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222:名乗り
しおりを挟む16人。
どう戦うのだろう。マティスではなく相手が。
「自信があれば一人ずつ向かって行けばいいのに。
ないから、にわかに連携を取ろうとする。素人ですね。
数があるほうが有利だと思ってしまうのでしょう。」
「なるほど。それで、師匠は終わってからどちらに?ルグとドーガの試合は終わったんですよ?」
「問題なかったでしょ?」
「もちろん。」
「あの5人に念押しをね。」
「師匠、怖い!!」
「はははは。準備も大事ですが、後始末も大事なのですよ。 」
「はっ。勉強になります!」
「早く始めよう。愛しい人のそばを離れるのはよくない。」
「は!知ってるぞ?20歳前でニバーセルで名をはせたようだが、
何年前の話だ?片腕をけがしていたとも聞いている。
それが、弟の護衛というのが笑かせる。筆頭ルグがいるから何もしなくていいものな!」
「おお!マティスより、ルグのほうが上だと思われていますよ!
さすがルグです!」
「奥方様、どうしてそこでわたしをほめるのですか?」
「え?マティスが強いのは知ってるもの。ルグの強さを認められた方がうれしいでしょ?」
「・・・ありがとうございます。」
「ルグ、かわいそうに。本選で真っ先にやられますね。」
「それはワイプ様です!」
「全員で来るか?順番で来るか?
こっちからは行かないから、さっさと来い!」
そうか、そう誘えば、1人か、連携が取れるなら2人、3人で来るか。
でも、隙をついてくる人もいるよね。ほら。でも、問題なし。
ああ、きれいだ。これが見たかった。
髪を後ろに編み込んで止めた飾りもきれいだ。
ガラスで作ったネックレスを髪留め変えたのだ。
わたしも同じように編み込み髪をとめている。
ゴムにそれを付けただけだけどね。
きらりと光るのがきれい。
はー、かっこいい。
その言葉だけだ。
わたしもマティスにそう思われたいな。
次はわたしだ。30人。
何を思ってわたしと対戦したいと思たんだろう?
それは聞いておこうかな?
「勝者、マティス!」
黄色い歓声が一段と大きい。
もちろん、その中の一つがわたしだ。
「マティス、見てて!」
「ああ、愛しい人。お前を魅せてくれ。」
おでこに口づけをもらった。
えへへへ。照れる。
廻りを30人が囲む。
「えーと、みなさんとは初対面ですよね?なぜに指名をいただいたのかお聞きしても?」
「気に入らない。旦那が強いだけなのに大きな顔をしているのが!」
これは領国の女性陣。いまいち意味が分からない。
生産院はメディングの護衛を倒したわたしとしたかったとのこと。うん、これはわかる。
軍部は最低だった。指名しないと1番副隊長が来るのはわかっていたこと。
ならば、一番弱そうで名前が分かっているわたしが最適だと。
ドーガーより弱そうに見えたのか。あ、気をまとってないや。それでか。うん、納得。
「わかりました。
みなさん、いまいちわたしことをご存じないようなので、
わが故郷の習わし、名乗りを上げますね。」
中央にでて、一度はやってみたい名乗りを上げる。
武具は棒。
ルグのまねをして、頭上で回転させ、型を決める。
前左の構え。
『やあやあ、遠からん者は音にも聞け、近くば寄って目にも見よ。
我こそは、資産院ワイプが一番弟子にて、我とコットワッツが筆頭ルグ、次席ドーガーが主とする
賢領主セサミナの兄にして希代の剣士マティスの半身、
赤い塊モウなり!
見事この首とって手柄にせよ!!』
そこからは蹂躙です。
軍部はおはなしにもならない。気を練り、棒に絡めて振るだけでばっさばっさ倒れていく。
無理矢理参加させられたのだろうか?それだったらかわいそうに。
しかし、これはセサミンのいうところで、これが軍部中堅どころなら不安しかない。
生産院の方々はなかなかに連携が取れている。
が、5人。いままでは良かったのだろうけど、連携をとるのに時間がかかる。
要はやはり遅いのだ。
変身ポーズの間で叩く行為だが、だれがせーのっていうまで待つんだ?
みなもわたしが名乗りを上げてるときに打ってでればよかったのに。
銃を使うものもいました。へー、やっぱり砂漠石をこういう風に利用するよね。
でも、構えが遅い。砂漠石の棒でよかった。どこの領国だろう?
この女性陣はみな違う国だと思うのだが。
半分は銃を持っている。ああ、はやり?女性は流行に敏感だから。
のこり4人は剣だ。でもさ、わたしを後ろから撃とうとして、わたしが避けると
わたしの前にいた人にあたるよね?
で、それで戸惑うのはなぜ?わたしを殺してもいいけど、同じ従者仲間か護衛仲間はうちたくないって?
ふーん。
銃って怖いよね。簡単に死んじゃうもの。
しかし、この団体戦では不向きだ。
一人、銃で倒れ、それを撃った彼女の顎を砕く。
驚き、あらぬ方向に撃つ者の腹を付き、剣を振り下ろすものの顔面に蹴りを入れる。
靴底はゴムを硬化して作ってある。痛いだろうな。
そのまま、彼女の顔を踏み台に宙に舞う。
のこり2人の銃遣いが狙いを定めて降りてくるわたしを撃つ。
だから、延長上に誰がいるか確認しようぜ?
2人の同士撃ち。馬鹿だ。
残り2人。ラルトルガの娘2レベルだ。なにこれ?
心臓を付いて終わり。
礼をする気にもならないが、一応礼。
「勝者、モウ!」
マティスがすぐこちらに来る。
わたしが不機嫌だからだ。
「どうした?あれは素晴らしかったぞ?ワイプの一番弟子というのが気に入らないが、
私の半身だと言ってくれたのがうれしい。」
「慢心はしてないんだけど、なんだろう?あまりの弱さに驚いた。
この団体戦で銃なんか不向きなのに。なんで?」
「銃な。ワイプが調べさせている。性能がいつの間にか向上しているらしい。
私はお前の銃を見ていたから驚かなかったが、ワイプは顔色を変えていた。」
「え?あれで性能がいいの?連射できないんだよ?」
「私も疎かったが、できないのが普通らしい。」
「うわー。それでも、昨日、今日持たされた感じだった。
今回の会合で売り込んだところがあるのかな?」
「!それか!ワイプに伝えてる。」
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