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313:浄化
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皆と別れ、砂漠の入口まで移動。
何もない砂漠だ。
タロスさんの家があった場所もなにもない。井戸も薬草も。墓石もだ。
森を抜けていきなり砂漠が始まる。
マトグラーサの砂漠のようだ。
月が沈むには早いが、2人いっしょなら月夜の砂漠も問題はない。
サボテンの森の位置まで行き
もらった家を6軒並べて出す。
社宅のような感じなのだろうか、みな同じ作りだ。
入り口があり、木の板の窓があり、1階に部屋が2つ。
小さな台所、湯あみをするスペース。
小さな階段を上がって2階に1部屋、その上は屋根裏部屋。
便所は共同だったようでこの家にはついていない。
とりあえず、すべて新築状態に戻す。
まずは3軒分。
窓には砂漠石で作ったガラスを入れる。
小さな台所と隣の部屋を繋げて大きな台所に。
もう一つの部屋で食事ができるように。
2階に行けば2人の部屋。屋根裏部屋は食料庫だ。
扉君はもちろん2階の部屋に設置。
湯あみのスペースがトイレと洗面所とシャワーブースだ。
お風呂は扉君の家か、外に作ろう。
これを、砂漠の端、サボテンの森、呪いの森に置くことに。
呪いの森においておけば、拠点ができる。
しかし、森に埋もれてしまうかもしれない。その時はその時だ。
そこまで準備をして、2階にベットとオコタを出す。
扉君の家には戻らずに、今日はここ、サボテンの森で寝る。
「なんか、どきどきするね。」
「そうだな。なんでだろうな。」
「なんか、2人で生活しますって感じだから?」
「そうか。そうだな。」
「うふふふ。楽しいね。」
「ああ、楽しいな。」
今日は二人で笑いながら眠りについた。
月が沈めば、また明るい空がやってくる。
が、寒い。
「ここもやっぱり寒いね。魚の半日干しもうまくいきそうだね。」
「いつもより寒いな。やはり森が無くなったからだろうか。」
「そうなんだ。うー、寒い。
ドテラ着ようか、それとも暖炉に火をいれる?
おこたにはいると動けないよ。」
「火を入れると言っても薪がない。」
「あ!そうか!暖炉っていう習慣がないからわかんなかった!どうしよう!」
「普通は1年かけて準備してるんだがな。
家が燃えたときにいっしょに燃えただろうし、
変動で吹き飛んでいるだろう。
樹石は使えないか?」
「おお!そうだ、そうだ、樹石だ。
燃え切る前のぎりぎりの温度を出してもらおう。
軽石も一緒にいれれば、同じように温まってくれるかもしれないね。」
一つだけ砂漠石で火をつけ、燃えきったら、
樹石を入れて、この温度を保ってもらう。
2つほど入れれば、十分だ。使った軽石も廻りに置いておくと
赤くなりながら、熱を保つ。いいね。
あれか、ここの世界の人はリサイクル精神がないのか?
もしくは物が豊富にあるとまだ使えるかもというのがないとか?
んー、今回のは違うな。
ただ単に軽石状態になったものを捨てるのが面倒だから使ってみただけだ。
この世界の人は面倒くさがり屋はいない、これだ。
食に関して以外だが。
マティスがその典型。洗い物も、片付けも、腰ひもの調整も
面倒だとは思わない。すばらしい。
「どうした?愛しい人?」
「ん?マティスは素晴らしいなと思ってたの。」
「?」
「うふふふふ。」
「愛しい人のその笑顔が好きだ。」
「え?ふふ。わたしもマティスのその笑顔が好きよ?」
「そうか。」
「うん。さ、あったまってきたね。朝ごはんは何食べようか?」
「あたたかいものがいいか?おうどん?」
「うん。メイガのスープでおうどん。洋風だ。チーズとハム入れて。」
「?不思議な組み合わせだな。作ってみよう。」
「お米の代わりにおうどんでスープが多めなだけだよ。」
「そうか、なるほど。」
おいしいスープうどんでした。
あー、パスタも作らねば。ラーメンも。
セサミンのところには半分ぐらいに顔を出すとして、
先に湿地を見に行くことになった。
行ったことがないので、マティスに連れていってもらう。
「ほんとに何もないね。」
湿地の上に浮かびながらあたりを見渡す。
イリアスの湿地のように表面にうごめく虫もいない。
「湿地全体を見て回るか?メジャートとナソニール側は違うかもしれん。」
「そうだね。ルグもそこまで調べられなかったろうしね。」
完全防寒装備で上空を飛んでいく。
コットワッツの湿地の対面まで飛んでいき、ナソニール領から廻っていく。
ここもコットワッツと同じだ。なにもない。
そのまま、湿地の端沿いにまわって、
メジャート領に行くとなんだか、植物が生い茂っていた。
「・・・臭い。」
「ゴミ捨て場にしているようだな。
湿地が埋まっている、草も生えている。虫もいるな。」
「うー、メイガじゃないよね?」
「ちがう。下水に沸く虫だ。」
「あー、ダメ。」
「なるほど、手放してもなんら損はないな。
ここがコットワッツの領土になっても
ゴミは捨てるつもりなのだろう。ほら、道もできている。」
「セサミンに見せとく?」
「そうだな。例の絨毯を出してくれ。」
「うん。これ便利だよね。ま、浮かせてるのはマティスだけど。」
「抱きかかえるよりはいいだろ。」
(セサミナ?今いいか?)
(兄さん!今執務室で、あの2人の報告を待ってるところです。姉さんは?)
(もちろんいっしょだ。ちょっと出てこれるか?いま、湿地の上だ。)
(え?上?)
(すぐに戻ると手紙でも書いておけ。)
(え、ええ、わかりました。)
(呼ぶぞ?)
(はい、お願いします)
『セサミナ、ここへ』
「あ、姉さん!ん?浮いてる?」
「うん、そこらへんはあまり疑問に思わないでね。膜を張ってるから大丈夫だけど、
ここ、すごく臭い。」
「どこです?ここは?湿地?」
「湿地のメジャート側だ。ゴミ捨て場にしているようだ。」
「ああ、なるほど。ゴミで埋まって、植物も?」
「そうだな。道もできている。自然とできたものでもないだろう。
整備されているな。」
「そういえば、コットワッツのゴミとか下水関連はどうしてるの?」
「燃やせるものは燃やして、下水は集めてデジナ側の貯水池にためています。
3月に一度領主の力で浄化して渓谷に流しています。」
「おお!セサミン働きすぎじゃない?
浄化の力は領主の力以外ではできないの?」
「水の浄化の力は領主はたいてい持っています。
それが領主の仕事といってもいい。」
「なるほど。でもさ、もし、セサミンが浄化できない場合とかは?」
「ああ、一時的には譲渡できますよ。」
「へー、便利っちゃ便利だね。そうか、領主のお仕事はうん、大変だね。
じゃ、なんで、ここにゴミ捨ててるんだろ?
ゴミも下水も一緒だよ。」
「ここが捨て場で、浄化をしているとか?」
「ああ、それはあり得るか。でも、そんな場所を売るの?
じゃ、これからはどこに貯めるの?
まさか、売るけど、捨て場としてそのまま使うとか?
そういうのは許さんよ?ねーちゃんは!!
売りました、金をもって出奔、あとは知りません、
残った当主はそんなの知らないってのはダメだよ?」
「メジャート領国領主の甥、アバサネですが、あれと同じ年に生まれた兄弟は3人。
その3人のなかで競わせているようですね。
ナソニール領国領主の甥にあたるルコールは後継者争いなぞ程遠い。」
「ちょっと買うのはまったほうがいいね。この部分は含まれませんっていわれても、
下水を垂れ流しているところで樹石を取ったり、ブラシの草を育てるのも
問題が出てくるよ?」
「そうなりますね。領主か、この土地を管理している当主と話をしましょうか。」
「それも面倒な話だよね。でも、樹石の価値は必ず上がる。
その前に手を打っておくのがいいとは思う。」
「ええ。あの懐炉、まだ暖かいですよ。寝るときには寝床にいれました。
乾季に入れば寒いですからね。妻たちや、館に働いている者たちにも配りたい。
なので、樹石の効用を次の会合には発表したいのです。」
「そうか。だったら、このゴミ捨て場状態は無しにしてもらって、柵を作る?
浄化はセサミンでできる?」
「領主の力はあくまでも領国内です。領地になれば使えます。」
「そうか、そんな縛りもあるんだね。これを盾に安く買ってしまおう。
浄化が終わった時点で柵も作るよ。そのゴミを利用してね。」
「姉さんの力に頼ってしまうことは極力避けたい。」
「うふふふ。ありがとう、セサミン。石使いを雇ったと思えばいいよ。
当然、わたしのほうが効率はいいからね。
それに、こういうのは一気にしてしまわないとね。
しかし、いままで国境ってのは赤い石か、検問所があるかしか見たことないけど、
柵はなかったな。いいの?」
「ああ、この湿地が境界を示してましたから。
湿地にの端に行けばありますよ。コットワッツとメジャートとナソニール、
あまり交流はありません。
姉たちが嫁いで、もっと交流が深まってもおかしくなかたのですが、
逆に途切れましたね。
その時はコットワッツには砂漠石しかありませんでしたから。」
「そうか、あのねーちゃんたちも苦労したかもしれないね。」
「そうでしょうか?わたしが次期領主となってから倹約していきましたから
旨味がないと踏んだのでしょう。」
「そうか。あのねーちゃんの母君はもう故人なのね。あのにーちゃんたちも?」
「ええ、そうです。」
「セサミンの母君は?」
「わたしの母も故人です。」
「そうなんね。んー、そっか、とりあえず、戻ろう。マティス?」
「ああ。」
「どうしたの?」
「馬車が来る。」
「ゴミを捨てに?」
「いや、荷をのせてる音ではないな。」
「ほんと、マティスは耳がいいね。」
「姉さん、もう少し様子を見ていてもいいですか?」
「もちろん。もしかして、浄化をしに来たのかも。」
馬車はけっこうご立派なものだ。
御者は鼻と口元を完全に隠している。降りてきた人たちもだ。
小さな声でモゴモゴなにか話してる。
隠密もだれも連れてきていないようなので、
真上に移動した。
「相変わらずここはくさい。吐き気がする。」
「仕方があるまい。ここ、何年と浄化は掛けていないからな。」
「父上は何と?」
「なにも。父上は浄化の仕事を軽んじている。
浄化の力が弱まったのなら領主に報告すればいいのに。それが務めだ。」
「嫌なのだろうな、領主に報告するのだ。
ここに捨てることで済むならそれでいいということだろう。
アバサネはうまく持っていくだろうか?」
「ルコールを巻きこんで、さらに自分の母君たちを丸め込んでの交渉だ。
うまくいってもらわないと困る。
まずはここをコットワッツの領土として浄化してもらわなければ。
近隣領民もそろそろ抑えようがないからな。」
「買い取るだろうか?」
「買うさ。コットワッツ領主は賢領主。だが、甘いとうわさだ。
あの2人が金を手に入れ出奔したがってることは見抜くはず。事実だしな。
情に流されるが、うまく買いたたいて手に入れるはずだ。
ナソニール側を合わせても3000がいいところだ。
こちらは1000リングも価値がない。
あとは浄化を施してもらってから、難癖を付けて、買い戻せばいい。
吹っ掛けて来るなら、それこそこんな湿地に価値はないんだ、
税が安くなるだけこちらが得をする。
浄化後、安くこちらに戻るのなら、せっかく埋まったんだ、開発もできる。
どちらにしろ、我々には損はない。ゴミはここに当分ここに捨てる。
コットワッツがなにをするにも、距離もあるし、時間がかかるからな。」
「事情を説明すれば?」
「は!お前も甘い!そんな弱みを他領主に見せてどうする?」
「ま、そうだな。
さ、もうここを離れよう。村長たちの陳情を聞きに行かねば。」
「父上もはやく当主の座を譲ればいいのに。」
「そうなると、お前との争いになるぞ?」
「それはご勘弁を。今の地位で十分です。」
「アバサネもそう言った。ルコールも同じ意見らしい。
世間を知らず、今の地位がどれほど恵まれているか知りもしない。
出奔してどこに行くんだ?」
「南諸国とは聞いていますがね。」
「は!勝手にすればいい。ああ、もういい。行こう。」
馬車は元来た道を戻っていく。
「どこまで本当なんだろうね。銃の話はでなかったしね。」
「セサミナ?あの2人の後を追うか?」
「いえ。今の話を聞けただけで十分です。戻りましょう。」
セサミンが領主の顔だ。しかも悪の帝王だ。兄弟そっくり。
怖いわー。
「セサミナ様、どちらに?」
「いや、ちょっとな。で、報告は?」
「はい、後継者争いをしてるという風ではないですね、銃の話も。
そこまでの話にはなっていませんし、第一に生産が間に合っていない。」
「なるほどな。」
戻ったらすぐにルグとドーガーの報告が始まった。
わたしたちは、お疲れのセサミンの為に、
姿を現さずに、コーヒーとお菓子を置いていったん戻ることにした。
半分過ぎにもう一度顔を出すことにする。
「なんなかなー、な話だったね。」
「そうだな。私は浄化が領主の仕事だということも知らなかった。」
「ああ、そうなのね。んー、でも、誰かがやってる仕事なんだよ。
それを知らないってことはそれだけ円滑に行われていたこと、
当たり前のことだったんだね。
マティスの父上も、セサミンもさすがだね。」
「ああ、さすがだ。」
サボテンの森に戻って、家の改造をして時間をつぶす。
マティスは食料のストックを作っていく。
味見係りは忙しい。
半分過ぎになったので、赤い塊老人バージョンの衣装に着替える。
「その姿になるのか?」
「うん。なんか呼ばれたときに赤い塊モウよりいいでしょ?
あれだね、赤い塊という一族なのよ。それで、普段は顔を隠して、
赤い衣裳を着ていると。そんな感じで。」
「私は?」
「マティスもお揃いで。」
ドテラというよりかいまき布団だ。そのフード付き。怪しさ満載だ。
『声はどうする?』
老人の声でマティスに聞いた。
『ん、これでどうだ?』
じーちゃんの声だ。
『ぶひゃひゃひゃひゃ!』
参考にしたのは端の村の人々。
(セサミナ?今から行くがかまわないか?)
(ええ、もちろん)
『『待たせたか?若き領主殿』』
「ぶっ!!兄さんまで!」
「あはははは!噴出しちゃだめだよ。
もし、なにかあるんなら呼んで?これで姿を出すから。マティスもね。
わたしたちは異国から来た石使い赤い塊一族ね。」
「ええ、ありがとうございます。」
(これはつなげておくからね)
(はい)
「セサミナ様、いらっしゃいました。
アバサネ様とルコール様、お二人方のみです。」
「通せ。」
(かーちゃん同伴じゃないのね)
(あの2人に話していることと、あの兄弟にはなしていることが違うからな)
「今日は姉上たちはいらっしゃらないのですか?」
「ええ。」
「父の墓石にも参らず援助だ、
支援だというのはおかしいと気付いてくれたようですね。
よかった。あの2人を姉上と呼んでいいものか悩んでいたんですよ。」
「・・・。」
「さ、昨日の話の結論は出ましたか?結論ですよ?」」
そこからは2人のプレゼンだ。
樹石がいかに優れた燃料か、
砂漠石は取れないコットワッツの次の産業にふさわしいか。
「なるほど。いま、砂漠石収集を仕事の軸にしていた領民は
確かに手は空いている。
しかし、もともとは合わさりの月の日のみの作業です。
それも、交代で。3月に一度砂漠に出ればいい。
出れなくなってもさほど困りはしない。
他領国の方に心配されることもないのですよ、ありがたいことにね。」
「しかし、確固たる産業がないのは事実でしょ?」
「ええ、そうですね。砂漠石関連の仕事は実質なくなった。
それで、樹石がおすすめだと?
その樹石の効力。火が出て、湯を沸かせる。
イリアスでの使用方法ですね。
言葉ではなく、ここで見せてもらえますか?
樹石は持ってきてますよね?当然。」
「・・・・。」
「そもそも見たことあるんですか?樹石。
どうやってその効力を調べたんですか?」
「・・・・。」
「後継者争いの軍資金が必要だから貸してくれと
言われた方がまだ話は通じますね。
もちろんお貸しすることないですが。」
「・・・ここで金が必要なことは隠しようがない。
わたしたちにはそれぞれに同い年の兄弟がいます。
みなは仲がいい。しかし、後継者争いとなると話は別だ。」
「そうでしょうね。
しかし、後継者としてはすでに、
フリー殿の名が挙がっていますよね?
それを覆すことができると踏んでの交渉ですか?
あとのレンジ殿は補佐役を買って出ている。
あなた方付け入る隙は無いように思いますよ?
ルコール殿のところはもう後継者としてカミール殿が決まっている。」
「そ、それは。」
「それに、隠しもしないで2人で出奔の計画を立てているとか?
隠しているのはあなた方の母上達にだけだ。昨日一緒に来ていた従者の方も
声高に話をしている。
どうやらわたしはよほど間抜けな領主と思われているようですね。
ま、そうなんでしょうけども。」
「・・・。」
「領地贈与は確かにその管理者に権利がある。
それはあなた方の父上だ、あなた方ではない。」
「違います!あの湿地は我々に財産として贈与されている。
管理者は我々だ。これは領主といえど覆すことはできない。」
「ほう。贈与されたのは湿地のみ?領民が生活する土地は?」
「それはあなたには関係ない。売るのは湿地のみなのだから。」
「あなた方の領民は湿地を利用していないのですか?
贈与が終わったその日に塀をめぐらせても問題は無いのですか?」
「ええ、もちろん。」
「ゴミ処理場として湿地を使っているのは調べればわかることですよ?
別の場所を確保しましたか?
しかもそのゴミ処理場はここ数年浄化をしていないとか?
それを売ると?塀をめぐらしても問題ないと?
それは金を手に入れたら出奔するから?あとのことは知ったことではないと?」
「そうだ!後のことは知らない!!」
「おい!アバサネ!」
「いいんだ、ルコール、何もかも見抜かれているんだよ!」
「見抜くも何も、隠すつもりはなかたんでしょ?
さ、最初に言いましたが、結論を言ってください。
金が要る。売るのはあの湿地。いくらで?」
何もない砂漠だ。
タロスさんの家があった場所もなにもない。井戸も薬草も。墓石もだ。
森を抜けていきなり砂漠が始まる。
マトグラーサの砂漠のようだ。
月が沈むには早いが、2人いっしょなら月夜の砂漠も問題はない。
サボテンの森の位置まで行き
もらった家を6軒並べて出す。
社宅のような感じなのだろうか、みな同じ作りだ。
入り口があり、木の板の窓があり、1階に部屋が2つ。
小さな台所、湯あみをするスペース。
小さな階段を上がって2階に1部屋、その上は屋根裏部屋。
便所は共同だったようでこの家にはついていない。
とりあえず、すべて新築状態に戻す。
まずは3軒分。
窓には砂漠石で作ったガラスを入れる。
小さな台所と隣の部屋を繋げて大きな台所に。
もう一つの部屋で食事ができるように。
2階に行けば2人の部屋。屋根裏部屋は食料庫だ。
扉君はもちろん2階の部屋に設置。
湯あみのスペースがトイレと洗面所とシャワーブースだ。
お風呂は扉君の家か、外に作ろう。
これを、砂漠の端、サボテンの森、呪いの森に置くことに。
呪いの森においておけば、拠点ができる。
しかし、森に埋もれてしまうかもしれない。その時はその時だ。
そこまで準備をして、2階にベットとオコタを出す。
扉君の家には戻らずに、今日はここ、サボテンの森で寝る。
「なんか、どきどきするね。」
「そうだな。なんでだろうな。」
「なんか、2人で生活しますって感じだから?」
「そうか。そうだな。」
「うふふふ。楽しいね。」
「ああ、楽しいな。」
今日は二人で笑いながら眠りについた。
月が沈めば、また明るい空がやってくる。
が、寒い。
「ここもやっぱり寒いね。魚の半日干しもうまくいきそうだね。」
「いつもより寒いな。やはり森が無くなったからだろうか。」
「そうなんだ。うー、寒い。
ドテラ着ようか、それとも暖炉に火をいれる?
おこたにはいると動けないよ。」
「火を入れると言っても薪がない。」
「あ!そうか!暖炉っていう習慣がないからわかんなかった!どうしよう!」
「普通は1年かけて準備してるんだがな。
家が燃えたときにいっしょに燃えただろうし、
変動で吹き飛んでいるだろう。
樹石は使えないか?」
「おお!そうだ、そうだ、樹石だ。
燃え切る前のぎりぎりの温度を出してもらおう。
軽石も一緒にいれれば、同じように温まってくれるかもしれないね。」
一つだけ砂漠石で火をつけ、燃えきったら、
樹石を入れて、この温度を保ってもらう。
2つほど入れれば、十分だ。使った軽石も廻りに置いておくと
赤くなりながら、熱を保つ。いいね。
あれか、ここの世界の人はリサイクル精神がないのか?
もしくは物が豊富にあるとまだ使えるかもというのがないとか?
んー、今回のは違うな。
ただ単に軽石状態になったものを捨てるのが面倒だから使ってみただけだ。
この世界の人は面倒くさがり屋はいない、これだ。
食に関して以外だが。
マティスがその典型。洗い物も、片付けも、腰ひもの調整も
面倒だとは思わない。すばらしい。
「どうした?愛しい人?」
「ん?マティスは素晴らしいなと思ってたの。」
「?」
「うふふふふ。」
「愛しい人のその笑顔が好きだ。」
「え?ふふ。わたしもマティスのその笑顔が好きよ?」
「そうか。」
「うん。さ、あったまってきたね。朝ごはんは何食べようか?」
「あたたかいものがいいか?おうどん?」
「うん。メイガのスープでおうどん。洋風だ。チーズとハム入れて。」
「?不思議な組み合わせだな。作ってみよう。」
「お米の代わりにおうどんでスープが多めなだけだよ。」
「そうか、なるほど。」
おいしいスープうどんでした。
あー、パスタも作らねば。ラーメンも。
セサミンのところには半分ぐらいに顔を出すとして、
先に湿地を見に行くことになった。
行ったことがないので、マティスに連れていってもらう。
「ほんとに何もないね。」
湿地の上に浮かびながらあたりを見渡す。
イリアスの湿地のように表面にうごめく虫もいない。
「湿地全体を見て回るか?メジャートとナソニール側は違うかもしれん。」
「そうだね。ルグもそこまで調べられなかったろうしね。」
完全防寒装備で上空を飛んでいく。
コットワッツの湿地の対面まで飛んでいき、ナソニール領から廻っていく。
ここもコットワッツと同じだ。なにもない。
そのまま、湿地の端沿いにまわって、
メジャート領に行くとなんだか、植物が生い茂っていた。
「・・・臭い。」
「ゴミ捨て場にしているようだな。
湿地が埋まっている、草も生えている。虫もいるな。」
「うー、メイガじゃないよね?」
「ちがう。下水に沸く虫だ。」
「あー、ダメ。」
「なるほど、手放してもなんら損はないな。
ここがコットワッツの領土になっても
ゴミは捨てるつもりなのだろう。ほら、道もできている。」
「セサミンに見せとく?」
「そうだな。例の絨毯を出してくれ。」
「うん。これ便利だよね。ま、浮かせてるのはマティスだけど。」
「抱きかかえるよりはいいだろ。」
(セサミナ?今いいか?)
(兄さん!今執務室で、あの2人の報告を待ってるところです。姉さんは?)
(もちろんいっしょだ。ちょっと出てこれるか?いま、湿地の上だ。)
(え?上?)
(すぐに戻ると手紙でも書いておけ。)
(え、ええ、わかりました。)
(呼ぶぞ?)
(はい、お願いします)
『セサミナ、ここへ』
「あ、姉さん!ん?浮いてる?」
「うん、そこらへんはあまり疑問に思わないでね。膜を張ってるから大丈夫だけど、
ここ、すごく臭い。」
「どこです?ここは?湿地?」
「湿地のメジャート側だ。ゴミ捨て場にしているようだ。」
「ああ、なるほど。ゴミで埋まって、植物も?」
「そうだな。道もできている。自然とできたものでもないだろう。
整備されているな。」
「そういえば、コットワッツのゴミとか下水関連はどうしてるの?」
「燃やせるものは燃やして、下水は集めてデジナ側の貯水池にためています。
3月に一度領主の力で浄化して渓谷に流しています。」
「おお!セサミン働きすぎじゃない?
浄化の力は領主の力以外ではできないの?」
「水の浄化の力は領主はたいてい持っています。
それが領主の仕事といってもいい。」
「なるほど。でもさ、もし、セサミンが浄化できない場合とかは?」
「ああ、一時的には譲渡できますよ。」
「へー、便利っちゃ便利だね。そうか、領主のお仕事はうん、大変だね。
じゃ、なんで、ここにゴミ捨ててるんだろ?
ゴミも下水も一緒だよ。」
「ここが捨て場で、浄化をしているとか?」
「ああ、それはあり得るか。でも、そんな場所を売るの?
じゃ、これからはどこに貯めるの?
まさか、売るけど、捨て場としてそのまま使うとか?
そういうのは許さんよ?ねーちゃんは!!
売りました、金をもって出奔、あとは知りません、
残った当主はそんなの知らないってのはダメだよ?」
「メジャート領国領主の甥、アバサネですが、あれと同じ年に生まれた兄弟は3人。
その3人のなかで競わせているようですね。
ナソニール領国領主の甥にあたるルコールは後継者争いなぞ程遠い。」
「ちょっと買うのはまったほうがいいね。この部分は含まれませんっていわれても、
下水を垂れ流しているところで樹石を取ったり、ブラシの草を育てるのも
問題が出てくるよ?」
「そうなりますね。領主か、この土地を管理している当主と話をしましょうか。」
「それも面倒な話だよね。でも、樹石の価値は必ず上がる。
その前に手を打っておくのがいいとは思う。」
「ええ。あの懐炉、まだ暖かいですよ。寝るときには寝床にいれました。
乾季に入れば寒いですからね。妻たちや、館に働いている者たちにも配りたい。
なので、樹石の効用を次の会合には発表したいのです。」
「そうか。だったら、このゴミ捨て場状態は無しにしてもらって、柵を作る?
浄化はセサミンでできる?」
「領主の力はあくまでも領国内です。領地になれば使えます。」
「そうか、そんな縛りもあるんだね。これを盾に安く買ってしまおう。
浄化が終わった時点で柵も作るよ。そのゴミを利用してね。」
「姉さんの力に頼ってしまうことは極力避けたい。」
「うふふふ。ありがとう、セサミン。石使いを雇ったと思えばいいよ。
当然、わたしのほうが効率はいいからね。
それに、こういうのは一気にしてしまわないとね。
しかし、いままで国境ってのは赤い石か、検問所があるかしか見たことないけど、
柵はなかったな。いいの?」
「ああ、この湿地が境界を示してましたから。
湿地にの端に行けばありますよ。コットワッツとメジャートとナソニール、
あまり交流はありません。
姉たちが嫁いで、もっと交流が深まってもおかしくなかたのですが、
逆に途切れましたね。
その時はコットワッツには砂漠石しかありませんでしたから。」
「そうか、あのねーちゃんたちも苦労したかもしれないね。」
「そうでしょうか?わたしが次期領主となってから倹約していきましたから
旨味がないと踏んだのでしょう。」
「そうか。あのねーちゃんの母君はもう故人なのね。あのにーちゃんたちも?」
「ええ、そうです。」
「セサミンの母君は?」
「わたしの母も故人です。」
「そうなんね。んー、そっか、とりあえず、戻ろう。マティス?」
「ああ。」
「どうしたの?」
「馬車が来る。」
「ゴミを捨てに?」
「いや、荷をのせてる音ではないな。」
「ほんと、マティスは耳がいいね。」
「姉さん、もう少し様子を見ていてもいいですか?」
「もちろん。もしかして、浄化をしに来たのかも。」
馬車はけっこうご立派なものだ。
御者は鼻と口元を完全に隠している。降りてきた人たちもだ。
小さな声でモゴモゴなにか話してる。
隠密もだれも連れてきていないようなので、
真上に移動した。
「相変わらずここはくさい。吐き気がする。」
「仕方があるまい。ここ、何年と浄化は掛けていないからな。」
「父上は何と?」
「なにも。父上は浄化の仕事を軽んじている。
浄化の力が弱まったのなら領主に報告すればいいのに。それが務めだ。」
「嫌なのだろうな、領主に報告するのだ。
ここに捨てることで済むならそれでいいということだろう。
アバサネはうまく持っていくだろうか?」
「ルコールを巻きこんで、さらに自分の母君たちを丸め込んでの交渉だ。
うまくいってもらわないと困る。
まずはここをコットワッツの領土として浄化してもらわなければ。
近隣領民もそろそろ抑えようがないからな。」
「買い取るだろうか?」
「買うさ。コットワッツ領主は賢領主。だが、甘いとうわさだ。
あの2人が金を手に入れ出奔したがってることは見抜くはず。事実だしな。
情に流されるが、うまく買いたたいて手に入れるはずだ。
ナソニール側を合わせても3000がいいところだ。
こちらは1000リングも価値がない。
あとは浄化を施してもらってから、難癖を付けて、買い戻せばいい。
吹っ掛けて来るなら、それこそこんな湿地に価値はないんだ、
税が安くなるだけこちらが得をする。
浄化後、安くこちらに戻るのなら、せっかく埋まったんだ、開発もできる。
どちらにしろ、我々には損はない。ゴミはここに当分ここに捨てる。
コットワッツがなにをするにも、距離もあるし、時間がかかるからな。」
「事情を説明すれば?」
「は!お前も甘い!そんな弱みを他領主に見せてどうする?」
「ま、そうだな。
さ、もうここを離れよう。村長たちの陳情を聞きに行かねば。」
「父上もはやく当主の座を譲ればいいのに。」
「そうなると、お前との争いになるぞ?」
「それはご勘弁を。今の地位で十分です。」
「アバサネもそう言った。ルコールも同じ意見らしい。
世間を知らず、今の地位がどれほど恵まれているか知りもしない。
出奔してどこに行くんだ?」
「南諸国とは聞いていますがね。」
「は!勝手にすればいい。ああ、もういい。行こう。」
馬車は元来た道を戻っていく。
「どこまで本当なんだろうね。銃の話はでなかったしね。」
「セサミナ?あの2人の後を追うか?」
「いえ。今の話を聞けただけで十分です。戻りましょう。」
セサミンが領主の顔だ。しかも悪の帝王だ。兄弟そっくり。
怖いわー。
「セサミナ様、どちらに?」
「いや、ちょっとな。で、報告は?」
「はい、後継者争いをしてるという風ではないですね、銃の話も。
そこまでの話にはなっていませんし、第一に生産が間に合っていない。」
「なるほどな。」
戻ったらすぐにルグとドーガーの報告が始まった。
わたしたちは、お疲れのセサミンの為に、
姿を現さずに、コーヒーとお菓子を置いていったん戻ることにした。
半分過ぎにもう一度顔を出すことにする。
「なんなかなー、な話だったね。」
「そうだな。私は浄化が領主の仕事だということも知らなかった。」
「ああ、そうなのね。んー、でも、誰かがやってる仕事なんだよ。
それを知らないってことはそれだけ円滑に行われていたこと、
当たり前のことだったんだね。
マティスの父上も、セサミンもさすがだね。」
「ああ、さすがだ。」
サボテンの森に戻って、家の改造をして時間をつぶす。
マティスは食料のストックを作っていく。
味見係りは忙しい。
半分過ぎになったので、赤い塊老人バージョンの衣装に着替える。
「その姿になるのか?」
「うん。なんか呼ばれたときに赤い塊モウよりいいでしょ?
あれだね、赤い塊という一族なのよ。それで、普段は顔を隠して、
赤い衣裳を着ていると。そんな感じで。」
「私は?」
「マティスもお揃いで。」
ドテラというよりかいまき布団だ。そのフード付き。怪しさ満載だ。
『声はどうする?』
老人の声でマティスに聞いた。
『ん、これでどうだ?』
じーちゃんの声だ。
『ぶひゃひゃひゃひゃ!』
参考にしたのは端の村の人々。
(セサミナ?今から行くがかまわないか?)
(ええ、もちろん)
『『待たせたか?若き領主殿』』
「ぶっ!!兄さんまで!」
「あはははは!噴出しちゃだめだよ。
もし、なにかあるんなら呼んで?これで姿を出すから。マティスもね。
わたしたちは異国から来た石使い赤い塊一族ね。」
「ええ、ありがとうございます。」
(これはつなげておくからね)
(はい)
「セサミナ様、いらっしゃいました。
アバサネ様とルコール様、お二人方のみです。」
「通せ。」
(かーちゃん同伴じゃないのね)
(あの2人に話していることと、あの兄弟にはなしていることが違うからな)
「今日は姉上たちはいらっしゃらないのですか?」
「ええ。」
「父の墓石にも参らず援助だ、
支援だというのはおかしいと気付いてくれたようですね。
よかった。あの2人を姉上と呼んでいいものか悩んでいたんですよ。」
「・・・。」
「さ、昨日の話の結論は出ましたか?結論ですよ?」」
そこからは2人のプレゼンだ。
樹石がいかに優れた燃料か、
砂漠石は取れないコットワッツの次の産業にふさわしいか。
「なるほど。いま、砂漠石収集を仕事の軸にしていた領民は
確かに手は空いている。
しかし、もともとは合わさりの月の日のみの作業です。
それも、交代で。3月に一度砂漠に出ればいい。
出れなくなってもさほど困りはしない。
他領国の方に心配されることもないのですよ、ありがたいことにね。」
「しかし、確固たる産業がないのは事実でしょ?」
「ええ、そうですね。砂漠石関連の仕事は実質なくなった。
それで、樹石がおすすめだと?
その樹石の効力。火が出て、湯を沸かせる。
イリアスでの使用方法ですね。
言葉ではなく、ここで見せてもらえますか?
樹石は持ってきてますよね?当然。」
「・・・・。」
「そもそも見たことあるんですか?樹石。
どうやってその効力を調べたんですか?」
「・・・・。」
「後継者争いの軍資金が必要だから貸してくれと
言われた方がまだ話は通じますね。
もちろんお貸しすることないですが。」
「・・・ここで金が必要なことは隠しようがない。
わたしたちにはそれぞれに同い年の兄弟がいます。
みなは仲がいい。しかし、後継者争いとなると話は別だ。」
「そうでしょうね。
しかし、後継者としてはすでに、
フリー殿の名が挙がっていますよね?
それを覆すことができると踏んでの交渉ですか?
あとのレンジ殿は補佐役を買って出ている。
あなた方付け入る隙は無いように思いますよ?
ルコール殿のところはもう後継者としてカミール殿が決まっている。」
「そ、それは。」
「それに、隠しもしないで2人で出奔の計画を立てているとか?
隠しているのはあなた方の母上達にだけだ。昨日一緒に来ていた従者の方も
声高に話をしている。
どうやらわたしはよほど間抜けな領主と思われているようですね。
ま、そうなんでしょうけども。」
「・・・。」
「領地贈与は確かにその管理者に権利がある。
それはあなた方の父上だ、あなた方ではない。」
「違います!あの湿地は我々に財産として贈与されている。
管理者は我々だ。これは領主といえど覆すことはできない。」
「ほう。贈与されたのは湿地のみ?領民が生活する土地は?」
「それはあなたには関係ない。売るのは湿地のみなのだから。」
「あなた方の領民は湿地を利用していないのですか?
贈与が終わったその日に塀をめぐらせても問題は無いのですか?」
「ええ、もちろん。」
「ゴミ処理場として湿地を使っているのは調べればわかることですよ?
別の場所を確保しましたか?
しかもそのゴミ処理場はここ数年浄化をしていないとか?
それを売ると?塀をめぐらしても問題ないと?
それは金を手に入れたら出奔するから?あとのことは知ったことではないと?」
「そうだ!後のことは知らない!!」
「おい!アバサネ!」
「いいんだ、ルコール、何もかも見抜かれているんだよ!」
「見抜くも何も、隠すつもりはなかたんでしょ?
さ、最初に言いましたが、結論を言ってください。
金が要る。売るのはあの湿地。いくらで?」
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