いわゆる異世界転移

夏炉冬扇

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348:おんな同士

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「先にデイにはいるのか?」
「どうしようか?テムローサと一緒に狩りがしたいけど、
それとは別にデイに売る豚と最初の村に売る豚。さきに狩ろうか?
月が昇る前でも狩れるかな?」
「もう乾季にはいっている。動き回る豚も少ないな。
今なら完全に巣の中だな。巣を見つけ、地面を叩いて追い出し、
出てきたところを狩ることになる。
気配を探るのは難しいが、今の愛しい人なら大丈夫だろう。」
「そう?じゃ、先に狩っていこう。」


林に入るとなるほどなんの気配もない。
ただ虫がいる。虫よけにカエルの皮を吊るして探索です。


「んー?このフーっていうのが豚の息?」
「そうだ。音で聞こえるわけではないのだろう?」
「音ではないね、そんな気配。」
「その気配の近くに穴がある。棒で叩けば、驚いて飛び出すだろう。
そこを狙えばいい。」
「わかった。」

気配良し!穴良し!その延長上を叩く。

ドン!

え?速い!


「あはははは!遅いぞ?打ち鳴らした瞬間に穴の正面だ。」

逃がした豚はマティスに狩られていた。

「なるほど。もっと素早くね。」
タッチアンドゴーだ。

穴に背を向け、ドンと打ち鳴らすと同時に、
後ろにジャンプ。着地と同時に豚が出るから、それを撃つ。どうだ?

「やった!!」

この調子で次々狩っていく。
テムローサと狩るのは違う林に入ればいい。
コットワッツが開発した揺れない馬車の仕組みを付けた
荷車に30頭ほどをのせてデイの村に行くことにした。



「おお!あんた達か!よく来た!それにその豚!すごいぞ!
おーい!村長を呼んで来い!!豚が来たぞ!!」

守衛よ?それではまるでわたしたちが豚のような言い草だな?


「モウさん!!」
「かわいいテムローサ!久しぶり!!」

テムローサが飛び込んできた。
ああ、かわいい。

「元気だった?槍術頑張ってる?
ニックさんに会えたよ?2年分すべてできたらニバーセルの王都においでって。
いまニックさんはニバーセル軍部の副隊長だよ?」
「え?そんなにすごい人だったんですか?」
「そうだよ?わたしも基本を教えてもらったよ。
それにティスもニックさんに教えてもらっらたんだよ?」
「すごい!!」

「ティスさん!モウさん!よくいらした!
それにこの30頭の豚!前と同じで引き取らせてもらいたいがどうだろうか?」
「ああ、もちろん、そのつもりだ。税に3、残り27でお願いしたい。
ただ、明日の半分には出たいんだ。集まるだけでいい。
その中にハム類とウリと入れてほしい。」
「ああ、わかった。では今日は泊まるんだな?」
「前回と同じ宿は空いているか?」
「いや、今日はうちに泊まってくれ。そして飯もな。テムローサも喜ぶ。」
「それはありがたいな。かまわないか?モウ?」
「ええ、もちろん。テムローサ、よろしくね。」
「はい!」
「さぁ!みなに触れ回れ!あの豚が来たぞ!忙しくなる!」

いや、なんかどうなの?それ?



豚を下し、
そのままテムローサの案内で村長さんのところにお邪魔することになった。
少し早いがそのまま夕食の流れとなる。
グーナさんと守衛、トーリムさんもやって来た。
ここの煮込み豚と、ハム類、もちろん生ハムウリとウリのお酒。
ビルを使った料理もあった。
匂いはそうだとわかっていれば気にならなかった。


「本当にいい時期に来てくれた。
前回の豚で作ったハムは今までで一番いい出来だったんだ。
コムの奴らも驚いていた。はははは!
それにウリの酒もうまく仕込めた。ああ、それは早出しだ。それでも十分おいしい。
村上げて取り組んでいるんだ。ウリの開発もしている。
それで、先日帝都から連絡が来たんだ。隣国コットワッツで食の祭りがあるって。
各自参加してもいいが、ジットカーフの名に恥じないようにとだけ。
コムはお茶葉を出すらしい。食べ物だけじゃないはずだって。
飯を食べた後にうまい茶があれば売れると言っていた。
もちろん、デイだって参加する。ウリと生ハム、ウリの酒。
ただ、時期が悪いんだ。乾季に入って豚は全く狩れない。
ただ、前回の仕込みのときに気付いたが、
この時期に仕込むのが一番うまくできた。
もちろん、傷のない豚だってこともある。毎日林に入るが1頭狩れればいいほうだ。
この肉は今日取れたものなんだ。みながあんたに食べてもらえって。
この時期は取れなくて当たり前なんだ。
いま売っているハム類は塩漬けの物ばかりだ。
それでも十分食の祭りに出せるとおもっていたところに、この豚だ!」

上機嫌で一気に話すバルナ村長さん。
そうか、コムからはお茶がでるか。
だったらうまうま籠のなかにお茶葉はダメだな。
馬とおなじものか!って絶対なる。
そしてこっちはのほうが安く提供しちゃうから。
なんか違うものを探さないと。そうなるとリンゴもダメだ。
気付けて良かった。


「この時期は巣穴に籠るからな。それを追い出して狩るんだ。」
「ん?どうやって?」
「明日、一緒に狩ろうか?テムローサならきっとできるよ?
一緒に狩りにいこう?」
「ほんと?行きます!父さま?いいでしょ?」
「ああ、もちろん。我々もいっしょでいいですか?ぜひその狩り方を覚えたい。
もちろん礼はさせてもらう。」
「それはかまわない。礼か。ここでは豚の毛はどうしてる?
やはり血抜きに使って燃やしているのか?」
「あははは!それはコムのやり方だろ?後は野外での処理方法か?
ここではきちんと皮をはいでから処理をする。わざわざ吸わすこともしない。」
「その皮を譲ってくれるか?どこかで売れるかもしれないから。」
「え?どうにも役には立たないぞ?」
「ああ、それを。ここでは不要かもしれないが、
どこかで必要としてるかもしれないだろ?」
「まぁ、そうだが。こちらとしては助かるな。しかし、今はないな。
今日の30頭分なら明日の出発前にはそろうが。」
「ああ、それで。狩り方も礼をもらうほどの物じゃないからな。
邪魔にならないのなら、洗って、取っておいてほしい。
またここに来た時に買わせてほしい。」
「そうか!では、それも用意しよう。それと、ぷりん!あれはうまいな。
最初の村にも教えたんだろ?この前行ったら
次は乳と卵は必ず持ってきてくれって言われている。
これはコットワッツが本場らしいから楽しみにしているんだ。」
「いや、基本の味はかわらないぞ?ここのも十分おいしい。」

いま食後の甘味をいただいている。
もちろん、プリンだ。基本のプリンはどこで食べてもおいしい。
これもセサミンに報告だ。プラスαがいる。生クリームとチェリー添えだ。

それから男たちは呑みにはいった。
わたしはテムローサと女の子のお話だ。


「モウさん!槍術はどこまで?」

内容は女の子らしくないが。

「ニックさんには型を一通り。最初から最後まで流せるところまでだよ。
あとはそれを毎日繰り返しているの。」
「わ!さすがです!わたしも型は最後まで教えてもらったけど、
段階があって、できたら次っていうのが。
最後まで通しではできないんです。」
「そうなんだ。んー、わたしは棒術で基礎ができてるからかな?
狩りの後手合わせしようか?」
「ほんとですか!ぜひ!」
「うふふふ。さ、槍の話はここまでだ。おいで?髪を触らせて?
ちょっと結い上げよう。」
「はい!」

かなり伸びているのだが、紐で縛っているだけなのだ。
ブラッシングをして、編み込みをしていく。


「ほらできた!どっか痛いところはない?」
「ないです。見てもいい?」
「もちろん。」

プレゼントした鏡は箱に丁寧にしまっていた。
大事にしてくれているみたいだ。うれしい。


「え?これどうなってるの?父さま!父さま!見て!!」
「ああ、テム。きれいだ。いつの間にそんなにきれいになったんだ?
父さんは父さんはお前が嫁に行ったらどうしたらいい・・・。」

村長さんは泣き上戸のようだ。

「テム!ほんとにキレイぞ?まるで女の子だ」
すかさず、トームリの向う脛にテムローサの蹴りがはいった。当然だ。


「さ、きれいなテムローサ。自分でできるように教えてあげよう。
もっと簡単な方法もあるから。」

あとは簡単なおさげや、ポニーテール、ツインテール、お団子頭。
編み込みは要練習だ。
お団子頭がとてもかわいらしい。

「このゴムもあげようね。予備も。
これは消耗品だから、伸びきったら切れる。
多めにね。コットワッツで近いうちに売り出すと思うよ。」

これもセサミンに報告。

「父さま!ほら!こんなにいいものを!」
「ああ、モウさん、ありがとう。
そうだ、よかったら風呂に入ってくれないか?
テムと。その、な?いろいろ、あるだろ?」
「ああ、そうだね。テムローサ、いっしょにお風呂にはいろうか?
ティス!おんな同士だから!」

「いいな!テム!おれもいっしょに、ぶは!!」

マティスに蹴り上げられている。
その手合いの冗談で生きていることに感謝してほしい。


「ティス?あの石鹸つかってもいい?」
「ああ、かまわない。黒い実があるからな。」

今、黒い実を使っている。
石鹸はお客さん用だが、たくさんあるので使うことにする。

湯あみの部屋は別にあるようで、
桶に水を汲んで小さな砂漠石を入れる。お湯を作り、それをつかう。
排水はそのまま、床下に流せる。

「へー。このタイプのお風呂ははじめて。
流していいんだね。でも、お湯につかれないのか。
寒くないね?なんで?」
「暖炉に火を入れています。
温かいお湯が床下に流れるようになってます。だから温かいんです。」
「おお!床暖房!いいね。でも、これ床、木でしょ?腐らない?」
「この木は水に強いって言われてます。」
「なんていう木?」
「イペーロです。豚のいる林にある木です。」
「ビルだけじゃないんだね。」
「ビルは葉を人がたべて、イーペロの実を豚が食べるんです。
イペーロはほっとくと大きくなりすぎて、ビルが育たなくなるから、
ある程度大きくなたら伐採します。それを利用しています。」
「はー、勉強になるね。知らないことだらけだ。
明日、どれがイペーロか教えてね。
さ、体を洗ってやろう。」
「え?恥ずかしいです。」
「あははは!おんなどうしだ。恥ずかしがることはない。
父さまは男だろ?だから女同士で話がしてほしかったんだな。
ここにも産婆さんはいるだろ?」
「ええ、もちろん。」
「そうか、成人前になったら話を聞くようには言われている?」
「ええ。その話をきいたら一人前になるって。」
「だったら安心だね。じゃ、それ以外のことを教えておこうね。
ちょっと早いかもしれないけど、かしこいテムローサだからいいだろう。」

体と髪を洗いながら、
男と女、赤ちゃんが生まれる話。
驚いていたが、真剣に聞いてくれている。
初潮とかはない世界だが、異性にドキドキするのは同じだろう。
すでに、体は大人で、胸は、ま、小さいな。

「ほら、ちょっとかこいいなって思う男のコとかいない?
コムの村長の息子さんとか?」
「かっこいい?ないない!
なんであんなに間抜けなんだろうっていうのは思います。」
「あはははは!そうか。」
「モウさんはかっこいいとおもいます。」
「それはうれしいな。そんな感じで男の人には?」
「んー、トーリムさんが時々、
ほんとに時々、1年に1回ぐらいそう思うときはあります。」
「おお!そうなの?でもそれ、1000回中1回ぐらいじゃない?」
「そうそう!それくらい!」
「そうかそうか。ほら、ここはきちんときれいにね。」
「そ、その、そこに?え?」
「ああ、毛は生える。脚も、腕も、脇も。
ああ、わたしは処理をしてるんだ。これは故郷の風習だね。
黒髪だろ?目立つんだよ。」
「じゃ、わたしの赤いから赤い毛?」
「そうだね。ここではそのままだろ?だったらそれでいいよ。
ただ、清潔にね。ここも、生えてくる。大人になるってことだ。」
「そうなんだ。胸は?胸は大人になるから大きくなるの?」
「そうだね。胸と、腰回り。大きくなるというか、肉が付く。
それは太るというより、うん、大人になるってことだね。
それをよりよくする運動はたくさんある。教えてほしい?」
「もちろん!」


バストアップ運動を伝授する。そして、ウエストをひねる、ヒップをあげる。
裸で行う。程よいサウナ状態でなかなか良い。


「はー。」
「あはは、のぼせたね。
さ、お湯を掛けて。お風呂上がりに冷たいものを飲もう。」
「水ですか?」
「うふふ。甘い飲み物だ。」

ウリを絞って氷を入れよう。
牛乳で割ってもいいな。


体を拭くのは布だ。
タオルが欲しいが、仕方がない。

ゆったり目の服に着替える。
わたしも着替えるが、一応ブラジャーはしておこう。

「それは?」
「胸当て。大きくなるとこう、ゆっさゆっさするからね。
必要になったら大人の女の人に聞いてごらん。産婆さんでもいい。
んー、いまはまだいらないね?」
「ひどい!」
「あはははは!ごめんごめん!あの運動がんばれ?」
「うふふふ!はい!」
「さ、冷たいものを飲もうね。」


食堂に行くとそこは料理教室だった。
いや、肉の塊がどんと置いてある。
グーナさんにハムの作り方を教わっているようだ。
マティスお手製のハム!すごい!
マティスは旅先で仕入れたといった腸の塩漬けと
ソーセージの作り方を教えていた。


必要なものだけもらって、向こうで作ろう。

「熟れすぎのウリと乳ときれいな氷もらえますか?」
「どうするんだ?」
「ん?飲む。」

深いお皿に、ウリを細かく切って、
つぶしていく。そこに乳を入れる。プラス、樹脂蜜をちょっと。

氷を入れたコップに入れていく。
6杯分。みんな飲むんだ。


「おいしい!」
「メロン、ウリをつぶして飲むのはちょっと贅沢だけどね。
熟れすぎたものなんかはいいんじゃないかな?」
「すごい!これも売れそうだ!」
「んー、冷たいからいいけど、
これ、ぬるいとあんまりおいしくないと思うよ?」
「そうか。ここは氷があるからか。」

冷蔵庫のことはまだ内緒だから。
シャーベットの作り方も伝授。
これは時間がかかるから、今日は食べれないが、仕方がない。


それからまた楽しく過ごした。
石鹸とメイガの花飾りをプレゼントする。
こんな高そうなものをと驚かれたが、宿代だのつもりだと納得してもらう。

お嫁に行くときに付けていくとテムがよろこんだ。
それを聞いて村長さんはまた号泣した。
テムが嫁にいくなんて想像できないと、いらぬことをいうトームリは、
今度は村長に殴られていた。

やっぱり先にテムローサがお眠になったので、
前回のように理想論大会にならないようにお開きになった。
明日は月が沈むと同時に豚狩りだ。

こじんまりとした客室に泊まらせてもらう。
いつもと違う香になったわたしになぜか興奮したマティスと
声をあげずにさらに興奮することをしてしまったのが恥ずかしい。
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