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家の中がラーメン屋さんの匂いです。
消臭を掛けて、朝ごはん。
軽くです。
鍛錬後、湿地に移動すれば、筏号はちゃんと浮いてくれていた。
よかった。
桟橋も作り、
櫓も2人で操作できるように改造を施し、自在に動かせるようにする。
もちろん人力で動くようにだ。
マティスはラーメンの仕上げをしている。
セサミンに半分ごろに、
あたたかい格好をしてくるようにとは言ってある。
忙しいのだ、コットワッツ領主様は。
食の祭りの調整もあるのだろう。
祭りが始まる前に、デイと端の村にいきたいな。
祭りが終われば、イリアスからダカルナにはいろう。
海路があると聞いたから。
「愛しい人、味見をするか?」
「する!!」
「はー、このスープだけでもおいしい。
ラーメンとなればさらにおいしい。
これをさ、昨日のお醤油味と、お湯を掛けてできるものにしたいけど、
どうしてもお願いになっちゃうよね。」
「いいのではないのか?食べるのはセサミナかワイプだろ?」
「わたしもたべるよ?」
「あなたが食べるときは私が作るから。」
「おお!ありがとう!でも、マティスも食べたくなるでしょ?簡単に。」
「そうだな。」
「うん、これは別にわたしたちだけでもいいか。
お湯を掛けたらおいしく戻るようにお願いしよう。」
「具はどうする?」
「んー、豚の煮込みと、やっぱり砂トカゲの干した奴かな?
それとネギとね。」
「それも作ってしまうか?」
「うん。」
即席麺づくりだ。
ナイロンの袋なんてないから、木の皮を薄くしたものに紙を入れて器にする。
長時間だとふやけてダメになるが、
短時間なら大丈夫。食べた後は、燃やせばいい。
「紙?」
「うん。丈夫だよ?ああ、これで、鍋もできる。
樹石を使った一人鍋っていいかもね。」
「それは燃えるだろう?」
「んー、なんだったかな?水の沸点が100度で、紙は200度?
だから水を入れている間は燃えないと。」
「?」
「やって見せようか?」
「ああ。」
紙はたくさん買ってもらっているから、それを箱に折る。
軽石で台を作り、そこに樹石を置く。
紙鍋を置いて、水を入れ、樹石に砂漠石で火をつける。
燃えてもらうほうがはやい。
「ほらね。」
「おもしろいな。」
「いまは火をつけたけど、樹石に燃えるぐらいの温度ってお願いすれば、
鍋を食べている間は十分もつよ。小さいのでね。
これで、自分の近くで、鍋ができる。みんなで食べるのもいいけどね。
それだと遠慮しちゃうことがあるでしょ?
これなら自分の好きなものが食べたいときに食べられる。」
「そんなものか?」
「4人に1つぐらいの鍋を用意して事足りるならいいけど、
例えば、200人規模の宴会とかだと、座り方にもよるけど、
このほうがいいでしょ?」
「ああ、そういうときか。」
「そうそう。あと、あまり親しくないひとと一緒の時とかね。」
「ああ、それはわかるな。」
「あ!チーズフォンデュを食べよう!!紙鍋で思い出した!」
「?なに?」
「くふふふふふ。これは夜に2人で食べよう!今日はわたしが作るね。」
「ああ、うれしな。」
居酒屋メニューで紙鍋のチーズフォンデュがあったんだ。
いろんなチーズを入れて白ワインで調整しよう。
楽しみだ。
半分前にセサミンたち、コットワッツ3人衆がやって来た。
移動だ。
一応皆には内緒だが、どうしても必要な時は
領主の力でできると説明しているらしい。
ルグとドーガーが使えるのは内緒で、セサミンが移動させていることになっている。
じゃ、わたしも!となっても筆頭と次席だからできるという言い訳だ。
「姉さん!お待たせしました。」
「大丈夫よ。いろいろしてたから。
んーと、ルグとドーガーも一緒に行くのね?」
「ええ、もちろん。」
「合計5人。大丈夫かな?」
「大丈夫だ。荷重を加えて試している。」
「お!さすが、マティスだ!」
「しかし、乗っても10人ぐらいだそ?それ以上はさすがに沈むし、持たない。」
「そうだろうね。」
「姉さん?」
「いや、船、筏っていうものを作たんだけど、素人が作ったからね。」
「船ですか?船は沈むでしょ?
湿地調査の時、奥まで行くために試したんですが、ダメでしたよ?」
「ああ、試したんだ。水に浮く鉄が沈むのなら、水に沈む木は?って考えないと。
木で作ったよ。ほら!」
浮島のように浮いてる筏。
「え?これは姉さんの力で?」
「いやいや、そこいらの木を掘り込んでも浮くよ。
ちゃんと浮くように組めば大丈夫。浮力の問題だよ?
ああ、これは聞かないで。説明はできない。」
「・・・知らなかった。」
「そうだね。何事も実験、実験!ダメ元なんだから。」
「はい!」
「ではそろそろいこうか。そこから廻って。
寒いからね、樹石のカイロ、使ってね。」
炬燵にはいりたいが、それで登場はさすがに威厳がない。我慢だ。
わたしたちは赤いかいまき布団。暖かい。
ツイーっと進んでいく。
ここは植物も虫もいない。静かだ。
時より、コポリとそこから泡が生まれる。
メタンガスとかではない。
「あれ、なんだろうね。樹石が生まれてるのかな?」
「・・・そんな風に考えたことはありません。」
「そう?あの2人が言ったようにさ、水を撒いたら樹石が浮いてきたよ。
しばらくするとまた沈む。不思議だよね。」
「ええ、知らないことばかりです。」
「ふふふ。そんなもんなんだと思うよ。
わたしの故郷でも、これはこうだから、こうなんだって解明できたのは
ほんと最近なんだよ。
それでも、ときどきそれは間違いで本当はこうだっていうのも出てくる。
その研究必要?っていうものもあるけどね。
あとで、なにかしら役に立つんだろうけど、役に立たなくても、
物を知るということは必要なことだ。知りすぎるのもダメだけどね。
誰かが知っているのならばいいのかな?難しいけどね。」
「ええ、そうですね。だれが何を知っているかですね。」
そんな話をしながら進んでいく。
奥さんたちどうだったと聞けば、あはははは、と流された。
顔を真っ赤にして。なるほど。
3つの領国が混ざるところの位置はセサミン、領主が把握している。
もう少し、右だとか言いながら進んだ。
領主の力というのも不思議だ。
それを一般人が知る必要はないんだろうな。
なにかあれば領主がする、それだけなんだ。
いいのか、悪いのか。
「ここまでもなんとなく臭うね。」
王都でしたように膜を張ればいいが、やはり、少し感覚が鈍る。
わたしも極力使わないようにしている。
王都とジットカーフ帝都、ゴミ捨て場以外は。
「そうですね。ナソニール近くでこれなら、メジャート側はひどいでしょう。
あのときは姉さんが臭いを遮断していたんでしょ?」
「うん。コットワッツの処理場も臭うの?」
「いえ、ここよりましですよ?それこそ、近隣から苦情が来ますから。」
「そうだよね。浄化って大変なの?」
「力を使いますからね。気怠くなるぐらいでしょうか。」
「そうなんだね。これが終わったら、昨日と同じラーメン食べようね。
味が違うから。」
「「やった!楽しみです!!」」
そういったのはルグとドーガーだ。
2人で櫓を操ってもらっている。
「人が集まっているな。20人ほどだ。」
「あら?大事になったのかな?」
「かまいませんよ。こちらに何ら否はない。」
「こういうときのセサミンはほんとかっこいいね。」
「え?そうですか!」
「セサミナ?顔がだらしなくにやけているぞ?」
「ん、ん。大丈夫です。行きましょう。」
先頭がセサミン、両脇にルグとドーガー。
赤い塊は後ろで櫓の操作。
向こうもこちらに気付いたようでガヤガヤしている。
「おや?お待たせしましたか?申し訳ないですね。」
当事者の2人、アバサネ君とルコール君。
それ以外にアバサネ君の兄弟だろう、口元を覆ていないが、見たことのある風体だ。
あとは近隣の方々かな?
少し控えたところに、ご立派な馬車がある。
(セサミン?あれは誰の馬車?)
(おそらく、メジャートの領主でしょう。)
(へー、なんだろうね、文句を付けに来たんだろうか?)
(それはできませんね。領地譲渡は管理者の一存で動く。
だから身内で固めるんですよ、管理者というものを。)
(そうなんだ。じゃ、コットワッツも?)
(もちろん。あの兄たちですら、その土地を他領国には売らない。)
(そうか。)
(今回は湿地なので問題ないと踏んだんでしょう。逆に税が安くなる。
が、相手がコットワッツなので様子を見に来たというところでしょうか?)
(おお!コットワッツは注目されてるもんね!)
(良くも悪くもですがね)
(あははは!仕方がないよね)
「初めまして、コットワッツ、セサミナ殿。
わたしはこの地方を管理している、メジャート領主の弟、ファスナの息子、
フリーと申します。兄弟のレンジと、アバサネはもちろんご存じですよね。」
「ええ、もちろん。初めまして。」
「湿地からお越しとは驚きました。」
「そうですか?まさか、土地譲渡の宣言のために他領国には入れませんでしょ?
なにがあるかわかりませんから。」
「いえいえ、歓待しようと待っていたのですよ。」
「お心づかいありがとうございます。それで、アバサネ殿、ルコール殿?
ここで宣言をしてよろしいのですよね?いまさら撤回はできませんが、
なにやら思った以上に人が集まっているようですが?」
「もちろん。問題はない。」
「こちらもだ。ご覧のようにナソニールの人間はわたしだけだ。」
「そうですか。では、後の方々はメジャートの?」
「ええ、そうです。
湿地がコットワッツ領になることに異議があるわけではありません。
宣言を行うというので見学ですよ。」
「なるほど。めったに見ることのできないことですからね。
ああ、宣言と同時に柵は張りますよ?」
「ええ。それはアバサネから聞いております。それと浄化も。」
「もちろん。」
それを聞いて領民のギャラリーはほっとしたようだ。
しなければすぐさま文句を言うつもりだったんだろう。
「では、さっさと終わらしてしまいましょう。」
『宣言!契約により、土地譲渡は双方同意のもとに完了した。
境界石よ!正しき境界を示せ!』
湿地のギリギリのところに赤い石、タイルかレンガだと思っていたものが
帯状に連なっていく。ちゃんと名前があるんだ。
『コットワッツ領主として宣言!境界石内は我が領である。
湿地内の不浄なものは清められたし!!』
続けて浄化を行う。この湿地内、すべてやってしまうのか?
セサミンの顔色が蒼白だ。
やはり、一気に行うのは無理があるんだ。
(マティス、泉の水を)
(わかった。セサミナ、これを飲め)
(え?ええ、ありがとうございます)
「あ、おいしい。」
ギャラリーたちもやんややんやの大歓声だ。
アバサネの兄弟はにやりと悪い顔だ。
「さすがですね。やはり領主の浄化の力というものは素晴らしい。」
「向こうで、こちらを見てらっしゃるメジャート領主も同じですよ?
地方管理者も同じだ。
力が弱まっているということを早々に領主に報告することですね。」
「?」
「忠告はしましたよ。これ以上口をはさむのは越権行為だ。」
「・・・。それで、柵を作るというお話はいつごろに?
やはり雨の日以降ですか?今回はその不思議なものでお越しですが、
こちらを通っての作業は税がかかります。その話をしておきたいのですが?」
「そうですね。いかほどになりますか?」
「一日1000リング。あ、これは人も荷も含めれません。
人は1日100リング、荷は荷馬車一台50リング。馬は30リングで。」
「なるほど。ざっと見て50日はかかる。5万リング以上。
湿地を買った金額よりかかりますね。」
「そうでしょうね。では、この湿地をまた売りますか?
浄化していただけたんだ、
3000リングに500リング上乗せして3500リングで買いますよ?」
「そうなるとわたしは500リングで浄化を施したということになる。
アバサネ殿?ルコール殿?これは最初からのお話なのですか?」
「ちがう!フリー!レンジ!どういうことだ!」
「どうも、こうも、そのままだ。お前は領地のことを知らなすぎるんだ。
金は手にはいたんだろ?お前はもう兄弟でも領民でも何でもない。
はやく出ていくんだな。ああ、母親のことは心配するな。
面倒はわたしが当主になっても変わりはないからな。」
「・・・・。」
「フリー殿、やはり柵ははやく作ったほうがいいようだ。」
「ええ、そうでしょうね。では作業費をお支払いということで?」
「いえ。すぐに柵を作るということは、説明しましたようね?アバサネ殿?
皆に説明はしたのですか?」
「もちろん!」
「フリー殿も近隣の方もご存じか?」
「ええ。なので、工事の開始日と、作業費の話をしているのですよ?」
「すぐに柵は作る。その柵を超えることはできない、そういいましたよね?」
「ええ。さすがコットワッツ領主の言葉だと思いましたよ?」
「なるほど。では赤い塊殿?お願いできますか?」
『ああ。その前に、アバサネ殿、ルコール殿?
もう、義理は果たしたのか?その荷物、身支度は済んでいるのだな?
こちらに来るか?国境を超えるのは面倒であろう?』
「赤い塊殿!ぜひ!!」
『ははは!そうか。どうするかな。飛び越えてこれるか?
無理か?』
呼び寄せればいいが、石使いだから石を使おうかな。
「いいえ!この距離ぐらい!」
2人は長い棒を取り出し、荷物を先にくくり渡してきた。
あとは棒高跳びの要領で飛んでくるようだ。すごいな!!
アバサネ君と、ルコール君と飛んできた。
『あははは!もう思い残すことはないのだな?』
「「はい!」」
『では、柵を作ろう。
ルグ殿、ドーガー殿。少し下がってくれ。そうだ。それぐらいでな。
ではな。いくぞ。
湿地に捨てられし木材よ。我の声に応えよ。
境界に柵をめぐらせろ!
子がおぼれぬように、高き柵となれ!
不浄なものを跳ね返し、不届き者をねじ伏せろ!
そなたたちはコットワッツを守りし盾となる!』
この老人バージョンで厨二病を炸裂させても
恥ずかしくないのが不思議だ。
沈んでいた木材が浮かび上がり、次々に境界に並んでいく。
長さが足りないものは補いながら。さすがにすべてを囲うほどの木材は
なかったようなので、ストックしている木材を足していく。
ところどころは砂漠石で補強だ。
あっという間に柵が出来上がる。
もう、向こうの人たちの姿は見えない。騒がしい声だけは聞こえる。
「では、我々はこれで!」
「ま、待ってください!」
「なにかー?ちょっと聞こえませーん!」
「お話をー!!」
「今日はこれで引き揚げまーす!御用でしたら書簡でー!!」
「お待ちくださーい!!」
「失礼しまーす!!」
このやり取りはものすごく大声で行っている。
大声をあげるとき語尾が伸びるのは共通なんだな。
なんか笑える。
消臭を掛けて、朝ごはん。
軽くです。
鍛錬後、湿地に移動すれば、筏号はちゃんと浮いてくれていた。
よかった。
桟橋も作り、
櫓も2人で操作できるように改造を施し、自在に動かせるようにする。
もちろん人力で動くようにだ。
マティスはラーメンの仕上げをしている。
セサミンに半分ごろに、
あたたかい格好をしてくるようにとは言ってある。
忙しいのだ、コットワッツ領主様は。
食の祭りの調整もあるのだろう。
祭りが始まる前に、デイと端の村にいきたいな。
祭りが終われば、イリアスからダカルナにはいろう。
海路があると聞いたから。
「愛しい人、味見をするか?」
「する!!」
「はー、このスープだけでもおいしい。
ラーメンとなればさらにおいしい。
これをさ、昨日のお醤油味と、お湯を掛けてできるものにしたいけど、
どうしてもお願いになっちゃうよね。」
「いいのではないのか?食べるのはセサミナかワイプだろ?」
「わたしもたべるよ?」
「あなたが食べるときは私が作るから。」
「おお!ありがとう!でも、マティスも食べたくなるでしょ?簡単に。」
「そうだな。」
「うん、これは別にわたしたちだけでもいいか。
お湯を掛けたらおいしく戻るようにお願いしよう。」
「具はどうする?」
「んー、豚の煮込みと、やっぱり砂トカゲの干した奴かな?
それとネギとね。」
「それも作ってしまうか?」
「うん。」
即席麺づくりだ。
ナイロンの袋なんてないから、木の皮を薄くしたものに紙を入れて器にする。
長時間だとふやけてダメになるが、
短時間なら大丈夫。食べた後は、燃やせばいい。
「紙?」
「うん。丈夫だよ?ああ、これで、鍋もできる。
樹石を使った一人鍋っていいかもね。」
「それは燃えるだろう?」
「んー、なんだったかな?水の沸点が100度で、紙は200度?
だから水を入れている間は燃えないと。」
「?」
「やって見せようか?」
「ああ。」
紙はたくさん買ってもらっているから、それを箱に折る。
軽石で台を作り、そこに樹石を置く。
紙鍋を置いて、水を入れ、樹石に砂漠石で火をつける。
燃えてもらうほうがはやい。
「ほらね。」
「おもしろいな。」
「いまは火をつけたけど、樹石に燃えるぐらいの温度ってお願いすれば、
鍋を食べている間は十分もつよ。小さいのでね。
これで、自分の近くで、鍋ができる。みんなで食べるのもいいけどね。
それだと遠慮しちゃうことがあるでしょ?
これなら自分の好きなものが食べたいときに食べられる。」
「そんなものか?」
「4人に1つぐらいの鍋を用意して事足りるならいいけど、
例えば、200人規模の宴会とかだと、座り方にもよるけど、
このほうがいいでしょ?」
「ああ、そういうときか。」
「そうそう。あと、あまり親しくないひとと一緒の時とかね。」
「ああ、それはわかるな。」
「あ!チーズフォンデュを食べよう!!紙鍋で思い出した!」
「?なに?」
「くふふふふふ。これは夜に2人で食べよう!今日はわたしが作るね。」
「ああ、うれしな。」
居酒屋メニューで紙鍋のチーズフォンデュがあったんだ。
いろんなチーズを入れて白ワインで調整しよう。
楽しみだ。
半分前にセサミンたち、コットワッツ3人衆がやって来た。
移動だ。
一応皆には内緒だが、どうしても必要な時は
領主の力でできると説明しているらしい。
ルグとドーガーが使えるのは内緒で、セサミンが移動させていることになっている。
じゃ、わたしも!となっても筆頭と次席だからできるという言い訳だ。
「姉さん!お待たせしました。」
「大丈夫よ。いろいろしてたから。
んーと、ルグとドーガーも一緒に行くのね?」
「ええ、もちろん。」
「合計5人。大丈夫かな?」
「大丈夫だ。荷重を加えて試している。」
「お!さすが、マティスだ!」
「しかし、乗っても10人ぐらいだそ?それ以上はさすがに沈むし、持たない。」
「そうだろうね。」
「姉さん?」
「いや、船、筏っていうものを作たんだけど、素人が作ったからね。」
「船ですか?船は沈むでしょ?
湿地調査の時、奥まで行くために試したんですが、ダメでしたよ?」
「ああ、試したんだ。水に浮く鉄が沈むのなら、水に沈む木は?って考えないと。
木で作ったよ。ほら!」
浮島のように浮いてる筏。
「え?これは姉さんの力で?」
「いやいや、そこいらの木を掘り込んでも浮くよ。
ちゃんと浮くように組めば大丈夫。浮力の問題だよ?
ああ、これは聞かないで。説明はできない。」
「・・・知らなかった。」
「そうだね。何事も実験、実験!ダメ元なんだから。」
「はい!」
「ではそろそろいこうか。そこから廻って。
寒いからね、樹石のカイロ、使ってね。」
炬燵にはいりたいが、それで登場はさすがに威厳がない。我慢だ。
わたしたちは赤いかいまき布団。暖かい。
ツイーっと進んでいく。
ここは植物も虫もいない。静かだ。
時より、コポリとそこから泡が生まれる。
メタンガスとかではない。
「あれ、なんだろうね。樹石が生まれてるのかな?」
「・・・そんな風に考えたことはありません。」
「そう?あの2人が言ったようにさ、水を撒いたら樹石が浮いてきたよ。
しばらくするとまた沈む。不思議だよね。」
「ええ、知らないことばかりです。」
「ふふふ。そんなもんなんだと思うよ。
わたしの故郷でも、これはこうだから、こうなんだって解明できたのは
ほんと最近なんだよ。
それでも、ときどきそれは間違いで本当はこうだっていうのも出てくる。
その研究必要?っていうものもあるけどね。
あとで、なにかしら役に立つんだろうけど、役に立たなくても、
物を知るということは必要なことだ。知りすぎるのもダメだけどね。
誰かが知っているのならばいいのかな?難しいけどね。」
「ええ、そうですね。だれが何を知っているかですね。」
そんな話をしながら進んでいく。
奥さんたちどうだったと聞けば、あはははは、と流された。
顔を真っ赤にして。なるほど。
3つの領国が混ざるところの位置はセサミン、領主が把握している。
もう少し、右だとか言いながら進んだ。
領主の力というのも不思議だ。
それを一般人が知る必要はないんだろうな。
なにかあれば領主がする、それだけなんだ。
いいのか、悪いのか。
「ここまでもなんとなく臭うね。」
王都でしたように膜を張ればいいが、やはり、少し感覚が鈍る。
わたしも極力使わないようにしている。
王都とジットカーフ帝都、ゴミ捨て場以外は。
「そうですね。ナソニール近くでこれなら、メジャート側はひどいでしょう。
あのときは姉さんが臭いを遮断していたんでしょ?」
「うん。コットワッツの処理場も臭うの?」
「いえ、ここよりましですよ?それこそ、近隣から苦情が来ますから。」
「そうだよね。浄化って大変なの?」
「力を使いますからね。気怠くなるぐらいでしょうか。」
「そうなんだね。これが終わったら、昨日と同じラーメン食べようね。
味が違うから。」
「「やった!楽しみです!!」」
そういったのはルグとドーガーだ。
2人で櫓を操ってもらっている。
「人が集まっているな。20人ほどだ。」
「あら?大事になったのかな?」
「かまいませんよ。こちらに何ら否はない。」
「こういうときのセサミンはほんとかっこいいね。」
「え?そうですか!」
「セサミナ?顔がだらしなくにやけているぞ?」
「ん、ん。大丈夫です。行きましょう。」
先頭がセサミン、両脇にルグとドーガー。
赤い塊は後ろで櫓の操作。
向こうもこちらに気付いたようでガヤガヤしている。
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あとは近隣の方々かな?
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だから身内で固めるんですよ、管理者というものを。)
(そうなんだ。じゃ、コットワッツも?)
(もちろん。あの兄たちですら、その土地を他領国には売らない。)
(そうか。)
(今回は湿地なので問題ないと踏んだんでしょう。逆に税が安くなる。
が、相手がコットワッツなので様子を見に来たというところでしょうか?)
(おお!コットワッツは注目されてるもんね!)
(良くも悪くもですがね)
(あははは!仕方がないよね)
「初めまして、コットワッツ、セサミナ殿。
わたしはこの地方を管理している、メジャート領主の弟、ファスナの息子、
フリーと申します。兄弟のレンジと、アバサネはもちろんご存じですよね。」
「ええ、もちろん。初めまして。」
「湿地からお越しとは驚きました。」
「そうですか?まさか、土地譲渡の宣言のために他領国には入れませんでしょ?
なにがあるかわかりませんから。」
「いえいえ、歓待しようと待っていたのですよ。」
「お心づかいありがとうございます。それで、アバサネ殿、ルコール殿?
ここで宣言をしてよろしいのですよね?いまさら撤回はできませんが、
なにやら思った以上に人が集まっているようですが?」
「もちろん。問題はない。」
「こちらもだ。ご覧のようにナソニールの人間はわたしだけだ。」
「そうですか。では、後の方々はメジャートの?」
「ええ、そうです。
湿地がコットワッツ領になることに異議があるわけではありません。
宣言を行うというので見学ですよ。」
「なるほど。めったに見ることのできないことですからね。
ああ、宣言と同時に柵は張りますよ?」
「ええ。それはアバサネから聞いております。それと浄化も。」
「もちろん。」
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しなければすぐさま文句を言うつもりだったんだろう。
「では、さっさと終わらしてしまいましょう。」
『宣言!契約により、土地譲渡は双方同意のもとに完了した。
境界石よ!正しき境界を示せ!』
湿地のギリギリのところに赤い石、タイルかレンガだと思っていたものが
帯状に連なっていく。ちゃんと名前があるんだ。
『コットワッツ領主として宣言!境界石内は我が領である。
湿地内の不浄なものは清められたし!!』
続けて浄化を行う。この湿地内、すべてやってしまうのか?
セサミンの顔色が蒼白だ。
やはり、一気に行うのは無理があるんだ。
(マティス、泉の水を)
(わかった。セサミナ、これを飲め)
(え?ええ、ありがとうございます)
「あ、おいしい。」
ギャラリーたちもやんややんやの大歓声だ。
アバサネの兄弟はにやりと悪い顔だ。
「さすがですね。やはり領主の浄化の力というものは素晴らしい。」
「向こうで、こちらを見てらっしゃるメジャート領主も同じですよ?
地方管理者も同じだ。
力が弱まっているということを早々に領主に報告することですね。」
「?」
「忠告はしましたよ。これ以上口をはさむのは越権行為だ。」
「・・・。それで、柵を作るというお話はいつごろに?
やはり雨の日以降ですか?今回はその不思議なものでお越しですが、
こちらを通っての作業は税がかかります。その話をしておきたいのですが?」
「そうですね。いかほどになりますか?」
「一日1000リング。あ、これは人も荷も含めれません。
人は1日100リング、荷は荷馬車一台50リング。馬は30リングで。」
「なるほど。ざっと見て50日はかかる。5万リング以上。
湿地を買った金額よりかかりますね。」
「そうでしょうね。では、この湿地をまた売りますか?
浄化していただけたんだ、
3000リングに500リング上乗せして3500リングで買いますよ?」
「そうなるとわたしは500リングで浄化を施したということになる。
アバサネ殿?ルコール殿?これは最初からのお話なのですか?」
「ちがう!フリー!レンジ!どういうことだ!」
「どうも、こうも、そのままだ。お前は領地のことを知らなすぎるんだ。
金は手にはいたんだろ?お前はもう兄弟でも領民でも何でもない。
はやく出ていくんだな。ああ、母親のことは心配するな。
面倒はわたしが当主になっても変わりはないからな。」
「・・・・。」
「フリー殿、やはり柵ははやく作ったほうがいいようだ。」
「ええ、そうでしょうね。では作業費をお支払いということで?」
「いえ。すぐに柵を作るということは、説明しましたようね?アバサネ殿?
皆に説明はしたのですか?」
「もちろん!」
「フリー殿も近隣の方もご存じか?」
「ええ。なので、工事の開始日と、作業費の話をしているのですよ?」
「すぐに柵は作る。その柵を超えることはできない、そういいましたよね?」
「ええ。さすがコットワッツ領主の言葉だと思いましたよ?」
「なるほど。では赤い塊殿?お願いできますか?」
『ああ。その前に、アバサネ殿、ルコール殿?
もう、義理は果たしたのか?その荷物、身支度は済んでいるのだな?
こちらに来るか?国境を超えるのは面倒であろう?』
「赤い塊殿!ぜひ!!」
『ははは!そうか。どうするかな。飛び越えてこれるか?
無理か?』
呼び寄せればいいが、石使いだから石を使おうかな。
「いいえ!この距離ぐらい!」
2人は長い棒を取り出し、荷物を先にくくり渡してきた。
あとは棒高跳びの要領で飛んでくるようだ。すごいな!!
アバサネ君と、ルコール君と飛んできた。
『あははは!もう思い残すことはないのだな?』
「「はい!」」
『では、柵を作ろう。
ルグ殿、ドーガー殿。少し下がってくれ。そうだ。それぐらいでな。
ではな。いくぞ。
湿地に捨てられし木材よ。我の声に応えよ。
境界に柵をめぐらせろ!
子がおぼれぬように、高き柵となれ!
不浄なものを跳ね返し、不届き者をねじ伏せろ!
そなたたちはコットワッツを守りし盾となる!』
この老人バージョンで厨二病を炸裂させても
恥ずかしくないのが不思議だ。
沈んでいた木材が浮かび上がり、次々に境界に並んでいく。
長さが足りないものは補いながら。さすがにすべてを囲うほどの木材は
なかったようなので、ストックしている木材を足していく。
ところどころは砂漠石で補強だ。
あっという間に柵が出来上がる。
もう、向こうの人たちの姿は見えない。騒がしい声だけは聞こえる。
「では、我々はこれで!」
「ま、待ってください!」
「なにかー?ちょっと聞こえませーん!」
「お話をー!!」
「今日はこれで引き揚げまーす!御用でしたら書簡でー!!」
「お待ちくださーい!!」
「失礼しまーす!!」
このやり取りはものすごく大声で行っている。
大声をあげるとき語尾が伸びるのは共通なんだな。
なんか笑える。
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なろうさんに、これの本編である”はじまりのまおう”があります。そちらも一緒にご覧ください。こちらもあちらも、一日一話を目標に書いています。
ユーヤのお気楽異世界転移
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ファンタジー
死因は神様の当て逃げです! 地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。
男が英雄でなければならない世界 〜男女比1:20の世界に来たけど簡単にはちやほやしてくれません〜
タナん
ファンタジー
オタク気質な15歳の少年、原田湊は突然異世界に足を踏み入れる。
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温室育ちの普通の日本人である湊がいきなり戦えるはずもなく、この世界の女に失望される。
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湊は自らの考えの甘さに何度も傷つきながらも成長していく。
そしていつか湊は責任とは何かを知り、多くの命を背負う事になっていくのだった。
挿絵:夢路ぽに様
https://www.pixiv.net/users/14840570
※注 「」「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています。
『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる
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気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。 この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。 俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。 オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。 腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。 俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。 こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。
12/23 HOT男性向け1位
俺の伯爵家大掃除
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伯爵夫人が亡くなり、後妻が連れ子を連れて伯爵家に来た。俺、コーは連れ子も可愛い弟として受け入れていた。しかし、伯爵が亡くなると後妻が大きい顔をするようになった。さらに俺も虐げられるようになったし、可愛がっていた連れ子すら大きな顔をするようになった。
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【完結】おじいちゃんは元勇者
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元勇者のおじいさんに拾われた子供の話…
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異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました
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ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。
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異世界あるある 転生物語 たった一つのスキルで無双する!え?【土魔法】じゃなくって【土】スキル?
よっしぃ
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農民が土魔法を使って何が悪い?異世界あるある?前世の謎知識で無双する!
土砂 剛史(どしゃ つよし)24歳、独身。自宅のパソコンでネットをしていた所、突然轟音がしたと思うと窓が破壊され何かがぶつかってきた。
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・・・
・・
・
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