いわゆる異世界転移

夏炉冬扇

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236:銃

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「姉さん!!」
セサミナが飛び込んできた。
「大丈夫。試合は?」
「え?ああ、終わりました。兄さんの一撃で。」
「そうだろうね。はー。」

なんちゅうことを想像するんだ?
マッパでダイヤだけを身に付けて、ベットの上ならいい。あり得るだろう。
なんで、謁見の館をその姿で、ファッションショーのごとく歩く。
そのあとは、もう、ダメだ。

「モウ殿?」
「ガイライ殿、大丈夫ですから。」
「ガイライと呼んでください。」
「?それはかーちゃんとして?」
「いえ、主として。」
「誰を主と思うかは自由だと思うけどね。んじゃ、もう一度、
あの形、やってみてください。」
「ええ、何度でも。」

水平に重ねる拳。
それを両手で包む。

「!」
「守るから。ガイライ。」
「はっ。」





「愛しい人、糸だ。」
「マティス、マティス!!却下だからね!」
「どこまでが?」
「どこまでって?考えたらわかるでしょ?」
「んー、ああ、飯も食べずにって所か?」
「ちーがーうー!!あーいうことをするのは家の中だけ!」
「ああ、そうか。もちろん。誰にも見せない。誰も見なければいいのだろう?」
「ん?そうなるの?」
「そうだ。想像でも誰もいなかっただろう?」
「そうだよね。ん?あれ?」
「ほら、大丈夫だ。」
「ね、姉さん!兄さんの大丈夫は大丈夫じゃないですよ?」
「あ!危ない!セサミンにさっそく守ってもらったよ!マティス!
このピンク関連はあとでゆっくり話し合いましょう!」
「ああ、もちろん。ゆっくりな。
・・・セサミナ?余計なことをいうなよ。」
「ひえっ!」
「マティス!」
「ははは!冗談だ。」
「・・・冗談の殺気じゃなかった。」

「もう!で?試合はもちろん勝ったよね?」
「もちろん。愛しい人が閉じてしまった後、体が重かった。
糸だな。まとめてここに。なかに何かいる。
それと、棄権してきた。」
「棄権はいいよ。最初からそういってたんだもの。
その試合を見てないってのは問題だけど、もう十分だしね。
糸はいいけど、中にいるの?その蜘蛛が?」
「元なるものだ。だから、蜘蛛かどうかはわからない。」
「生き物?」
「それもわからない。」
「んー、移動させようか?生き物なら閉じ込めてるのはかわいそうだしね。」
「?愛しい人は虫は嫌なのだろ?」
「そうだけど。それとこれはまた違う問題だよ?
 でも、そうだね。こう、移動させた瞬間、ぶわって、なにかがわしゃわしゃって出てきたら、
Gが発動するね。断言できる。」
「ダメです!師匠として許可できません。」
「しかし、師匠!条件反射です。」
「はぁ、わかりました。
次はルグの試合です。勝てば続けてルカリアの銃使いとです。
今しなくてよろしい。」
「そうだ、そうだ。銃の対策を考えないと。
ルグ?次が終わったら必ず戻ってきて?それまでに考えておくから。
とりあえず、ドーガーが手こずった相手をけちょんけちょんにしておいで。」
「はっ。」
「奥方様?わたしはやはり弱かったんでしょうか?」
「ははは。糸を使われたらルグは負けるね。でも、ドーガーは糸には勝った。
誇っていい。二刀流もね。
でも、相手の方が純粋に槍使いとして上だった。相手は次は最初から戦士としてくる。
そうなると、ドーガーにはまだ早い。その差だよ。
師匠と同士なったんだ。次の段階に行かないとね。」
「はい!」



「次戦、準決勝
ルカリア ライガー 対 コットワッツ マティス戦は マティス棄権の為
ルカリア ライガーが決勝へ。」


どよめきが起こる。
黄色い悲鳴も。

「準決勝、
コットワッツ ルグ対 マトグラーサ ケーブ 始め!」



「やはり模範だな。」
「前も言ってたね。ダメなの?」
「いや、基礎が出来てるが、変則の対応には少し間が開く。
すぐに物にするがな。次の銃ではどうだろう。私も銃使いと対戦したことはない。」
「そうか。師匠は?」
「1発銃ならありますよ。それを避ければ次に撃つまで時間がるので問題はなかったんですがね。
連射はどうでしょうか?」
「そこだよね。ガイライ殿、ああ、ガイライ?どう見る?」
「ワイプと同意見です。連射というのがまずい。
ルグには不利だ。
銃問題はこの後マトグラーサを呼んでの会議あります。
連射ができることに王族はずいぶん乗り気ですね。
マティスは銃を恐れての棄権といわれるでしょうね。」
「ああ、そうなるか。んー、セサミン?」
「はい、姉さん、なんでしょうか?」
「少し話をしようか。」
「はい。」


この試合はルグが勝つだろう。
問題はやはり次の試合だ。


「マティスが棄権したのは銃を恐れてだ。それは好都合だ。
マティスが銃使いと対戦するなら、わたしがあらゆる方法で銃を無効化してしまう。
マティスが止めてもね。それほど、銃は怖い。
では、銃が無効化された後はどうなる?銃は銃で発展していくだろう。
防御の力があるとして、マティスが、コットワッツが注目される。
いい意味ではなく悪い意味でだ。ますます王都に煙たがられる。
わたしは身内は守る。でも、それだけだ。悪いけど、
見たこともない人たちまでは守れない。
砂漠石の加工もしない。セサミンは砂漠石を糸に変えることまでできる?ダメ?
一つにまとめるぐらい?そう。
だったら、砂漠石の糸化ができるというのは除外しないといけない。
ルグには砂漠石の糸で作るマントでも着せようかと思ったけど、
王族が乗り気なら、それは何だという話になる。
ルグを守れない。素早く移動して?それはダメだ。
この観衆の前ですることは得策じゃない。
マティス?いい?」
「ああ、私も同じ意見だ。セサミナ、我が主よ。あなたを護衛するものとして
ルグを失うことはできにない。ルグには棄権を。」
「・・・わかりました。ルグに話、いえ、これは命令ですね。」
「うん、セサミン、ごめん。ルグにはわたしからいうから。」
「いいえ。わたしも同じですよ。ルグを失うことはできないし、
姉さんの力を見せるわけにはいけない。」


「勝者、 ルグ!」

素晴らしい戦いだったのだろう。
大歓声だ。


「戻りました。?」
「ルグ、おめでとう。あのね、次は銃なの。それでね、」
「ええ、奥方様、赤い塊殿、我が主がお仕えする方、そして、モウさん。
わかっていますよ。棄権します。主を守ることがわたしの使命ですから。」
「ああ、ごめん、ルグ。ルグは強いのに。」
「ええ、強いです。しかし、銃相手ではね。審判に話してきます。」




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