いわゆる異世界転移

夏炉冬扇

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170:骨格

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もめた。
案内人が現れ、会場に案内するといわれ、大きな競技場みたいなところにつれていかれた。
わたしの姿を見ても何も言わないのはさすがである。
そこでは、試合をする人と、観戦する人とで別れる。
なのにマティスが嫌がったのだ。
離れたくないと。
で、あげく試合に出ないとごねた。
そこはかっこいいマティスが見たいと言えばすんなり了承したのだが、
今度は席までエスコートするのがワイプというのが許せんと。

「いや、わたし師匠の弟子だけど、おかしくないよね?」
「そうですね、女性を守るというのは男性の役目という考え方はおなじですよね?」
「うん、レディファースト、意味あってる?」
「ええ、同じです。それを思えば、ワイプ様がエスコートするのはおかしくはない。
弟子とはいえ、女性ですから。兄さん、小心すぎますよ?
わたしがすると今度は姉さんの立場が微妙になってくる。
もちろん姉をエスコートするのは問題ない。
しかし、高級官僚とはいえ、一役人の弟子をエスコートするとなるとややこしくなる。
ワイプ様がいるにも関わらずです。」
「もう、マティス!ダーリン!早くいっておいで!
見てる席から投げキッス送るから!こんなの!v!ね?」
「わかった!行ってくる!・・・セサミナ、ワイプ頼むぞ」

「「・・・・・」」

「さ、ワイプ師匠お願いします。」
「はい、わかりました。モウ殿はマティス君の上を行くのですね」
「ふふふ、心配してるんですよ。ほら、向こうにこのドレスの元持ち主と
持ってきた子がいる。ここの娘さんだったんですね。
きちんと女性の恰好をしている。ほら、覚えがありませんか?」
「そういわれてから頑張って思い出そうとしてるんですがね。
・・・ああ、あの骨格、覚えがあります。
確か、何年か前に弟子入りを志願してきました。
なんでも、わたしの鍛錬を見たとかで。
弟子入りというか教えろと命令されましたね。
でも、あの骨格、あの筋肉でしょ?あなたのその体では無理だと断りました。
別に女性だからとかは関係ないんですがね。
それで、今見る限り筋肉がつけてるわけでもない。
なんでしょうか?」
「そうだね、なんだろ?」
「姉さん、ワイプ様、それは、女性だから断られたと思ったのでは?
で、男ならいいと。
どこでどう勘違いしたのかわかりませんが。
なのに、同じような背丈のものが弟子になっている。
しかも、女性で。許せないんでしょうね。」
「えー、迷惑な。」
「そうですね。ならば、筋肉を付ければいいものを。」
「ああ、いい言葉がありますよ。マティスも喜んでました。
”筋肉は裏切らない”どうです?」
「素晴らしい!まさにその通りです。よい言葉ですね!」
「そ、そうなのですか?」


3人で話していると、ファンロがやってきた。
奥方と2人の娘、数人の取り巻きがいる。
気配を消しているものはいない。みな試合にでるのか、
タンタンもいない。試合に出るようだ。

「ファンロ様、なにやら大事になりましたね。御前試合になるとは。」
「ええ、えっと、ところで、そのご令嬢は?」

ご令嬢というキーワード!ちょっとわくわくすっぞ!
が、女どもの視線がいたい。

ワイプ師匠が前にでる。
「はははは、ファンロ殿はご冗談がうまい。
我が弟子、モウですよ。御前試合となりましたので、不敬になってはと
そちらのご息女がドレスを下げ渡してくださったのですよ。
お気遣いはさすが、領国のご令嬢だ。ほら、モウ、礼を述べなさい。」
「はい、お嬢様が下げ渡してくださったおかげで、
こうしてティス、我が夫の雄姿を見ることが出来ます。ありがとうございます。」
「夫?」
そこで奥方は声をあげる?え?狙ってたの?
「ええ、夫婦での同行はなにかと不便で
兄と呼んでおりました。ティスは我が夫でございます。」

にこりとファンロに微笑みを返す。
あ、マティスが笑うなと気を飛ばす。はーい。

わなわなと娘1が声を荒げる。
娘2はこちらを睨みつけるだけだ。

「わたくしはそのようなドレスを下げ渡してはいません!それはわたくしのものです!
盗まれたのです!返しなさい!」
そうくるか。
「見間違えてはいませんか?そのお嬢様の胸の大きさにこのドレスは合いませんよ?
ずり落ちてしまいます。こう、ベロっと。ね?見間違いですよね?」
セサミンと師匠が笑いをこらえる。ひどいな。
お嬢様は顔が真っ赤だ。
「!そ、そうですね。たしかに下げ渡したものですね。見間違えました。
ええ、元はわたしのものです。お返しなさい!」
えー、そういうのありなの?セサミンの顔を見る。
「ははは、何をおっしゃいます。ご令嬢が貴族が下のものに下げ渡したものを返せとは。
ファンロ様と言い、冗談がうまい。
しかし、もし、冗談ではないとすれば、ラルトルガも先が見えますね。」
「もちろん、冗談ですよ。」
「そんな!お父様!!」
「黙りなさい!さ、折角の試合前です。我が剣士もなかなかのものと自負しております。
農耕畜産のラルトルガではない。これからは武と芸術のラルトルガなのですよ。
この競技場も最近作りました。みな、腕をあげているのです。
今日は隣国筆頭のルグ殿、次席と言われるドーガー殿、王都鍛錬のワイプ様の弟子、
これほどの兵がそろうのです。手合わせなどもったいない。
なので、正式な試合とさせてもらいました。それはかまいませんでしょう?」
「ええ、もちろん。我が国の2人がどこまで力を伸ばしたか見るのにいい機会です。」
「そうですね、我が弟子ティスはわたしと手合わせしても終わりがないのでね。
今の力を見るのにいい機会ですね。」
「はははは、なんと余裕のある発言ですな。手合わせを望むものが山と出ましてな、
申しわけないが団体戦で、そちらは好きな時に交代してください。
続行不能となった時点で試合は終わりです。こちらは結局何人望んだんだ?
ああ、ん?剣士全員か?仕方がないな、みな憧れなのでしょうな、がはははは」
?どいうこと?師匠の顔を見る。
「モウ、ここの剣士全員を3人で相手をするということですよ?」
「そんな!何人いるのですか?」
「ああ、200人ですかな?かまいませんでしょう?」





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