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第18話
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ずっと気にかかっていたことの一つが、マーティンに店を手放させてしまったのではないかという疑問だった。
でもマーティンから改めて説明を受ければウェーバー子爵領に将来性は無いのだから店を移転させたほうがいいと思えた。
移転先の店舗の準備もしていたと聞かされ驚かされたし、やはりマーティンは私では思いつかないような先まで考えて手を打っているのだと改めて尊敬してしまった。
それは商人としての部分。
一人の男性としては私に最大限気を使ってくれているし、それが好意からのものだと…信じたい。
それなのに言葉では好意を伝えてくれないし……私だけが勝手に思い込んでいるとしたら恥ずかしい。
マーティンが言葉にしてくれないから私も自信が持てないのに。
私はマーティンに依存しなければ生きていけない。
働く場所を自分で探すとなれば、伝手も何も無い領地では苦労するだろう。
それよりもマーティンの厚意…あるいは好意に甘えてしまったほうが楽。
ズルいのかもしれないけど、私が勝手な思い込みでマーティンの前から去ってしまえばお互いに後悔するに決まっている。
マーティンの気持ちを言葉にして伝えてくれないのだから、今はまだその時ではないのかもしれない。
今の私にできることは、せめて仕事を手伝って価値を認めてもらうこと。
最悪恋愛感情を抱かれていなかったとしても役立つ従業員なら手元に置いておいてくれるかもしれない。
本当は恋愛感情を抱いてくれて……しっかりと言葉にしてくれて、それで………結婚もいいのかも……………。
どうしても弱気になってしまう。
気持ちがわからないから不安になってしまう。
考えれば考えるほど悪い方向へと考えてしまいそう。
やはり真面目に働いて価値を認めてもらうことから始めよう。
そうしている間にもマーティンが気持ちを伝えてくれるかもしれないし。
そんなことを考えつつ、目的地へと到着した。
* * * * * * * * * *
小さめかもしれない二階建ての店舗。
少なくともウェーバー子爵領にあったドーリッツ商会よりも建物は小さい。
その前に荷馬車は止まった。
「着いたよ。ここが新しいドーリッツ商会の店」
「良さそうなお店ね」
「ちょっと小さいかもしれないけどね。でも商売が軌道に乗ったら新しい店に移転してもいいし。今はこれがちょうどいいかな」
「そうね」
「今、鍵を開けるよ。ミリエは自由に中を見ておいて。その間に俺が荷物を運び込んでおくから」
「わかったわ」
マーティンは荷馬車から降り、私が降りるために手を差し伸べてくれた。
私は手を取り荷馬車から降りる。
ただそれだけなのに、手の触れ合いを意識してしまった。
さりげない優しさや気遣いかもしれないけど、私にはそれが嬉しかった。
ギャレー様はそんなことをするような人ではなかったから。
私は人並の幸せを得たい。
それがマーティンとなら……。
「開いたから中へどうぞ」
「ありがとう」
私はどんな顔をしているのだろう。
なんとなく気恥ずかしくて早足で店の中へと入る。
一階は店としての部分と、その奥には事務用のスペースに倉庫用のスペース。
二階は居住用のスペースだった。
……私はどこに住むのだろう?
宿や別に家を借りるとなると金銭的に厳しい。
マーティンが別に住んで私がここに住むのもおかしな話だと思う。
そう考えると………二人でここに住む!?
一応未婚の男女なのだから一緒に住むのは…せめて好意を伝えてからにしてほしい。
……そんなこと気にせずに住んでしまうのもありなのかもしれない。
だってここには知っている人なんて誰もいないもの。
文句を言われるような筋合いは無いし、他人を気にしすぎる必要も無いのかもしれない。
………マーティンに訊いてみないと。
…………私が意識しすぎているように思われたら恥ずかしい。
でもマーティンから改めて説明を受ければウェーバー子爵領に将来性は無いのだから店を移転させたほうがいいと思えた。
移転先の店舗の準備もしていたと聞かされ驚かされたし、やはりマーティンは私では思いつかないような先まで考えて手を打っているのだと改めて尊敬してしまった。
それは商人としての部分。
一人の男性としては私に最大限気を使ってくれているし、それが好意からのものだと…信じたい。
それなのに言葉では好意を伝えてくれないし……私だけが勝手に思い込んでいるとしたら恥ずかしい。
マーティンが言葉にしてくれないから私も自信が持てないのに。
私はマーティンに依存しなければ生きていけない。
働く場所を自分で探すとなれば、伝手も何も無い領地では苦労するだろう。
それよりもマーティンの厚意…あるいは好意に甘えてしまったほうが楽。
ズルいのかもしれないけど、私が勝手な思い込みでマーティンの前から去ってしまえばお互いに後悔するに決まっている。
マーティンの気持ちを言葉にして伝えてくれないのだから、今はまだその時ではないのかもしれない。
今の私にできることは、せめて仕事を手伝って価値を認めてもらうこと。
最悪恋愛感情を抱かれていなかったとしても役立つ従業員なら手元に置いておいてくれるかもしれない。
本当は恋愛感情を抱いてくれて……しっかりと言葉にしてくれて、それで………結婚もいいのかも……………。
どうしても弱気になってしまう。
気持ちがわからないから不安になってしまう。
考えれば考えるほど悪い方向へと考えてしまいそう。
やはり真面目に働いて価値を認めてもらうことから始めよう。
そうしている間にもマーティンが気持ちを伝えてくれるかもしれないし。
そんなことを考えつつ、目的地へと到着した。
* * * * * * * * * *
小さめかもしれない二階建ての店舗。
少なくともウェーバー子爵領にあったドーリッツ商会よりも建物は小さい。
その前に荷馬車は止まった。
「着いたよ。ここが新しいドーリッツ商会の店」
「良さそうなお店ね」
「ちょっと小さいかもしれないけどね。でも商売が軌道に乗ったら新しい店に移転してもいいし。今はこれがちょうどいいかな」
「そうね」
「今、鍵を開けるよ。ミリエは自由に中を見ておいて。その間に俺が荷物を運び込んでおくから」
「わかったわ」
マーティンは荷馬車から降り、私が降りるために手を差し伸べてくれた。
私は手を取り荷馬車から降りる。
ただそれだけなのに、手の触れ合いを意識してしまった。
さりげない優しさや気遣いかもしれないけど、私にはそれが嬉しかった。
ギャレー様はそんなことをするような人ではなかったから。
私は人並の幸せを得たい。
それがマーティンとなら……。
「開いたから中へどうぞ」
「ありがとう」
私はどんな顔をしているのだろう。
なんとなく気恥ずかしくて早足で店の中へと入る。
一階は店としての部分と、その奥には事務用のスペースに倉庫用のスペース。
二階は居住用のスペースだった。
……私はどこに住むのだろう?
宿や別に家を借りるとなると金銭的に厳しい。
マーティンが別に住んで私がここに住むのもおかしな話だと思う。
そう考えると………二人でここに住む!?
一応未婚の男女なのだから一緒に住むのは…せめて好意を伝えてからにしてほしい。
……そんなこと気にせずに住んでしまうのもありなのかもしれない。
だってここには知っている人なんて誰もいないもの。
文句を言われるような筋合いは無いし、他人を気にしすぎる必要も無いのかもしれない。
………マーティンに訊いてみないと。
…………私が意識しすぎているように思われたら恥ずかしい。
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