73 / 223
第72話 級友や如何に
しおりを挟む
「――よーし! 今日の朝のトレーニングも終わりーっと!!」
「もうか? そうだな……今日からこの国で本格的に修行を始めるんだもんな……修行がどれほどつらいかわからねえうちは朝稽古は控えめにしとくべきかもな。」
「なに、そうか? そんな悠長なことでどうする。私たちは何処でガラテア軍に捕まるかわからないんだぞ…………いつもよりキツい訓練ぐらい、耐える覚悟でないとどうする?」
――武闘派の3人がエリーの一言をきっかけに話し出す。早めに朝稽古を切り上げるエリーにガイは同調するが、徹底的に鍛えたいセリーナは厳しく2人を嗜める。
「おいおい。無茶言ってんじゃあねえよセリーナ……俺らにとっての朝稽古はウォーミングアップ程度。本当の修行はこれからもっと別な事をやるはずだぜ? 肝心の修行が、朝稽古でバテちまってついていけませんでした、じゃあそっちの方が損だろ。」
「ウォーミングアップ程度? 呆れたな…………私はいつも朝稽古の段階からさらに筋肉の強さや技のキレを伸ばすつもりでやってるぞ? そんな緩慢なペースで鍛錬などしていて、強くなれると思うのか?」
「マジか。道理で朝稽古の後はしばらく元気が無いと思ったぜ…………朝っぱらからオーバーワークだぜ、セリーナさんよ。んなことだから怪我のリスクも高まる。ミラさんに言われたこと、もう忘れちまったのか?」
「うっ……それを言われると…………ど、道場の荒稽古の時よりは遙かに楽だし、あの頃より心身共に強くなったと自負しているぞ。オーバーワークなんて、気のせいだ、気のせい! 武の道に生きる端くれなら、もっと志は高く持て、高く!!」
「だーから、それが無理し過ぎだっつってんだ、俺ぁ…………ほほーう。いいのか、セリーナさんよぉ。んな無茶していることぐれえ、端末から連絡してすぐにでもセフィラの街にいるミラさんの耳に入るぜ。」
「なっ……! くっ、卑怯な! だからって本当にいいのか!? 私たちは強くならなくっちゃあならない。強くなって損はないだろう! ここニルヴァ市国で修行の日々を送ると決めた以上……これまで以上の厳しい鍛錬を行なうと見て当然だろう。オーバーワークなんて言わずもがな。より険しい鍛錬に堪える覚悟が無くてどうする!」
「……おめえなあ~……頭硬えぜ。そもそも何を以て『強くなる』っつーんだ? 単なる筋肉と武道だけか? それじゃあ戦闘狂だった頃のおめえのリピートだろ……もっとこう、精神的な修練も兼ねてだな……」
「漫然とした鍛錬だけ続けて、何を言うかこの――――」
――セリーナの強さを求め、逸る気持ちを火種に、俄かに場に険悪な雰囲気が生じ始めたが――――
「――ところでさあ…………修行って、具体的に何すんの? あたしら、誰に教わりゃあいいわけ?」
「あん?」
「えっ……それは…………」
――エリーの何気ない疑問に、ガイとセリーナも意表を突かれた、とばかりに黙り込んでしまう。
エリーが言った通り、ニルヴァ市国は『道』を求める者にとって修行の場にうってつけらしいが、具体的にどんな修行をすれば良いのか。修行をしてどんな強さを身に付けたいのか。
3人とも全くアテもなく意識しないまま朝稽古に打ち込んでいたのだった。
――朝霧が立ち込める早朝のニルヴァ市国の広場。一行のモヤモヤした疑問を吹き飛ばさんとばかりに、ぴゅう、ぴゅうと情けのない音色の風が吹くのだった。
<<
<<
「――おお、来たか、テイテツにグロウ。準備はいいか?」
一方、タイラーの自宅兼研究所にやってきたテイテツとグロウ。あらゆる検査を行なうことを想定して、2人共旅装束にありったけの荷物も持って来ている。
「私の準備は万端です――グロウ。大丈夫ですか?」
テイテツが端末を中心とした大荷物を抱えながらも、傍にいるグロウを見遣り、声を掛ける。
「――はい。タイラーさん、よろしくお願いします。」
――やや思い詰めた様子も見受けられるが、グロウは凛々しく、精悍な顔立ちで返事をした。覚悟は決まっている。
「――よし。じゃあ奥まで来てくれ……まずは身体を構成している成分から計測する。身長体重を測ったのち、スキャンで体内を診る。体液も何種類か採取させてもらうぞ。」
「――はい。」
――そうして、体細胞の形質から、グロウの身体をあらゆる側面からの検査が始まった。
身長、体重など結果がすぐに解るものから測り、時間のかかる特殊な波動を照射するスキャンなどはなるべく後回しにした。
グロウ=アナジストン(仮名)。身長155cm、体重42kg……。
そうしてデータ化していくうちに、タイラーは傍らで共に作業しているテイテツを見て、笑みを浮かべた。
「……? タイラー、何か?」
タイラーは、ふふ、と小さく笑い声を零しながらガラス越しのグロウに向き直る。
「いやなに……随分変わったもんだと思ってな。」
「……何がです?」
「テイテツ、お前だよ。お前は元々は直情径行ですぐに頭に血が上る人間だった。そう。ヒッズ=アルムンドだった時だ。だが…………お前は今となっては幸か不幸か断じるのは微妙なところだが、ルハイグによる改造手術により感情を失ったはず。それはお前がガラテアを離れ、在野に下ってすぐの頃に俺を頼って来た当初もすぐに解った。感情が機能していないことにな。だが…………」
「……だが?」
「確かに手術の影響で感情が機能しなくなったはずなのに、お前が仲間や、あの子……グロウに語り掛ける様子には情感が籠っているように見えてならないんだよ。もしや、人は脳を弄くられたぐらいじゃあ真にその感情を失わず…………その身の魂とでも言うべきものは、別にあるんじゃあないか? そういう仮説を立ててみたくなるんだよ。無性にな。」
「私が。感情を…………ふむ。現在の世界の科学的には、それはまだ実証不十分な仮説の域を出ないですね。非科学的と断じられるやも。」
「ははは。全くだな! 我ながら研究者らしくないとも思うぜ……それでもな……あのルハイグには、俺は何かある……或いは、何か『あった』という気がしてならないんだ。」
突然の仮説じみた話から、かつての級友、ルハイグの話に及んだところで、タイラーは表情を曇らせた。
「――あいつとも学友、そしてガラテア軍の研究者として関わりを持って長かったが……あいつは自らの血族に『バグ』がいる身から、強く這い上がった。身体・知的・精神の障害を弱さと断じるガラテアの中に居てなお、だ。だが、それも何か抜き差しならない変化があったような気がしてならない。」
「……と、言いますと?」
「……上手く言えないし、これも俺の憶測の域を出ないんであまり口にしにくいんだが…………あいつには、単なる科学者としての狂気的な一面だけで済まない、何か大きな歪を抱えていたんじゃあないのか? ルハイグ自身は何の障害も無く、かつてのヒッズ=アルムンド、お前と肩を並べるほどに天才だったと評価はしている。直情径行で人当たりが強かったかつてのお前と違い、包容力と寛容さ、心胆を以てチームを指導していた姿は、むしろヒッズ=アルムンドより優秀だったとすら俺は思っている。そんなあいつが、感情に苦しんでいたとはいえお前にあんな手術をするなんて…………いや、それ以上にあいつは……あの男には何か、得体の知れないものに憑かれていたような気がして…………」
そこまで言って、タイラーは額に手を当てて首を横に振り、考えを振り払おうとする。
「――いや、よそう。きっと彼もガラテアの非人道的なやり方に心を痛めていたに違いない。きっとそれが彼の中で得体の知れない歪を生んでいるに過ぎないんだろう…………」
「――タイラー。」
テイテツはタイラーの方を向き直り、語り掛ける。
「――彼は、ルハイグは歪を抱えながらもガラテアが誇る天才でした。その身を常に逆境に投じながらも決して諦めない不屈の心で、彼なりの志を持って事に当たって来た。ガラテアに今も与している以上、彼には不幸な最期が待っているかもしれない。彼は恐らくその人生の生き方においてメリットとデメリットは常に50:50の中にいると思います。何も解らない以上、彼の人生がメリットの方へ傾いてくれることを祈るばかりではありませんか。」
「…………?」
――タイラーが、何か違和感を覚えた。
「――――テイテツ……いや…………ヒッズ。もしかして、お前は――――」
「――タイラーさん! テイテツ! 次は何を検査するんですか?」
――と、タイラーは何か思い当たりかけた瞬間、ガラス越しのスピーカーからグロウに呼びかけられた。
「――あ……? ああ。次は各種体液を採取して検査する。グロウ。君は針を刺されるのはつらいか? チクッと痛む程度なんだが……」
「それぐらいなら、大丈夫です。前に転んで木の棘が腕に刺さって痛かったこともあったけど、そんなに恐くなかったし……血を少し取るぐらいなら、平気だよ。何かあっても僕の力ですぐ治せるし……」
「それなら良かった。出来れば血液だけでなく、幅広く体液を調べようと思う。血液だけでなく、唾液や汗、涙、尿……遺伝的なことも正確に解るかもしれないから、精液も取っておきたい。男だけだし、それも平気か?」
「――? 別に、平気だと思うけど…………遺伝的なことかあ……僕のお父さんやお母さん…………ご先祖様のこととか解るのかなあ…………」
「すまない。なるべく心身共に苦痛の少ないようにするから、少しばかり我慢してくれ。」
「うん」
「まずは尿からですね。タイラー。貴方は注射器の扱いは?」
「充分だと思うぜ。町医者代わりに近所の人を診てるからな」
「では、血液の採取はお任せします。」
「ああ…………」
フットワークの軽いテイテツはすぐに検査室のグロウのもとへ行き、トイレへと誘導していく。
(――ヒッズ。お前もしかして本当は――――)
――タイラーの中で、密かにテイテツへのある疑念が芽生え始めていた――――
「もうか? そうだな……今日からこの国で本格的に修行を始めるんだもんな……修行がどれほどつらいかわからねえうちは朝稽古は控えめにしとくべきかもな。」
「なに、そうか? そんな悠長なことでどうする。私たちは何処でガラテア軍に捕まるかわからないんだぞ…………いつもよりキツい訓練ぐらい、耐える覚悟でないとどうする?」
――武闘派の3人がエリーの一言をきっかけに話し出す。早めに朝稽古を切り上げるエリーにガイは同調するが、徹底的に鍛えたいセリーナは厳しく2人を嗜める。
「おいおい。無茶言ってんじゃあねえよセリーナ……俺らにとっての朝稽古はウォーミングアップ程度。本当の修行はこれからもっと別な事をやるはずだぜ? 肝心の修行が、朝稽古でバテちまってついていけませんでした、じゃあそっちの方が損だろ。」
「ウォーミングアップ程度? 呆れたな…………私はいつも朝稽古の段階からさらに筋肉の強さや技のキレを伸ばすつもりでやってるぞ? そんな緩慢なペースで鍛錬などしていて、強くなれると思うのか?」
「マジか。道理で朝稽古の後はしばらく元気が無いと思ったぜ…………朝っぱらからオーバーワークだぜ、セリーナさんよ。んなことだから怪我のリスクも高まる。ミラさんに言われたこと、もう忘れちまったのか?」
「うっ……それを言われると…………ど、道場の荒稽古の時よりは遙かに楽だし、あの頃より心身共に強くなったと自負しているぞ。オーバーワークなんて、気のせいだ、気のせい! 武の道に生きる端くれなら、もっと志は高く持て、高く!!」
「だーから、それが無理し過ぎだっつってんだ、俺ぁ…………ほほーう。いいのか、セリーナさんよぉ。んな無茶していることぐれえ、端末から連絡してすぐにでもセフィラの街にいるミラさんの耳に入るぜ。」
「なっ……! くっ、卑怯な! だからって本当にいいのか!? 私たちは強くならなくっちゃあならない。強くなって損はないだろう! ここニルヴァ市国で修行の日々を送ると決めた以上……これまで以上の厳しい鍛錬を行なうと見て当然だろう。オーバーワークなんて言わずもがな。より険しい鍛錬に堪える覚悟が無くてどうする!」
「……おめえなあ~……頭硬えぜ。そもそも何を以て『強くなる』っつーんだ? 単なる筋肉と武道だけか? それじゃあ戦闘狂だった頃のおめえのリピートだろ……もっとこう、精神的な修練も兼ねてだな……」
「漫然とした鍛錬だけ続けて、何を言うかこの――――」
――セリーナの強さを求め、逸る気持ちを火種に、俄かに場に険悪な雰囲気が生じ始めたが――――
「――ところでさあ…………修行って、具体的に何すんの? あたしら、誰に教わりゃあいいわけ?」
「あん?」
「えっ……それは…………」
――エリーの何気ない疑問に、ガイとセリーナも意表を突かれた、とばかりに黙り込んでしまう。
エリーが言った通り、ニルヴァ市国は『道』を求める者にとって修行の場にうってつけらしいが、具体的にどんな修行をすれば良いのか。修行をしてどんな強さを身に付けたいのか。
3人とも全くアテもなく意識しないまま朝稽古に打ち込んでいたのだった。
――朝霧が立ち込める早朝のニルヴァ市国の広場。一行のモヤモヤした疑問を吹き飛ばさんとばかりに、ぴゅう、ぴゅうと情けのない音色の風が吹くのだった。
<<
<<
「――おお、来たか、テイテツにグロウ。準備はいいか?」
一方、タイラーの自宅兼研究所にやってきたテイテツとグロウ。あらゆる検査を行なうことを想定して、2人共旅装束にありったけの荷物も持って来ている。
「私の準備は万端です――グロウ。大丈夫ですか?」
テイテツが端末を中心とした大荷物を抱えながらも、傍にいるグロウを見遣り、声を掛ける。
「――はい。タイラーさん、よろしくお願いします。」
――やや思い詰めた様子も見受けられるが、グロウは凛々しく、精悍な顔立ちで返事をした。覚悟は決まっている。
「――よし。じゃあ奥まで来てくれ……まずは身体を構成している成分から計測する。身長体重を測ったのち、スキャンで体内を診る。体液も何種類か採取させてもらうぞ。」
「――はい。」
――そうして、体細胞の形質から、グロウの身体をあらゆる側面からの検査が始まった。
身長、体重など結果がすぐに解るものから測り、時間のかかる特殊な波動を照射するスキャンなどはなるべく後回しにした。
グロウ=アナジストン(仮名)。身長155cm、体重42kg……。
そうしてデータ化していくうちに、タイラーは傍らで共に作業しているテイテツを見て、笑みを浮かべた。
「……? タイラー、何か?」
タイラーは、ふふ、と小さく笑い声を零しながらガラス越しのグロウに向き直る。
「いやなに……随分変わったもんだと思ってな。」
「……何がです?」
「テイテツ、お前だよ。お前は元々は直情径行ですぐに頭に血が上る人間だった。そう。ヒッズ=アルムンドだった時だ。だが…………お前は今となっては幸か不幸か断じるのは微妙なところだが、ルハイグによる改造手術により感情を失ったはず。それはお前がガラテアを離れ、在野に下ってすぐの頃に俺を頼って来た当初もすぐに解った。感情が機能していないことにな。だが…………」
「……だが?」
「確かに手術の影響で感情が機能しなくなったはずなのに、お前が仲間や、あの子……グロウに語り掛ける様子には情感が籠っているように見えてならないんだよ。もしや、人は脳を弄くられたぐらいじゃあ真にその感情を失わず…………その身の魂とでも言うべきものは、別にあるんじゃあないか? そういう仮説を立ててみたくなるんだよ。無性にな。」
「私が。感情を…………ふむ。現在の世界の科学的には、それはまだ実証不十分な仮説の域を出ないですね。非科学的と断じられるやも。」
「ははは。全くだな! 我ながら研究者らしくないとも思うぜ……それでもな……あのルハイグには、俺は何かある……或いは、何か『あった』という気がしてならないんだ。」
突然の仮説じみた話から、かつての級友、ルハイグの話に及んだところで、タイラーは表情を曇らせた。
「――あいつとも学友、そしてガラテア軍の研究者として関わりを持って長かったが……あいつは自らの血族に『バグ』がいる身から、強く這い上がった。身体・知的・精神の障害を弱さと断じるガラテアの中に居てなお、だ。だが、それも何か抜き差しならない変化があったような気がしてならない。」
「……と、言いますと?」
「……上手く言えないし、これも俺の憶測の域を出ないんであまり口にしにくいんだが…………あいつには、単なる科学者としての狂気的な一面だけで済まない、何か大きな歪を抱えていたんじゃあないのか? ルハイグ自身は何の障害も無く、かつてのヒッズ=アルムンド、お前と肩を並べるほどに天才だったと評価はしている。直情径行で人当たりが強かったかつてのお前と違い、包容力と寛容さ、心胆を以てチームを指導していた姿は、むしろヒッズ=アルムンドより優秀だったとすら俺は思っている。そんなあいつが、感情に苦しんでいたとはいえお前にあんな手術をするなんて…………いや、それ以上にあいつは……あの男には何か、得体の知れないものに憑かれていたような気がして…………」
そこまで言って、タイラーは額に手を当てて首を横に振り、考えを振り払おうとする。
「――いや、よそう。きっと彼もガラテアの非人道的なやり方に心を痛めていたに違いない。きっとそれが彼の中で得体の知れない歪を生んでいるに過ぎないんだろう…………」
「――タイラー。」
テイテツはタイラーの方を向き直り、語り掛ける。
「――彼は、ルハイグは歪を抱えながらもガラテアが誇る天才でした。その身を常に逆境に投じながらも決して諦めない不屈の心で、彼なりの志を持って事に当たって来た。ガラテアに今も与している以上、彼には不幸な最期が待っているかもしれない。彼は恐らくその人生の生き方においてメリットとデメリットは常に50:50の中にいると思います。何も解らない以上、彼の人生がメリットの方へ傾いてくれることを祈るばかりではありませんか。」
「…………?」
――タイラーが、何か違和感を覚えた。
「――――テイテツ……いや…………ヒッズ。もしかして、お前は――――」
「――タイラーさん! テイテツ! 次は何を検査するんですか?」
――と、タイラーは何か思い当たりかけた瞬間、ガラス越しのスピーカーからグロウに呼びかけられた。
「――あ……? ああ。次は各種体液を採取して検査する。グロウ。君は針を刺されるのはつらいか? チクッと痛む程度なんだが……」
「それぐらいなら、大丈夫です。前に転んで木の棘が腕に刺さって痛かったこともあったけど、そんなに恐くなかったし……血を少し取るぐらいなら、平気だよ。何かあっても僕の力ですぐ治せるし……」
「それなら良かった。出来れば血液だけでなく、幅広く体液を調べようと思う。血液だけでなく、唾液や汗、涙、尿……遺伝的なことも正確に解るかもしれないから、精液も取っておきたい。男だけだし、それも平気か?」
「――? 別に、平気だと思うけど…………遺伝的なことかあ……僕のお父さんやお母さん…………ご先祖様のこととか解るのかなあ…………」
「すまない。なるべく心身共に苦痛の少ないようにするから、少しばかり我慢してくれ。」
「うん」
「まずは尿からですね。タイラー。貴方は注射器の扱いは?」
「充分だと思うぜ。町医者代わりに近所の人を診てるからな」
「では、血液の採取はお任せします。」
「ああ…………」
フットワークの軽いテイテツはすぐに検査室のグロウのもとへ行き、トイレへと誘導していく。
(――ヒッズ。お前もしかして本当は――――)
――タイラーの中で、密かにテイテツへのある疑念が芽生え始めていた――――
0
お気に入りに追加
10
あなたにおすすめの小説

【完結】仰る通り、貴方の子ではありません
ユユ
恋愛
辛い悪阻と難産を経て産まれたのは
私に似た待望の男児だった。
なのに認められず、
不貞の濡れ衣を着せられ、
追い出されてしまった。
実家からも勘当され
息子と2人で生きていくことにした。
* 作り話です
* 暇つぶしにどうぞ
* 4万文字未満
* 完結保証付き
* 少し大人表現あり

魅了が解けた貴男から私へ
砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。
彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。
そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。
しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。
男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。
元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。
しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。
三話完結です。
改造空母機動艦隊
蒼 飛雲
歴史・時代
兵棋演習の結果、洋上航空戦における空母の大量損耗は避け得ないと悟った帝国海軍は高価な正規空母の新造をあきらめ、旧式戦艦や特務艦を改造することで数を揃える方向に舵を切る。
そして、昭和一六年一二月。
日本の前途に暗雲が立ち込める中、祖国防衛のために改造空母艦隊は出撃する。
「瑞鳳」「祥鳳」「龍鳳」が、さらに「千歳」「千代田」「瑞穂」がその数を頼みに太平洋艦隊を迎え撃つ。
旦那様、前世の記憶を取り戻したので離縁させて頂きます
結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
【前世の記憶が戻ったので、貴方はもう用済みです】
ある日突然私は前世の記憶を取り戻し、今自分が置かれている結婚生活がとても理不尽な事に気が付いた。こんな夫ならもういらない。前世の知識を活用すれば、この世界でもきっと女1人で生きていけるはず。そして私はクズ夫に離婚届を突きつけた―。
ワールドエンド 異世界ループを抜け出すには
husahusa
ファンタジー
――幾度となくループしている。
異端者の集まり、と噂されている傭兵集団「オメガ」。
「オメガ」に所属する主人公ベルはある日、「ノースク」という南方の国から戦争の協力依頼を受ける。
意気込んで受けたそれは、ベルや仲間たちの運命を大きく揺るがすことになる特異点事象(シンギュラリティ)であった。
これは無限ループから抜け出す為、奮闘する者達を描いたディストピア異世界SFファンタジー。
あなたは理解するだろう。
この世界は――

それいけ!クダンちゃん
月芝
SF
みんなとはちょっぴり容姿がちがうけど、中身はふつうの女の子。
……な、クダンちゃんの日常は、ちょっと変?
自分も変わってるけど、周囲も微妙にズレており、
そこかしこに不思議が転がっている。
幾多の大戦を経て、滅びと再生をくり返し、さすがに懲りた。
ゆえに一番平和だった時代を模倣して再構築された社会。
そこはユートピアか、はたまたディストピアか。
どこか懐かしい街並み、ゆったりと優しい時間が流れる新世界で暮らす
クダンちゃんの摩訶不思議な日常を描いた、ほんわかコメディ。

パーティーを追放されるどころか殺されかけたので、俺はあらゆる物をスキルに変える能力でやり返す
名無し
ファンタジー
パーティー内で逆境に立たされていたセクトは、固有能力取得による逆転劇を信じていたが、信頼していた仲間に裏切られた上に崖から突き落とされてしまう。近隣で活動していたパーティーのおかげで奇跡的に一命をとりとめたセクトは、かつての仲間たちへの復讐とともに、助けてくれた者たちへの恩返しを誓うのだった。

女神の代わりに異世界漫遊 ~ほのぼの・まったり。時々、ざまぁ?~
大福にゃここ
ファンタジー
目の前に、女神を名乗る女性が立っていた。
麗しい彼女の願いは「自分の代わりに世界を見て欲しい」それだけ。
使命も何もなく、ただ、その世界で楽しく生きていくだけでいいらしい。
厳しい異世界で生き抜く為のスキルも色々と貰い、食いしん坊だけど優しくて可愛い従魔も一緒!
忙しくて自由のない女神の代わりに、異世界を楽しんでこよう♪
13話目くらいから話が動きますので、気長にお付き合いください!
最初はとっつきにくいかもしれませんが、どうか続きを読んでみてくださいね^^
※お気に入り登録や感想がとても励みになっています。 ありがとうございます!
(なかなかお返事書けなくてごめんなさい)
※小説家になろう様にも投稿しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる