マグナムブレイカー

サカキマンZET

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第4章 覇気使い四天王。

第149話 大阪問題児。

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 そして時刻は数時間へと遡る。

「……神崎!」

 いつの間にかベッドで眠っていた品川が目を覚まし、忍の名前を心配そうに叫んだ。

「やっと起きたか」

 そこへ救急箱を持って待機していた吹雪が駆け寄った。

「ここは?」

「安心しろ、刑事さんの家や」

「何があった?」

 現状把握しようと品川は吹雪へ説明を求めた。

「天井からいきなりダークネスホールが出てきた瞬間、お前が降ってきたんや。何があったんや?」

「――『アトラス財団』の社長と副社長と会った。それと新しい敵にも……」

「また面倒事が増えたな。ほんでなんや、その新しい敵っていうのは?」

「忍は言った。『B.N.A』って…」

「『B.N.A』? それ以上なんかゆってたか?」

「いや、それだけだ。後は竹島を倒したら忍と社長と戦って、忍に気絶させられた」

「お前は休んどけや、後は俺等がやったるから」

「……なあ?」

「?」

「俺って、まだまだなのか?」

「どうしたんや?」

 突然とした品川の弱音に吹雪は聞いてみる。

「忍に倒される時、アイツが弱くなってた事に気づいたんだ。昔なら本気でやれば一日で意識なんて取り戻せねぇのに、アイツの蹴りが必死の一撃だったんだ」

「……」

「俺には多分一生できねぇ、力を失ってでも……あんな必死の一撃は一度本当の地獄を通らねぇと……人間には出せねぇ」

「……珍しく弱気やな。けど、それがええかもしれんな。恐怖を知ってるから、怖がるのは当たり前や。でも怖がることなくなったら、それは異常の始まりや。まだ品川は人間っていう事やで……まあ、アレや。そんなこと考えるから疲れねん、はよぅ休め」

「あぁ……」

 品川は吹雪に背を向けて、再び瞼を閉じる。

(暫く品川には戦線離脱してもらわねぇとな……これ以上、誰かが始めた馬鹿騒ぎで品川の心が潰れるのは見たくねぇし……一番問題なのが細かい性格の神崎忍が連絡を寄越さないのが、結構ヤバイって事だな)

 吹雪は忍の動向も考えながら品川が休んでいる部屋から退室する。
 そして風呂場へ入った。

「おう、爆弾解除できそうか?」

「黙ってろ! 今、集中してるところだ!」

 吹雪は南雲の様子を見に来ていた。
 必死な南雲は木戸に付けられた爆弾の解除を試みていた。
 被害者である木戸は半分退屈しながら解体作業に集中していた。

「なんや天才の癖に、こんな爆弾の解体もできひんのか?」

「お前はアホか? こんな複雑に絡み合った配線を一日で全解除しろっていうのが無理な話だ」

「お前自分から天才ゆってて、できませんはないやろ?」

「あぁん? 俺は天才だ! 俺に不可能な事はねぇ! こんなの後三時間で終わらせてやる!」

「あの~南雲さん、そう言って同じ所を見ても何も変わらないですよ?」

「安心しろ、木戸。頭の中でイメージを確立させながら解除している。もう半分は解除できたぞ、この天才に任せろ」

 ここにいる二人が安心どころか、とてつもなく不安になっていた。

「なあ南雲よ。お前が首席で卒業したっていうのはホンマか? 品川とかに負けてるから、にわかにしか信じられへんけど」

「……本当だ。品川は四位で卒業、俺が首席で卒業。知能だけは品川に勝ってるが、それでも差が縮まらない」

「戦闘センスやろうな。お前は確かに天才や、勉学や技術については俺等では勝たれへん……せやけど、喧嘩と戦闘は中程度。お世辞にも俺に勝てるとは思ってへん、けど、なんでお前も品川の為に付いて来てるんや? 輝さんと一緒に知らんぷりして仕事してたら面倒事にならんかったと思うで?」

 吹雪は淡々と南雲へステータス現状を伝える。

「……お前アホか? 品川が死んだら俺のリベンジ計画が水の泡になってしまう。だったらアイツの監視と管理さえやっとけば、いつかは神崎忍に辿り着ける……合理性だ。品川を倒したら神崎忍も倒せる一石二鳥、これが俺の天才な計画だ。分かったら、さっさと爆弾を持て、今から服と切り離し作業だからよ」

「お、おう」

 吹雪は南雲に言われた通りに木戸の背後から爆弾を持ち上げる。

「内藤と一緒に東京に行かなかったのは?」

「……輝さんの考え方が俺の性格に合ってた。それに輝さんが弁護士としてスカウトしてくれた…あの人と品川とお前だけが天才として認めた。それで十分だ。海道に残り、クソリーゼントと輝さんと新人で仕事できるなら俺は……」

 南雲は続きを言わなかった。
 吹雪も南雲が答えを出さないのが、それが答えなんだと気付き、これ以上は不毛だと思い、爆弾に集中する。

「……それでよ今まで自然と爆弾解体作業してたから聞くのが遅れたけど……今、爆発しそうな被害者の彼女は誰?」

 今更という衝撃的な発言に木戸は呆然とし、南雲はいつも通りの感じで真顔のまま爆弾解体を続ける。

「品川と俺の弟子、名前は木戸まあいいやだ」

 無気力な表情で南雲は木戸を適当に紹介する。

「愛菜! 木戸愛菜、なんでそんな適当に紹介すんの!」

「木戸まあいいやか、面白れぇ名前だな。俺は……」

「そいつはアホパーマ君だ。気軽にダサパーマって呼んでやれ」

「おい、凍らすぞ。キモロンゲ」

「あぁん、やってみろや。この万年童貞アホパーマちゃんよ? こっちとら輝さんに毎日鍛えてもらってんだぞぅ?」

「関係ないわ。テメェは言葉の責任も取れねぇのか?」

「天才という物は孤独なんでな。それに俺の会話が高度過ぎて理解できなかったのか? だったらそれは残念だったな」

「テメェの嫌味もここまでくればギネス級やな? 申請してきたらどうだ? そんなギネスがあ」ばな?」

「ギネスなんて当たり前の事を言うな。俺は天才が故に世界でも認る超天才だぞ?」

「お世辞っていう言葉も知らねぇのか! とんだお花畑の頭してんだな、この天災野郎。あぁ、俺の言った意味の天才・・は厄災の方の天災やけどな!」

「はいはい、才能のない奴はそうやって妬みたがる~! 典型的な部分でしか文句言えない奴の戯れ言~バーカー!」

「あのちょっと……」

 流石にヒートアップしてきたので木戸が停止を求める。が……

「何度でも言ったるわ、この厄介者の陰キャ。マトモに電気熱を発する事ができない、不器用天災さんよ」

「自分の部屋の温度も管理できない未熟者が何言っちゃんてんだぁ? こっちはコンセントを俺に挿すだけで電気代を節約できるんだぜ? 羨ましいだろ?」

「知るか、このクソボケ! 電気代節約する前に家に帰れねぇようにしたるわ!」

「お前の方こそ、二度と海道に帰りたくないと思わしてやるよ!」

 そして木戸を放って、吹雪と南雲は互いに胸ぐらを掴む。
 コメカミに青筋を浮かべながら、二人は睨み合う。

「あの……ちょっと……」

 流石に止める雰囲気ではなかったので、木戸もどもってしまう。

「なんだこの手は? 服伸びるだろうがよ」

「お前の方こそ離せや。一度しか言わんぞ?」

 もう殺し合いになりそうな空間だった。

「おい、無能共! うるさいぞ。今、何時だと思っている!」

 そこへ見張りしていた雅が騒ぎに駆け付け、二人を止めに入る。

「「うるせぇ! このヒステリック爆弾アマァ!」」

 見事にハモり、綺麗な理不尽の八つ当たり。

「……あの南雲さん。それは幾らなんでも言い過ぎじゃ」

 八つ当たりされた雅が不憫に思い南雲を諌める木戸。

「今はコッチだ! そこの女は後で相手する!」

 諌めても反省する気ゼロで木戸も呆れる。
 すると隣から殺意のオーラを感じ、木戸は恐る恐ると見た。
 雅の手にトゲトゲとしたガラス製の灰皿があり、息を荒くし、涙目で二人を殴りかかろうとしていた。

「待って待って! それしちゃうと火曜サスペンスみたいな展開で誰も幸せにならないから、落ち着いて!」

 木戸は立ち上がり、必死に雅を抑える。

「コイツ等ブッ殺して、私は忍様と一緒に幸せに暮らしてやる!」

「それは別にいいけど、今は皆で争ってる場合じゃ……」

 突如とブチッと何かが引っ張り壊れる音が響いた。
 それに気づいた四人は喧嘩を止めて爆弾の方へ見た。

「「「「あ」」」」

 なんと爆弾のタイマーが起動し、カウントダウンし始めていた。
 爆弾は五分に設定されていた。

「ど、ど、ど、どうすんのコレ!」

 今だにドレスに付着している爆弾が起動した事により、木戸は慌てふためく。

「あ、あ、安心しろ。な、な、なんとか……うん、してみる」

 明らかに元気と自身消失していく南雲。

「次生まれ変わるなら……お前等と一緒じゃない方がいい!」

 死ぬと確定してトチ狂った事を言い出す吹雪。

「ふひひひ、全員死ねばいい!」

 もうなんでもありすぎて情緒不安定となった雅。
 纏める人間がいないのでカオスな雰囲気となっていた。
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