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328:仮面
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「お待たせしました。ご案内します。」
「ええ、お願いしますよ。」
「・・・?あの失礼ですが、その、そちらの方は?その?」
「わたしの弟子ですよ?」
「え?え?」
「女性は装いが違えば変わりますよ?正装なのでしょ?」
「ええ、そうです。失礼いたしました。」
(従者の教育はラルトルガのほうが上だね)
(だれでも驚く美しさということだ)
(これ、晩餐会の間も繋げておいてください)
師匠の後ろを、わたしをエスコートしたマティスとついていく。
正式な晩餐会というのは初めてだ。
しかし、マナーはほぼ同じだ。
うふふふ。
伊達に両手の指では足りないほどの結婚式に出てはいない。
問題なしだ!
「王都資産院ワイプ殿、弟子、ティス殿モウ殿でございます。」
「ご招待ありがとうございます。ああ、改めて紹介しましょう、
わたしの弟子、ティスとモウです。夫婦で弟子なのですよ。」
ざわつくが問題ない。
マティスがかっこいいからだ。
いわゆる王様の席には領主スホームが座っている。
その両サイドはどう見てもきれい処のおねえちゃんだ。
馬車に乗っていたもう一人も座っている。
この人は事務方ではないけど、武の筆頭でもない。
大会には出ていなかったとおもう。
(領主さんの横にいるのってだれだろうね)
(息子ですね。指名はしていませんが、次期領主と言われていますよ)
(へー。会合には来てなかったよね?)
(大会にも出ていないな、覚えはない)
ここの管理者はその前、その横には後継者だろうか、
管理者を若くした青年だ。ルコール君の兄さんだろう。
その横には奥さん、子供、奥さんと並んでいる。
マティスとセサミンのねーちゃんがいる。
一番端っこだ。序列なんだろうか?
マティスには気付いていないのか?
そして管理者の正面に師匠。
わたしは師匠とマティスの間の席だ、よかった。
ここの管理者が挨拶するようだ。
「今日は兄上が王都からの帰還、その足でこの地に訪問してくださった。
また、厄介な湿地も手放すことが出来、その分の軽減税額を
資産院の方がお持ちくださった。まことに良き日である。」
そんな感じで始まる。
料理は次々に運ばれる。
スープからとかはない。なんの順番なのかわからないが、
んー、残念。マティスの料理の方がおいしいし、
まとまりはラルトルガのほうが数段上だ。
ケチをつけるわけではないが、ちょっとがっかり。
でも、3つに1つはおいしいものがある。
(お肉はいまいち、残念)
(野菜に味がない!)
(これ、おいしい!この赤いの)
マティスはおいしいといったものを食べていく。
師匠もだ。味見係りは忙しいのだ。
領主と管理者の目線何ぞ関係ない。
一瞬たりとも目線が合わないので
管理者はとうとう師匠に話を振った。
「ときに、資産院殿?
此度の境界線移動の通知、湿地の移動だけなのに、
わざわざ出向かれるというのはなにか不備があってのことですか?」
「いえいえ、とんでもない。
ただ、3領国が絡んでいますので。確認ですね。
先にメジャートにも行きましたが、メジャート領主はコットワッツ領主に
感謝を必ず伝えてほしいと言付かってます。
減税に加え、無料で国境の柵を作ってもらったと。
スホーム殿も柵の強度をご心配の様子。
それは、ツイミ殿と確認なさっておいででしたね。」
「ほう、兄上が?それに柵ができていたのですか?」
「ええ、ご存じありませんでしたか?」
「まったく。あの地は早くから末の息子の管理地として譲渡しておりました。
何もない場所。なにも生み出さない場所なのにその分の税を取られるのを
苦々しい想いを抱いておりました。
しかし、コットワッツがうまく買い取ってくれたとか。
売った息子もその金を元手に他領国で事業を始めると、出ていきました。」
「そうですか。成功して戻られるのが待ち遠しいですね。」
「はははは!それはない。自分の土地を売ったのですよ?
もう、ここに帰ってくる場所はない。
成功しようがしまいが、もう息子でも何でもないんですよ。」
「それは手厳しい。」
「当たり前でしょ?成功すれば勝手にすればいい。
しかし、失敗して負債をこちらに押し付けてきたらどうします?
早々に縁は切っておりますよ。」
「なるほど。では、減税があり、柵もできた。
管理者としては文句はないと?」
「ええ。兄上?減税額はまるまる引いてくださいよ?」
「・・・ああ、わかっている。」
息子をけなされているのに母親はニコニコ話を聞いていた。
もう関係ないと思っているのか、
こころを鬼にして仮面を被っているのか?
なにがあってもここにいるつもりなのだろうか?
いつか息子が帰ってきてもいいように。
食後の甘みがでて雑談だ。
これはなんだろ?
みかん?
一房、一粒が大きい。
オムレツのような房にナイフを入れて食べる。
絞ってジュースにしたい。
(これ、買わないと!)
(気に入ったのか?買いに行こう。
ワイプ!これが売っているところに案内してくれ)
(すいません、これは初めて見ますよ?)
(役立たず!)
師匠が知らないなんて、すごいな。
18か国以外のものなのかな?
「ええ、お願いしますよ。」
「・・・?あの失礼ですが、その、そちらの方は?その?」
「わたしの弟子ですよ?」
「え?え?」
「女性は装いが違えば変わりますよ?正装なのでしょ?」
「ええ、そうです。失礼いたしました。」
(従者の教育はラルトルガのほうが上だね)
(だれでも驚く美しさということだ)
(これ、晩餐会の間も繋げておいてください)
師匠の後ろを、わたしをエスコートしたマティスとついていく。
正式な晩餐会というのは初めてだ。
しかし、マナーはほぼ同じだ。
うふふふ。
伊達に両手の指では足りないほどの結婚式に出てはいない。
問題なしだ!
「王都資産院ワイプ殿、弟子、ティス殿モウ殿でございます。」
「ご招待ありがとうございます。ああ、改めて紹介しましょう、
わたしの弟子、ティスとモウです。夫婦で弟子なのですよ。」
ざわつくが問題ない。
マティスがかっこいいからだ。
いわゆる王様の席には領主スホームが座っている。
その両サイドはどう見てもきれい処のおねえちゃんだ。
馬車に乗っていたもう一人も座っている。
この人は事務方ではないけど、武の筆頭でもない。
大会には出ていなかったとおもう。
(領主さんの横にいるのってだれだろうね)
(息子ですね。指名はしていませんが、次期領主と言われていますよ)
(へー。会合には来てなかったよね?)
(大会にも出ていないな、覚えはない)
ここの管理者はその前、その横には後継者だろうか、
管理者を若くした青年だ。ルコール君の兄さんだろう。
その横には奥さん、子供、奥さんと並んでいる。
マティスとセサミンのねーちゃんがいる。
一番端っこだ。序列なんだろうか?
マティスには気付いていないのか?
そして管理者の正面に師匠。
わたしは師匠とマティスの間の席だ、よかった。
ここの管理者が挨拶するようだ。
「今日は兄上が王都からの帰還、その足でこの地に訪問してくださった。
また、厄介な湿地も手放すことが出来、その分の軽減税額を
資産院の方がお持ちくださった。まことに良き日である。」
そんな感じで始まる。
料理は次々に運ばれる。
スープからとかはない。なんの順番なのかわからないが、
んー、残念。マティスの料理の方がおいしいし、
まとまりはラルトルガのほうが数段上だ。
ケチをつけるわけではないが、ちょっとがっかり。
でも、3つに1つはおいしいものがある。
(お肉はいまいち、残念)
(野菜に味がない!)
(これ、おいしい!この赤いの)
マティスはおいしいといったものを食べていく。
師匠もだ。味見係りは忙しいのだ。
領主と管理者の目線何ぞ関係ない。
一瞬たりとも目線が合わないので
管理者はとうとう師匠に話を振った。
「ときに、資産院殿?
此度の境界線移動の通知、湿地の移動だけなのに、
わざわざ出向かれるというのはなにか不備があってのことですか?」
「いえいえ、とんでもない。
ただ、3領国が絡んでいますので。確認ですね。
先にメジャートにも行きましたが、メジャート領主はコットワッツ領主に
感謝を必ず伝えてほしいと言付かってます。
減税に加え、無料で国境の柵を作ってもらったと。
スホーム殿も柵の強度をご心配の様子。
それは、ツイミ殿と確認なさっておいででしたね。」
「ほう、兄上が?それに柵ができていたのですか?」
「ええ、ご存じありませんでしたか?」
「まったく。あの地は早くから末の息子の管理地として譲渡しておりました。
何もない場所。なにも生み出さない場所なのにその分の税を取られるのを
苦々しい想いを抱いておりました。
しかし、コットワッツがうまく買い取ってくれたとか。
売った息子もその金を元手に他領国で事業を始めると、出ていきました。」
「そうですか。成功して戻られるのが待ち遠しいですね。」
「はははは!それはない。自分の土地を売ったのですよ?
もう、ここに帰ってくる場所はない。
成功しようがしまいが、もう息子でも何でもないんですよ。」
「それは手厳しい。」
「当たり前でしょ?成功すれば勝手にすればいい。
しかし、失敗して負債をこちらに押し付けてきたらどうします?
早々に縁は切っておりますよ。」
「なるほど。では、減税があり、柵もできた。
管理者としては文句はないと?」
「ええ。兄上?減税額はまるまる引いてくださいよ?」
「・・・ああ、わかっている。」
息子をけなされているのに母親はニコニコ話を聞いていた。
もう関係ないと思っているのか、
こころを鬼にして仮面を被っているのか?
なにがあってもここにいるつもりなのだろうか?
いつか息子が帰ってきてもいいように。
食後の甘みがでて雑談だ。
これはなんだろ?
みかん?
一房、一粒が大きい。
オムレツのような房にナイフを入れて食べる。
絞ってジュースにしたい。
(これ、買わないと!)
(気に入ったのか?買いに行こう。
ワイプ!これが売っているところに案内してくれ)
(すいません、これは初めて見ますよ?)
(役立たず!)
師匠が知らないなんて、すごいな。
18か国以外のものなのかな?
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