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92:月無き石
しおりを挟む星があるとはいえ、見上げれば明るいが地表はかなり真っ暗だ。
その中でうっすら光るものがある。
砂漠石はこの日には地表にはでてこないらしい。
月が出てないから?
では海峡石?どうやら違うらしい。
マティスも初めて見ると言っていた。
点々とひかる石を拾いながら、進む。
途中でいくつ拾うか競争になってしまった。
「では5分後にここに集合。石の呼び寄せは禁止ね。」
「わかった。」
拠点となるここに大きめの砂漠石を置き、
時間計測はそれぞれに砂漠石をもち、ひかって知らせてくれる手筈だ。
「では、開始!」
右に左にとわかれ、それぞれに砂漠に飛び出していく。
光ってるところめがけて移動。そこを拠点とすれば、
目視で移動できる。移動、拾って、移動。
手では持ち切れず、収納ポッケに入れていく。
5分。
手元の石が光、振り返れば、遠くで真上に光を放つ箇所がある。
かなりの移動したようだ。
最初の場所に戻るが、マティスはいない。
?
(こっちに来れるか?)
マティスだ。
(なにかあった?手元の光を動かして?)
マティスが移動したほうを見ると光が動く。
そこへ。
マティスがしゃがみこんでいた。
「どうしたの?」
「ここを。」
横にしゃがみ込み、地面をみる。
ここだけなぜかほんのり明るい。
砂をどけると明るさが増した。
「でっかいね。この石の親玉?」
「わからない。大体この石がなにかもわからんからな。」
拾い集めた光石は、丸く平たい。
それをさらに大きくお盆のようにしたものが埋まっていた。
「んー?そもそもこれ石?」
「それもわからんな。どうする?取って帰るか?」
「親分石は置いていこう。またこれるから。」
「そうだな。それで、石はいくつ集まった?」
「ふふふ、マティスさんや、この勝負わたしの勝ちですよ?
11コです。」
ポッケから石をパラパラと外に出した。
光が重なりすごくきれいだ。
「私は34コだ。私の勝ちだな?」
マティスも袋から出した。小さな山になる。
「うそん!そんなに?どうやって?」
「見つけて移動、見つけて移動だろ?」
「わたしもそうしたよ?」
「見つけて、移動して拾い上げるときには次の石を見つけている。
その差だな。」
「あーーーー、なるほど。」
そんなやり取りをしている足元で、集めた石が
輝きを増し始めた。
「お?」
水銀が集まるように1つになっていく。
わたしが集めた分と、マティスが集めた分。
大小のお盆。
その2つを重ねるとまた一回り大きいお盆になった。
「なんだろ?おもしろいね。」
「はじめてみる。」
「これ、こっちの親玉に置いてみてもいい?」
「1つになると思うのか?」
「うん。置くよ。」
なじむように1つになった。
「なんだろうね。ひとつになりたかったんだったらいいけど、
やっと拡散して砂漠拡がっていたんなら、いらんことしたかもしれんね。
聞いてみよっか?」
「これにか?」
「そ。」
『月無き夜に砂漠で光るあなたはなに?
ちいさな子らの旅立ちを邪魔したのだろうか?
そうならば、1つ。
離れ離れになった同士を待っていた?
そうならば、2つ。
輝いて見せて?』
淡く光っていた光は消え、そこから2つ、輝いたあと
また淡い光にもどった。
「よかった、余計なことをしたんじゃなくて。」
「愛しい人はすごいな。」
「ん?ものと話すこと?なんにでも魂がやどってるんだよ?
しかもこんな不思議な石は特にね。話せば応えてくれるよ?」
「そうか。」
「んー、でも、ちょっと持って帰って調べたいな。」
『月無き夜に砂漠で光る石殿、
わたしたちと一緒に旅に出ることはできない?
希望者だけでいいんだけど?』
石が光り、集めた石と同じ大きさのものが45個はじき出された。
今度は一つにはならなかった。
「お?こんなに?いいの?集めた石と同じ数だね。」
「いいのか?」
「ん?持って帰ること?」
「いや、この石が人にお前に悪い影響を与えないか?」
「ははは、心配性だね。そうならば、マティスは最初からこれを集めたり
集めた数を競争しようなんてこと言いださないでしょ?」
「・・・競争しようといったのはお前だ。うん、そうだな、悪い感じはしなかったからな、
月無き夜に砂漠で光る石殿、申し訳ない。」
「ふふふ、マティスも石とお話しできるね。
さ、月無き、長いな。もう、月無き石でいいか、これからそう呼ぶよ。
なにかあったら、この子たちに知らせて?そしたらここに来るから。
こっちも落ち着いたらまた来るよ。」
散歩の成果は月無し石45個と勝負に負けた為、
歌を歌うこととなった。
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