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369:公私混同
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行商なのでちゃんと門から入ることにする。
マティスがちょっと嫌そうにするが、公私混同はよろしくないよ?
「各地を回っている行商です。良き品が手に入ったので
領主様にお買いいただければとお持ちしました。」
ニバーセルの服に頭にターバン風に布を巻く。
ルポイドの人たちがやってたから。
どこの民族かわからないはず。一般ピープルだ。
「紹介状は?」
「へ?」
「紹介状!どこだれかも分からない奴が、
いきなり領主様に会えるわけないだろ?」
なんと、さも当然のことを言われてしまった。
「食の祭りの出店者か?その許可書は?」
お!それならある!
うまうま籠の販売許可書だ。ちゃんともらってるよ。よかった。
「それならあります。これでしょ?」
店の内容が書いてある証明書だ。
申請したもの以外は売ることが出来ない。
「・・・は?馬相手に?ふーん。で?その籠の中身は?
どんなものなんだ?見せてみろ?」
「?それは領主様にお見せするのが先です。」
「わからん奴だな、先に見せろと言ってるんんだ。」
「なぜ?」
「毒かどうか、害のあるものか先に確認せねばいけないだろ?」
「ああ、なるほど!ではこれを。プニカと呼ばれているものです。」
「プニカ!それは馬しか食べない!人が食べれば腹を下すぞ!」
「ええ、知ってますよ?」
「ああ、もういい!奥で待機していろ。順次呼ばれるから。」
「わかりました。」
マティスは極力気配を消している。
「愛しい人?あれは先にうまいものにありつこうとしていたんだぞ?」
「もちろん、わかってるよ。ちょっと露骨だったからね。
それにプニカ、準備しないと食べれない。
それをここで披露することでもないでしょ。」
「なるほどな。フレシアの守衛には甘かったのに厳しいな。」
「馬鹿は馬鹿とわかっているからこちらに害のないように接するけど、
狡い奴は嫌いなんだ。厳しいんじゃなくて会話するのも避けたいんだよ。」
「そうか。」
通された広間は、いろいろな人が挨拶だろうか、
大きな背負子を背負ってる人たちがたくさんいた。
わたしたちのような行商なんだろうな。
知っている顔はいない。明日も同じような感じなのかな?
違う。ちゃんと書いてあるわ。
許可書に。
相談、売り込み、随時受付。
セサミン、教えてくれないと。
並んだ椅子に座って待っておく。
マティスとどういう話し方がいいかを練習する。
きちんと話せるか?いや、どうなんだ?とかそんな話。
「いつもと同じでいいだろ?」
「いや、そうなんだけど、ちゃんと領主様って感じで敬わないと。」
「なるほど。」
すると、横のおじさんはそんなことは気にしなくていいぞ?
誠実にすればいい、と教えてくれた。
横の人は旧ラルトルガ領の人だ。
少しおしゃべりする。
「明日は他領国のものが来るだろうから先にな。
遠くから来る奴は早めにくれば氷の確保をしないといけないし、
宿代も高くつく。
ま、たいていが野宿だろうがな。
だから、来るのはギリギリだろうな。
昨日、今日と来てるのは日帰りで帰れる者たちばかりだろうさ。」
「そうか、そうですよね。じゃ、明日はもっと混むかもしれませんね。
先に来ておいてよかった。」
「嬢ちゃんは商売に不慣れなのか?いいか?
商売は時間が大事なんだ。覚えとくがいいよ。」
「おお!!素晴らしい!時は金なりって言葉あります。それですね!」
「お!いい言葉だね!まさしくそれよ!
しかし、知っててもダメだ、実践しないとな!」
「はい!」
そう、実践しないとね。
ダイエット 知識だけではやせられぬ
・・・。
そんな話をしつつ順番待ち。
この人は農作物、米を持ってきたそうだ。
いいな、お米。祭りで買わせてもらおう。
わたしの商売を説明すると、いいところに目を付けたと褒められた。
そうだろう、そうだろう。
「次~。」
呼び出しだ。
「じゃ、いってくるわ。」
「はい!」
(愛しい人?あの壁にもたれている男、密偵だ)
(え?あ、気配がない。
うわー、どうどうとしてるから違和感ないね、さぼってるだけぽい)
(中にセサミナとルグ、あと・・・2人。)
(ドーガーは?)
(館にはいないな)
(なんだろ?あれか?おいしいものを先に知りたい食いしん坊?)
(・・・お前ではあるまし)
(ぷっ。じゃ、それで行ってみよう!後つけてみて?)
(仕方がないな)
「な!そんな風にわたしのことを思ってたの!!」
「そうだ。まちがいではないだろ?」
「そうだけど!そうだけども、もっと言い方があるでしょ!!」
「言い方も何も、同じだろう?」
「違うの!隣の家の権兵衛さんは大酒呑みだけど、
腕がいい職人さんだっていうのと、
腕がいいけど大酒のみだっていうのと違うでしょ?」
「大酒呑みには違いはない。」
「・・・先に帰って!わたしがちゃんと領主様とお話しするから!」
「またそうやって拗ねる。可愛いな。」
「もう!!いいから!」
「はいはい。」
「おい!そこうるさいぞ!」
「ほら!もう、帰って!」
「わかったから。なんにせよ、
大酒のみでもかわいいのには変わりはないからな。」
あれ?わたしが大酒のみってことになってる?
マティスは、ものすごく悪い顔で私を抱き寄せ、
頬にキスを落としていく。
「うんぎゃ!!」
「なにをやってる!」
「はははは、すまない。私は先に帰るから。」
笑いながら出ていくマティス。
覚えてやがれ!!
ふんがーと思っていると、
さっきのおじさんが出てくる。
心なしかしょんぼり?どうしたんだろ?
「どうしました?」
「いや、米をどう売るかを考えてなかった。
できればその場で食べれるようにしてほしいってさ。」
「なるほど。領主様はなにか言ってくれなかったの?」
「横の奴が、考えがないなら帰れって。
領主様は、まずは考えてほしいって。で、また明日来てくれって。」
「そうなんだ。」
「次~。」
「あ、すぐ終わると思うからちょっと待ってて?」
「え?あれ?旦那は?」
「・・・喧嘩して帰った。」
「おい!待たせるな!」
「はーい。」
おじさんは待っててくれるだろうか。
「失礼します。」
扉を開ける。
「本日はお時間をいただきありがとうございます。」
「ぶっ!!」
セサミンが噴き出した後、咳をしている。
ルグは噴き出しことしなかったが一瞬固まる。
わたしたちの気配を気付かぬとは、ルグ、情けないぞ?
扉横にいるルグに書類を出し、それをセサミンに渡す。
あとの2人、1人は背を向け書き物。一人はわたしを品定めのように
上から下まで見ている。
わたしは背負子を下し、正面の椅子に座る。
ここで緊張及び、逃げ腰になってはいけない。
同じようにわたしもそいつを観察する。
あれだよ、武人ではない。
事務官か?ん?お前がもっとしっかりしていれば、
うちの弟はもっとゆっくり出来んじゃないのか?あん?と睨んでしまった。
いかん、いかん、喧嘩を売ってどうする。
「んっ。モウ、さんですね。こちらには相談?売り込み?」
「はい、領主様、相談と、売り込みですね。
まずは相談で。明後日のうまうま籠の販売場所、
先に見せてもらっていいですか?
少し準備をしたいのです。」
「ああ、それは広場に行けば、ドーガー、若いものが行っていますので、
それに聞いてください。」
「そうですか、わかりました。あとで行ってみます。
では、あとは売り込みですね。これ、ご存じですか?」
プニカを出して、ルグに渡す。
もちろん、ルグがすぐそばに控えているからだ。
直接領主様に渡しことはない。
「赤い実、これはプニカですよね?えっと、これは毒があるんですよ。」
セサミンが悲しそうな顔をする。
知らないで持ってきたと思たんだろうか?
そんなわけねーべ。
「ええ、もちろん知ってます。
しかし、うまく加工すれば、おいしくなります。今回の食の祭りの
プリンの飾りにいかがですか?
お気に召しましたら、プニカの加工方法を買っていただきたい。」
「なるほど、良い商いですね。」
「セサミナ様!プニカは腹下しの実。
つぶれる前の実を馬が食べるくらいですよ。
熟してつぶれれば始末が悪い実だ。
ただで手に入れたか、知らずに仕入れたものを
売りつけに行きたに違いない。ルグ殿、お帰りだ。」
うわ、頭ごなしか。なんかムカつく。
「はっ!これは驚いた!
賢領主と名高いセサミナ殿の配下とは思えぬ言葉だな!
おまえ?さてはプニカの利用法を知ってるな?それを先に売りに来たから
わたしを追い返そうとしてるんだろ?それとも、なん癖つけて、
その方法を自分のものに出もするつもりか?さっきの人もそれで追い返したか?
お前はなんだ?食の祭りを邪魔したいのか!!」
「し、失礼な!!それに無礼だぞ!帰れ!」
「セサミナ様には礼を尽くしている。
お前にそれと同等な態度をとる必要がどこにあるんだ?
喧嘩を売ってるのなら買ってやるぞ!!」
「ちょっと、ね、モウさん!待って!
スビヤン、お前も控えろ。
気にいったら買ってくれと言ってるんだ、
まず見せてもらえればいいだろ?」
「・・・・。」
「モウさん?それはどのようなもので?」
「これを。」
先に湯がいて冷やしたものを背負子から出す。
水で冷やすだけでも十分だ。
器に盛ったもの。
マティスが作ったプリンに乗っけたもの。
もちろん、生クリームを絞っている。
それをやはりルグに渡す。
ドーガーでなくてよかった。またひれ伏すところだ。
「これは、なんと可愛らしい!」
「ええ。一緒に食べてもいいし、最初でも最後でも。
ま、飾りですね。食感がプリント違うので合うと思いますよ?」
「なるほど。では、頂きましょう。」
すぐさま食べようとする。
「え?あの、もちろん、おいしいですよ?先に毒見とかは?
わたし以外にも持ってくる人のもの、さきにセサミナ様が食べてます?
それはちょっと。」
「やはりそれは毒なんだな!」
「うるさいね!おっさんは!それを先に言うのがお前の仕事だろうが!
壁にもたれて居眠りをしてるやつもいるし、ろくな奴がいないな!」
意識すればわかるな。
気が動き、ドタドタと足音が聞こえると同時に、
ルグが外にでて、声を上げる。
「カルジュ!またさぼっていたのか!」
扉を隔てれば、意識しないとわたしもわかりにくい。
マティスは気付いていたのだろう。
だから、わたしのそばを離れたんだ。
「セサミナ様、では、わたしが先に。」
「え?そんな。」
セサミンがさっきと違った悲しい顔をし、書き物をしていた男、
師匠が嬉しそうにプリンを持ち上げた。
マティスがちょっと嫌そうにするが、公私混同はよろしくないよ?
「各地を回っている行商です。良き品が手に入ったので
領主様にお買いいただければとお持ちしました。」
ニバーセルの服に頭にターバン風に布を巻く。
ルポイドの人たちがやってたから。
どこの民族かわからないはず。一般ピープルだ。
「紹介状は?」
「へ?」
「紹介状!どこだれかも分からない奴が、
いきなり領主様に会えるわけないだろ?」
なんと、さも当然のことを言われてしまった。
「食の祭りの出店者か?その許可書は?」
お!それならある!
うまうま籠の販売許可書だ。ちゃんともらってるよ。よかった。
「それならあります。これでしょ?」
店の内容が書いてある証明書だ。
申請したもの以外は売ることが出来ない。
「・・・は?馬相手に?ふーん。で?その籠の中身は?
どんなものなんだ?見せてみろ?」
「?それは領主様にお見せするのが先です。」
「わからん奴だな、先に見せろと言ってるんんだ。」
「なぜ?」
「毒かどうか、害のあるものか先に確認せねばいけないだろ?」
「ああ、なるほど!ではこれを。プニカと呼ばれているものです。」
「プニカ!それは馬しか食べない!人が食べれば腹を下すぞ!」
「ええ、知ってますよ?」
「ああ、もういい!奥で待機していろ。順次呼ばれるから。」
「わかりました。」
マティスは極力気配を消している。
「愛しい人?あれは先にうまいものにありつこうとしていたんだぞ?」
「もちろん、わかってるよ。ちょっと露骨だったからね。
それにプニカ、準備しないと食べれない。
それをここで披露することでもないでしょ。」
「なるほどな。フレシアの守衛には甘かったのに厳しいな。」
「馬鹿は馬鹿とわかっているからこちらに害のないように接するけど、
狡い奴は嫌いなんだ。厳しいんじゃなくて会話するのも避けたいんだよ。」
「そうか。」
通された広間は、いろいろな人が挨拶だろうか、
大きな背負子を背負ってる人たちがたくさんいた。
わたしたちのような行商なんだろうな。
知っている顔はいない。明日も同じような感じなのかな?
違う。ちゃんと書いてあるわ。
許可書に。
相談、売り込み、随時受付。
セサミン、教えてくれないと。
並んだ椅子に座って待っておく。
マティスとどういう話し方がいいかを練習する。
きちんと話せるか?いや、どうなんだ?とかそんな話。
「いつもと同じでいいだろ?」
「いや、そうなんだけど、ちゃんと領主様って感じで敬わないと。」
「なるほど。」
すると、横のおじさんはそんなことは気にしなくていいぞ?
誠実にすればいい、と教えてくれた。
横の人は旧ラルトルガ領の人だ。
少しおしゃべりする。
「明日は他領国のものが来るだろうから先にな。
遠くから来る奴は早めにくれば氷の確保をしないといけないし、
宿代も高くつく。
ま、たいていが野宿だろうがな。
だから、来るのはギリギリだろうな。
昨日、今日と来てるのは日帰りで帰れる者たちばかりだろうさ。」
「そうか、そうですよね。じゃ、明日はもっと混むかもしれませんね。
先に来ておいてよかった。」
「嬢ちゃんは商売に不慣れなのか?いいか?
商売は時間が大事なんだ。覚えとくがいいよ。」
「おお!!素晴らしい!時は金なりって言葉あります。それですね!」
「お!いい言葉だね!まさしくそれよ!
しかし、知っててもダメだ、実践しないとな!」
「はい!」
そう、実践しないとね。
ダイエット 知識だけではやせられぬ
・・・。
そんな話をしつつ順番待ち。
この人は農作物、米を持ってきたそうだ。
いいな、お米。祭りで買わせてもらおう。
わたしの商売を説明すると、いいところに目を付けたと褒められた。
そうだろう、そうだろう。
「次~。」
呼び出しだ。
「じゃ、いってくるわ。」
「はい!」
(愛しい人?あの壁にもたれている男、密偵だ)
(え?あ、気配がない。
うわー、どうどうとしてるから違和感ないね、さぼってるだけぽい)
(中にセサミナとルグ、あと・・・2人。)
(ドーガーは?)
(館にはいないな)
(なんだろ?あれか?おいしいものを先に知りたい食いしん坊?)
(・・・お前ではあるまし)
(ぷっ。じゃ、それで行ってみよう!後つけてみて?)
(仕方がないな)
「な!そんな風にわたしのことを思ってたの!!」
「そうだ。まちがいではないだろ?」
「そうだけど!そうだけども、もっと言い方があるでしょ!!」
「言い方も何も、同じだろう?」
「違うの!隣の家の権兵衛さんは大酒呑みだけど、
腕がいい職人さんだっていうのと、
腕がいいけど大酒のみだっていうのと違うでしょ?」
「大酒呑みには違いはない。」
「・・・先に帰って!わたしがちゃんと領主様とお話しするから!」
「またそうやって拗ねる。可愛いな。」
「もう!!いいから!」
「はいはい。」
「おい!そこうるさいぞ!」
「ほら!もう、帰って!」
「わかったから。なんにせよ、
大酒のみでもかわいいのには変わりはないからな。」
あれ?わたしが大酒のみってことになってる?
マティスは、ものすごく悪い顔で私を抱き寄せ、
頬にキスを落としていく。
「うんぎゃ!!」
「なにをやってる!」
「はははは、すまない。私は先に帰るから。」
笑いながら出ていくマティス。
覚えてやがれ!!
ふんがーと思っていると、
さっきのおじさんが出てくる。
心なしかしょんぼり?どうしたんだろ?
「どうしました?」
「いや、米をどう売るかを考えてなかった。
できればその場で食べれるようにしてほしいってさ。」
「なるほど。領主様はなにか言ってくれなかったの?」
「横の奴が、考えがないなら帰れって。
領主様は、まずは考えてほしいって。で、また明日来てくれって。」
「そうなんだ。」
「次~。」
「あ、すぐ終わると思うからちょっと待ってて?」
「え?あれ?旦那は?」
「・・・喧嘩して帰った。」
「おい!待たせるな!」
「はーい。」
おじさんは待っててくれるだろうか。
「失礼します。」
扉を開ける。
「本日はお時間をいただきありがとうございます。」
「ぶっ!!」
セサミンが噴き出した後、咳をしている。
ルグは噴き出しことしなかったが一瞬固まる。
わたしたちの気配を気付かぬとは、ルグ、情けないぞ?
扉横にいるルグに書類を出し、それをセサミンに渡す。
あとの2人、1人は背を向け書き物。一人はわたしを品定めのように
上から下まで見ている。
わたしは背負子を下し、正面の椅子に座る。
ここで緊張及び、逃げ腰になってはいけない。
同じようにわたしもそいつを観察する。
あれだよ、武人ではない。
事務官か?ん?お前がもっとしっかりしていれば、
うちの弟はもっとゆっくり出来んじゃないのか?あん?と睨んでしまった。
いかん、いかん、喧嘩を売ってどうする。
「んっ。モウ、さんですね。こちらには相談?売り込み?」
「はい、領主様、相談と、売り込みですね。
まずは相談で。明後日のうまうま籠の販売場所、
先に見せてもらっていいですか?
少し準備をしたいのです。」
「ああ、それは広場に行けば、ドーガー、若いものが行っていますので、
それに聞いてください。」
「そうですか、わかりました。あとで行ってみます。
では、あとは売り込みですね。これ、ご存じですか?」
プニカを出して、ルグに渡す。
もちろん、ルグがすぐそばに控えているからだ。
直接領主様に渡しことはない。
「赤い実、これはプニカですよね?えっと、これは毒があるんですよ。」
セサミンが悲しそうな顔をする。
知らないで持ってきたと思たんだろうか?
そんなわけねーべ。
「ええ、もちろん知ってます。
しかし、うまく加工すれば、おいしくなります。今回の食の祭りの
プリンの飾りにいかがですか?
お気に召しましたら、プニカの加工方法を買っていただきたい。」
「なるほど、良い商いですね。」
「セサミナ様!プニカは腹下しの実。
つぶれる前の実を馬が食べるくらいですよ。
熟してつぶれれば始末が悪い実だ。
ただで手に入れたか、知らずに仕入れたものを
売りつけに行きたに違いない。ルグ殿、お帰りだ。」
うわ、頭ごなしか。なんかムカつく。
「はっ!これは驚いた!
賢領主と名高いセサミナ殿の配下とは思えぬ言葉だな!
おまえ?さてはプニカの利用法を知ってるな?それを先に売りに来たから
わたしを追い返そうとしてるんだろ?それとも、なん癖つけて、
その方法を自分のものに出もするつもりか?さっきの人もそれで追い返したか?
お前はなんだ?食の祭りを邪魔したいのか!!」
「し、失礼な!!それに無礼だぞ!帰れ!」
「セサミナ様には礼を尽くしている。
お前にそれと同等な態度をとる必要がどこにあるんだ?
喧嘩を売ってるのなら買ってやるぞ!!」
「ちょっと、ね、モウさん!待って!
スビヤン、お前も控えろ。
気にいったら買ってくれと言ってるんだ、
まず見せてもらえればいいだろ?」
「・・・・。」
「モウさん?それはどのようなもので?」
「これを。」
先に湯がいて冷やしたものを背負子から出す。
水で冷やすだけでも十分だ。
器に盛ったもの。
マティスが作ったプリンに乗っけたもの。
もちろん、生クリームを絞っている。
それをやはりルグに渡す。
ドーガーでなくてよかった。またひれ伏すところだ。
「これは、なんと可愛らしい!」
「ええ。一緒に食べてもいいし、最初でも最後でも。
ま、飾りですね。食感がプリント違うので合うと思いますよ?」
「なるほど。では、頂きましょう。」
すぐさま食べようとする。
「え?あの、もちろん、おいしいですよ?先に毒見とかは?
わたし以外にも持ってくる人のもの、さきにセサミナ様が食べてます?
それはちょっと。」
「やはりそれは毒なんだな!」
「うるさいね!おっさんは!それを先に言うのがお前の仕事だろうが!
壁にもたれて居眠りをしてるやつもいるし、ろくな奴がいないな!」
意識すればわかるな。
気が動き、ドタドタと足音が聞こえると同時に、
ルグが外にでて、声を上げる。
「カルジュ!またさぼっていたのか!」
扉を隔てれば、意識しないとわたしもわかりにくい。
マティスは気付いていたのだろう。
だから、わたしのそばを離れたんだ。
「セサミナ様、では、わたしが先に。」
「え?そんな。」
セサミンがさっきと違った悲しい顔をし、書き物をしていた男、
師匠が嬉しそうにプリンを持ち上げた。
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