『世界統合に伴う大型アップデートのお知らせ』

葉月+(まいかぜ)

文字の大きさ
上 下
55 / 63
EP01「〔魔女獄門〕事変」

SCENE-053

しおりを挟む
 自分の体が不随意に跳ねる。その感覚で、びくりと目が覚めた。

「あっ……?」
 目を開けた、という明確な意識もないまま私の視界に飛び込んできたのは、どこをどう見ても、浴室のものとはかけ離れた景色で。
 しっとりと暖かい空気に包まれ、ぬくぬくとお湯に浸かっていたはずの体は、肌を覆うものが何もない裸の格好だけはそのまま、肌触りの良いベッドシーツの上に転がされていた。


                                    
「なに……?」
 むず痒いような感覚があって。目を覚ましたばかりの私が、半分寝惚けた頭で身を捩ると。寝ている女の胸に甘くかじりついていた男が顔を上げ、私の両手を握ってくる。

 まるで、そのまま動かないでと、私のことをベッドへ縫い止めるように。

「やっと起きた」
 他の誰よりその顔を見慣れているであろう私でも、ともすればうっかり見惚れそうになるほどの美貌にあるかないかの笑みを浮かべて。喜色の滲んだ声とともに私へ覆い被さってくるカガリは、下こそラフなズボンをはいているものの、上半身には何も身に着けていない。
「ここまでしないと目を覚まさないなんて、僕の傍で安心してくれるのは嬉しいけど、さすがにちょっと心配になるよ」
 あられもなく開かされた足の間に居座っているカガリが、人の寝込みを襲うような真似をしておきながら、まったく悪びれる様子もなく顔を寄せてくると。薄い布地と、あらぬところに張りついたスライム越しに押しつけられる硬い肉の感触が、私の敏感なところを刺激した。
「うぁっ……」
「ほら、わかる? ミリーがなかなか起きないから、ミリーのここ、すっかり解れてとろとろだよ」

 指よりも細くて、限りなく液体に近い柔軟さを備えた触手が、私のお腹の中でのたうっている。

 カガリの楽しそうな声で言って聞かされるまで、そこにあると気が付いてもいなかった触手の動きに意識を向けると。私の体で『開いて』いるのが、カガリの膝が割り込んできて閉じられないようにされている足や、舌を捻じ込まれた上の口ばかりではないことにも気付かされて。
「んぅっ……」
 疼き、痺れるように体が震えた。

 カガリがいちいち、私の気持ち良いところをわかりきったように触ってくるのも悪い。


                                    
「酔ってふにゃふにゃしてるミリーも可愛くて好きだけど、さすがに今日もお預けなんて、僕の方が我慢できないから。二人でミードを飲むのはまた今度にしようね」
 起き抜けの挨拶にしては深すぎるキスをされながら。カガリから流し込まれる、唾液とも妖蜜スライムハニーともつかない甘い液体を――こくり、こくりと――飲まされているうちに、ぐずぐずと蕩けきった体の熱を自覚して。
 文句を言うどころではなくなってしまった私に、これでもかと甘い声で、カガリが囁いてくる。

 ……なんの話……?
 口の中の弱いところばかりをこれでもかと舐められて。すっかり目をとろんとさせた私が、耳から入ってきた言葉を理解しきれず、ぼんやりしていると。そんな私に気付いたカガリはくすりと笑って。私を見つめる、今にも溶け落ちてきそうなくらい熱っぽく、美しい金の瞳をとろりと細めた。
「昨日もたっぷり慣らしたし。痛くなんてしないから、ミリーは何も心配しなくていいよ」

 カガリの〔変化〕でしかなかったズボンが溶けるように消えてなくなると、私の中をまさぐっていた触手も、張りついていたスライムごと離れていって。カガリの体温がいっそう近くなる。


                                    
 カガリの言う『ミード』が、ハネムーンの語源になった蜂蜜酒のことで。生身の私の初体験はじめてを結婚初夜とかけてそんなことを言っているのだと理解できたのは、ベッドの上でカガリともつれ合い、散々喘がされてからのことだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

俺だけ永久リジェネな件 〜パーティーを追放されたポーション生成師の俺、ポーションがぶ飲みで得た無限回復スキルを何故かみんなに狙われてます!〜

早見羽流
ファンタジー
ポーション生成師のリックは、回復魔法使いのアリシアがパーティーに加入したことで、役たたずだと追放されてしまう。 食い物に困って余ったポーションを飲みまくっていたら、気づくとHPが自動で回復する「リジェネレーション」というユニークスキルを発現した! しかし、そんな便利なスキルが放っておかれるわけもなく、はぐれ者の魔女、孤高の天才幼女、マッドサイエンティスト、魔女狩り集団、最強の仮面騎士、深窓の令嬢、王族、謎の巨乳魔術師、エルフetc、ヤバい奴らに狙われることに……。挙句の果てには人助けのために、危険な組織と対決することになって……? 「俺はただ平和に暮らしたいだけなんだぁぁぁぁぁ!!!」 そんなリックの叫びも虚しく、王国中を巻き込んだ動乱に巻き込まれていく。 無双あり、ざまぁあり、ハーレムあり、戦闘あり、友情も恋愛もありのドタバタファンタジー!

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います

霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。 得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。 しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。 傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。 基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。 が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。

幸福の魔法使い〜ただの転生者が史上最高の魔法使いになるまで〜

霊鬼
ファンタジー
生まれつき魔力が見えるという特異体質を持つ現代日本の会社員、草薙真はある日死んでしまう。しかし何故か目を覚ませば自分が幼い子供に戻っていて……? 生まれ直した彼の目的は、ずっと憧れていた魔法を極めること。様々な地へ訪れ、様々な人と会い、平凡な彼はやがて英雄へと成り上がっていく。 これは、ただの転生者が、やがて史上最高の魔法使いになるまでの物語である。 (小説家になろう様、カクヨム様にも掲載をしています。)

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です! 小説家になろうでも10位獲得しました! そして、カクヨムでもランクイン中です! ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。 いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。 欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・ ●●●●●●●●●●●●●●● 小説家になろうで執筆中の作品です。 アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。 現在見直し作業中です。 変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。

最前線攻略に疲れた俺は、新作VRMMOを最弱職業で楽しむことにした

水の入ったペットボトル
SF
 これまであらゆるMMOを最前線攻略してきたが、もう俺(大川優磨)はこの遊び方に満足してしまった。いや、もう楽しいとすら思えない。 ゲームは楽しむためにするものだと思い出した俺は、新作VRMMOを最弱職業『テイマー』で始めることに。 βテストでは最弱職業だと言われていたテイマーだが、主人公の活躍によって評価が上がっていく?  そんな周りの評価など関係なしに、今日も主人公は楽しむことに全力を出す。  この作品は「カクヨム」様、「小説家になろう」様にも掲載しています。

底辺エンジニア、転生したら敵国側だった上に隠しボスのご令嬢にロックオンされる。~モブ×悪女のドール戦記~

阿澄飛鳥
SF
俺ことグレン・ハワードは転生者だ。 転生した先は俺がやっていたゲームの世界。 前世では機械エンジニアをやっていたので、こっちでも祝福の【情報解析】を駆使してゴーレムの技師をやっているモブである。 だがある日、工房に忍び込んできた女――セレスティアを問い詰めたところ、そいつはなんとゲームの隠しボスだった……! そんなとき、街が魔獣に襲撃される。 迫りくる魔獣、吹き飛ばされるゴーレム、絶体絶命のとき、俺は何とかセレスティアを助けようとする。 だが、俺はセレスティアに誘われ、少女の形をした魔導兵器、ドール【ペルラネラ】に乗ってしまった。 平民で魔法の才能がない俺が乗ったところでドールは動くはずがない。 だが、予想に反して【ペルラネラ】は起動する。 隠しボスとモブ――縁のないはずの男女二人は精神を一つにして【ペルラネラ】での戦いに挑む。

勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス

R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。 そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。 最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。 そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。 ※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

処理中です...