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382:一族郎党
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さくっとそのまま広場を抜けようとしたら
後ろから大声をあげられた。
「待て!」
だけど、タンスが擁壁となって向こうからは見えないし、
こっちも気にならない。
「愛しい人、あれは先ほどの門番だ。」
「そうなの?甲冑つけてるからわかんないよ。
甲冑あるんだね。あ!そういえばティスの軍服姿見てない!」
「ガイライに調達はしてもらっているぞ?」
「見たい!見たい!!」
制服2割増し!嘘だ!うなぎ昇り!天井知らず!
ウナギ食べたい。
いや、トウモロコシが手に入ったんだ、そこから何ができるか考えないと。
2人の頭の中は別のことに夢中になっている。
後ろがうるさいけど。
とうとう前に回ってきた。
「お前たち!!聞いてないのか!」
「「・・・。」」
「怖い話をしようか?」
「え?ここで?」
「そうそう。」
うんしょとタンスを下す。
まわりの人たちも何事かと集まってきている。
鎧男はじっと待ってくれている。
人の話を聞けるのはいいことだよ?
パンと手を叩き話し始めた。
「山奥に母親と2人暮らしの男がいたんだ。
その年の流行り病でね、母親が死んだんだ。
男は嘆き悲しんだ。
ああ、もっと、なにかできたんじゃないかって。
でも、それはどんなことをしてきたとしてもそう思ってしまう。
親孝行な男だったんだよ。
嘆き悲しんでも、男は生きている。
ご飯を食べて、働いて、生きていこうって誓ったんだ。
それから1年、母親がなくなった日だ。
男は母親を偲びながら飯を食べていた。
するとね、
トントンって扉を叩く音が聞こえる。
こんな遅くに誰が?っておもって扉に近づく男。
こんな声も聞こえる。
”お前、お前、開けておくれ”
母さん!!
そんな!母さんは死んだんだ!
どうして!化けものになってしまったのか!どうして!
ここの地方では死んだ人が1年で戻ってくるって話があったんだ。
でも、亡き人に一目会いたさに扉を開けてはいけない。
それは亡き人に非ず、化け物なんだ。
”お前、お前、開けておくれ”
”どうした?
お前の好きな甘味を買って両手がふさがっているんだ、開けておくれ”
ああ、母さん!!
”だめだ、開けれないよ。ここは母さんのいるところではないんだ”
”帰っておくれ、母さん!!”
男は扉に縋りついて嘆願した。
化け物を家に入れれば自分も化け物になる。
それはいい。
だが、あの優しい母さんが化け物のまま
この世をさまようなんて許されない!!
”お前、お前、なにをいってる?ここはわたしの家だ。
どうして?開けておくれ!”
ドンドンと扉を叩く音が、まるで体当たりしているような音に代わる。
母さん、母さん!!
”タロウ!!はやく開けておくれ!!”
男は息をのみとうとう扉を開けた!
ガラ!!
”おばちゃーん、たろうっちの家は向こうだろう?
酒飲んでるのか?しかたねーなー。送っていくよ”
”あれ、カンベか?あらいやだ!
なんだ?泣いていたの?ダメだよ?
おっかさんも心配してでてきてしまうよ?
あんたのぶんもあるからいっしょにたべようね。”
”いつもあんがと。さ、それもつよ”
ということで、カンベは悲しいこともあったけど、
親切なご近所さんもいて、たのしく生きていきましたとさ。
一人芝居、名前はちゃんと呼びましょう、でした。」
一瞬の静寂。
そこからの笑い。皆が、鼻をずるずる言わす。
いやはや、拍手喝さい。
泣きながら、笑って、おひねりを投げてくれる。
2人で回収。すごい!5リングはあるよ!!
「ありがとうございます!ありがとうございます!」
「お前!お前!ふざけるのもいい加減にしろ!!」
いや、怒ったね。そりゃ怒るよ。
ちょっと泣いた?
でもさ。
「・・・お前、お前って誰のこと言ってんだ?
分からなければ先に自分が名乗るのが筋だろう?
それをやんわり伝えるために芝居までしてやったのに、
わかんないのか?」
「い、愛しい人?そのためにか?」
マティスは号泣だよ。
涙腺弱いな、もう!
鼻水、かみなさい。
カーゼのハンカチを出す。
「ほれ、ティス。チーンって。」
「!!っ。」
「すっきりした?」
「したが、恥ずかしい。」
「うふふふ。そう?じゃ、帰ろう?お風呂入りたいんよ。」
「そうだな。」
「貴様ら!!」
お前が貴様になっても同じなんだが。
そもそも馬から下りてから話せ。
あれだ、コムの村長の息子と同じだ。
ああ、槍なんか構えるから。
応戦せざる得ない。
「モウ?行くか?」
「そうだね。騎馬戦は初めてだけど。
これ、あれだよね?
馬よ!とまれ!!」
馬が前足をあげて止る。
転げ落ちるわな。
頑張る鎧男。
こっちに来るけど。
構えるか。
「はははは!マレイン、控えろ。
マティス、久しぶりだな。」
「ご無沙汰しております。テルマ殿。
ご健勝のことお慶び申し上げます。」
「はん、年寄扱いしてくれるな。で?そちらは?紹介してくれるか?」
「ええ。我が唯一の伴侶、モウです。
モウ、南方討伐時にここルポイド軍の隊長だったテルマ殿だ。」
「マティス、だったではない、今もだ。」
「それは、ああ、なるほど。モウ、挨拶を。」
「初めまして、テルマ様。マティスの妻、モウと申します。」
馬を下りた老紳士が挨拶する。
ずっと一緒にいたのだ。おひねりを遠くから1リング投げてくれた人だ。
なるほどといったのは部下の醜態を見て。
後継者不足だね。
「モウ殿は異国の方か?」
「ええ、そうです。あなた方がいう南方ではないのですが。」
この広場では黒髪が半分はいる。
髪色で判断したのではないな?この人も黒髪だ。半分は白髪だが。
自分の髪を一房もって見てみる。
「ああ、死者が蘇るというのは異国の話によくあるんだ。」
「そうでしたか。こちらでは嫌忌なことなのでしょうか?」
「そんなことはない。
先ほどの話、わしも泣きそうだったぞ?最後は笑ったがな。」
「お楽しみいただければ幸いです。御多分な祝儀もありがとうございます。」
「いや、少ないぐらいだろう。
しかし、マティスが嫁を貰っているとはな。話はこちらにも来ている。
まさかな、と思たんだが。なるほど。」
怖いな、その情報網。
どんな話しで聞いているんだろう?
マティスの顔見る。
名探偵はすぐに気づくのだ。
「テルマ殿?それはどのような話で?」
「ん?ニバーセルの会合で領主セサミナ殿と和解したこと?
ああ、その前に手配書も廻っていたな。
あとは武の大会での活躍。赤い塊という護衛だとか。
伴侶を得たことだな。」
「モウのことは?」
「砂漠の民で石使いだと聞いたぞ?んー、あとは
金に、が、厳しく、お、よく食べると。」
金にがめつく、大喰らいって言おうとした!!
「マティス、もうだめだ。わたしは隠居するよ。
もう、俗世とはおさらばだ。」
「それはいいな。とにかく、帰ろう?」
「いやいや、待ってくれ。領主館に来てほしいのは本当なんだ。」
「なぜ?」
「トマイザー様がな、礼をしたいと。アズレのこともある。
門でのやり取りは聞いたのでな。マレインが対応を間違った件も
謝りたいと。来てくれぬか?」
「結構だ。報酬はもらったし、謝罪も受け取った。
テルマ殿、いや、テルマが息災だとわかっただけで十分だ。
ここには用はない。」
「そうだな、わしも元気な顔を見れてよかったよ。また寄ってくれ。
今度はわしのところにな。モウ殿?あはははは、噂なぞ気にするな?
所詮噂だ。」
「テルマ、それは違う。事実だ。」
フォロー無しかよ!!
「そうだけど!事実だけども!!」
「あはははは!よく食べることはいいことだぞ?」
「ありがとうございます。テルマ様。」
「では、いずれまた。」
「無礼者どもめが!どうしても館に来てもらうぞ!」
「控えろ!マレイン。お前の方が無礼だぞ?」
「どこがですか!現コットワッツ領主の兄だとしてもだ!
テルマ殿もなにを遠慮しているんだ!」
「彼は?」
「ルポイド元首エデト様の子息、トマイザー様の弟だな。
我が軍の副隊長だ。」
「うーわー。あ、失礼。」
「あははは。いいさ、誰もがそう思っている。
遠慮なぞしていない。筋が通ってる。これ以上引き留めようがない。
力づくでなぞ恥さらしなことは言うなよ?
うちの筆頭でも命を掛けねばならん。
それで、五分五分だ。」
「そうなの?マティス?」
「そうだな。あの2人だろ?世の中は広いということだ。」
「そうか。頑張ろうね。まずは師匠とガイライだね、けちょんけちょんは。」
「ガイライか!元気か?あれは、うむ、少し疎くなったな。いろいろと。」
「次回の遠征時に会うだろう。ニックも戻っているぞ?」
「ああ、その疎くなったからニックが戻ったと聞いているが?」
「ははは。会えばわかる。」
「そうか。いい話なんだな。それはいいな。」
「テルマ殿!!」
「あきらめろ。」
「!・・・。
そこな、2人、今宵の晩餐会に招待する。月が昇って半分からだ。
お前たちは月が昇り始めたら、館に来られよ。断れば、不敬罪として
一族郎党にもその罪は及ぶぞ!!」
そういうと、パカラと馬に乗って帰っていきました。
月が昇る頃って、そのころにはイリアスでモモ拾いしているよ?
「不敬罪って、一族郎党だって。なに?コットワッツとやりたいの?」
「そういうことだな。一度戻ってセサミナと作戦会議だ。
コーヒーとテオブロマ、トウミギが自前になるぞ?」
「やった!!セサミン喜ぶね!!」
「待て!頼むから!!セサミナ殿は喜ぶのか?
いつからそんな好戦的になったんだ?
本当に待ってくれ。頼む!!」
ご老体の泣きの頼みで、恐怖の晩餐会出席することになった。
「そんな余裕があるのか?」
「・・・ないな。わかるか?
ないからこそ開かねばならん。今宵、ドルガナ公が来る。」
「私の立場はどうする?コットワッツの領主の兄だが、
実際は砂漠の民だぞ?コットワッツになんの関係もないんだ。」
「わかっているさ。
コットワッツでも、ニバーセルでもややこしくなるだけだ。
砂漠の民、ああ、わしの知人の孫でどうだ?モウ殿ことだ。
わしも出るからな。婿をとって報告に来たと。」
「おじい様?」
「いいな!とにかくしたくもあるし、その荷物も、うむ、すごいな。
わしの家に行こう。お前も来たことがあるだろう?いまは一人だ。
妻は大分前になくなった。」
「良くしていただいたんだ。墓にも参らせてくれ。」
「それはあれも喜ぶな。では行こう。」
待って!今度はこっちが言いたい!!
「ああ、テルマ。わたしたちは一度砂漠のテントに戻る。
それから伺うので先に待っててくれ。」
「そうか?では、できるだけ急いでな?場所はわかるな?すまない。」
馬に乗りさっそうと帰っていく。
大変だ!
「マティス!お風呂!!お手入れ!!
ドレスは?赤?青?ピンクは勘弁!!」
「緑だな。わたしは軍服を着よう。」
「キャー素敵!!ではでは、急がねば!!」
一人芝居を見てた人たちも、
テルマさんがさっと手を払い、遠くから伺っていただけだ。
話のやり取りは聞こえていない。
「テルマ様が出てきて驚いたよ。どうした?
なにか言われたのか?」
「いや、あの芝居の話だ。お褒め頂いたよ。
あの鎧の男ことも謝罪された。なんなんだろうな?」
「マレイン様な。頭が悪い、力もない。
だがいい人だよ。さっきの話に出てくるような親思いなんだ。
あれ、泣いたよ?最後は笑ったけどな。ぶっ。
ああ、エデト様が怪我したんだ。
いや、詳しくは知らないんだが、怪我したことは皆知っている。
いろんなところから医者が来ている。
だから気が立ってるんだろ。」
「そうか。そういうこともあるのだろうな。ではな。」
「ああ、また来てくれ!
3回目の許可書があれば年間の許可書も買えるからな!」
見えないところまで移動。
そこから扉君の家に戻って、お風呂。
超特急での準備。
砂漠の民の服に着替えて、テルマさんの家に移動した。
後ろから大声をあげられた。
「待て!」
だけど、タンスが擁壁となって向こうからは見えないし、
こっちも気にならない。
「愛しい人、あれは先ほどの門番だ。」
「そうなの?甲冑つけてるからわかんないよ。
甲冑あるんだね。あ!そういえばティスの軍服姿見てない!」
「ガイライに調達はしてもらっているぞ?」
「見たい!見たい!!」
制服2割増し!嘘だ!うなぎ昇り!天井知らず!
ウナギ食べたい。
いや、トウモロコシが手に入ったんだ、そこから何ができるか考えないと。
2人の頭の中は別のことに夢中になっている。
後ろがうるさいけど。
とうとう前に回ってきた。
「お前たち!!聞いてないのか!」
「「・・・。」」
「怖い話をしようか?」
「え?ここで?」
「そうそう。」
うんしょとタンスを下す。
まわりの人たちも何事かと集まってきている。
鎧男はじっと待ってくれている。
人の話を聞けるのはいいことだよ?
パンと手を叩き話し始めた。
「山奥に母親と2人暮らしの男がいたんだ。
その年の流行り病でね、母親が死んだんだ。
男は嘆き悲しんだ。
ああ、もっと、なにかできたんじゃないかって。
でも、それはどんなことをしてきたとしてもそう思ってしまう。
親孝行な男だったんだよ。
嘆き悲しんでも、男は生きている。
ご飯を食べて、働いて、生きていこうって誓ったんだ。
それから1年、母親がなくなった日だ。
男は母親を偲びながら飯を食べていた。
するとね、
トントンって扉を叩く音が聞こえる。
こんな遅くに誰が?っておもって扉に近づく男。
こんな声も聞こえる。
”お前、お前、開けておくれ”
母さん!!
そんな!母さんは死んだんだ!
どうして!化けものになってしまったのか!どうして!
ここの地方では死んだ人が1年で戻ってくるって話があったんだ。
でも、亡き人に一目会いたさに扉を開けてはいけない。
それは亡き人に非ず、化け物なんだ。
”お前、お前、開けておくれ”
”どうした?
お前の好きな甘味を買って両手がふさがっているんだ、開けておくれ”
ああ、母さん!!
”だめだ、開けれないよ。ここは母さんのいるところではないんだ”
”帰っておくれ、母さん!!”
男は扉に縋りついて嘆願した。
化け物を家に入れれば自分も化け物になる。
それはいい。
だが、あの優しい母さんが化け物のまま
この世をさまようなんて許されない!!
”お前、お前、なにをいってる?ここはわたしの家だ。
どうして?開けておくれ!”
ドンドンと扉を叩く音が、まるで体当たりしているような音に代わる。
母さん、母さん!!
”タロウ!!はやく開けておくれ!!”
男は息をのみとうとう扉を開けた!
ガラ!!
”おばちゃーん、たろうっちの家は向こうだろう?
酒飲んでるのか?しかたねーなー。送っていくよ”
”あれ、カンベか?あらいやだ!
なんだ?泣いていたの?ダメだよ?
おっかさんも心配してでてきてしまうよ?
あんたのぶんもあるからいっしょにたべようね。”
”いつもあんがと。さ、それもつよ”
ということで、カンベは悲しいこともあったけど、
親切なご近所さんもいて、たのしく生きていきましたとさ。
一人芝居、名前はちゃんと呼びましょう、でした。」
一瞬の静寂。
そこからの笑い。皆が、鼻をずるずる言わす。
いやはや、拍手喝さい。
泣きながら、笑って、おひねりを投げてくれる。
2人で回収。すごい!5リングはあるよ!!
「ありがとうございます!ありがとうございます!」
「お前!お前!ふざけるのもいい加減にしろ!!」
いや、怒ったね。そりゃ怒るよ。
ちょっと泣いた?
でもさ。
「・・・お前、お前って誰のこと言ってんだ?
分からなければ先に自分が名乗るのが筋だろう?
それをやんわり伝えるために芝居までしてやったのに、
わかんないのか?」
「い、愛しい人?そのためにか?」
マティスは号泣だよ。
涙腺弱いな、もう!
鼻水、かみなさい。
カーゼのハンカチを出す。
「ほれ、ティス。チーンって。」
「!!っ。」
「すっきりした?」
「したが、恥ずかしい。」
「うふふふ。そう?じゃ、帰ろう?お風呂入りたいんよ。」
「そうだな。」
「貴様ら!!」
お前が貴様になっても同じなんだが。
そもそも馬から下りてから話せ。
あれだ、コムの村長の息子と同じだ。
ああ、槍なんか構えるから。
応戦せざる得ない。
「モウ?行くか?」
「そうだね。騎馬戦は初めてだけど。
これ、あれだよね?
馬よ!とまれ!!」
馬が前足をあげて止る。
転げ落ちるわな。
頑張る鎧男。
こっちに来るけど。
構えるか。
「はははは!マレイン、控えろ。
マティス、久しぶりだな。」
「ご無沙汰しております。テルマ殿。
ご健勝のことお慶び申し上げます。」
「はん、年寄扱いしてくれるな。で?そちらは?紹介してくれるか?」
「ええ。我が唯一の伴侶、モウです。
モウ、南方討伐時にここルポイド軍の隊長だったテルマ殿だ。」
「マティス、だったではない、今もだ。」
「それは、ああ、なるほど。モウ、挨拶を。」
「初めまして、テルマ様。マティスの妻、モウと申します。」
馬を下りた老紳士が挨拶する。
ずっと一緒にいたのだ。おひねりを遠くから1リング投げてくれた人だ。
なるほどといったのは部下の醜態を見て。
後継者不足だね。
「モウ殿は異国の方か?」
「ええ、そうです。あなた方がいう南方ではないのですが。」
この広場では黒髪が半分はいる。
髪色で判断したのではないな?この人も黒髪だ。半分は白髪だが。
自分の髪を一房もって見てみる。
「ああ、死者が蘇るというのは異国の話によくあるんだ。」
「そうでしたか。こちらでは嫌忌なことなのでしょうか?」
「そんなことはない。
先ほどの話、わしも泣きそうだったぞ?最後は笑ったがな。」
「お楽しみいただければ幸いです。御多分な祝儀もありがとうございます。」
「いや、少ないぐらいだろう。
しかし、マティスが嫁を貰っているとはな。話はこちらにも来ている。
まさかな、と思たんだが。なるほど。」
怖いな、その情報網。
どんな話しで聞いているんだろう?
マティスの顔見る。
名探偵はすぐに気づくのだ。
「テルマ殿?それはどのような話で?」
「ん?ニバーセルの会合で領主セサミナ殿と和解したこと?
ああ、その前に手配書も廻っていたな。
あとは武の大会での活躍。赤い塊という護衛だとか。
伴侶を得たことだな。」
「モウのことは?」
「砂漠の民で石使いだと聞いたぞ?んー、あとは
金に、が、厳しく、お、よく食べると。」
金にがめつく、大喰らいって言おうとした!!
「マティス、もうだめだ。わたしは隠居するよ。
もう、俗世とはおさらばだ。」
「それはいいな。とにかく、帰ろう?」
「いやいや、待ってくれ。領主館に来てほしいのは本当なんだ。」
「なぜ?」
「トマイザー様がな、礼をしたいと。アズレのこともある。
門でのやり取りは聞いたのでな。マレインが対応を間違った件も
謝りたいと。来てくれぬか?」
「結構だ。報酬はもらったし、謝罪も受け取った。
テルマ殿、いや、テルマが息災だとわかっただけで十分だ。
ここには用はない。」
「そうだな、わしも元気な顔を見れてよかったよ。また寄ってくれ。
今度はわしのところにな。モウ殿?あはははは、噂なぞ気にするな?
所詮噂だ。」
「テルマ、それは違う。事実だ。」
フォロー無しかよ!!
「そうだけど!事実だけども!!」
「あはははは!よく食べることはいいことだぞ?」
「ありがとうございます。テルマ様。」
「では、いずれまた。」
「無礼者どもめが!どうしても館に来てもらうぞ!」
「控えろ!マレイン。お前の方が無礼だぞ?」
「どこがですか!現コットワッツ領主の兄だとしてもだ!
テルマ殿もなにを遠慮しているんだ!」
「彼は?」
「ルポイド元首エデト様の子息、トマイザー様の弟だな。
我が軍の副隊長だ。」
「うーわー。あ、失礼。」
「あははは。いいさ、誰もがそう思っている。
遠慮なぞしていない。筋が通ってる。これ以上引き留めようがない。
力づくでなぞ恥さらしなことは言うなよ?
うちの筆頭でも命を掛けねばならん。
それで、五分五分だ。」
「そうなの?マティス?」
「そうだな。あの2人だろ?世の中は広いということだ。」
「そうか。頑張ろうね。まずは師匠とガイライだね、けちょんけちょんは。」
「ガイライか!元気か?あれは、うむ、少し疎くなったな。いろいろと。」
「次回の遠征時に会うだろう。ニックも戻っているぞ?」
「ああ、その疎くなったからニックが戻ったと聞いているが?」
「ははは。会えばわかる。」
「そうか。いい話なんだな。それはいいな。」
「テルマ殿!!」
「あきらめろ。」
「!・・・。
そこな、2人、今宵の晩餐会に招待する。月が昇って半分からだ。
お前たちは月が昇り始めたら、館に来られよ。断れば、不敬罪として
一族郎党にもその罪は及ぶぞ!!」
そういうと、パカラと馬に乗って帰っていきました。
月が昇る頃って、そのころにはイリアスでモモ拾いしているよ?
「不敬罪って、一族郎党だって。なに?コットワッツとやりたいの?」
「そういうことだな。一度戻ってセサミナと作戦会議だ。
コーヒーとテオブロマ、トウミギが自前になるぞ?」
「やった!!セサミン喜ぶね!!」
「待て!頼むから!!セサミナ殿は喜ぶのか?
いつからそんな好戦的になったんだ?
本当に待ってくれ。頼む!!」
ご老体の泣きの頼みで、恐怖の晩餐会出席することになった。
「そんな余裕があるのか?」
「・・・ないな。わかるか?
ないからこそ開かねばならん。今宵、ドルガナ公が来る。」
「私の立場はどうする?コットワッツの領主の兄だが、
実際は砂漠の民だぞ?コットワッツになんの関係もないんだ。」
「わかっているさ。
コットワッツでも、ニバーセルでもややこしくなるだけだ。
砂漠の民、ああ、わしの知人の孫でどうだ?モウ殿ことだ。
わしも出るからな。婿をとって報告に来たと。」
「おじい様?」
「いいな!とにかくしたくもあるし、その荷物も、うむ、すごいな。
わしの家に行こう。お前も来たことがあるだろう?いまは一人だ。
妻は大分前になくなった。」
「良くしていただいたんだ。墓にも参らせてくれ。」
「それはあれも喜ぶな。では行こう。」
待って!今度はこっちが言いたい!!
「ああ、テルマ。わたしたちは一度砂漠のテントに戻る。
それから伺うので先に待っててくれ。」
「そうか?では、できるだけ急いでな?場所はわかるな?すまない。」
馬に乗りさっそうと帰っていく。
大変だ!
「マティス!お風呂!!お手入れ!!
ドレスは?赤?青?ピンクは勘弁!!」
「緑だな。わたしは軍服を着よう。」
「キャー素敵!!ではでは、急がねば!!」
一人芝居を見てた人たちも、
テルマさんがさっと手を払い、遠くから伺っていただけだ。
話のやり取りは聞こえていない。
「テルマ様が出てきて驚いたよ。どうした?
なにか言われたのか?」
「いや、あの芝居の話だ。お褒め頂いたよ。
あの鎧の男ことも謝罪された。なんなんだろうな?」
「マレイン様な。頭が悪い、力もない。
だがいい人だよ。さっきの話に出てくるような親思いなんだ。
あれ、泣いたよ?最後は笑ったけどな。ぶっ。
ああ、エデト様が怪我したんだ。
いや、詳しくは知らないんだが、怪我したことは皆知っている。
いろんなところから医者が来ている。
だから気が立ってるんだろ。」
「そうか。そういうこともあるのだろうな。ではな。」
「ああ、また来てくれ!
3回目の許可書があれば年間の許可書も買えるからな!」
見えないところまで移動。
そこから扉君の家に戻って、お風呂。
超特急での準備。
砂漠の民の服に着替えて、テルマさんの家に移動した。
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2巻決定しました!
【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】
皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました!
本当に、本当にありがとうございます!
皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。
市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です!
【作品紹介】
欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。
だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。
彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。
【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc.
その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。
欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。
気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる!
【書誌情報】
タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』
著者: よっしぃ
イラスト: 市丸きすけ 先生
出版社: アルファポリス
ご購入はこちらから:
Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/
楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/
【作者より、感謝を込めて】
この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。
そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。
本当に、ありがとうございます。
【これまでの主な実績】
アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得
小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得
アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞
第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過
復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞
ファミ通文庫大賞 一次選考通過
『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる
仙道
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気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。 この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。 俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。 オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。 腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。 俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。 こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。
12/23 HOT男性向け1位
召喚されたリビングメイルは女騎士のものでした
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ざっくり紹介
バトル!
いちゃいちゃラブコメ!
ちょっとむふふ!
真面目に紹介
召喚獣を繰り出し闘わせる闘技場が盛んな国。
そして召喚師を育てる学園に入学したカイ・グラン。
ある日念願の召喚の儀式をクラスですることになった。
皆が、高ランクの召喚獣を選択していくなか、カイの召喚から出て来たのは
リビングメイルだった。
薄汚れた女性用の鎧で、ランクもDという微妙なものだったので契約をせずに、聖霊界に戻そうとしたが
マモリタイ、コンドコソ、オネガイ
という言葉が聞こえた。
カイは迷ったが契約をする。
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