない。
3種類のお茶葉。金額が違うだけだ。
そしてかなり高い。
王都で買ったのは小さな樽で5リングだった。
それでも高いなーと思ったのだが、
師匠が賞金の残りの分をくれたので奮発した。
お安いので8リング、それから。倍々に値が上がっていく。
しかも量は半分ずつ減る。
これはお店の人に聞いて、
嫌々答えてくれたのだ。
んー。
どちらかといえばコーヒー派。
甘々なミルクティーが飲みたい、シフォンケーキに入れる、
これぐらいなので本格的なものはいいか。
「やはり本場のものは高いですね。
とても買えません。
教えてくれてありがとう。」
「え?」
礼だけ言って店をでた。
感謝しろという割には礼を言うと恐縮するというか、
照れている。
「感謝というのは言葉ではなくお金のことなのかな?」
「誠意を見せろ?」
「あははは!それね!ドーガーがどっかで使ってたらどうしよう!」
ドーガーが金を要求するのではなく、
誠意を見せろと言えばいいという話をいたく気に入っていた。
どこかで使う気満々である。
東側の店も覗いてみる。
同じような品揃えだ。
金額が違うとか?
うん、まったく同じ。
同じことを言って出てきた。
「西と東で競争してるとか?」
「なにを?」
「売り上げ?」
よく見ると左右対称まではいかないが、売っている商品は同じだ。
西側を歩く人、東側を歩く人も同じような人数。
どちら側の方が人気ということはない。
真ん中に広場があった。
ここでよその国からの行商が店を出しているようだ。
丸く店を出して、さすがに左右対称ではない。
中に入ってみると、船の上で売っているものと同じ。
ひょうたん屋さんがいたので声を掛ける。
「さっきはありがとう!」
買ったひょうたんはさっそく腰に下げている。
ゴムでコルク栓のようにして、落とさないように細くしたシルクを三つ編みにし、
繋げて砂漠石を入れているのだ。
咄嗟に何かしでかしても、
このひょうたんのなかを覗いて、あー、石が無くなったっていえば、
砂漠石を使たんだと思うだろう。
ひょうたんのくびれのところにも昔流行ったミサンガのように編み込んだ物を
取付、それを腰紐に挟んでいる。
色は基本的にわたしは緑で、マティスはモモ色なのだ。
「あんた達か!どうだい?もう少し買っていかないか?」
この人は砂漠に入る選択をしている。
ものすごく小さいものも出していた。
これは塩コショウ入れだ。メイガと赤粉も入るだろう。
5個ほど買う。
「ここって通りを挟んで左右対称なんですね?
売ってるものも一緒。
なんでか知ってますか?」
「知らないのか?東西で競争してるんだよ。」
「え?ほんとに売り上げを?」
「そうみたいだぞ?で、売り上げがいいほうに、
報奨金がでる。だから店を持ってるものは、
東西に出しているって話だ。」
それは効率的にいいのか?
人件費が倍になるんだが?
ここは褒めたたえられ、
お金が入ってくることが一番の名誉と考えるそうだ。
「ありがとう、教えてくれて。
このアーリアも。お安くしてくれたんですね。」
倍の値段になっているのだ。
「ああ、ここは高い値段のほうが価値があるって考えだからな。
あんたたちよそだろ?ニバーセルか?
ああ、その服はニバーセルだろ?
この金額で売って買てくれなきゃ意味ないからな。
それにな、船で売れたら、ここでも売れるっていう話があるんだよ!
おかげで、結構売れてんだ。
小さいのはあんたたちしか買ってないけどな。」
そうなんだ。
じゃ、小さいのは全部買おう。
20個ほどしかないから。
ちゃんと中をきれいにしないとね。
師匠と、湿地組とトックスさんのところに配ろうかな。
25個で1リングだった。
背負子に入れて、砂漠の方に進む。
乾燥トウミギも売っている。
これも金額を聞いくと嫌な顔をされる。
言い値で買うのが当たり前なので、
金額を聞いてどうする?という感じだ。
が、高い。
ニバーセルには安く入っているはず。ピクトにも。
ここはこの通り限定の金額なのかな?
住民が困るだけなのでは?
その報奨金とやらで還元されるとか?
だったら最初から安くすればいいのに。
損をするのは外からの客か。
あんまり買ってないみたいだけどね。
失策というんじゃないのかしらん?
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ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。
気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。
剣も魔法も使えないユウにできるのは、
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日常のことだけが、やたらとうまくいく。
無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。
個性豊かな子供たちに囲まれて、
ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。
やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、
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ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、
やさしい異世界孤児院ファンタジー。
神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします
夜明シスカ
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アリュールという世界の中にある一国。
アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。
いわゆる"神々の愛し子"というもの。
神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。
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そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。
簡単でしょう?
えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか??
−−−−−−
新連載始まりました。
私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。
会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。
余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。
会話がわからない!となるよりは・・
試みですね。
誤字・脱字・文章修正 随時行います。
短編タグが長編に変更になることがございます。
*タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。
異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?
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机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。
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特に呼ばれた記憶は無いが、異世界に来てサーセン。
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水無月宗八は意識を取り戻した。
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