43 / 55
第43話 モテモテ所長
しおりを挟む
――――その後、対悪性怪物殲滅班《スレイヤーズギルド》の者たちと戦果の確認や報酬などの計算の前に一旦食事休憩を挟んだ。
HIBIKI先端工学研究所の食堂は広々としており営業時間も長いが、さすがに対悪性怪物殲滅班の面々が一度にやって来て食事休憩を取ると、食堂内は賑やかなものとなった。きっと、皆ヨウヘイ達の異空間への探索中集中し張り詰めていた緊張が一気に解けたのだろう。集中と緊張で消耗していたので、そこから解放されると多くの者たちの腹の虫が鳴り、食欲が高進してくるのだった。
暫し食券売機には行列が出来、不安と緊張から解放された職員たちは皆、そのストレスを晴らすべく高らかに談笑した。
「……思わず、『一番ボリュームのある定食は何か』と職員に訊いてしまった。作戦中もなるべく飯は食うようにしていたが、やはり疲れて腹が減る。」
「はは。まあアリノは能力の特性上仕方ねえよな……ただでさえ良いガタイしてっし。ふうー……俺も腹が減ったぜ。またトンカツ定食にすっかなー。」
ヨウヘイとアリノが隣り合って食券を職員に差し出し、定食が出て来るのを待っていると……すっ、と音もなくマユも隣で食券を差し出した。ヨウヘイと同じくトンカツ定食だ。
「――おっ……マユ。お疲れっす。それ……トンカツ定食だよな? 前に胃袋が小さくて苦しいっつってたけど、大丈夫かあ?」
――マユは多少は疲労のせいかしどけなく金髪を垂らしながら、いつもの通り低めのトーンで答える。
「……さすがに、前回のことで粗食はわっちの立場上、全員に迷惑になると気付きんしたから。あれから頑張って食事量と内容も気を配るようにしたわぇ。よくよく考えれば…………しっかりと食事を摂って英気を養わんと、自分がやりたいだけの力も出ず、パフォーマンスが落ちる。『腹が減っては戦は出来ぬ』。単なる諺程度に思ってけど真理でありんすね。」
3人の距離が近い。アリノやヨウヘイはもちろん、マユの腹の音まで、きゅうう、と聴こえてくる有り様だった。どうやら粗食を禁じたのは本当のようだ。
「――へえ~……そりゃあ良かったぜ……でも、食う量増やしたんだろ? スタイルが変わって……ねえどころか、ちょい前より良くなってねえ?」
「……おいおい。だからそういう声の掛け方は……」
朴念仁寄りのはずのアリノでさえ、ヨウヘイの声掛けの下手さに苦言を呈した。
だが、意外なことに、マユはひと息溜め息を吐いた程度で、怒らず続ける。
「……まあ、以前より食べるから増える物は増えんした。けれどその分パーソナルジムで鍛えてるから大丈夫でありんす。本当はトレーニングメニューにジョギングもプラスしたいんでありんすが……その。」
――多少増えたけれども、その分鍛えているから大丈夫だ、と言うマユ。恐らく粗食を禁じる前から身体はみっちり鍛えていると見えるマユだが、よく食べるようになってからはさらにメニューを増やしているのだろう。やはり恐るべしというか、ちょっと無理しがちな彼女だが…………そこで何やら言いよどんでしまう。
「――――どーんっ!! マユ所長~、よくぞ御無事で帰られました~……!!」
――――と、そこへ突然女性職員が走って来てマユを後ろからハグした。眼鏡の受付嬢の人だ。
「――わっ……何……?」
「今日もちゃんと食べてますかあ~!? 鍛え過ぎてませんかあ~!? 駄目ですよう、それ以上無理して身体絞っちゃあ~!! ちょっとくらい太ったって私たちのマユ所長は醜くなったりしませんっ!!」
受付嬢は酒気などは感じないが、やたらテンションが高い。そういえば今日は玄関で見かけなかった。別の仕事を片付けていたのだろうか。
「……そっちはそっちで、充分寝てねえでありんすね? ――やッ……ちょ、ちょっと――――!!」
すると突然、受付嬢はバックハグからするりとマユの服の下へと手を滑らせ……胸やら脚やらを直に揉みだした……。
「――うふふっふう~。これこれえ~♡ 変に痩せてこの『もってり』とした乳尻フトモモが萎んじゃうなんて、我が社の大損失ですよう~? あっ、ジョギングなんてしないで正解ですよう~。こ~んな立派なモノ持ってて走り込みなんかしたら、痛くて堪りませんものねえ~? 靭帯とか色々。肩も凝るしぃ。むむぅ? 大胸筋とか鍛えたからますますバストが豊かになりましたねえ~!? けしからーん!! どれどれ、感度は――――」
「――ひゃあっ!! ちょ、ちょっとやり過ぎ……助け――――」
「――ああーッ!! マキノさん、抜け駆け~!! 所長の玉のようなお身体を堪能するなんて!! ズルイ!!」
「――そうっす!! ウチらも混ぜるっす~っ!! マユ所長はみんなの共有財産っすよお~っ!?」
――すると様子を見ていた対悪性怪物殲滅班の治療室担当のアオバと補給物資担当のシライも止めるどころか、女同士で受付嬢のマキノと共にマユに絡みついていった。仲睦まじいが激しいスキンシップだ……。
それからしばらく、我も我もとばかりに、マユを慕う女性職員で人だかりが出来てしまった。無論、マユを解放するどころか自分も彼女の肢体を堪能する為に。女性同士の荒々しいスキンシップとボディタッチに、むしろ周囲の男性職員の方が目のやり場に困ってしまうのだった。
「――ちょっと、ぬしら、いい加減に――――ああンッ――――!!」
「――おおっ……なんか、すっげえな…………オトコが入れる余地がまるでねえけど……」
「……入らない方が身の為だろ。ああいうのはオンナ同士の特権……みたいなもんだ。多分。」
「そっか。そうだよな……ラッキースケベにはあやかれねえが、御馳走様っす、ヒビキ=マユさん…………。」
――マユを求めて俎板《まないた》の鯉の如く女同士くんずほぐれつするのを、ヨウヘイとアリノは眼福程度にはしつつも立ち入ることは出来なかった。南無阿弥陀仏――――
HIBIKI先端工学研究所の食堂は広々としており営業時間も長いが、さすがに対悪性怪物殲滅班の面々が一度にやって来て食事休憩を取ると、食堂内は賑やかなものとなった。きっと、皆ヨウヘイ達の異空間への探索中集中し張り詰めていた緊張が一気に解けたのだろう。集中と緊張で消耗していたので、そこから解放されると多くの者たちの腹の虫が鳴り、食欲が高進してくるのだった。
暫し食券売機には行列が出来、不安と緊張から解放された職員たちは皆、そのストレスを晴らすべく高らかに談笑した。
「……思わず、『一番ボリュームのある定食は何か』と職員に訊いてしまった。作戦中もなるべく飯は食うようにしていたが、やはり疲れて腹が減る。」
「はは。まあアリノは能力の特性上仕方ねえよな……ただでさえ良いガタイしてっし。ふうー……俺も腹が減ったぜ。またトンカツ定食にすっかなー。」
ヨウヘイとアリノが隣り合って食券を職員に差し出し、定食が出て来るのを待っていると……すっ、と音もなくマユも隣で食券を差し出した。ヨウヘイと同じくトンカツ定食だ。
「――おっ……マユ。お疲れっす。それ……トンカツ定食だよな? 前に胃袋が小さくて苦しいっつってたけど、大丈夫かあ?」
――マユは多少は疲労のせいかしどけなく金髪を垂らしながら、いつもの通り低めのトーンで答える。
「……さすがに、前回のことで粗食はわっちの立場上、全員に迷惑になると気付きんしたから。あれから頑張って食事量と内容も気を配るようにしたわぇ。よくよく考えれば…………しっかりと食事を摂って英気を養わんと、自分がやりたいだけの力も出ず、パフォーマンスが落ちる。『腹が減っては戦は出来ぬ』。単なる諺程度に思ってけど真理でありんすね。」
3人の距離が近い。アリノやヨウヘイはもちろん、マユの腹の音まで、きゅうう、と聴こえてくる有り様だった。どうやら粗食を禁じたのは本当のようだ。
「――へえ~……そりゃあ良かったぜ……でも、食う量増やしたんだろ? スタイルが変わって……ねえどころか、ちょい前より良くなってねえ?」
「……おいおい。だからそういう声の掛け方は……」
朴念仁寄りのはずのアリノでさえ、ヨウヘイの声掛けの下手さに苦言を呈した。
だが、意外なことに、マユはひと息溜め息を吐いた程度で、怒らず続ける。
「……まあ、以前より食べるから増える物は増えんした。けれどその分パーソナルジムで鍛えてるから大丈夫でありんす。本当はトレーニングメニューにジョギングもプラスしたいんでありんすが……その。」
――多少増えたけれども、その分鍛えているから大丈夫だ、と言うマユ。恐らく粗食を禁じる前から身体はみっちり鍛えていると見えるマユだが、よく食べるようになってからはさらにメニューを増やしているのだろう。やはり恐るべしというか、ちょっと無理しがちな彼女だが…………そこで何やら言いよどんでしまう。
「――――どーんっ!! マユ所長~、よくぞ御無事で帰られました~……!!」
――――と、そこへ突然女性職員が走って来てマユを後ろからハグした。眼鏡の受付嬢の人だ。
「――わっ……何……?」
「今日もちゃんと食べてますかあ~!? 鍛え過ぎてませんかあ~!? 駄目ですよう、それ以上無理して身体絞っちゃあ~!! ちょっとくらい太ったって私たちのマユ所長は醜くなったりしませんっ!!」
受付嬢は酒気などは感じないが、やたらテンションが高い。そういえば今日は玄関で見かけなかった。別の仕事を片付けていたのだろうか。
「……そっちはそっちで、充分寝てねえでありんすね? ――やッ……ちょ、ちょっと――――!!」
すると突然、受付嬢はバックハグからするりとマユの服の下へと手を滑らせ……胸やら脚やらを直に揉みだした……。
「――うふふっふう~。これこれえ~♡ 変に痩せてこの『もってり』とした乳尻フトモモが萎んじゃうなんて、我が社の大損失ですよう~? あっ、ジョギングなんてしないで正解ですよう~。こ~んな立派なモノ持ってて走り込みなんかしたら、痛くて堪りませんものねえ~? 靭帯とか色々。肩も凝るしぃ。むむぅ? 大胸筋とか鍛えたからますますバストが豊かになりましたねえ~!? けしからーん!! どれどれ、感度は――――」
「――ひゃあっ!! ちょ、ちょっとやり過ぎ……助け――――」
「――ああーッ!! マキノさん、抜け駆け~!! 所長の玉のようなお身体を堪能するなんて!! ズルイ!!」
「――そうっす!! ウチらも混ぜるっす~っ!! マユ所長はみんなの共有財産っすよお~っ!?」
――すると様子を見ていた対悪性怪物殲滅班の治療室担当のアオバと補給物資担当のシライも止めるどころか、女同士で受付嬢のマキノと共にマユに絡みついていった。仲睦まじいが激しいスキンシップだ……。
それからしばらく、我も我もとばかりに、マユを慕う女性職員で人だかりが出来てしまった。無論、マユを解放するどころか自分も彼女の肢体を堪能する為に。女性同士の荒々しいスキンシップとボディタッチに、むしろ周囲の男性職員の方が目のやり場に困ってしまうのだった。
「――ちょっと、ぬしら、いい加減に――――ああンッ――――!!」
「――おおっ……なんか、すっげえな…………オトコが入れる余地がまるでねえけど……」
「……入らない方が身の為だろ。ああいうのはオンナ同士の特権……みたいなもんだ。多分。」
「そっか。そうだよな……ラッキースケベにはあやかれねえが、御馳走様っす、ヒビキ=マユさん…………。」
――マユを求めて俎板《まないた》の鯉の如く女同士くんずほぐれつするのを、ヨウヘイとアリノは眼福程度にはしつつも立ち入ることは出来なかった。南無阿弥陀仏――――
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ト・カ・リ・ナ〜時を止めるアイテムを手にしたら気になる彼女と距離が近くなった件〜
遊馬友仁
青春
高校二年生の坂井夏生(さかいなつき)は、十七歳の誕生日に、亡くなった祖父からの贈り物だという不思議な木製のオカリナを譲り受ける。試しに自室で息を吹き込むと、周囲のヒトやモノがすべて動きを止めてしまった!
木製細工の能力に不安を感じながらも、夏生は、その能力の使い途を思いつく……。
「そうだ!教室の前の席に座っている、いつも、マスクを外さない小嶋夏海(こじまなつみ)の素顔を見てやろう」
そうして、自身のアイデアを実行に映した夏生であったがーーーーーー。
俺が宝くじで10億円当選してから、幼馴染の様子がおかしい
沢尻夏芽
恋愛
自他共に認める陰キャ・真城健康(まき・けんこう)は、高校入学前に宝くじで10億円を当てた。
それを知る、陽キャ幼馴染の白駒綾菜(しらこま・あやな)はどうも最近……。
『様子がおかしい』
※誤字脱字、設定上のミス等があれば、ぜひ教えてください。
現時点で1話に繋がる話は全て書き切っています。
他サイトでも掲載中。
クラスのマドンナがなぜか俺のメイドになっていた件について
沢田美
恋愛
名家の御曹司として何不自由ない生活を送りながらも、内気で陰気な性格のせいで孤独に生きてきた裕貴真一郎(ゆうき しんいちろう)。
かつてのいじめが原因で、彼は1年間も学校から遠ざかっていた。
しかし、久しぶりに登校したその日――彼は運命の出会いを果たす。
現れたのは、まるで絵から飛び出してきたかのような美少女。
その瞳にはどこかミステリアスな輝きが宿り、真一郎の心をかき乱していく。
「今日から私、あなたのメイドになります!」
なんと彼女は、突然メイドとして彼の家で働くことに!?
謎めいた美少女と陰キャ御曹司の、予測不能な主従ラブコメが幕を開ける!
カクヨム、小説家になろうの方でも連載しています!
少しの間、家から追い出されたら芸能界デビューしてハーレム作ってました。コスプレのせいで。
昼寝部
キャラ文芸
俺、日向真白は義妹と幼馴染の策略により、10月31日のハロウィンの日にコスプレをすることとなった。
その日、コスプレの格好をしたまま少しの間、家を追い出された俺は、仕方なく街を歩いていると読者モデルの出版社で働く人に声をかけられる。
とても困っているようだったので、俺の写真を一枚だけ『読者モデル』に掲載することを了承する。
まさか、その写真がキッカケで芸能界デビューすることになるとは思いもせず……。
これは真白が芸能活動をしながら、義妹や幼馴染、アイドル、女優etcからモテモテとなり、全国の女性たちを魅了するだけのお話し。
むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム
ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。
けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。
学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!?
大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。
真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる