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第100話 リターンマッチ
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――レーダー類の監視を欺いて、無人機の別働隊に陽動させられ、本隊の上陸を許してしまった。
戦艦……ガラテア軍の旗艦だろうか。エリーたちの攻撃もまるで通らない謎の防御技術を持ち、威嚇射撃でこちらの手足を止めて来た隙に、カプセルに潜んだ兵の投下。
そしてそのカプセルから出て来た兵士たちは、以前セフィラの街近くで死合った、ライネス=ドラグノン、バルザック=クレイド、目亘改子、メラン=マリギナ4人の改造兵特殊部隊であった。
「――よっと……エリー……つったっけか。その様子だとここでかなり強くなったみてえだなあ……」
「――ぬっふっふっふ…………こりゃあ、この前みたいな残念なことにゃあならなさそうじゃあねえかああ……面白え。」
「――あの紫頭巾の奴、やっぱこいつらの仲間だったんかあ。この右目の借りを返す――――今度は出し抜かれねエぞ、コラア! ねえ、メラン!!」
「――愉しむのは私たちにとって一番の戦う意味ねえン…………でもみんなぁ。油断しないでぇ……多分想像以上に強くなってる。またあの銀髪の子に精神干渉されたら大変だしぃ――――」
――続いて投下されたカプセルから、以前ではエリー以外ではほぼ惨敗を喫したと言ってもいい改造兵たちが口々に言いながら現れ、練気を集中し始める。
「――あの4人の改造兵。そう言えば君が自ら戦力として集めたんだってねえ。精神干渉らしき謎の攻撃を受けた手前。何故、わざわざ危険を冒してでもまたあの冒険者一行に戦わせるんだい?」
「――ちっ……現状において、最も子細に彼ら……エリー=アナジストンという『鬼』遺伝子混成ユニットをはじめ、仲間の冒険者たちの戦力を知るのは、このリオンハルトの部下のあの4人です。どれほどこのニルヴァ市国にて訓練を積み、強化されたかを知る意味でも、同じ兵に戦わせて様子を見るのが得策と判断したまで。」
「ふうん……わざわざ、彼らにリターンマッチの機会を設けてあげるなんて、君は本当に部下想いだねえ。慈悲深いんだか冷酷なんだか。ふふふ――」
「――アルスリア中将補佐には何ら関係のないこと…………それに――――奥の手は既に打ってあるというのに。冷酷なのは貴女の方に決まっている。」
「――おやおや。気付かれていたか……まあ、察しの通りなんで……好きにやりなよ。最終的な結果はもう見えているのだから。」
――同じ旗艦に乗りながらも、やはりここでも作戦内容の確認を装って、アルスリアはリオンハルトに絡み、険悪な雰囲気が漂う。
だが――――アルスリアは目の前の戦いに奔放に、気楽に胸を躍らせる反面、密かに強い感情を自分の中に抑えておくのに精一杯だった。
(――――あの、銀髪の、旅装束を着た少年は…………間違いない! あの独特の練気……やはり、私が追い求めている愛しき『ダーリン』だ…………!! ――ふふ……掻っ攫うのが愉しみでならないよ…………)
――アルスリアはモニター越しにグロウを見つめ、その強い感情と欲望を平生のアルカイックスマイルの仮面の下に隠した。
――ライネスたちの他にも兵士たちは出撃しているが、エリーたちと相対している辺りには近付かず、この国の別の練気使いたちとの戦いに向かうようだ。
つまりは、やはりアルスリアの言う通り、一時的なものかどうかも不明だが、エリー一行とライネスたちのリターンマッチだ。
「――そっちゃあ、だいぶ修行っての? を、積んだらしいのがハッキリ解らあ……俺たちに見える練気のエネルギーの立ち昇り方が……この前とは比べモンになんねエほどに強くなってやがる――――おめえら、この国の住民たちと同じように逃げるなら今のうちなんだぜ――――?」
「――? なぁに言ってんだあ、ライネス!? 目の前に、この前とは比べモンにならねえほどに育った獲物がいるんだぞ! こっりゃあ、逃がす手はねえよ!!」
「――そうだっつーの!! 前回はあたしらの完全天上天下唯我独尊圧勝だったとはいえ、この右目と! ライネスとメランにされたわけわかんねエ洗脳の借りがあんだよ!! 犯して全殺しにしてバラバラにしてやるまで治まるかっつーのッ!!」
「――でもぉ……本当に、私たち、あの子に酷いことされたのかしらん…………ここで打ち倒しちゃって本当にイイのかしらン…………」
「メラン!! あんたまで何ぬかしてんのさあ!? とっておきの獲物でしょォ!? ちっ……やっぱあのガキの洗脳が悪さしてんだよ。絶対にあのガキ締め上げて元のメランに戻してやっからね!!」
「で、でもぉ――――」
――4人の中に、グロウからの精神干渉を受けたライネスとメランの変化に動揺が走る。
「? あいつら、何揉めてんだ……?」
「グロウくんがやったとかいう精神干渉が尾を引いてるみたいっスね! 具体的にどんな精神干渉だったかいまいちわかんないっスけど…………あの慌てようだと4人の軍人さんの連携攻撃とか影響出そうっスね!! これはピンチの中にもチャンスっスよ!!」
――不明な事は多いが、動揺する4人の改造兵相手に、こちらは修行や武具の改造・強化により遙かに強くなったエリーたち6人。勝ち目は充分にありそうだ。
「――ちいいっ!! ライネスとメラン、いい加減にしねえか!! 例え殺し合いの愉しみがどうのっつー前に、これは任務なんだぜ!! 後ろの戦艦にはお偉方が2人も戦いぶりを見てる。おめえら2人が行かねえんなら――――この俺と改子が先に行くぜィ!!」
「――そういうことだあああァァァーッ!! ヒャハハハハッハーッ!!」
――戸惑うライネスとメランを尻目に、バルザックと改子が2人突貫する。この2人だけでも決して油断ならない強敵だ。
「――――来るわよ、みんな!! 練気を集中して、力を合わせて――――!!」
――――ニルヴァ市国を守る為、今ここで再び……戦いの火蓋が切って落とされた――――
戦艦……ガラテア軍の旗艦だろうか。エリーたちの攻撃もまるで通らない謎の防御技術を持ち、威嚇射撃でこちらの手足を止めて来た隙に、カプセルに潜んだ兵の投下。
そしてそのカプセルから出て来た兵士たちは、以前セフィラの街近くで死合った、ライネス=ドラグノン、バルザック=クレイド、目亘改子、メラン=マリギナ4人の改造兵特殊部隊であった。
「――よっと……エリー……つったっけか。その様子だとここでかなり強くなったみてえだなあ……」
「――ぬっふっふっふ…………こりゃあ、この前みたいな残念なことにゃあならなさそうじゃあねえかああ……面白え。」
「――あの紫頭巾の奴、やっぱこいつらの仲間だったんかあ。この右目の借りを返す――――今度は出し抜かれねエぞ、コラア! ねえ、メラン!!」
「――愉しむのは私たちにとって一番の戦う意味ねえン…………でもみんなぁ。油断しないでぇ……多分想像以上に強くなってる。またあの銀髪の子に精神干渉されたら大変だしぃ――――」
――続いて投下されたカプセルから、以前ではエリー以外ではほぼ惨敗を喫したと言ってもいい改造兵たちが口々に言いながら現れ、練気を集中し始める。
「――あの4人の改造兵。そう言えば君が自ら戦力として集めたんだってねえ。精神干渉らしき謎の攻撃を受けた手前。何故、わざわざ危険を冒してでもまたあの冒険者一行に戦わせるんだい?」
「――ちっ……現状において、最も子細に彼ら……エリー=アナジストンという『鬼』遺伝子混成ユニットをはじめ、仲間の冒険者たちの戦力を知るのは、このリオンハルトの部下のあの4人です。どれほどこのニルヴァ市国にて訓練を積み、強化されたかを知る意味でも、同じ兵に戦わせて様子を見るのが得策と判断したまで。」
「ふうん……わざわざ、彼らにリターンマッチの機会を設けてあげるなんて、君は本当に部下想いだねえ。慈悲深いんだか冷酷なんだか。ふふふ――」
「――アルスリア中将補佐には何ら関係のないこと…………それに――――奥の手は既に打ってあるというのに。冷酷なのは貴女の方に決まっている。」
「――おやおや。気付かれていたか……まあ、察しの通りなんで……好きにやりなよ。最終的な結果はもう見えているのだから。」
――同じ旗艦に乗りながらも、やはりここでも作戦内容の確認を装って、アルスリアはリオンハルトに絡み、険悪な雰囲気が漂う。
だが――――アルスリアは目の前の戦いに奔放に、気楽に胸を躍らせる反面、密かに強い感情を自分の中に抑えておくのに精一杯だった。
(――――あの、銀髪の、旅装束を着た少年は…………間違いない! あの独特の練気……やはり、私が追い求めている愛しき『ダーリン』だ…………!! ――ふふ……掻っ攫うのが愉しみでならないよ…………)
――アルスリアはモニター越しにグロウを見つめ、その強い感情と欲望を平生のアルカイックスマイルの仮面の下に隠した。
――ライネスたちの他にも兵士たちは出撃しているが、エリーたちと相対している辺りには近付かず、この国の別の練気使いたちとの戦いに向かうようだ。
つまりは、やはりアルスリアの言う通り、一時的なものかどうかも不明だが、エリー一行とライネスたちのリターンマッチだ。
「――そっちゃあ、だいぶ修行っての? を、積んだらしいのがハッキリ解らあ……俺たちに見える練気のエネルギーの立ち昇り方が……この前とは比べモンになんねエほどに強くなってやがる――――おめえら、この国の住民たちと同じように逃げるなら今のうちなんだぜ――――?」
「――? なぁに言ってんだあ、ライネス!? 目の前に、この前とは比べモンにならねえほどに育った獲物がいるんだぞ! こっりゃあ、逃がす手はねえよ!!」
「――そうだっつーの!! 前回はあたしらの完全天上天下唯我独尊圧勝だったとはいえ、この右目と! ライネスとメランにされたわけわかんねエ洗脳の借りがあんだよ!! 犯して全殺しにしてバラバラにしてやるまで治まるかっつーのッ!!」
「――でもぉ……本当に、私たち、あの子に酷いことされたのかしらん…………ここで打ち倒しちゃって本当にイイのかしらン…………」
「メラン!! あんたまで何ぬかしてんのさあ!? とっておきの獲物でしょォ!? ちっ……やっぱあのガキの洗脳が悪さしてんだよ。絶対にあのガキ締め上げて元のメランに戻してやっからね!!」
「で、でもぉ――――」
――4人の中に、グロウからの精神干渉を受けたライネスとメランの変化に動揺が走る。
「? あいつら、何揉めてんだ……?」
「グロウくんがやったとかいう精神干渉が尾を引いてるみたいっスね! 具体的にどんな精神干渉だったかいまいちわかんないっスけど…………あの慌てようだと4人の軍人さんの連携攻撃とか影響出そうっスね!! これはピンチの中にもチャンスっスよ!!」
――不明な事は多いが、動揺する4人の改造兵相手に、こちらは修行や武具の改造・強化により遙かに強くなったエリーたち6人。勝ち目は充分にありそうだ。
「――ちいいっ!! ライネスとメラン、いい加減にしねえか!! 例え殺し合いの愉しみがどうのっつー前に、これは任務なんだぜ!! 後ろの戦艦にはお偉方が2人も戦いぶりを見てる。おめえら2人が行かねえんなら――――この俺と改子が先に行くぜィ!!」
「――そういうことだあああァァァーッ!! ヒャハハハハッハーッ!!」
――戸惑うライネスとメランを尻目に、バルザックと改子が2人突貫する。この2人だけでも決して油断ならない強敵だ。
「――――来るわよ、みんな!! 練気を集中して、力を合わせて――――!!」
――――ニルヴァ市国を守る為、今ここで再び……戦いの火蓋が切って落とされた――――
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