いわゆる異世界転移

夏炉冬扇

文字の大きさ
34 / 869

34:ペアカップ

しおりを挟む



トイレにビデ機能と、ハンドドライヤー
お風呂に普通のシャワーと、湯舟の近くに銭湯のような洗い場。
座って体を洗いたい。
排水して、汚れを分離しようとおもったけど、これだけの大量の水が
どこぞに流れるのはまずくないか?と思い、24時間風呂のように
循環させる。雑菌の繁殖が怖いのでフィルターは念入りにお願いした。
脱衣の横に洗面所。鏡を付けた。歯磨きは当分指ですることにした。
塩ってあるのかな?あ、岩塩?それこそ海が隆起したんならあるよね?
寝るところとは別に仕事部屋を作ろう。
扉君の近くがいいかな?

さっくりと改良していく。
元の世界でこれができたら、職を無くす人がでまくるな。
わたしはその筆頭だ。怖い、怖い。

扉君におはようのあいさつ。

「扉君、おはようございます。見張りご苦労様です。
どうですか?外は?出れそう?」
扉に手を当て、聞いてみた。
なんとなくいけそうな感じ。扉も前回と違って動きそう。
けど、重い、物理的に。

「これはマティスに開けてもらおう。ありがとね。」

扉君にもキスがしたいが、ダメだと言われたし、
体勢的に難しい。手で撫でまくる。
わしゃわしゃと。
なんとなく喜んでるような気がする。
扉の擬人化。新しいジャンルだ。


台所に戻ると、いいにおいがする。
のぞき込むと、笑顔のマティスがいた。
おいおい、新婚家庭か?どこの新妻だ?
どこの?わたしのだ。
母さん、わたしやっと嫁をもらったよ。

「いま、呼ぼうとしてたんだ。終わったのか?」
思わず抱き付き頭をぐりぐりこすりつける。

「マティス、2人で幸せになろう。」
「え?な?なに?」

見上げれば顔を赤くするマティス。ああ、かわいい。
俺の嫁は世界一。
これだ!このパターンなんだ!えーと、パターンHだ!!


「目指すパターンもわかったし、朝からいい日だ。
これ?テーブルにもっていくの?はこぶね?」

まだ、固まってるマティスはおいて、
スープとこれはクレープ?ハムを巻いている。
野菜系がないが、ピクルスっぽいのは有る。
素晴らしい。
『おぼん、ぼんぼん、お盆で運ぼう♪』

ポケットに入れた石を取り出し
トレーを作る。
今の歌もどきは手で物を運ぼうとすると決まって母が怒っていうフレーズだ。
一人になってからこれを言いながら短い距離でもトレーで運んだ。
うん、母さん、ちゃんとできてるよ。

いそいそとテーブルに運ぶとランチョンマットも置いてあり
あとは並べるだけだ。
うしろから、カップを2つもったマティスがやってきた。

「いまのは歌?言霊?」
「ん?気にするない。とりあえず言葉で表現すればいいんだから。
あ、それなに?コーヒー?紅茶?」
「ああ、同じものがあるんだな?コーヒーだ。」
「うれしいね。コーヒー好きなんだ。」
それぞれにコップを置き、2人して座った。
カップは磁器だ。
家にあったものなんだね。お揃いだ。ペアカップだ。
いや、もともとあったんだからタロスさんのか。それでもちょっと顔がにやける。

「いやらしい顔になってるぞ。」
「失礼な。さっきのマティスはかわいかったよ?」
またしても、顔を赤らめる。あー、かわいい。
 
「2人で、し、幸せになるんだな?」
「うん、マティスさえよければ。いや、違うな?」
「え?違うのか?」
「マティスがいれば幸せになるよ。わたしがね。そのついでにマティスも幸せになってくれればうれしい。
 フフ、まずいのに捕まったね。」

がばりと立上り、真剣な顔でこう言ってくれた。

 「私と2人で幸せになろう。私も幸せなんだ。」

うれしいね。

「うん。」

そのあとは2人して照れ臭いのか黙って朝ごはんを食べた。



しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

男が英雄でなければならない世界 〜男女比1:20の世界に来たけど簡単にはちやほやしてくれません〜

タナん
ファンタジー
 オタク気質な15歳の少年、原田湊は突然異世界に足を踏み入れる。  その世界は魔法があり、強大な獣が跋扈する男女比が1:20の男が少ないファンタジー世界。  モテない自分にもハーレムが作れると喜ぶ湊だが、弱肉強食のこの世界において、力で女に勝る男は大事にされる側などではなく、女を守り闘うものであった。  温室育ちの普通の日本人である湊がいきなり戦えるはずもなく、この世界の女に失望される。 それでも戦わなければならない。  それがこの世界における男だからだ。  湊は自らの考えの甘さに何度も傷つきながらも成長していく。  そしていつか湊は責任とは何かを知り、多くの命を背負う事になっていくのだった。 挿絵:夢路ぽに様 https://www.pixiv.net/users/14840570 ※注 「」「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています。

『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる

仙道
ファンタジー
 気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。  この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。  俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。  オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。  腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。  俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。  こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。 12/23 HOT男性向け1位

ユーヤのお気楽異世界転移

暇野無学
ファンタジー
 死因は神様の当て逃げです!  地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

魔界建築家 井原 ”はじまお外伝”

どたぬき
ファンタジー
 ある日乗っていた飛行機が事故にあり、死んだはずの井原は名もない世界に神によって召喚された。現代を生きていた井原は、そこで神に”ダンジョンマスター”になって欲しいと懇願された。自身も建物を建てたい思いもあり、二つ返事で頷いた…。そんなダンジョンマスターの”はじまお”本編とは全くテイストの違う”普通のダンジョンマスター物”です。タグは書いていくうちに足していきます。  なろうさんに、これの本編である”はじまりのまおう”があります。そちらも一緒にご覧ください。こちらもあちらも、一日一話を目標に書いています。

異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました

雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。 気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。 剣も魔法も使えないユウにできるのは、 子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。 ……のはずが、なぜか料理や家事といった 日常のことだけが、やたらとうまくいく。 無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。 個性豊かな子供たちに囲まれて、 ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。 やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、 孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。 戦わない、争わない。 ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。 ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、 やさしい異世界孤児院ファンタジー。

神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします

夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。 アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。 いわゆる"神々の愛し子"というもの。 神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。 そういうことだ。 そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。 簡単でしょう? えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか?? −−−−−− 新連載始まりました。 私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。 会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。 余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。 会話がわからない!となるよりは・・ 試みですね。 誤字・脱字・文章修正 随時行います。 短編タグが長編に変更になることがございます。 *タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。

ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います

とみっしぇる
ファンタジー
スキルなし、魔力なし、1000人に1人の劣等人。 食っていくのがギリギリの冒険者ユリナは同じ境遇の友達3人と、先輩冒険者ジュリアから率のいい仕事に誘われる。それが罠と気づいたときには、絶対絶命のピンチに陥っていた。 もうあとがない。そのとき起死回生のスキルオーブを手に入れたはずなのにオーブは無反応。『』の中には何が入るのだ。 ギリギリの状況でユリアは瀕死の仲間のために叫ぶ。 ユリナはスキルを手に入れ、ささやかな幸せを手に入れられるのだろうか。

異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?

お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。 飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい? 自重して目立たないようにする? 無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ! お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は? 主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。 (実践出来るかどうかは別だけど)

処理中です...