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第19話 謀る

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 ――――ブラックはひとしきり笑いが収まったところで、なおも鬼気に満ちた眼光を風水師に突き刺す。風水師はただただ狼狽している……。

「あ、あああアア……そんな……どうすれ、ば」

「……まずは、そうだな……我が一行のリーダーを放してもらおうか」

「……ンンッ……」

 風水師は恐怖で理性を保つのがやっとながら、ラルフを毒茨の罠から解放した。

「……ぐはっ……うう……ブラックさん……一体何を……」

「――ルルカ。すぐにこの解毒剤をラルフに飲ませろ。猛毒が回りきらぬうちに。ベネットも念の為毒の浄化魔法をかけろ」

「え……で、でも――――」

「いいから、早くせんか」

 たった今、植物の猛毒の威力など吹いて飛ぶような毒性を持つはずの細菌爆弾を炸裂させた男が解毒剤をルルカに投げて渡す。ルルカとベネットは戸惑いながらもラルフを介抱する。

「――恐いかね、風水師。まァ当然か……だが安心したまえ……たったひとつだけ――――感染拡大パンデミックを起こさない方法がある――――」

「!? ……お、おお、おしおしおしおしえ…………」

 動転している風水師は、呂律が回らない。

「細菌爆弾に、そうだな……拳で殴打する程度以上の衝撃を与えなければ、蔓延はしないよ。ただし、貴様が『そこから1㎝たりとも動かなければ』、な。大人しく我々に倒されたまえよ」

「ヒィ! ひうッ……!?」

 両方とも戸惑っているが、風水師が狼狽える手下たちを見遣って叫んだことで、状況は動き始めた――

「……あ、ア、お前らァッ! ウチは動けない……代わりにこいつらを殺せえーッ!!」

「ふむ。まあそうなるよな」

 風水師の命令に再び臨戦態勢を取る手下を見て、それも当然だよな、と言った風情で呟く。

「……くっ。しかし、こちらはラルフ殿とヴェラ殿が手負い……風水師が戦わずとも厄介なこやつらの連携! どう対処しきれば――――」

「不安かね、ロレンス? ならば……『第二の切り札』の投入と行こうか」

「――えっ?」

「――突撃せよ。ウルリカ――――!」

 ブラックがその声を言い終わるが早いか。ロレンスの横を突風が吹き抜けた――――

 ただならぬ鬼気を放ちながら、その高められた闘志を凝縮したかのような狂戦士バーサーカーさながらの女が、手近な敵から打ちのめそうとする! 

「……馬鹿め! そんな重い鎧を着込んでその程度の走力スピード……俺たちにとっちゃ止まって見えるぜぇ!!」

 細菌爆弾による窮地の中の光明でも感じたせいなのか、普段無駄口ひとつ叩かぬ賊の手下はそう云い捨て、ウルリカの大振りな一撃を躱し――――ウルリカの鎧の継ぎ目目掛けカタールを突き立てる! 

「――!? ば、馬鹿な――――うげぇーーーっ!?」

 深々とウルリカの胴に刺さる――――はずだったカタール剣は、ウルリカの皮膚を傷付けた程度。筋肉でこの鋭い刺突を防いでしまった――――そして隙を見せた手下を剛腕で一撃! 

 途方も無い威力の拳だった。確かにここまで大岩や壁を破壊してきたウルリカの腕力なら破壊力は想像できそうなものだが――ラルフ一行の想像を遙かに超えていた。殴った手下の下顎を完全に割り砕き、歯がほとんど吹き飛び、顔面は無惨に歪んだ状態で血を噴いて豪快に倒れ伏した! 

「な……なんだぁ、この女!? ――――お前ら! フォーメーションΔ(デルタ)だ! マジで行くぞ!!」

 賊の手下がそう掛け声をかけた瞬間、残り三人の手下たちが同時に宙へ飛び――――そのまま三角の軌跡を描きながら全てのカタール剣を同時にウルリカの首筋に――――

 ガギイイインッ!!

「――へ?」

 ――――斬りかかったのだが、なんとウルリカは両手で全ての剣を掴んで止めてしまった! 

「ふううううう…………ッ!」

 バギバギイイイインッ!!

 そのままひと呼吸し終わると、超握力で手下たちの剣は粉微塵に砕けてしまった――――

「――んなヴァガァッ!!」
「こ、こいつ人間ジャゲブウッ!!」
「え? お前らグベロオオオオッッ!!」

 ウルリカは剛拳で以て手下たちを状況を理解するのを待つまでもなく、先ほどと同じく漏れなく顔面を破砕した。情けない断末魔と共に宙を舞って倒れ伏す。

「――な!? ななな、なんだこの女ァア!? なんて怪力と頑丈さしてんのオオオ!?」

 頼りにしていた手下たちをいともたやすく粉砕され、風水師は目の前の狂戦士に怯える…………。

「――こんなこともあろうかと、準備しておいて良かったよ……私のウルリカ――――筋組織の強化と脳神経にある力のリミッターを外す施術を施した、私の人間兵器・ウルリカを――――!!」

「人間兵器・ウルリカ!?」

 その場の誰もが驚嘆した。

 まさか、ウルリカがブラックの手によって生み出された兵器などと、誰が予想できようか――――

 ゆらり、ゆらりと……人間兵器・・・・ウルリカは腰元に提げていた戦斧を携え、風水師ににじり寄る…………! 

「くく来るな、ヒイ、来るな来る――――」

「…………」

 最早、詰みだ。

 ウルリカは風水師まで1メートルまで肉迫した。

「こここ、こっちに――――来るなァァアアアアアアア!!」

 風水師は咄嗟に、先ほど麻酔弾をかき消した防護の力場を張ってガードした! 

 ダガアアアアアアアアン――――! 

「――エッ」

 ウルリカは、戦斧を持つ手とは逆の腕で――――先ほど叩き割った細菌爆弾に『拳で更なる衝撃を加えた』。理性を失い、意識が蕩ける風水師に……ウルリカは低く深い声で呟いた。

「……あ、ああ、アッ、アアンン…………」

「――恐さで意識トんじゃいそ? ――――駄目だね――――」

 ――それが、風水師の記憶する最後の台詞となった――――

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 それから数分の後、ウルリカは静かに臨戦態勢を解いた。

「……ウ、ウルリカ殿……しょ、正気、で…………?」

「……正気よ、正気。全く、ブラック。あんたって……」

 恐る恐る尋ねるロレンスに、ウルリカは先ほどまでのただならぬ闘争心は治まって普段の明るいトーンで声をかけるも、ラルフ一行は血の気の引いた気分だ。

 無理もない。

 風水師は先ほどの強力な障壁バリアでガードしたものの、ウルリカの怪力の前に陶工の器物の如く割れ砕け、『刃は使わず戦斧の柄の部分で』手下たちの怪我とは比較にならぬ殴打のラッシュを喰らわされた。

 猛り狂う獣が如く咆哮し、全身を怪力で殴打の嵐。風水師は健康な歯は全て弾け飛び、頭蓋骨を含め全身を複雑骨折、亀裂骨折、解放骨折し、腕や脚は全て明後日の方向へ折れている。極度の恐怖と激痛のショックで白目を剥き髪の毛はみすぼらしい白髪になり果てた。その数分間の惨劇はただ一思いに首をねるよりもえげつない光景だった。もちろん戦斧の柄は血で染まっている……。

 粉砕された風水師は、うわ言のように「ウイルスが、パンデミックが、死ぬ死ぬ死ぬ」などと繰り返している。

「……ふむ。全て上手くいった。ウルリカも派手にやってくれたが……全員助けられそうだな。今治療してやる」

「ブラック、あんたねえ――――って。え? 結局こいつら治すっての!?」

 ウルリカは罠にかかった屈辱と散々風水師に煽られたイライラをぶちまけてスッキリしたのも束の間、再びがなる。

「……あたしはそいつに殺されかけたんだぞ! そんな外道、懲りるわけがない。また悪さするに決まってる!」

「アガガガガ……何千人……何万人……し……ぬ……救い……魔の……すく、い、を……」

「……何万人の死、か。ならば」

 ブラックはちらりとウルリカの方を向く。

「私は。更にその何万人の数倍の人の命を、余さず救わねばならない。」

「――――っ! で、でも」

 一瞬振り向いたブラックの表情に、ウルリカは深い狂気と共に、強い悲しみを感じた。

 まるで、人間が一生分の悲しみの涙を湛える水瓶を何本も、何本も全てひっくり返してもまだ足りぬ。そんな悲しみの海に浸り、溺れ切った『何か』のような悲愴を感じた。

「――――嫌なんだッ!!」

「えっ…………」

 そして突然、もう堪らない、といった面持ちで……顔の表情筋を紙を絞るように緊張させブラックは叫んだ。

「私にとって生命に貴賤などない。日陰者でも医者としての務めを全うしたいものだ、だがな! 私は最も不甲斐ない理由で多くの生命を奪ってきた…………この手でだ!!」

 ブラックは両の拳に満身の力を込めて背筋を曲げ咆哮する。コートが激しい感情と筋肉の緊張で破れて縫い目が見えそうな錯覚さえ起こしそうなほどの切望だ。

「痛めつけようが悪が改心することなどないことも解っている! それでもっ……! 私は目の前で生命が終わることを見ることに我慢ならんのだ……だから助ける! この賊どものような外道なら尚更だ! 治療し、五体不満足で残された人生を送る時、そこにどのような可能性があるのか!? どんな生の輝きが一片でも残されているのか!? ……それを、諦めたくないのだ…………!!」

 ――あまりにも悲愴。あまりにも激情。

 ウルリカはどこか胸を締め付けられる。手負いの小さな獣が、何処に安息の地があるのかを求める姿を遠巻きに見るが如く……そして思い切って声をかけた。

「……ブラック。あんた……昔何があったの…………? ねえ、話してよ……」

「………………」

 しばしの沈黙。

 だが、徐々にブラックは乱れた気を鎮め……その狂気と悲愴を納めるべき所へ納めたようだ。

「……すまん。私としたことがつい取り乱した。……ふむ。案外、『憎悪の泪』の次元をも変異させる力が……我々の精神に影響を与えているのかも知れんな。皆、これから先も気をしっかり持ちたまえよ」

 ブラックは最もらしい理由を付けて、平静を装う。

 そして、風水師たちの手当てを始めた。

「……私は何であろうと目の前で死人は出さん。賊どもだろうと治療するぞ。宝玉を奪還する道はまだまだ続くのだろう。何なら私との契約を破棄して先へ進むかね、ラルフ?」

 ラルフは先程受けた猛毒から病み上がり、頭をくらくらさせつつもしっかりとした声の調子で答えた。

「……この賊たちはこの王国に立ち入りこの王国で罪を犯した。刑罰を与えるのは王国裁判に任せればいい。ブラックさんには冷静な判断や治療をする要員としていてくれなければ困ります。治療が済むまで待ちますよ――もちろん、賊たちは二度と戦えぬ再起不能の状態で。もとより、俺たちは賊たちを殺しに来たのではないんです。飽くまで『憎悪の泪』を取り返すだけだ」

 一行のリーダーとして揺るがぬ意志を見て、ブラックは肩を震わせ、どこか毒気を抜かれた様子で軽く笑った。

「はは。罪を憎んで人を憎まず、と言ったところかね。さすがは『勇者』とまで呼ばれる者だな。殊勝だよ」

 ブラックは満足げに、風水師たちの手当てを続けた。

「…………」

 ウルリカはその取り繕ったブラックの態度を見て、ひと息溜め息を吐いた後、誰ともなく小さく呟いた。

「なんか、納得いかないなあ」

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 手当てが終わった後、風水師たちは一階で戦った破戒魔術師同様、荒縄で縛った後にロレンスの転移魔法テレポートで即座に王国へ送られた。

「……ふう。これでよし、と。大声を出したり、強敵と戦ったりで喉が渇いたな……皆、少し座れ。この試験管の中のコーヒーでも――――」

「……シケンカン? にゃ!? にゃにゃがああああああーーーっ!?」

 突如、ベネットが絶叫した。理由はもちろん――

「なんだね騒々しい。拾い食いでもして当たったかね」

「そ、そそそのシケンカン! 『細菌爆弾』はどうなるにゃーっ!?」

「ああ!?」

 ブラック以外の全員が思い出し、青ざめた。

「そ、そうですわ! 何とかしないと……」

「なんだ、そんなことかね」

 ブラックは醒めた目でベネットを見遣る。そして試験管の中のコーヒー粉末をビーカーに移し、魔法瓶から熱湯を注ぐ。

「ほれ。このコーヒーでも飲んで落ち着きたま――」

「飲んどる場合かアァアアアアアアアーーーッッッ!!」

 ベネットはしゃがみながらコーヒーを伸ばすブラックの手のビーカーを蹴っ飛ばしてなおも激昴した。確かに本来コーヒーなど口にしている場合ではないが――

「は、はは早く! ワクチンか特効薬か渡すにゃ! 注射は嫌だけど我慢するからにゃーっ!!」

「あちち、危ないなあ。落ち着かんか。――そんな物は無い。必要ない」

「!?!?!?」

 ワクチンも、特効薬も、無い。

 その言葉に、ベネットは目眩がして、卒倒しかけた…………。

(ああ……終わったにゃ……終わってしまったにゃ…………アチキの脳裏に、これまでの青春と性春ががががが――――最期ぐらい、ムチムチのおねいさんの膝の上で死にたかったにゃ…………ああ、目の前が暗く沈んでいく…………)

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(……にゃ? このやわこい、ぬくぬくした気持ちいい感触は――――)

「――――ベネット! しっかりー! 大丈夫! 生きてますから!」

 卒倒しかけたベネットの頭をルルカは太ももで受け止めてあげていた。

「……ハッ!? ……生きてる!? アチキ、生きてるー!? にゃーっ! この膝はルルカお姉様の脚にゃ! うわーい夢だけど夢じゃなかったー! 生きてて良かったアアアアア!!」

「……え。じゃあさっきの風水師たちとのやり取りは、何なんだよ」

 傷んだヴェラも何とか立ち直り、ブラックに訊く。

「さっきの試験管の中身は『細菌爆弾』などではない。ただの『ブドウ糖』だよ。例え口から摂取しようが、血糖値を上げる以外の効果はほぼない。無害だ。特徴の薄いブドウ糖がちょうど良かったんだ。特徴の強い薬品だと偽物とバレるやもしれんかったからな」

「……ブラフ(はったり)だったか……上手くいったから良いようなものの……」

 ラルフも一瞬、肝が冷える思いだった。

「当然だとも。生命を重んじる私が大量殺戮など犯すものか。ましてや自分の生命まで捨てて。馬鹿馬鹿しい」

「……敵を騙すにはァアア……まず味方から、とは言うがよォオオ……マジだったらァおっとろしいぜえぇえ~」

「かーっ! てめ、ふざけんなよブラックこの野郎! マジで心臓止まるかと思ったぞちくしょう!!」

「ヴェ、ヴェラ様落ち着いて……折角勝てたんですから」

 ギターを振りかぶってブラックを殴ろうとするヴェラをルルカが宥める。

「……え。では、ウルリカ殿に起こった身体の異状は……?」

 ロレンスが訊くと、今度はウルリカが答えた。

「……実は、アイツらと戦う直前に、これ、ブラックから打ってもらったの」

 ウルリカは道具袋から、空の注射器を取り出した。

「ウィルスにゃ!?」

「違うって。人間兵器ってのももちろん嘘。さっきね――――」

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 風水師と遭遇する数分前。ブラックとウルリカはラルフたちに内緒である作戦を立てていた。

「ハッタリで倒すぅ!? あの罠仕掛けた奴相手にぃ!?」

「いいから黙って聞け。このブドウ糖を罠と偽って敵にぶつける。……確かに、それぐらいでは失敗するかもしれんな。そこでこの薬だ」

「……何コレ? ヤバいやつ?」

「まぁ、ある意味そうだな。――これは筋力を限界値まで引き出す強化剤ドーピングだ。血液を増やし、心拍数を上げ、興奮状態に近くして脳の筋力を抑制するリミッターを一時的に外す。打ってから数分で効き目が出る。敵の姿が見えた辺りで打ちたまえ。君の体力とパワーなら、連中を圧倒出来るはずだ。これまでの罠を鑑みるに、敵は頭脳派か技巧派だ。さほどの武闘派ではない」

「……確実に勝つためならいーけどさー……ヤク中になったりしないわけ? コレ」

「習慣性や依存性は一切無い私の特製だ。事前に行なった血液・尿検査で身体に無理なく馴染むよう調節してある。他にも敏捷性を上げたり魔力・集中力を高めるモノもある。取り敢えずこの階の敵を撃破できたら皆にも話すさ」

「……なんだかなー」

「自信を持ちたまえよ。純粋な筋力や頑強さというものは、時としてどんな技巧や智略にも勝るものだ……そんなに不安なら、この件から降りるかね?」

「んなわけ――」

「だよな。まあ他のものに気取られぬよう、さも敵への怒りに苛立つ演技でもしていてくれ。その時が来れば黙したまま、蹴散らしてやれ――期待しているよ」

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「……それでまあ、このままビビってたら冒険者失格かなー、って思ったから。ブラックに馬鹿にされたくなかったし」

「ブラック殿の強化剤ドーピング……ですか……薬に頼るのは些か抵抗がありますが……」

「いいじゃあないか、ロレンス。これから先にも強敵は待ち構えていることだろう。少しでも戦力を高める手段はあった方がいいだろう。これはスポーツでも試験でも闘技大会でもない――生命を賭した務めなのだから」

 密かに提示された戦力を、ラルフは良しとした。

「ともかく。散々驚かせて済まなかったな。詫びだ。私が最も風味を楽しめるようにあの王国の酒場で買ったコーヒーを手製のビーカーとフラスコで淹れてやろうではないか――うーむ。やはりこのコーヒーは良い香りとコクだ。あの王国で一番の代物かも知れんぞ?」

 ――――そうして一行は見事勝利したものの、どうにも複雑な面持ちで美味いコーヒーで小休止を取った。



 コーヒーを飲み終え、全員の治療も済んだ後、すぐに次の階層へとラルフたちは下っていった。

 ――――次の階層もまた、ラルフたちを動揺し、翻弄するに充分なモノだと、すぐに知ることになるが――――
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