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第2章 魔導使い襲来。
第54話 無敵と残酷なヤクザ悪魔。
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『無間地獄』まで落ちた修二は川が血で染まった川岸に打ち上げられ、うつ伏せで意識を失い倒れていた。
目立った外傷はなく血が体に付着するぐらいだった。
「…人間か。」
半裸で体格がいい、細マッチョの男が修二を見つけ近づいた。
「…まだ息はある。目立った怪我も無い、内臓は潰れていないか調べよう。」
男は修二を川岸から引き上げ、血液が付着したスーツを優しく脱がした。そして半裸状態にさせ胸に耳を当て、心臓は無事かどうか心音を調べていた。
「…心臓は無事だな。内臓は分からないが異常はないだろ…成る程、『地獄』から『無間地獄』まで落ちて来たのか。これは悪い事をしたな。」
男は修二を片手のみで担ぎ上げ、着ていたスーツも忘れず。安全な場所まで運ぶため川岸から離れた。
「…こ、ここは?」
暫くすると修二は意識を取り戻し目覚め、ハッキリしないまま状況を確認する。
「……。」
目に写ったのは忍ではなく見知らぬ男が、疲れを癒す為に木へもたれ眠っている様子だった。
修二はこの男に何かされていないか体を確かめる。
「俺は何もしてない、怪我が無いか脱がせて調べただけだ。」
突然と男は修二の行動を察したのか、安堵させるように話しかけた。
修二は一瞬だが体がビクッと反応し、脂汗を発汗させていた。
「あ、あぁ。そうだったのか…アンタが俺を助けてくれたのか?」
だが、助けてくれたのは事実なので修二は男に礼を述べた。
「……。」
男は修二の礼を無視していた。
(は、反応がないから恐ぇよ。だけどな助けてくれた礼は言っとかねぇと…こっちが気分がな。)
修二は無愛想な男に恐怖を抱いていたが、なんとか会話をして、お礼しようと考えていた。
「…おい、今から荒れる。俺から離れるな。」
すると男は突然と立ち上がり、右手から刀を召喚し、左手で鞘を持ち、刃を静かにゆっくりと滑らかにと引き抜いた。
修二は突然の事で固まったままだが、頭がようやく理解に追い付き、構えていた。
周囲から殺気立った悪鬼達が血走った眼で二人を見ていた。
「こ、コイツ等は!」
「座ってろ、すぐ終わる。」
男は木から二歩離れ修二を守る形で前に立っていた。
修二はふと男の背中を見て、この世の終わりを感じる様な顔で絶句していた。
それは東洋の白い龍と黒い龍が荒々しく互いに体を巻き付け、中心に魂と刻まれた宝玉を守る刺青が修二の眼へ映ってしまったからだ。
「…もしかして…助けてくれたのって…ヤーさん?」
修二がヤクザに助けてもらった事で少しショック受けていた。が、男は修二を無視し、黙々と横一閃と回転し、もう終わったのか刀を下へ向けた。
すると周囲にいた悪鬼達の首が弾け飛び、血潮を噴水が吹き出すが如く、バタバタと倒れ絶命した。
「す、スゲェ! あの気色の悪い鬼達を一瞬で斬った。」
修二は一瞬の出来事で理解はできなかった。が、なんとなく見たまんまの簡単な感想を述べていた。
「…まだ俺も未熟だな。」
だが、男は納得せず不満な顔を浮かべ使用した刀を投げ破棄した。
「な、なんでだよ! あんだけ、スゲェ事できたら刀を捨てずに…!」
修二は男が捨てた刀を拾い、ジロジロと眺め目を見開き、驚愕していた。
「本来なら刀の力を引き出すのに対しバランスが合ってなければ…どちらかがダメージを負い、隙が生まれる。」
修二が驚愕していたのは一回でしか振り回していない刀が、刀身に痛々しく亀裂が入っていた。
「…そう言えば自己紹介をしていなかったな。俺は閻魔光、『魔界連合四代目会長』…『元魔王』だ。」
影で顔は良く見えなかったが、丁度月光が差し掛かり、表情が見えていた。
髪は黒のツンツンなオールバック、忍とは違ったベクトルの男前な顔、瞳は黒いがそこに感情はなかった。
「ど、どうも…。」
修二は色々と多すぎる情報量に対し戸惑いを隠せなかった。
「俺は自己紹介した。人間の君は誰で、どんな職業をしているのか教えてくれ。」
「えっと…品川修二です。神崎法律事務所で弁護士やってます。閻魔さんとは敵になる存在です。」
閻魔の頼みを無下に出来なかった修二は律儀に簡単な自己紹介で済ませた。
「そうか。君が神崎忍と一緒に『地獄』へ来た人間で謝罪するべき人だな。」
閻魔は修二に対し頭を下げ、謝罪していた。
「え? なんで!?」
急に何かされた訳でもなく、身に覚えのない謝罪で困惑するしかなかった修二だった。
「君が『無間地獄』に落ちたのは俺が力を制御できず、上に向かって力を放ち、君と神崎忍が修行の邪魔をしたから、その謝罪だ。」
閻魔は修二に分かりやすく謝罪した理由を説明していた。
「…あのさ、俺はよ。『地獄』から『無間地獄』まで落ちた感覚が良く分からないんだが?」
「余程、落ちる事に集中してたのだな。ここまで落ちるまで八大まである。最下位は今ここ『無間地獄』だ。そして君と神崎忍がいた場所が『地獄』、死んだ者が落ちる階が決まる審判の場所だ。まあ、君達は生きているから関係ないが、戻るのに手を貸そう。俺にも非があるのは確かだからな。」
そして再び情報量の多い単語に対し、修二はポカーンと呆然とし、理解できず五年前の馬鹿な状態へと戻ってしまった。
だが、閻魔は呆然としている修二を見て不思議がっていた。こちらも修二が話に追い付いていない事に理解できていなかった。
つまりどちらも話と現状が理解できていない馬鹿だった。
そして暫くすると閻魔は何かに気づき、察した。
「…もしかして話が難しかったか?」
「はい。特に戻る所以外は完全に聞き流してました。」
静寂な雰囲気と冷気が流れ、気まずい状態になっていた。
「…そうか、それは悪かった。じゃあ、どうする? 今すぐにでも『地獄』へ戻せるが?」
「それよりアンタ、神崎忍より強いんだってな? イギリス女王から聞いたぜ、一番会いたくない人物って。」
「あまり、そう言う茶化した話は苦手だな。伝説は過信しない方がいい、真実を知った時の落胆と失望が大きく…結論を言えば、簡単に信じては駄目だという事だ。」
閻魔は大事な部分を濁し、一瞬だけ思い詰めた表情を浮かべた。が、修二の前では無表情に戻った。
「…良く分かんねぇけど、俺と一度だけ戦ってくれねぇか? 俺は神崎忍を超えなきゃなんねぇだ。約束の日までな!」
「…約束か。良い物だな、俺は何時も出来ない約束ばかりだ。」
修二の目標と約束という言葉に閻魔は反応し、そんな小さい物が羨ましく思えた。
「一回だけお願いしますよ!」
「…まあいいだろ。君が納得し、神崎忍の元へ帰ると思えば僅かな労働で済む。」
修二の懇願に対し折れたのか、閻魔は渋々相手にする事にした。
修二は戦闘態勢に入り、閻魔の動向を探るため警戒しながら間合いを取り構えていた。
「一つだけ言っておこう…俺に何時か勝てるなんていう期待なんて持たない方が良い、今でも、この先の未来でも永遠にーー俺には勝てない。」
閻魔が言い終わった瞬間、修二の腹部が異常に窪みだし、身体中の空気を吐き出していた。
修二は何かあったのか確認すると、閻魔の左拳が鳩尾を確実に当てており、明確にもダメージを与えていた。
そんな閻魔は左拳を修二の腹から離し、様子を深々と見ていた。
(嘘だろッ! 見えなかったレベルじゃねぇぞ、忍の時は見えて痛かったのに…この人のは見えなくて痛い!)
修二の身に何かが起き理解できずにいた。
「どうする? まだ続けるかい? それとも止めるか?」
閻魔は冷たい目付きで修二に重要な選択を迫っていた。
「…まだやれるさ。まだ…」
修二は強気な態度で閻魔に続行を望んだ。が、身体から冷たい汗を流し、両手は震え、閻魔に対し恐れが瞳に写っていた。
「そうか、なら早く立て。お前が立ち上がる時間が勿体ない。」
さっきまでの優しい態度がガラリと豹変し、今は修二を人間としては見ず、そこにある物としか見ていなかった。
そして修二は思い知らされる事になる。自分が今相手にしてる人物が、どれほど残酷で、先程の行動を後悔する事に…。
目立った外傷はなく血が体に付着するぐらいだった。
「…人間か。」
半裸で体格がいい、細マッチョの男が修二を見つけ近づいた。
「…まだ息はある。目立った怪我も無い、内臓は潰れていないか調べよう。」
男は修二を川岸から引き上げ、血液が付着したスーツを優しく脱がした。そして半裸状態にさせ胸に耳を当て、心臓は無事かどうか心音を調べていた。
「…心臓は無事だな。内臓は分からないが異常はないだろ…成る程、『地獄』から『無間地獄』まで落ちて来たのか。これは悪い事をしたな。」
男は修二を片手のみで担ぎ上げ、着ていたスーツも忘れず。安全な場所まで運ぶため川岸から離れた。
「…こ、ここは?」
暫くすると修二は意識を取り戻し目覚め、ハッキリしないまま状況を確認する。
「……。」
目に写ったのは忍ではなく見知らぬ男が、疲れを癒す為に木へもたれ眠っている様子だった。
修二はこの男に何かされていないか体を確かめる。
「俺は何もしてない、怪我が無いか脱がせて調べただけだ。」
突然と男は修二の行動を察したのか、安堵させるように話しかけた。
修二は一瞬だが体がビクッと反応し、脂汗を発汗させていた。
「あ、あぁ。そうだったのか…アンタが俺を助けてくれたのか?」
だが、助けてくれたのは事実なので修二は男に礼を述べた。
「……。」
男は修二の礼を無視していた。
(は、反応がないから恐ぇよ。だけどな助けてくれた礼は言っとかねぇと…こっちが気分がな。)
修二は無愛想な男に恐怖を抱いていたが、なんとか会話をして、お礼しようと考えていた。
「…おい、今から荒れる。俺から離れるな。」
すると男は突然と立ち上がり、右手から刀を召喚し、左手で鞘を持ち、刃を静かにゆっくりと滑らかにと引き抜いた。
修二は突然の事で固まったままだが、頭がようやく理解に追い付き、構えていた。
周囲から殺気立った悪鬼達が血走った眼で二人を見ていた。
「こ、コイツ等は!」
「座ってろ、すぐ終わる。」
男は木から二歩離れ修二を守る形で前に立っていた。
修二はふと男の背中を見て、この世の終わりを感じる様な顔で絶句していた。
それは東洋の白い龍と黒い龍が荒々しく互いに体を巻き付け、中心に魂と刻まれた宝玉を守る刺青が修二の眼へ映ってしまったからだ。
「…もしかして…助けてくれたのって…ヤーさん?」
修二がヤクザに助けてもらった事で少しショック受けていた。が、男は修二を無視し、黙々と横一閃と回転し、もう終わったのか刀を下へ向けた。
すると周囲にいた悪鬼達の首が弾け飛び、血潮を噴水が吹き出すが如く、バタバタと倒れ絶命した。
「す、スゲェ! あの気色の悪い鬼達を一瞬で斬った。」
修二は一瞬の出来事で理解はできなかった。が、なんとなく見たまんまの簡単な感想を述べていた。
「…まだ俺も未熟だな。」
だが、男は納得せず不満な顔を浮かべ使用した刀を投げ破棄した。
「な、なんでだよ! あんだけ、スゲェ事できたら刀を捨てずに…!」
修二は男が捨てた刀を拾い、ジロジロと眺め目を見開き、驚愕していた。
「本来なら刀の力を引き出すのに対しバランスが合ってなければ…どちらかがダメージを負い、隙が生まれる。」
修二が驚愕していたのは一回でしか振り回していない刀が、刀身に痛々しく亀裂が入っていた。
「…そう言えば自己紹介をしていなかったな。俺は閻魔光、『魔界連合四代目会長』…『元魔王』だ。」
影で顔は良く見えなかったが、丁度月光が差し掛かり、表情が見えていた。
髪は黒のツンツンなオールバック、忍とは違ったベクトルの男前な顔、瞳は黒いがそこに感情はなかった。
「ど、どうも…。」
修二は色々と多すぎる情報量に対し戸惑いを隠せなかった。
「俺は自己紹介した。人間の君は誰で、どんな職業をしているのか教えてくれ。」
「えっと…品川修二です。神崎法律事務所で弁護士やってます。閻魔さんとは敵になる存在です。」
閻魔の頼みを無下に出来なかった修二は律儀に簡単な自己紹介で済ませた。
「そうか。君が神崎忍と一緒に『地獄』へ来た人間で謝罪するべき人だな。」
閻魔は修二に対し頭を下げ、謝罪していた。
「え? なんで!?」
急に何かされた訳でもなく、身に覚えのない謝罪で困惑するしかなかった修二だった。
「君が『無間地獄』に落ちたのは俺が力を制御できず、上に向かって力を放ち、君と神崎忍が修行の邪魔をしたから、その謝罪だ。」
閻魔は修二に分かりやすく謝罪した理由を説明していた。
「…あのさ、俺はよ。『地獄』から『無間地獄』まで落ちた感覚が良く分からないんだが?」
「余程、落ちる事に集中してたのだな。ここまで落ちるまで八大まである。最下位は今ここ『無間地獄』だ。そして君と神崎忍がいた場所が『地獄』、死んだ者が落ちる階が決まる審判の場所だ。まあ、君達は生きているから関係ないが、戻るのに手を貸そう。俺にも非があるのは確かだからな。」
そして再び情報量の多い単語に対し、修二はポカーンと呆然とし、理解できず五年前の馬鹿な状態へと戻ってしまった。
だが、閻魔は呆然としている修二を見て不思議がっていた。こちらも修二が話に追い付いていない事に理解できていなかった。
つまりどちらも話と現状が理解できていない馬鹿だった。
そして暫くすると閻魔は何かに気づき、察した。
「…もしかして話が難しかったか?」
「はい。特に戻る所以外は完全に聞き流してました。」
静寂な雰囲気と冷気が流れ、気まずい状態になっていた。
「…そうか、それは悪かった。じゃあ、どうする? 今すぐにでも『地獄』へ戻せるが?」
「それよりアンタ、神崎忍より強いんだってな? イギリス女王から聞いたぜ、一番会いたくない人物って。」
「あまり、そう言う茶化した話は苦手だな。伝説は過信しない方がいい、真実を知った時の落胆と失望が大きく…結論を言えば、簡単に信じては駄目だという事だ。」
閻魔は大事な部分を濁し、一瞬だけ思い詰めた表情を浮かべた。が、修二の前では無表情に戻った。
「…良く分かんねぇけど、俺と一度だけ戦ってくれねぇか? 俺は神崎忍を超えなきゃなんねぇだ。約束の日までな!」
「…約束か。良い物だな、俺は何時も出来ない約束ばかりだ。」
修二の目標と約束という言葉に閻魔は反応し、そんな小さい物が羨ましく思えた。
「一回だけお願いしますよ!」
「…まあいいだろ。君が納得し、神崎忍の元へ帰ると思えば僅かな労働で済む。」
修二の懇願に対し折れたのか、閻魔は渋々相手にする事にした。
修二は戦闘態勢に入り、閻魔の動向を探るため警戒しながら間合いを取り構えていた。
「一つだけ言っておこう…俺に何時か勝てるなんていう期待なんて持たない方が良い、今でも、この先の未来でも永遠にーー俺には勝てない。」
閻魔が言い終わった瞬間、修二の腹部が異常に窪みだし、身体中の空気を吐き出していた。
修二は何かあったのか確認すると、閻魔の左拳が鳩尾を確実に当てており、明確にもダメージを与えていた。
そんな閻魔は左拳を修二の腹から離し、様子を深々と見ていた。
(嘘だろッ! 見えなかったレベルじゃねぇぞ、忍の時は見えて痛かったのに…この人のは見えなくて痛い!)
修二の身に何かが起き理解できずにいた。
「どうする? まだ続けるかい? それとも止めるか?」
閻魔は冷たい目付きで修二に重要な選択を迫っていた。
「…まだやれるさ。まだ…」
修二は強気な態度で閻魔に続行を望んだ。が、身体から冷たい汗を流し、両手は震え、閻魔に対し恐れが瞳に写っていた。
「そうか、なら早く立て。お前が立ち上がる時間が勿体ない。」
さっきまでの優しい態度がガラリと豹変し、今は修二を人間としては見ず、そこにある物としか見ていなかった。
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