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36:作業部屋
しおりを挟む扉君の近くに作業部屋を作る。
こう、ドーンと空間を広げ、作業台を作り、椅子を作る。
すべて土だが、石でコーティング。
とりあえず、ここの土を調べてみる。
作業台の上に、この空間の土と少し深めのトレーを5つ並べた。
かなり下にもぐったから土なのか、砂ではない。
風呂場に使った砂は上から”来てもらった”ものだ。
呼び寄せが効く。毛布も石鹸も。わたしが認識すれば大丈夫のようだ。
知らないものはダメ、そういうブレーキがかかる。
タロスさんの鞄はそういうのがあると認識したからだ。
あるとわかっていればある。
んー?ではこの世界にある宝石とかもあるはずだからここに呼べるか?
無理だな。犯罪だ。ブレーキがかかる。なるほど。
自然の中なら大丈夫なわけだ。
ここの世界と元居た世界は大体同じ。
繁殖の方法と時間の流れが違う。これは大きいが、まずは置いておく。
食べ物は大体同じ。ということは植物も同じ。コーヒーやお米もある。ありがたい。
衣服も同じ。
虫歯はない。菌が違うのか?あのガムが強烈なのか?これも置いておく。
病気は有るみたい。
貞操観念が違う。ある意味、男性はうぶだ。いやマティスがか?
近いうちにドロドロに溶かしてやろう。あ、溺愛パターンか?いや、これは付随するものだ。
そして、鉱物も同じ。名前もリンクしている。
産業の発展もほぼ同じ。水銀の鏡、鉄鉱石。いずれ追いつく。
しかし、砂漠石の力があるから、どうだろう?
マティスみたいに言葉の力に気付くも人がいないのがおかしい。
やはり、大規模に制御、ブレーキがかかっている。
月の光、暦の光。暦を分解できないかな?
いやいや、この世界の秘密に迫ってどーする?
それはそれ、これはこれで受け入れればいい。
弟君のこともわざわざ首を突っ込まなくてもいい。
そっと、面白おかしく生きていこう、そうしよう。
脱線しそうになったが、まずは塩。
人間、塩がないと生きていけません。ザ・塩化ナトリウム。
『塩。食べれる塩。こちらに集まれ~』
土を指さし、その次にトレーを指さす。
サラサラと白い粉が移動する。
天才ではなかろうか?わたくし。
『金。ゴールド。こちらにどうぞ。』
カツカツカツ。
『銀。シルバー。どうぞどうぞ』
カツカツカツ。
トレーに転がっていく。塩とはちがい、こう、半田を溶かしたようなもの。
『鉄は鋼で。加工しやすいように、塊で。』
ガツンガツンガツン。
『銅も。加工しやすいように、塊で。』
ガツンガツンガツン。
レンガ状に組まれていく。
『ストーップ。ありがとうございます。』
きれいにお辞儀をした。
あ、海峡石は?
『海峡石さん、こちらにどーぞ。』
・・・・
うむ。ないんじゃなくて来ない。でも、近くにある。わかる。
『後でお迎えに上がります。お待ちくださいませ。』
なるほど、なるほど。
あと、なにがあるだろう?
あ、ダイヤモンドは?ルビーにサファイヤ、エメラルド。
それっぽく、ポーズ付きで。
『誰のものでもない、輝く石たち。
我が欲する、来たれ!!』
なんて、来るわけがない。欲してない。
銅は欲したよ。銅板細工できるもの。
金も、銀もね。あ、白銀、プラチナ。
嫁に指輪を送ろう。
小さな石がついたシンプルなもの。
あの緑の瞳はきれいだった。
ここの世界は色が変わるの?
なんとなく聞いてはいけないような気がする。
でも、あの緑が欲しい。
あ、わたしが身に着けていたい。
じゃ、マティスには?
あ、赤い塊っていうのが最初の印象みたいだから、赤いのを送ろう。
2人で探しに行くのがいいな。
『白銀、プラチナ。愛する人に指輪を送りたい。
それで、わたしもほしい。』
ものすごく本気でお願いした。祈りに近い。
握りしめた手の中が一瞬熱くなる。
手を開けると、輪っかが二つ。
プラチナリング、イエイ♪
サイズ調整できるだろう。
洗面所に置く歯磨き用の塩と、台所で使うであろう塩をそれぞれの容器にいれ、
鉱物は壁に棚を作り片付けていった。
見えるほうがいろいろ閃くからね、見せる収納。
なんとなく、トイレも作る。
あのトイレは広い。もうちょっと狭いほうがいい。家のトイレを再現。
なんとなく螺旋階段を部屋に作った。
うん、なんとなく。
紙と布がほしい。
あ、【せんせい】がほしい。あれ、最近のは2色らしい。すごい。
磁石?磁鉄鉱?砂鉄?メッシュは不思議石大先生にお任せ。
いや、お風呂の壁みたいに大先生にキープしてもらえばいい。
砂漠の砂にもいろいろ色がついてたから、それを使うか。砂絵だね。
どんな色があるんだろう?
うむ、地学の先生殿よ、もう少し勉強しておけばよかった、すいません。
ちょっと休憩しようかな。
コーヒーを飲もう。ネルドリップだ。
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