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第2章 魔導使い襲来。
第68話 状況打破の準備。
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幻魔との壮絶な戦いから数分間。ぐっすりと休んで眠っていた修二は、右肩の猛烈な痛みで目覚めた。
起きたばかりで脳が理解できなかった。が、数分前の行動を思い起こし、数秒後にやっと自分の行動した事を理解した。
「…そうか…俺、右腕を犠牲にして幻魔に勝ったんだよな。」
修二は幻魔に勝った嬉しさよりも、右腕を失った喪失感が勝り、普段はならない憂鬱な気分となっていた。
「あ~あ、神崎と再び戦えると思ったのにな…これじゃあ無理だな。日常生活もままならないだろうな、左腕一本じゃあな…。」
「だったら国から障害保険を貰って、死ぬまで贅沢な暮らしをしてみろ。世間の目は可哀想と見るが、俺等はそうとは思わない。胸を張って堂々としてろ、お前が強者だ。」
修二が意識を失っている間、忍は辿り着いて隣へ座り励ましていたのだ。
「…理由を述べて判事に認められるなら、やってもいいかもな。」
疲れ気味の修二は愛想笑いで忍と会話していた。
「…相当無茶したな。」
流石に満身創痍で右腕と自信を喪失している修二を心配して忍は優しく接する。
「あぁ、今更ながら自分でも何してんだろうって思った。」
修二は過去の行いで怒りが込み上げ、ぶっきらぼうな態度になっていた。そして気分転換に喫煙をしようとした。が、左肩は脱臼、右腕は喪失している為、何もできない状態だった。
それを見ていた忍は修二の膝に転がっている煙草を拾い、咥えさせた。
「ライターも出せ、煙草吸いたいんだろ?」
忍の指示に従い、修二は目で左懐へ向けていた。
ライターのありかを知った忍は、懐へ手を突っ込みまさぐった。そしてジッポライターを見つけ取り出した。
「…どうやって着火するんだ?」
ライターを使った事がない忍は暫く停止し、修二へ使い方を聞いた。
「そのツマミを素早く回して、着けるんだ。」
忍は不慣れな手つきだが、なんとかライターを着火させて、煙草に着けたのだ。
両腕が使えない修二は、唇の力で煙草を動かし、喫煙していた。
「ワリィけど、左肩はめてくれねぇか? 幻魔から攻撃喰らって外れてんだ。」
修二は左肩が外れているため、動ける忍へ治すよう頼んだのだ。
「かなり痛むぞ?」
「やってくれ。」
猛烈な痛みを少しだけ覚悟していた修二。その願いを聞き入れた忍は修二の左腕を掴み、勢いよく骨を入れたのだ。
修二の顔は苦痛に歪めながらも、煙草だけは執念に喫煙し続けていた。
「煙草に対する執念は凄いな。」
「海道の煙草だけは安いからな。一本一本は大事に吸わねぇと、いつ東京みてぇに税率上げられるのか分からねぇからな。」
「…心配するな。海道に税金はない、それどころか、一国として扱われているから政府が手を出せない島になっている。」
「知らなかった…っていうか、大阪は大阪国だったのかよ。」
「当たり前だ。大阪は日本を代表する東京より金がある。その金で芸能なんて簡単に潰せる小さな国だ。大阪に海道が作られた理由はそこにある。」
「今まで、なんとなく暮らしてたけどよ…大阪ってスゲェな。」
「だから税金の事は気にするな。東京が税金で無駄遣いしようが、こっちに火の粉が降りかかるなら、重症を負わされる事になるからな。」
「…地元ながら恐ろしいな。」
「…なんで弁護士になろうと思った? 輝が言ったからか? それとも南雲暖人の拘った約束を果たす為か?」
先程と違う雰囲気な忍は真剣な表情で、修二へ弁護士になった理由を尋ねた。
真剣な忍と違って修二は、そんな事かという鼻で笑っていた。
「お前と同じ位置に立ちたかったからだ。お前は俺より賢くて天才で、そして俺よりイカれた考えもしてる。俺が無い物を備えて、『最強』として君臨した。理由はそれだけだ。」
「…残念ながら、俺はお前が思っている程の者じゃない。失わないと決めた事なのに、俺の無力なため仲間を傷つけた。」
「…五年間、お前も辛い戦いをしていたんだな。俺もお前に追い付くため、輝さんや柏木さんにも頼んで強くしてもらった。」
「時間を無駄にしなかったな。」
「それしか思い付かなかったんだ。弁護士は知識がいるからお前と戦う時、役に立つから学んだんだ。」
「相変わらず、自分が欠損する事は考えていなかったんだな?」
「これだけは覚悟だ。人は何時か何処かで必ず、何かを失う。それが腕か足、もしくは大事な人とか…。」
修二は忍の過去を思い出して、途中で話を終わらせた。
「…気にするな。俺も何時かは、見切りをつけて進まなければならない。俺も五年間、初対面の奴等に教えられた。色んな奴がいた…。」
忍はニヒルな笑みで懐かしみ、五年前を思い出していた。
「…そうか、お前にも仲間と言える奴ができたんだな。」
「…仲間か。俺にとっては三銃士は邪魔となる者を潰す弾除けだった。だが、失って初めて分かった…アイツ等は弾除けの道具じゃないんだとな。」
(俺より成長してんじゃねぇか。ヤベェな、もう少し俺も強くなんねぇと忍に負けるぜ。)
忍の心が成長し更に強くなった事で、修二は焦っていた。
「忍じゃねぇか! ここで何してんだ?」
すると後から追って来た鬼塚が、忍達を見つけ、そして二人へ声を掛けたのだ。
「一休みだ。後から追い上げようとしてたんだよ。」
「…そっちの人は大怪我してんな。助けはいるか?」
修二の酷い有り様を見て、心配となった鬼塚は忍に、助力が必要かと聞いた。
「あぁ、俺も肋骨が折れて品川を支えられる力もない。」
「…しゃあねぇな。」
鬼塚はやむを得ないという表情で、負傷している修二へ近づいたのだ。
「アンタ…閻魔さんと雰囲気が似てるな。」
「兄貴の事を知ってる事は、アンタが噂の品川修二か。神崎忍に勝ったという『最高の覇気使い』ってな? 確かに、噂通りに無茶をする強い奴だって聞いたぜ?」
歓喜な表情で鬼塚は噂だけしか聞いた事のない、修二本人を一目見て感心していた。
「…そんな話、俺は何も知らねぇぞ? そうなのか神崎?」
身に覚えのない噂話の詳細が気になり、噂元である忍へ尋ねた。
「…知らん。誰かが面白半分で広めた物だろう。俺は何も言ってない…はず…。」
身に覚えのない、忍も頭の中から頑張って記憶を辿っていく。そして噂を広めた記憶がなかった。
「…俺じゃないな。絶対そうだ、俺はフランスに行く準備で忙しくて、そんなアホな噂を流す暇なんてなかった。」
「そりゃそうだろう。その噂を広めたのは、お前の親父だからな。」
そんな想定外な話を聞いて、鬼の形相となった忍は満身創痍の体で、素早く逃げる鬼塚を追い掛け回したのだ。
(アイツ、俺より元気じゃねぇのか?)
忍の肋骨が折れていると聞いていた修二は、あまりにも元気に走っている姿を見て、呆然と疑っていた。
そして忍と鬼塚の追いかけっこが、疲労を蓄えながら終わり、修二へ近づいたのだ。
「…さあ…行こう…か。」
発汗させ肩で息を繰り返しながら、忍は修二に進もうと提案していた。
「…こんな『最強の覇気使い』なんか見たくなかったな。」
修二は五年間で、カッコ良さがなくなった忍に少し落胆していた。
鬼塚は優しい手つきで、修二をおんぶという形で抱え、次の部屋へ向かう。
「閻魔が一人で来ると思っていた…が、アンタが先に来たという事は…かなり大事だな?」
忍は鬼塚が閻魔より先にやって来た事が、気になり自分で推測し、『魔界連合』の危機を理解し、尋ねたのだ。
「…あぁ。一人が組を裏切ったから、ケジメをつけさせに来た。この件で兄貴は、もの凄いカンカンだ。封魔のドスを用意したくらいだ。久し振りに、ぶちギレた兄貴を見たぜ。」
鬼塚は閻魔が、久し振りに怒りが頂点に達していた事を恐れていた。
「そんな哀れで恐れ知らずの無知な奴は?」
「数千年生きた吸血鬼だ。」
鬼塚の言葉で、忍は納得した様子で大きく笑っていた。
「たかが数千年生きただけの吸血鬼が、数億生きてる悪魔に喧嘩売るとは…面白い。」
「だろ? だから、俺が先に来たんだ。」
鬼塚は声高らかに、その吸血鬼へ死刑判決を言い渡しに先へ来ていたのだ。
起きたばかりで脳が理解できなかった。が、数分前の行動を思い起こし、数秒後にやっと自分の行動した事を理解した。
「…そうか…俺、右腕を犠牲にして幻魔に勝ったんだよな。」
修二は幻魔に勝った嬉しさよりも、右腕を失った喪失感が勝り、普段はならない憂鬱な気分となっていた。
「あ~あ、神崎と再び戦えると思ったのにな…これじゃあ無理だな。日常生活もままならないだろうな、左腕一本じゃあな…。」
「だったら国から障害保険を貰って、死ぬまで贅沢な暮らしをしてみろ。世間の目は可哀想と見るが、俺等はそうとは思わない。胸を張って堂々としてろ、お前が強者だ。」
修二が意識を失っている間、忍は辿り着いて隣へ座り励ましていたのだ。
「…理由を述べて判事に認められるなら、やってもいいかもな。」
疲れ気味の修二は愛想笑いで忍と会話していた。
「…相当無茶したな。」
流石に満身創痍で右腕と自信を喪失している修二を心配して忍は優しく接する。
「あぁ、今更ながら自分でも何してんだろうって思った。」
修二は過去の行いで怒りが込み上げ、ぶっきらぼうな態度になっていた。そして気分転換に喫煙をしようとした。が、左肩は脱臼、右腕は喪失している為、何もできない状態だった。
それを見ていた忍は修二の膝に転がっている煙草を拾い、咥えさせた。
「ライターも出せ、煙草吸いたいんだろ?」
忍の指示に従い、修二は目で左懐へ向けていた。
ライターのありかを知った忍は、懐へ手を突っ込みまさぐった。そしてジッポライターを見つけ取り出した。
「…どうやって着火するんだ?」
ライターを使った事がない忍は暫く停止し、修二へ使い方を聞いた。
「そのツマミを素早く回して、着けるんだ。」
忍は不慣れな手つきだが、なんとかライターを着火させて、煙草に着けたのだ。
両腕が使えない修二は、唇の力で煙草を動かし、喫煙していた。
「ワリィけど、左肩はめてくれねぇか? 幻魔から攻撃喰らって外れてんだ。」
修二は左肩が外れているため、動ける忍へ治すよう頼んだのだ。
「かなり痛むぞ?」
「やってくれ。」
猛烈な痛みを少しだけ覚悟していた修二。その願いを聞き入れた忍は修二の左腕を掴み、勢いよく骨を入れたのだ。
修二の顔は苦痛に歪めながらも、煙草だけは執念に喫煙し続けていた。
「煙草に対する執念は凄いな。」
「海道の煙草だけは安いからな。一本一本は大事に吸わねぇと、いつ東京みてぇに税率上げられるのか分からねぇからな。」
「…心配するな。海道に税金はない、それどころか、一国として扱われているから政府が手を出せない島になっている。」
「知らなかった…っていうか、大阪は大阪国だったのかよ。」
「当たり前だ。大阪は日本を代表する東京より金がある。その金で芸能なんて簡単に潰せる小さな国だ。大阪に海道が作られた理由はそこにある。」
「今まで、なんとなく暮らしてたけどよ…大阪ってスゲェな。」
「だから税金の事は気にするな。東京が税金で無駄遣いしようが、こっちに火の粉が降りかかるなら、重症を負わされる事になるからな。」
「…地元ながら恐ろしいな。」
「…なんで弁護士になろうと思った? 輝が言ったからか? それとも南雲暖人の拘った約束を果たす為か?」
先程と違う雰囲気な忍は真剣な表情で、修二へ弁護士になった理由を尋ねた。
真剣な忍と違って修二は、そんな事かという鼻で笑っていた。
「お前と同じ位置に立ちたかったからだ。お前は俺より賢くて天才で、そして俺よりイカれた考えもしてる。俺が無い物を備えて、『最強』として君臨した。理由はそれだけだ。」
「…残念ながら、俺はお前が思っている程の者じゃない。失わないと決めた事なのに、俺の無力なため仲間を傷つけた。」
「…五年間、お前も辛い戦いをしていたんだな。俺もお前に追い付くため、輝さんや柏木さんにも頼んで強くしてもらった。」
「時間を無駄にしなかったな。」
「それしか思い付かなかったんだ。弁護士は知識がいるからお前と戦う時、役に立つから学んだんだ。」
「相変わらず、自分が欠損する事は考えていなかったんだな?」
「これだけは覚悟だ。人は何時か何処かで必ず、何かを失う。それが腕か足、もしくは大事な人とか…。」
修二は忍の過去を思い出して、途中で話を終わらせた。
「…気にするな。俺も何時かは、見切りをつけて進まなければならない。俺も五年間、初対面の奴等に教えられた。色んな奴がいた…。」
忍はニヒルな笑みで懐かしみ、五年前を思い出していた。
「…そうか、お前にも仲間と言える奴ができたんだな。」
「…仲間か。俺にとっては三銃士は邪魔となる者を潰す弾除けだった。だが、失って初めて分かった…アイツ等は弾除けの道具じゃないんだとな。」
(俺より成長してんじゃねぇか。ヤベェな、もう少し俺も強くなんねぇと忍に負けるぜ。)
忍の心が成長し更に強くなった事で、修二は焦っていた。
「忍じゃねぇか! ここで何してんだ?」
すると後から追って来た鬼塚が、忍達を見つけ、そして二人へ声を掛けたのだ。
「一休みだ。後から追い上げようとしてたんだよ。」
「…そっちの人は大怪我してんな。助けはいるか?」
修二の酷い有り様を見て、心配となった鬼塚は忍に、助力が必要かと聞いた。
「あぁ、俺も肋骨が折れて品川を支えられる力もない。」
「…しゃあねぇな。」
鬼塚はやむを得ないという表情で、負傷している修二へ近づいたのだ。
「アンタ…閻魔さんと雰囲気が似てるな。」
「兄貴の事を知ってる事は、アンタが噂の品川修二か。神崎忍に勝ったという『最高の覇気使い』ってな? 確かに、噂通りに無茶をする強い奴だって聞いたぜ?」
歓喜な表情で鬼塚は噂だけしか聞いた事のない、修二本人を一目見て感心していた。
「…そんな話、俺は何も知らねぇぞ? そうなのか神崎?」
身に覚えのない噂話の詳細が気になり、噂元である忍へ尋ねた。
「…知らん。誰かが面白半分で広めた物だろう。俺は何も言ってない…はず…。」
身に覚えのない、忍も頭の中から頑張って記憶を辿っていく。そして噂を広めた記憶がなかった。
「…俺じゃないな。絶対そうだ、俺はフランスに行く準備で忙しくて、そんなアホな噂を流す暇なんてなかった。」
「そりゃそうだろう。その噂を広めたのは、お前の親父だからな。」
そんな想定外な話を聞いて、鬼の形相となった忍は満身創痍の体で、素早く逃げる鬼塚を追い掛け回したのだ。
(アイツ、俺より元気じゃねぇのか?)
忍の肋骨が折れていると聞いていた修二は、あまりにも元気に走っている姿を見て、呆然と疑っていた。
そして忍と鬼塚の追いかけっこが、疲労を蓄えながら終わり、修二へ近づいたのだ。
「…さあ…行こう…か。」
発汗させ肩で息を繰り返しながら、忍は修二に進もうと提案していた。
「…こんな『最強の覇気使い』なんか見たくなかったな。」
修二は五年間で、カッコ良さがなくなった忍に少し落胆していた。
鬼塚は優しい手つきで、修二をおんぶという形で抱え、次の部屋へ向かう。
「閻魔が一人で来ると思っていた…が、アンタが先に来たという事は…かなり大事だな?」
忍は鬼塚が閻魔より先にやって来た事が、気になり自分で推測し、『魔界連合』の危機を理解し、尋ねたのだ。
「…あぁ。一人が組を裏切ったから、ケジメをつけさせに来た。この件で兄貴は、もの凄いカンカンだ。封魔のドスを用意したくらいだ。久し振りに、ぶちギレた兄貴を見たぜ。」
鬼塚は閻魔が、久し振りに怒りが頂点に達していた事を恐れていた。
「そんな哀れで恐れ知らずの無知な奴は?」
「数千年生きた吸血鬼だ。」
鬼塚の言葉で、忍は納得した様子で大きく笑っていた。
「たかが数千年生きただけの吸血鬼が、数億生きてる悪魔に喧嘩売るとは…面白い。」
「だろ? だから、俺が先に来たんだ。」
鬼塚は声高らかに、その吸血鬼へ死刑判決を言い渡しに先へ来ていたのだ。
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