11 / 863
11:どうするか
しおりを挟む「・・・おい、おい!」
黙り込んだわたしにマティスが声をかける。
「ん?なに?あ、トイレ?」
「といれ?なに?」
「あー、便所?おしっこ?」
「・・・ちがうっ!こともないが、だいたいここはどこなんだ?
安全な場所というのは?」
再び廻りをキョロキョロしだすが、どう説明したものか?ま、うそを言う必要もない。
「あんたの家の地下だよ。安全な場所~っていう願いでね。
明かりがないのに見えるのも願い。家具もどきは不思議石じゃなくて砂漠石と土から作った。
ほとぼりが覚めるまでここにいてもいいかな?と思ってたんだけど、
雨が降ったら、たぶん浸水する。防ぐと空気もなくなる。
トイレとかお風呂とかも考えてなかった。わたしはいいけど、あんた出すものね?
それに、お風呂に入りたい。」
「雨はこの時期降らない。1年に一度だ。」
「1年っていう長さが分からんのよ。1年に何回月は昇るの?」
「それも違うのか?月は40回に一度合わさりそれが18回。それから雨が降ってやめば1年だ。」
「?雨はどれくらい降るの?」
「決まっていない。長い時もあれば短い時もある。月が昇らないので何日とは言えないが、10回は寝る。」
「うわー、時間って大事だねって改めて思うよ。年齢もわたしの感覚とはちがうんだろうね・・・」
「ほんとうに別の世界の人間なんだな。
風呂は同じなのか?といれ?便所のことか?それはおなじ?
ここは家の地下なのか?すごいな。石使い以上だな。
・・・しかし、外の様子はわかるか?だれかまだいるか?」
「さすがに、気配とかはわかんないよ。音はするからまだ誰かいるんじゃないの?
あのままほっといたら確実に死んでるよ?で、この世界でも死んだら体は消えるの?
そのまま残るよね?んで、上でガサゴソ音がしてるのは遺体を確認してたんじゃないかな?
ここへの入り口は消してるから見つからないけど。遺体もどきを作る?死んだことにしたいの?」
「いや、遺体がないとなったら、あいつはどこかで俺が生きていることに不安を覚えるだろう?
それでいい。でも、ずっとここにいるわけもいかないだろう?
誰もいなくなったら外に出たい。」
「わるい兄ちゃんですな。それぐらいのことをしたって罰はあたらんよね。
じゃ、扉君にお願いしておこう。んで、トイレ、あ、お便所ね。それは隅っこに作っとくよ。
物はどこかに消えるように。あー、外人さんが驚く温水洗浄装置もつくってみようか?
自動で便座が上がるような機能も。」
「扉君ってだれ?温水洗浄装置?意味は分かるがそれが便所にいるのか?わからん。」
「くふふふ、いいよ、出来上がってからのおたのしみ♪扉君は扉君ですよ。」
『扉君、君の事だよ、わかるよね?誰もいなくなったら教えて。』
入ってきた扉に向かって力を込めて少し大きめの声でお願いした。
なんとなくだが了承されたのがわかる。
わぉ、擬人化?すごいね、この世界。
マティスはキョトンとしていたが、画期的なトイレを作らなくては、と、早速取り掛かった。
12
お気に入りに追加
369
あなたにおすすめの小説
義弟の婚約者が私の婚約者の番でした
五珠 izumi
ファンタジー
「ー…姉さん…ごめん…」
金の髪に碧瞳の美しい私の義弟が、一筋の涙を流しながら言った。
自分も辛いだろうに、この優しい義弟は、こんな時にも私を気遣ってくれているのだ。
視界の先には
私の婚約者と義弟の婚約者が見つめ合っている姿があった。
完結 R18 媚薬を飲んだ好きな人に名前も告げずに性的に介抱して処女を捧げて逃げたら、権力使って見つけられ甘やかされて迫ってくる
シェルビビ
恋愛
ランキング32位ありがとうございます!!!
遠くから王国騎士団を見ていた平民サラは、第3騎士団のユリウス・バルナムに伯爵令息に惚れていた。平民が騎士団に近づくことも近づく機会もないので話したことがない。
ある日帰り道で倒れているユリウスを助けたサラは、ユリウスを彼の屋敷に連れて行くと自室に連れて行かれてセックスをする。
ユリウスが目覚める前に使用人に事情を話して、屋敷の裏口から出て行ってなかったことに彼女はした。
この日で全てが終わるはずなのだが、ユリウスの様子が何故かおかしい。
「やっと見つけた、俺の女神」
隠れながら生活しているのに何故か見つかって迫られる。
サラはどうやらユリウスを幸福にしているらしい
私の代わりが見つかったから契約破棄ですか……その代わりの人……私の勘が正しければ……結界詐欺師ですよ
Ryo-k
ファンタジー
「リリーナ! 貴様との契約を破棄する!」
結界魔術師リリーナにそう仰るのは、ライオネル・ウォルツ侯爵。
「彼女は結界魔術師1級を所持している。だから貴様はもう不要だ」
とシュナ・ファールと名乗る別の女性を部屋に呼んで宣言する。
リリーナは結界魔術師2級を所持している。
ライオネルの言葉が本当なら確かにすごいことだ。
……本当なら……ね。
※完結まで執筆済み
英雄一家は国を去る【一話完結】
青緑
ファンタジー
婚約者との舞踏会中、火急の知らせにより領地へ帰り、3年かけて魔物大発生を収めたテレジア。3年振りに王都へ戻ったが、国の一大事から護った一家へ言い渡されたのは、テレジアの婚約破棄だった。
魔法公証人~ルロイ・フェヘールの事件簿~
紫仙
ファンタジー
真実を司りし神ウェルスの名のもとに、
魔法公証人が秘められし真実を問う。
舞台は多くのダンジョンを近郊に擁する古都レッジョ。
多くの冒険者を惹きつけるレッジョでは今日も、
冒険者やダンジョンにまつわるトラブルで騒がしい。
魔法公証人ルロイ・フェヘールは、
そんなレッジョで真実を司る神ウェルスの御名の元、
証書と魔法により真実を見極める力「プロバティオ」をもって、
トラブルを抱えた依頼人たちを助けてゆく。
異世界公証人ファンタジー。
基本章ごとの短編集なので、
各章のごとに独立したお話として読めます。
カクヨムにて一度公開した作品ですが、
要所を手直し推敲して再アップしたものを連載しています。
最終話までは既に書いてあるので、
小説の完結は確約できます。
【R18】幼馴染の男3人にノリで乳首当てゲームされて思わず感じてしまい、次々と告白されて予想外の展開に…【短縮版】
うすい
恋愛
【ストーリー】
幼馴染の男3人と久しぶりに飲みに集まったななか。自分だけ異性であることを意識しないくらい仲がよく、久しぶりに4人で集まれたことを嬉しく思っていた。
そんな中、幼馴染のうちの1人が乳首当てゲームにハマっていると言い出し、ななか以外の3人が実際にゲームをして盛り上がる。
3人のやり取りを微笑ましく眺めるななかだったが、自分も参加させられ、思わず感じてしまい―――。
さらにその後、幼馴染たちから次々と衝撃の事実を伝えられ、事態は思わぬ方向に発展していく。
【登場人物】
・ななか
広告マーケターとして働く新社会人。純粋で素直だが流されやすい。大学時代に一度だけ彼氏がいたが、身体の相性が微妙で別れた。
・かつや
不動産の営業マンとして働く新社会人。社交的な性格で男女問わず友達が多い。ななかと同じ大学出身。
・よしひこ
飲食店経営者。クールで口数が少ない。頭も顔も要領もいいため学生時代はモテた。短期留学経験者。
・しんじ
工場勤務の社会人。控えめな性格だがしっかり者。みんなよりも社会人歴が長い。最近同棲中の彼女と別れた。
【注意】
※一度全作品を削除されてしまったため、本番シーンはカットしての投稿となります。
そのため読みにくい点や把握しにくい点が多いかと思いますがご了承ください。
フルバージョンはpixivやFantiaで配信させていただいております。
※男数人で女を取り合うなど、くっさい乙女ゲーム感満載です。
※フィクションとしてお楽しみいただきますようお願い申し上げます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる