いわゆる異世界転移

夏炉冬扇

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395:自慢大会

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「俺はここの村長だ。
売り上げの税を無しにしてやるぞ?」
「おお!」

いやまて。12リングの税を納めるということは
120リングの売り上げだ。
そんなに売れないとでも思っているのだろうか?
この勝負!受けて立とう!
120リング以上売ってやる!!


「なるほど。了解しました。それ、書面に書いてもらえます?」
「もちろんだ。約束は守るさ。うまい食堂なら、そこに見えてる店がおすすめ。
というか、そこ一軒しかない。
商売は広場ですればいい。この時間はみな漁に出ている。
月が昇る前に皆が戻ってくる。
その時がいいだろうな。
ああ、レタンの村にようこそ。村長のクアップだ。」
「砂漠の民、行商ティスとモウだ。よろしく。」

入り口に簡単に閂をおき、その食堂に案内してくれる村長、クアップ。
食堂は何と自分の家。手広いな。
要は自分は漁にでないから、門番か、アヒルに乗ってやってくる行商相手の
店をしているということだ。
当然宿も兼ねている。

「おーい、客を連れて来たぞ?今日は泊るだろ?」
「いえ、夜も移動します。歩きなんで。
でないといつまでたっても、船に乗れない。」
「夜歩くのは危ないぞ?ここら辺は強盗がでる。」
「大丈夫ですよ、腕に自信はありますから。
いままでも返り討ちにしています!」
「そうか?」

村長さんのお母さんだろうか?
奥から出てきてくれた。

「あれ?行商さんかい?
なにをもってきたんだい?」
「ええ、いろいろと。まずは、村長殿が来ているコートですね。
中の上着も軽くていいですよ?
絹の本場フレシアから仕入れた布を使っています。
本格的に寒くなる前はこれだけで十分ですよ?」
「コート?おまえ、それを買ったのかい?
え?12リング!!おまえが払いなさいよ!」
「いや、まて!これは納める税でチャラにしてもらったんだよ。
いい買い物だろ?」
「12リングの税って、120リングもこの村で売れるものか!!
お前はいつもそんな小狡いことをやらかす!
村長として恥ずかしくないのかい!!
父さんが生きていたらなんていうか!!」

村長にしては若いと思った。
御父上がなくなって継いだのか。


「いえ、ご母堂様。
村長殿はなかなかの目利き。それだけの売り上げがあると見越しての
交渉でしたよ?それに商売とはそういうもの。
わたしたちも勉強させていただきました。
それに、いいでしょ?このコート。
それを一目で気に入ってくれましたから。
そちらの方がうれしいですよ?」
「・・・・あんたたちがそういうのならいいけど。
それだけなの?ほかには?」
「あとは、ニバーセル、コットワッツのタオル、ゴム、歯ブラシ
メジャートの密封容器、フレシアからのドレス用の布、
ルポイドのコーヒー、あとはハム、お茶ですね。」

ハムはマティスお手製。
お茶は緑茶だ。

「コットワッツのものは聞かないね。なんだい?」
「なんと!
コットワッツの新製品ですよ!そこに気が付くとは!
ご母堂も目利きですね?先に見ますか?
みなが帰ってくる時間に店を広げればいいと。ね?そういう采配も
村長殿のお知恵なんですよ。」
「誰だって、そういうよ。
でも、先に見せてもらおうかね。
その時間はここも忙しいから。」

女子供もみな漁に出ているそうな。

タオルの吸水性、
ここは樹石のお風呂があるから勧めやすい。
ゴムの便利性、歯ブラシは衛生性?
タオル1枚8銀貨、ゴムは10m1銀貨、歯ブラシは3本で1銀貨。
すべてコットワッツの倍以上の値段だ。
地方での買い物はそれだけで高くつくということ。
しかし、これだけ売っても、1リング。

1万円で、タオルとパンツのゴム、歯ブラシ3本。
・・・押し売りもいいところか?


「あの、本場のコットワッツではもっとお手頃価格ですよ?
行く機会があればぜひそこで購入されることをお勧めします。
その、どうしてもこっちに運ぶ手間とか、そういうのが・・・。」

言い訳を並べてしまった。

「なにいってるの?そんなの当たり前でしょ?
大体こっちに来るものは3倍ほどするんだから。
仕方がないよ。新製品っていうのも、こっちにくるのはかなりたってからだ。
これは?いつからでてるんだい?」
「いつ?ティス?これは7日前?」

食の祭りに発表があったから、その日に仕入れて、
こっちに来たことになる。

「そうだな。お披露目と同時に仕入れて
こっちに来たからな。」
「じゃ、7日でコットワッツから?え?歩きで?」
「赤馬の1日は、砂漠の民の1日だ。
夜通しあるけば、なんてことはない。」
「すごいね。しかも新製品!売れると思うよ?
他の村にも売ったのかい?ここが初めて?
途中で売らずに?ここに来るまで村はあっただろう?」

え?しらんよ。嘘行っても仕方がないけど。

「とにかく、先に進もうとしてましたので。
そしたら、村長殿が、こう、どーんて構えていらしたので、
ああ、持ってきたコートはを着たら似合うなーと。」
「そうだろ?これ、いいんだよ。
軽いし、肩廻りがものすごく動きやすい。
魚の皮は取り換え可能なんだよ。最初は高い買い物だが、長く着れるのさ。
無駄遣いじゃないね。」

村長さんがフォローしてくれた。
さすがトックス製だ。

「ご母堂様もどうですか?これはあまり数がないんで、
早い者勝ちになるかと。」
「・・・そうだね。これも新製品?」
「上の魚のコートはジットカーフの人気の物ですね。
トックスさんって方が作ったコートなんですが、
毎年売り切れの商品です。その方が、いまは
コットワッツのトックス、と呼ばれていまして、
北の海でも寒くないようにと、考えてくれたものが、
この中に着るコートですね。これはまだ、どこにも出てないですよ?
コットワッツでも、ぼちぼち出始めるぐらいかな?
先に仕入れることが出来ましたので。最新なものになりますね。」
「へー、明日、隣の村の寄り合いに行くんだけど、
それには誰も着ていないと?」
「ええ、ここで売れて、着ていかれたらいてると思いますが?」
「明日向こうに行くのはわたしだけなのよ。
うふふふ。いいね。見せてくれるかい?」

ご母堂のファッションショーになった。
少しくすんだ青に、白い魚の毛のコート。
髪はゴムの髪飾りで結ってあげる。
姿見を出してあげたいがそれはダメだろう。

実際、なかなかにきれいだとおもう。

「これ、ほかにもあるんだよね?」
「そうですね、大体同じ色は2着か3着ですね
毛皮の方は白か、こげ茶ですね。」
「買うよ。けど、この青いのはここでは売らないでおくれ?
他の村では、かまわないから。」
「母さん?なに言ってんだ?」
「なるほど。わかります。青はニバーセルの王都で行われた
慰労会で人気の色だとか。もともと数は少ないんですよ。
では、青はイリアスではここだけで。
のこりは海を渡ってから売りましょう。」
「うふふふ。ありがとう。
さ、そのタオル?4枚と、ゴムもいいね。5つと、
歯ブラシは3本だね。
あとはハムと、お茶は緑なんだね。飲み方は同じ?
コーヒーを1銀貨ずつ。
この容器はいい。大小で2つ。ドレス、、、これはいいわ。」

16.4リングだ。
容器も仕入れといてよかった。

村長がマティスになんで青は売らないんだ?と聞いている。
マティスもわからんと。

分からんか?
前から来る人が同じ服着てたら嫌でしょ?

そういうと、そうか?という2人。

ご母堂と2人で笑ってしまった。


あとは、店を広げれば、身動きできなくなるので
先に食事を食べることに。

食堂だからね。
魚がメインだ。新鮮な魚と丁寧な下ごしらえなのだろうか、
臭みもなくおいしくいただけた。
魚の上にチーズがかかってあるものがうまい。
ハード系ではない。
チーズを売ってもらうことにする。
明日仕入れるからと、売ってもらえるだけの分、
1リング分を譲ってもらう。

ここは漁村だが、ご母堂が明日行く村は、
森に近く、そこで、卵と乳製品を作っているそうな。
ポットに近い動物で、毛が長い。完全に家畜化。
毛長ボットと呼ばれている。寒さに強い。

「肉は食べないんですか?毛の利用は?」
「食べるが、あまりうまくないな。
毛は敷物につかうな。」
「へー。」

これは試す必要はないな。

「うちは魚、向こうは肉、乳製品だね。それをお互いで買っているのさ。
向こうは種類はあるだろ?
こっちは、魚、魚の皮だけ。でもさ、この魚の上着。
コート?ああ、それね。いいだろ?ちょっとした自慢になる。
それに、下のコートもいい。
悪いね、女の自慢大会なんだよ、明日の会合は。」
「いえ。それは宣伝にもなりますから。」
「コットワッツのトックスだね?自慢してくるよ。」
「お願いします。でも、それができるのはお似合いだからですよ?」
「そうかい?あ、この髪飾りは?」
「それはタオル4枚お買い上げのおまけです。
艶のある髪によく似合っています。」
「ふふふ。お世辞だとわかっていてもうれしいね。
髪ね、艶出しの油をつけているのさ。」
「へー、素敵ですね。どんな油なんです?」
「しらないかい?ダカルナの方から入ってくる。
実をつぶして油をとるらしいよ?カメリっていう。」

椿油だろうか?

「せめて髪にだけでも艶を保っておきたいからね。
肌なんかがさがさだよ?あんたはいいね、つべつべだ。
若さだね~。」

そこまでの年齢とは思えないけどな?

「タオルを蒸して、そのオイルで顔をマッサージ、
あー、顔を揉んで、もう一度乗っけたら、プルプルですよ?」
「な、なんだって!!」

MMRだ。

まだ、時間があるので、簡単にマッサージを。
からだを斜めにして、
後ろからマッサージができる椅子を作るほうが
時間がかかった。

こういうのがあればなおいい、というと、
ご母堂の作るよ!という声に、3人で作る。

タオルを蒸す。
それを顔に。
冷めたら、オイルを顔にぬりぬり、軽くマッサージ。
植物性だから大丈夫かな?香りはいい。

その後もう一度、蒸しタオルを。

化粧水も使っているそうな。
なんだろ?へちま水?
やはり植物の青臭い匂いがする。
これもダカルナ産だそうな。
お土産に買っていこう。

「もう、冷めましたね。じゃ、油をふき取って、
いつもの化粧水を、たっぷり。
どうです?
樹石を使ったお風呂、ここでも入りますよね?
お風呂の入ってる間に、してしまえば、お手軽ですよ?
あとはお出かけ前にとかね。蒸しタオルで火傷だけしないように。」

水鏡で、確かめている。
触ったほうがわかるだろう。
ペタペタ触っている。



「・・・タオルをもう2枚、いや、4枚。」
「ありがとうございます!髪飾り、お好きな色をどうぞ?」

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