マグナムブレイカー

サカキマンZET

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第3章 東と西 赤の書編。

第109話 現状報告。

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「先ず、俺達が東京に来た理由わけは神崎邸で襲撃された。お前と決着目的で尋ねたら、いきなりだ」

 先ず修二から現状報告を話始める。

「……被害は?」

 使用人の安否と被害が気になり、忍は二人へ尋ねた。

「屋敷が壊れたぐらいだ。その時には柏木さんが避難させて品川が戦闘して追い返した」

「昨日、一人捕まえて尋問した。連中は『アトラス財団』って名乗ってた」

 『アトラス財団』という単語を聞いて忍は「やはり」かという納得した表情だった。

「その様子だと知ってるようだな?」

 理解していた忍の様子を見て、南雲は尋ねてみた。

「あぁ、『アトラス財団』。今、俺達が追ってる連中だ」

 なんと修二達が追ってる人物と忍も一緒という事に驚愕した。

「……理由を聞いてもいいか?」

 忍達がどう関係しているのか気になり、修二は興味本位で聞いてみた。

「……魔界連合、閻魔光からの依頼だ。『アトラス財団』を調査し、返答次第で動くか見逃すかの話だ。理由は『アトラス財団』が海外から取り寄せた違法武器を半グレやマフィアとかに横流してる件でだ」

「刑事さんが言ってた。組織による違法武器の売買の事だな……」

 その件について心当たりがあり、修二は一華を思いだし、呟いていた。

「武器を取り寄せたっていうぐらいなら大目に見る話しだ。だが、それを使って魔界連合と戦争になる場合は違ってくる。悪魔極道っていう奴等は歯止めが効かない連中の集まり、一般人にも危害が及ぶ。そのため、面倒ながらも俺に依頼された訳だ」

「悪魔極道が暴れるとどうなる?」

 南雲は悪魔が制御されなかった未来を忍へ尋ねた。

「……先ず、東京は壊滅状態になる。警察も機能しなくなり、更には悪魔達が仲間を増やす。女子供は子孫作りに犯され、男共は食料となる……」

「閻魔さん一人じゃなんとかならないのか?」

 そこに修二は閻魔に頼れないのか尋ねた。

「今、天界に行っている。アッチの方でも問題がありすぎて人間界に手が回らない状態だ」

「そう言えば閻魔さんは半分神だったな」

「半分魔神で半分神って、殆ど矛盾した神みたいな者だけどな。この依頼が達成されない限り、俺も何時解放されるのも分からん」

「魔界連合は誰が管理してるんだ?」

 閻魔が留守の間、一体誰が魔界連合の悪魔達を管理しているのか修二は気になった。

「魔界連合閻魔組四代目会長代行、鮫島組長が取り仕切ってる。その上、閻魔の右腕の鬼塚までいるから暫くは大丈夫だと思いたい。鬼塚の実力は南雲が知ってるだろ?」

 忍に指摘され、南雲は過去の苦い経験を思い出していた。

「人間だと思って舐めてたら痛い目にあった。それを三ヶ月程……」

 どうやら自惚れ屋の南雲でも、鬼塚から受けたシゴキはとてもトラウマを刻んでいた。

「……アイツ容赦ねぇからな」

 その様子を見て、忍は悪態することなく同情していた。

(鬼塚さんって閻魔さんよりヤバイ人なのかな?)

 まだ一目しか鬼塚を見ていない修二。地獄で閻魔からボコボコにされた事はあるが、意味のあるシゴキだった。
 だが、忍や南雲が不快感を示す程、どれだけ加減知らずなのかは修二でさえ認知できなかった。

「それから師匠の情報で渋谷センター街をウロウロしてたらアンタ等を見つかったっていう話だ」

 最後は途中まで説明するのが面倒くさくなり、適当な答えで見つけと言った。

「桐崎までいるのか……まあいい」

 当の本人がいない事は気になるが、そこは突っ込まず、話を進める。

「それと隣のパーマ野郎はどうした?」

「?」

「アンタが写真と一緒に写ってる人物だよ」

 キョトンとわけが分かっていない忍の反応見て、修二は桐崎から貰った写真を見せた。

「……お前等マジか?」

 忍は二人の頭に注目し、「コイツ等大丈夫なのか?」という疑心な目で見ていた。

「おいおい、認識能力がバグってんのか? それとも本当に馬鹿なのか?」

 いきなり忍から罵詈雑言を浴びせられて、今にでも殺しに掛かりそうな二人。
 殺気みたいなドス黒いオーラを放ちながら忍を威圧していた。が、本当は悪いことしてないので、気にせず話を続ける。

「……よし、分かった。そのパーマくんを呼んでやろう。それで一目見れば答えは分かるだろ?」

 態度として釈然とはしないが答えが分かるのなら二人は渋々と了承した。

「すまない、私の担当ボディーガードを呼んできてくれないか?」

 内線で受付嬢と通話し、ボディーガードを呼んでくれと命じた。
 「かしこまりました。暫くお待ちください」と受付嬢は承諾し通話は切れた。

「機械音痴な癖して、立派に使いこなして生意気だぞ!」

 修二は忍へ叱責しっせきしながら無茶苦茶なイチャモンをつけていた。

(本当に神崎忍のことライバル視してるから嫌いなんだな……)

 普段から忍の嫌味若しくは戦闘対策ばかり友達や仲間へ話ている修二。
 それをずっと聞かされている南雲は本人を目前に言えるのかと、今日確認した。結果は正しく臆せず忍へ嫌味を言っていた。

(二回もコテンパンにされてんのに、このヤル気は何処から来るんだ? もしかして昔から喧嘩ばかりしてきて、頭にダメージ負いすぎて馬鹿・・になってんじゃないのか? でも、短大で成績上位に入れる筈が無い――それともトキソプラズマ症か? だったら有り得る。だって普段から地べた這いずり回って、土とか口に着いてる様な物だから感染してもおかしくないよな。納得納得……)

 南雲の脳内では修二に対する失礼なパラダイス状態だった。本人は知らないが、失礼なことを考えていると、ニヤッとしながら顔に出るので、修二と忍には分かっていた。

((コイツ、絶対失礼なこと考えてんだろ))

 仲悪いのに見事、心もシンクロしていた。

「はいはい、ボディーガード様の参上やで。ほれで何やねん? 俺は今休憩で忙しいんやけど?」

 そこへ呼び出していたボディーガードが、忍へ悪態つきながらやってくる。

「紹介しよう。こちらボディーガードの吹雪雅人・・・・だ」

「「……は?」」

 突然とボディーガードの名前が、友達である吹雪だと忍から聞かされ、脳がフリーズし理解できていない二人。

「せやで? なんや、さっきの兄ちゃん達やないか? 待合室での失礼な態度を謝りたいんか? しゃあないな、俺はコイツみたいに偉そうじゃないから何でも許したるで?」

 能天気にも吹雪は横柄おうへいな態度で二人を挑発する。
 正体さえ分かれば二人の頬からブチッと          太い青筋が浮かび、吹雪を睨み付ける。

「応せやな! さっきまでの態度許してくれや。なあ? アホパーマ?」

 吹雪の左肩へ修二は左腕を乗せ、顔だけで威圧する。

「え? アホ……パーマ?」

 突然と馴れ馴れしいとも思える行為と聞き覚えのあるフレーズに戸惑う。

「そうやな! こっちからも謝るわ。クソ天然パーマ?」

 同じく吹雪の右肩に南雲は右腕を乗せて、顔だけで威圧する。

「……なんで俺のアダ名っていうか、友達から言われる事知ってんねん?」

「「そりゃ知ってるわ。だって、正体は俺達だからな~?」」

 修二は帽子とサングラス、南雲はカツラを取り。吹雪へ正体を現した。

「げっ! クソ弁護士コンビ!」

「「くたばれ! このクソ底辺アホパーマ野郎!」」

 鬱憤晴らしにと素早い動きで、修二は後頭部、南雲は前頭部として吹雪へ挨拶のダブルラリアットを喰らわせた。
 突然の事で吹雪は勢いよく唾が吹いてしまった。

「……」

 一般人なら「コイツ等、何やってんの?」と反応する。が、一般人でもない常識と少しズレている忍は隠れて、吹雪が痛がる無様を見てゲラゲラと笑っていた。

 吹雪が痛みで踞っている最中、良い仕事したと修二と南雲はスッキリとした表情で無言のハイタッチをするのだった。

「て、テメェ……等……ガクッ……」

 そして吹雪は暫く黄泉へとさ迷った。
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