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第3章 東と西 黒の追憶編。
第127話 凶悪な才。
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真っ暗でジメジメとした狭い空間みたいな部屋。
そこへ大人数の影がパイプ椅子に座っている男を見ていた。
両腕は後ろ組で手錠され、胴体と足はガチガチに縛られ、身動きできないほど拘束され、更には目隠しまでされていた。
するとコンコンとノックする音が響き渡る。
「どうぞ」
いかにもという黒服が、扉をスライドさせて開き、招く。
「遅せぇよ」
そこへ現れたのは、スーツの上から工業用エプロンを着用し、煙草を吹かしながら、入室したのは……伊波だ。
「そんで……ヘマやらかした奴は?」
煙草を地面へ吐き捨て、火の後始末しながら椅子の男へと近づき、ニタニタと笑う。
「こちらです」
黒服は伊波を拘束している男へ案内する。
「俺はよ。仕事でヘマやらかしたぐらいじゃ、キレたりしねぇよ。けどな? 度が過ぎるのも、あんまイイとは思わねぇよな……水城くんよ?」
そう伊波が名前を呼ぶ。それが合図かのようにして、一つの豆電球が辺りを照らしていた。
そこに疲労で顔は窶れ、木戸から受けたダメージをそのままし、眠っている水城がいた。
「お~い、水城くん? おい、なんでコイツは悠々自適に寝てんだ? ちゃんと管理できねぇのか!? あぁ!! 言ってみろ、オラ!」
水城が寝ている事に腹を立て、伊波は周囲の黒服へ問い詰める。
「そ、それは……」
「……はぁ~分かったぞ。コレはサプライズ的な何かだな? なるほど、なるほど……」
納得した表情を見せたかのように思えた。が、動揺し返事した黒服の顔を右フックで殴った。
そして伊波は倒れた黒服に馬乗り状態となり、容赦なく右拳から左拳で殴る。
黒服から飛んでくる返り血が頬についても殴る。
「ふぅ~ビチャビチャじゃねぇか! おい、このゴミ片付けておけ……」
殴り終えスッキリとした表情で、他の黒服へ命令する。
拳には血が付着し、ソレを自慢するよう周囲へ見せる。
「さてと、何処までだった? ……あぁ、そうそう。水城くんをどうしようっていう話だったな? 先ずは、ちゃんとおはようの挨拶をしねぇとな!」
伊波は無抵抗な水城の腹へ向かって、容赦なく左前蹴りで倒す。
「ゴホッ! ゴホッ! な、なんだ! こ、ここは何処だ! 何も見えない!」
急に感じた猛烈な痛みで、水城は驚愕しながら確認する。が、アイマスクで何も見えなかった。
「よう、水城くん。声で判別できる?」
伊波は左足で水城の左肩を踏みながら、尋ねていた。
「い、伊波一翔……」
「あぁ、伊波一翔ちゃんだ。もっと嬉しがってもいいだぜ?」
「お、俺をどうするつもりだ?」
「決まってんだろ? 俺は魔界連合若頭で金庫番でもあれば、『アトラス財団』の後処理係でもあるんだからよ。やることは決まってんだろ?」
「ふざけるな! 俺は社長の命令で動いたんだぞ! こんな仕打ちは……ぐあっ!」
あまりの処理に水城は伊波へ憤慨する。
だが、態度が気にいらないので伊波は、足の力のみで、水城の左肩を外した。
「まあまあ、聞けや。俺も少しは抗議したぜ? 優秀な人材を簡単に手放すのはいかがなものかと……」
よくもぬけぬけながら、嘘ベラベラと話す伊波に、更に怒りが溢れそうだった。
「そこでだ。社長が特別処置として俺と勝負し、勝てば解放してやるよ。それが条件だ」
足を肩から離し、伊波は片手で水城のアイマスクを外した。
「……」
「飲むか?」
ニタニタと笑いながら、提案を受けるか?と水城へ尋ねていた。
「……飲もう」
ここは従わなければ始末されるのは理解できている水城。
承諾されたのが分かると、伊波は外れた肩を元に戻して、水城を立ち上がらせる。
「お前等、出ていけ。ここで死にたい奴がいるなら、話は別だけどな?」
伊波による邪魔者は出ていけという合図で、黒服達は従い、部屋から退出した。
「さあて、ここからは俺とお前の二人しかいねぇ! 思う存分、暴れようぜぇ?」
左肩の痛みを回復させながら、奇襲するタイミングを伺う水城。
本来の実践なら、そんな余裕はない。
けれど今、目前にいるのは伊波だ。相手を舐めつくし、自分は強いと自負するくらいの実力者。
ならば、ここは状況に甘えて回復し戦略を立てるのは容易だった。
「『泥沼』!」
先に仕掛けたのは水城だ。
右手を地面と接触させ、伊波が立っている場所だけ土化させ、足をガチガチに固定させたのだ。
(よし、これで暫くは動けない……)
ここは優勢になるだろうと思っていた。が、その考えは改めさせられる事になった。
「よいっしょ……おいおい、まさかこの程度で終わりって言うなよな? この程度だったら……まあ、失望はしねぇけどヤル気なくなるな」
呆れはしなかったが、俄然ヤル気がなくなった伊波。
「お前等と言い、品川修二は簡単に抜け出すんだよ……」
「あぁ? そりゃ『覇気』の使い方だろ? 俺は品川修二の顔は見たことねぇが、『覇気』は炎系統だろ。だったら、泥を乾かして固まる前に潰してしまえばできんだよ。俺のは少し工夫したけどな?」
「くっ……だったら近接戦しかない!」
柔道の構えで伊波と対峙する。
「へぇ~そっちが柔道なら……こっちはコレだ」
伊波は腕は上げずに、軽みな足のステップをする。所謂、ボクシングスタイルだ。
(ボクシング? ノーガード体勢とはふざけた物だな。噂通りにイカれたクソ野郎だ)
ほぼ舐めた態度の戦闘スタイルと態度に、悪態つく。
「……!」
水城はジリジリと掴める間合いまで、伊波へ接近する。
そんな伊波は水城なんて見ず、暗い部屋の天井を眺めていた。
(ここだ!)
水城は隙ばかりの伊波に仕掛けた。エプロンの左紐と右袖をガッチリと掴み、背負い投げモーションへと移った。
「はぁ~つまんね」
空中へ放り投げながらも、伊波は無気力な表情で呟いた。
そして地面へ背中が衝突……ではなく、両足が先に着地し、ブリッジ体勢で背負い投げを回避した。
(な、なんだと!)
あまりの出来事に驚愕を隠せなかった。
普通の人間なら空中でジタバタする暇もなく、受け身等は取れず、意識が混同する筈。
だが、伊波には通用しなかった。それも有り得ない方法で回避をやってのけだのだ。
「あんま驚くなよ。こんなのは会長のシゴキに比べれば屁でもねぇからよ……けどな、少し飽きてきた。ここらで終わらせるわ」
するとガッチリと掴んでいたエプロンの紐と袖が手元から無くなった。
あんな体勢から、一瞬にして脱出するのは驚きしかなかった。
「ほら、早く来いよ」
声が聞こえた方へ水城は振り向いた。
振り向いた先には、上半身裸となっている伊波がいた。
伊波の身体は危なげにも魅了される刺青が彫られていた。背中には武器を持って暴れる阿修羅。
そして胸、肩、腕まで暗雲や雷で墨が染まっていた。
(まさか、ここで本気になったのか? 多分、背負い投げ程度では、もう通じないだろう。だったら、ここは関節技で拘束して、ここを脱出するしかない!)
水城のイメージは決まっていた。
真っ正面から向かうと思わせて、背後へ回り込み、そこから人間の急所である首を腕で、絞めて落とそうという作戦だ。
もう失敗できないと、心を決める。
「……」
伊波も水城の真剣な表情には茶々は入れずに、ステップを軽く踏む。
静寂した中で、先に動き出したのは……水城だった。
前のめりした形で走り、伊波へ向かって集中して走る。
間合いに入り、初めて伊波は右ストレートで水城の顔面へ殴った。が、目前に衝撃で大きい音で怯んだ。
そう子供でも簡単にできる猫だましで、伊波は虚を突かれた。
(良し! 今のうちに背後へ回って首を……な、なんだと!?)
水城の目の前がグラリとカクついた。焦点も合わず、瞳孔が開き、手足も動かない状態だった。
一体、何されたのか理解できなかった。が、数秒の意識で、ソレを見て、何度目なのか驚愕した。
伊波の左足が水城の顎へと直撃していたのだ。
「理解できねぇって顔だな?」
そこへ倒れる間に、伊波が話し掛けてきた。
水城は無抵抗で倒れながら聞くしかなかった。
「猫だましは久し振りに喰らったが、やっぱり俺に通用しなかったな。もう身体に蓄積させてんだよ。俺が呆けても身体だけは、相手をぶち殺せるぐらいの急所を狙えるようにとな?」
そして話終わり、倒れていく水城の顔面へ向かって……高速の左ジャブを放つ。
一発、一発、一発と音を切るぐらい連打した。
水城の顔は変わり果て、鼻、口、瞼、額は大きく腫れ、鮮血を流す。
「ちょっとだけ楽しかったぜ?」
トドメに右フックで水城の頭を地面へと叩き付けたのだ。
その衝撃は地面に小さいクレーターを作るぐらい、おぞましかった。
「ふう~終わり終わり。さて、コイツの後片付けだな」
伊波は脱いだスーツに着替えて、空のサンドバッグに、意識が無く、満身創痍の水城を詰め込む。
「おう、クソ共。終わったぞ。さっさと部屋掃除しとけ、次使う時、ちょっとでも汚れてたら……お仲間程度じゃ済まねぇと思っとけよ?」
足で扉を蹴り開け、外へ出る伊波。
そこへ待機していた黒服達に掃除の命令を下す。
掃除だけは細かい部分で気性を荒くさせて脅迫する。
「わ、分かりました!」
全員、怯えながらも口を揃えて返事した。
「あっそ、じゃあよろしく」
伊波はトランクに水城を詰めたサンドバッグを入れ、リムジンへ乗り、何処かへと走り去って行ったのだ。
そこへ大人数の影がパイプ椅子に座っている男を見ていた。
両腕は後ろ組で手錠され、胴体と足はガチガチに縛られ、身動きできないほど拘束され、更には目隠しまでされていた。
するとコンコンとノックする音が響き渡る。
「どうぞ」
いかにもという黒服が、扉をスライドさせて開き、招く。
「遅せぇよ」
そこへ現れたのは、スーツの上から工業用エプロンを着用し、煙草を吹かしながら、入室したのは……伊波だ。
「そんで……ヘマやらかした奴は?」
煙草を地面へ吐き捨て、火の後始末しながら椅子の男へと近づき、ニタニタと笑う。
「こちらです」
黒服は伊波を拘束している男へ案内する。
「俺はよ。仕事でヘマやらかしたぐらいじゃ、キレたりしねぇよ。けどな? 度が過ぎるのも、あんまイイとは思わねぇよな……水城くんよ?」
そう伊波が名前を呼ぶ。それが合図かのようにして、一つの豆電球が辺りを照らしていた。
そこに疲労で顔は窶れ、木戸から受けたダメージをそのままし、眠っている水城がいた。
「お~い、水城くん? おい、なんでコイツは悠々自適に寝てんだ? ちゃんと管理できねぇのか!? あぁ!! 言ってみろ、オラ!」
水城が寝ている事に腹を立て、伊波は周囲の黒服へ問い詰める。
「そ、それは……」
「……はぁ~分かったぞ。コレはサプライズ的な何かだな? なるほど、なるほど……」
納得した表情を見せたかのように思えた。が、動揺し返事した黒服の顔を右フックで殴った。
そして伊波は倒れた黒服に馬乗り状態となり、容赦なく右拳から左拳で殴る。
黒服から飛んでくる返り血が頬についても殴る。
「ふぅ~ビチャビチャじゃねぇか! おい、このゴミ片付けておけ……」
殴り終えスッキリとした表情で、他の黒服へ命令する。
拳には血が付着し、ソレを自慢するよう周囲へ見せる。
「さてと、何処までだった? ……あぁ、そうそう。水城くんをどうしようっていう話だったな? 先ずは、ちゃんとおはようの挨拶をしねぇとな!」
伊波は無抵抗な水城の腹へ向かって、容赦なく左前蹴りで倒す。
「ゴホッ! ゴホッ! な、なんだ! こ、ここは何処だ! 何も見えない!」
急に感じた猛烈な痛みで、水城は驚愕しながら確認する。が、アイマスクで何も見えなかった。
「よう、水城くん。声で判別できる?」
伊波は左足で水城の左肩を踏みながら、尋ねていた。
「い、伊波一翔……」
「あぁ、伊波一翔ちゃんだ。もっと嬉しがってもいいだぜ?」
「お、俺をどうするつもりだ?」
「決まってんだろ? 俺は魔界連合若頭で金庫番でもあれば、『アトラス財団』の後処理係でもあるんだからよ。やることは決まってんだろ?」
「ふざけるな! 俺は社長の命令で動いたんだぞ! こんな仕打ちは……ぐあっ!」
あまりの処理に水城は伊波へ憤慨する。
だが、態度が気にいらないので伊波は、足の力のみで、水城の左肩を外した。
「まあまあ、聞けや。俺も少しは抗議したぜ? 優秀な人材を簡単に手放すのはいかがなものかと……」
よくもぬけぬけながら、嘘ベラベラと話す伊波に、更に怒りが溢れそうだった。
「そこでだ。社長が特別処置として俺と勝負し、勝てば解放してやるよ。それが条件だ」
足を肩から離し、伊波は片手で水城のアイマスクを外した。
「……」
「飲むか?」
ニタニタと笑いながら、提案を受けるか?と水城へ尋ねていた。
「……飲もう」
ここは従わなければ始末されるのは理解できている水城。
承諾されたのが分かると、伊波は外れた肩を元に戻して、水城を立ち上がらせる。
「お前等、出ていけ。ここで死にたい奴がいるなら、話は別だけどな?」
伊波による邪魔者は出ていけという合図で、黒服達は従い、部屋から退出した。
「さあて、ここからは俺とお前の二人しかいねぇ! 思う存分、暴れようぜぇ?」
左肩の痛みを回復させながら、奇襲するタイミングを伺う水城。
本来の実践なら、そんな余裕はない。
けれど今、目前にいるのは伊波だ。相手を舐めつくし、自分は強いと自負するくらいの実力者。
ならば、ここは状況に甘えて回復し戦略を立てるのは容易だった。
「『泥沼』!」
先に仕掛けたのは水城だ。
右手を地面と接触させ、伊波が立っている場所だけ土化させ、足をガチガチに固定させたのだ。
(よし、これで暫くは動けない……)
ここは優勢になるだろうと思っていた。が、その考えは改めさせられる事になった。
「よいっしょ……おいおい、まさかこの程度で終わりって言うなよな? この程度だったら……まあ、失望はしねぇけどヤル気なくなるな」
呆れはしなかったが、俄然ヤル気がなくなった伊波。
「お前等と言い、品川修二は簡単に抜け出すんだよ……」
「あぁ? そりゃ『覇気』の使い方だろ? 俺は品川修二の顔は見たことねぇが、『覇気』は炎系統だろ。だったら、泥を乾かして固まる前に潰してしまえばできんだよ。俺のは少し工夫したけどな?」
「くっ……だったら近接戦しかない!」
柔道の構えで伊波と対峙する。
「へぇ~そっちが柔道なら……こっちはコレだ」
伊波は腕は上げずに、軽みな足のステップをする。所謂、ボクシングスタイルだ。
(ボクシング? ノーガード体勢とはふざけた物だな。噂通りにイカれたクソ野郎だ)
ほぼ舐めた態度の戦闘スタイルと態度に、悪態つく。
「……!」
水城はジリジリと掴める間合いまで、伊波へ接近する。
そんな伊波は水城なんて見ず、暗い部屋の天井を眺めていた。
(ここだ!)
水城は隙ばかりの伊波に仕掛けた。エプロンの左紐と右袖をガッチリと掴み、背負い投げモーションへと移った。
「はぁ~つまんね」
空中へ放り投げながらも、伊波は無気力な表情で呟いた。
そして地面へ背中が衝突……ではなく、両足が先に着地し、ブリッジ体勢で背負い投げを回避した。
(な、なんだと!)
あまりの出来事に驚愕を隠せなかった。
普通の人間なら空中でジタバタする暇もなく、受け身等は取れず、意識が混同する筈。
だが、伊波には通用しなかった。それも有り得ない方法で回避をやってのけだのだ。
「あんま驚くなよ。こんなのは会長のシゴキに比べれば屁でもねぇからよ……けどな、少し飽きてきた。ここらで終わらせるわ」
するとガッチリと掴んでいたエプロンの紐と袖が手元から無くなった。
あんな体勢から、一瞬にして脱出するのは驚きしかなかった。
「ほら、早く来いよ」
声が聞こえた方へ水城は振り向いた。
振り向いた先には、上半身裸となっている伊波がいた。
伊波の身体は危なげにも魅了される刺青が彫られていた。背中には武器を持って暴れる阿修羅。
そして胸、肩、腕まで暗雲や雷で墨が染まっていた。
(まさか、ここで本気になったのか? 多分、背負い投げ程度では、もう通じないだろう。だったら、ここは関節技で拘束して、ここを脱出するしかない!)
水城のイメージは決まっていた。
真っ正面から向かうと思わせて、背後へ回り込み、そこから人間の急所である首を腕で、絞めて落とそうという作戦だ。
もう失敗できないと、心を決める。
「……」
伊波も水城の真剣な表情には茶々は入れずに、ステップを軽く踏む。
静寂した中で、先に動き出したのは……水城だった。
前のめりした形で走り、伊波へ向かって集中して走る。
間合いに入り、初めて伊波は右ストレートで水城の顔面へ殴った。が、目前に衝撃で大きい音で怯んだ。
そう子供でも簡単にできる猫だましで、伊波は虚を突かれた。
(良し! 今のうちに背後へ回って首を……な、なんだと!?)
水城の目の前がグラリとカクついた。焦点も合わず、瞳孔が開き、手足も動かない状態だった。
一体、何されたのか理解できなかった。が、数秒の意識で、ソレを見て、何度目なのか驚愕した。
伊波の左足が水城の顎へと直撃していたのだ。
「理解できねぇって顔だな?」
そこへ倒れる間に、伊波が話し掛けてきた。
水城は無抵抗で倒れながら聞くしかなかった。
「猫だましは久し振りに喰らったが、やっぱり俺に通用しなかったな。もう身体に蓄積させてんだよ。俺が呆けても身体だけは、相手をぶち殺せるぐらいの急所を狙えるようにとな?」
そして話終わり、倒れていく水城の顔面へ向かって……高速の左ジャブを放つ。
一発、一発、一発と音を切るぐらい連打した。
水城の顔は変わり果て、鼻、口、瞼、額は大きく腫れ、鮮血を流す。
「ちょっとだけ楽しかったぜ?」
トドメに右フックで水城の頭を地面へと叩き付けたのだ。
その衝撃は地面に小さいクレーターを作るぐらい、おぞましかった。
「ふう~終わり終わり。さて、コイツの後片付けだな」
伊波は脱いだスーツに着替えて、空のサンドバッグに、意識が無く、満身創痍の水城を詰め込む。
「おう、クソ共。終わったぞ。さっさと部屋掃除しとけ、次使う時、ちょっとでも汚れてたら……お仲間程度じゃ済まねぇと思っとけよ?」
足で扉を蹴り開け、外へ出る伊波。
そこへ待機していた黒服達に掃除の命令を下す。
掃除だけは細かい部分で気性を荒くさせて脅迫する。
「わ、分かりました!」
全員、怯えながらも口を揃えて返事した。
「あっそ、じゃあよろしく」
伊波はトランクに水城を詰めたサンドバッグを入れ、リムジンへ乗り、何処かへと走り去って行ったのだ。
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