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End to EVE(本編第一部完結済)
ミステイク002
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最後の最後まで、組み敷いた私には努めて体重をかけないよう振る舞ってみせるくせ。その時だけは、苦しいくらいに身を寄せてくる。
どくどくと、体の一番深いところを濡らす熱。吐き出された飛沫の最後の一滴までもを搾り取るよう、私の体は勝手にぎゅうぎゅう、ねじ込まれたイヴの一部を締め上げた。
「――泣かせるつもりはなかったんだ」
今日は、これでたったの一回目だから。昨日のしつこさに鑑みて、まだまだしぶとく私の中へ居座り続けるだろうと思っていたイヴは、こっちが拍子抜けするくらいすんなり身を引いて。パチンッと指をひと鳴らし。
さらりと乾いた体の上へ、羽毛の上掛けを引き上げる。
「泣いてない」
「泣きそうだったろ」
私が自分の、うるさいくらい早鐘を打つ心臓の音へ気を取られているうち。上掛けの下でぴったりと身を寄せてくるイヴの肢体は、いつの間にか少女らしい柔らかさとまろみを取り戻していた。
「お前を泣かせたかったわけじゃない」
「泣いてないったら」
上掛けの下で温もりを分け合うよう、抱き寄せられたついで。
私は気怠い体を押して、さっきのことを変に気にしているらしいイヴの体へ乗り上げる。
「カオル?」
遠慮無く体重をかけても、イヴは平気な顔で。体を支えようとするわけでもなく、その慎ましやかな胸元へ触れた私の意図をはかるよう、鮮やかに赤い双眸を瞬かせた。
「…………」
不本意、というわけでもなく。こういう関係になった私が裸のイヴへ触れるのに、大した理由が要るとは思えない。
そうでなかったとしても、相手がイヴなら構いはしないだろうと。私は上体を傾けて、捏ねるように揉めば、マシュマロよりもやわくてしっとりとした手触りを返してくる膨らみへとかぶりつく。
「ん……」
イヴが仰向けに寝ているせいで、いつにも増して控えめな胸を両手で寄せながら。唾液をたっぷり含ませた舌で綺麗な肌を濡らしたり、徒に歯を立ててみたり。
私が無言で、はぐはぐと胸ばかり構っているうち。汗ばんできた体が悩ましくくねって、私の腰を支えるよう抱いていた手がシーツを掴む。
「カオル……」
色っぽく上気した声でいかにも物欲しそうに呼ばれたのでは、応えずにいることも難しい。
私は自分の指先――伸びきった爪の具合――をちらりと確かめてから、僅かな思案の末に、イヴの耳元で囁いた。
「攻守交代、しない?」
はくりと一度、喘ぐよう大きく息をして。ぴたりと重なった私の体を捕まえるよう抱きしめたかと思えば、そのままベッドの上を半回転。
お互いの体勢が入れ替わる頃には、イヴの体もお手軽な変化を終えていた。
「あまり甘やかすと、つけあがるぞ」
私が泣きそうになっただけであれほど動揺してみせたくせ、どの口でそんなことを言っているのかと。私がにやにやしながら心にもないことを言う唇を摘まんでやると。イヴは顔を顰めながら上体を起こし、私の指が届かない距離まで逃れていく。
「お前は私に甘すぎる」
溜め息混じりに、私の膝裏をすくい上げながら。改めてのしかかってくるイヴは、ようやく肩の力が抜けきったような締まりのない表情で、くちゅりと私に口付けた。
そんなこんなで、今日も一日が終わる。
どくどくと、体の一番深いところを濡らす熱。吐き出された飛沫の最後の一滴までもを搾り取るよう、私の体は勝手にぎゅうぎゅう、ねじ込まれたイヴの一部を締め上げた。
「――泣かせるつもりはなかったんだ」
今日は、これでたったの一回目だから。昨日のしつこさに鑑みて、まだまだしぶとく私の中へ居座り続けるだろうと思っていたイヴは、こっちが拍子抜けするくらいすんなり身を引いて。パチンッと指をひと鳴らし。
さらりと乾いた体の上へ、羽毛の上掛けを引き上げる。
「泣いてない」
「泣きそうだったろ」
私が自分の、うるさいくらい早鐘を打つ心臓の音へ気を取られているうち。上掛けの下でぴったりと身を寄せてくるイヴの肢体は、いつの間にか少女らしい柔らかさとまろみを取り戻していた。
「お前を泣かせたかったわけじゃない」
「泣いてないったら」
上掛けの下で温もりを分け合うよう、抱き寄せられたついで。
私は気怠い体を押して、さっきのことを変に気にしているらしいイヴの体へ乗り上げる。
「カオル?」
遠慮無く体重をかけても、イヴは平気な顔で。体を支えようとするわけでもなく、その慎ましやかな胸元へ触れた私の意図をはかるよう、鮮やかに赤い双眸を瞬かせた。
「…………」
不本意、というわけでもなく。こういう関係になった私が裸のイヴへ触れるのに、大した理由が要るとは思えない。
そうでなかったとしても、相手がイヴなら構いはしないだろうと。私は上体を傾けて、捏ねるように揉めば、マシュマロよりもやわくてしっとりとした手触りを返してくる膨らみへとかぶりつく。
「ん……」
イヴが仰向けに寝ているせいで、いつにも増して控えめな胸を両手で寄せながら。唾液をたっぷり含ませた舌で綺麗な肌を濡らしたり、徒に歯を立ててみたり。
私が無言で、はぐはぐと胸ばかり構っているうち。汗ばんできた体が悩ましくくねって、私の腰を支えるよう抱いていた手がシーツを掴む。
「カオル……」
色っぽく上気した声でいかにも物欲しそうに呼ばれたのでは、応えずにいることも難しい。
私は自分の指先――伸びきった爪の具合――をちらりと確かめてから、僅かな思案の末に、イヴの耳元で囁いた。
「攻守交代、しない?」
はくりと一度、喘ぐよう大きく息をして。ぴたりと重なった私の体を捕まえるよう抱きしめたかと思えば、そのままベッドの上を半回転。
お互いの体勢が入れ替わる頃には、イヴの体もお手軽な変化を終えていた。
「あまり甘やかすと、つけあがるぞ」
私が泣きそうになっただけであれほど動揺してみせたくせ、どの口でそんなことを言っているのかと。私がにやにやしながら心にもないことを言う唇を摘まんでやると。イヴは顔を顰めながら上体を起こし、私の指が届かない距離まで逃れていく。
「お前は私に甘すぎる」
溜め息混じりに、私の膝裏をすくい上げながら。改めてのしかかってくるイヴは、ようやく肩の力が抜けきったような締まりのない表情で、くちゅりと私に口付けた。
そんなこんなで、今日も一日が終わる。
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