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第7話
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幸せな日々を揺るがす一通の手紙が届いた。
差出人はフォンテイン公爵だった。
親子だけど縁を切られているので結婚式にも呼ばなかったし結婚したことも連絡しなかった。
手紙はハートレー商会を通じて届いたのだから私の現状を知らないのだと思う。
問題は手紙の内容だった。
もう私一人だけの問題ではないのでレドリックにも内容を伝え、どうするか相談する。
「どうも妹の嘘がバレたみたいなの」
「あれからもう随分経つよな?よく今までバレなかったな」
「モルトルーズ殿下も残念な人だから……」
「そうだったな………」
モルトルーズ殿下はともかく、問題はラライアだ。
「嘘がバレてモルトルーズ殿下から婚約破棄されそうになったって。それでラライアが馬鹿でしかないけど、自分で毒を飲んで私に毒を盛られたって嘘を本当にしようとしたみたいなの」
「簡単にバレそうだな」
「実際に簡単にバレたと思うわ。それで後遺症が残って、その治療のために薬が欲しいって。ハートレー商会で薬を取り扱うようになったことを知ってのことでしょうね」
「なるほどな」
「それで、リリエルはどうしたい?」
もう縁を切っているのだから助ける義理はない。
むしろ助けないほうが自業自得だからいいのかもしれない。
でも私はハートレー商会の人間。
レドリックはハートレー商会を継ぐ立場にあって、私はその妻。
何を一番優先すべきかは決まっている。
「薬を高値で売ってあげるのはどう?」
「ははは、いいね」
この機会にハートレー商会の利益に貢献してもらう。
嫌なら買わなければいいし、私たちは適正価格で売るだけ。
その価格にはラライアへの慰謝料請求みたいなものも上乗せされているけど。
* * * * * * * * * *
それから間もなく、また手紙が届いた。
しかも今度の差出人はモルトルーズ殿下だった。
きっと不愉快な内容だと思うけど見なかったことにはできない。
……内容は想像通り不愉快なものだった。
今になって私と復縁したいと言ってきたのだ。
そんな気はないし、私はレドリックと結婚して良かったと思っている。
モルトルーズ殿下と復縁する可能性は天文学的な確率よりも低い。
このような手紙が届いたことをレドリックに告げない訳にはいかなかったけど、さすがレドリック、告げたら告げたで良い案を出してくれた。
「たしか王城には出入り禁止にされただろう?モルトルーズ殿下には王族の発言の重さを守ってもらわないとね」
そう、私はモルトルーズ殿下から王城へ出入り禁止が申し渡されていたのだ。
復縁するならモルトルーズ殿下は自分の発言の責任を取らないということ。
そのような行為を国王陛下が許すとは思えない。
王子という身分を捨て城から出たなら、身分という唯一の魅力すら失ったモルトルーズ殿下と復縁するメリットが皆無になってしまう。
最初から復縁する気が無かったけど。
「何かあったらその手を使うわ。さすがレドリックね」
「リリエルとの幸せを守るためならお安い御用さ」
得意気な顔になっているレドリックを可愛らしいと思ってしまう。
それはともかく、出入り禁止のことも書いてお断りの手紙を書かないと。
差出人はフォンテイン公爵だった。
親子だけど縁を切られているので結婚式にも呼ばなかったし結婚したことも連絡しなかった。
手紙はハートレー商会を通じて届いたのだから私の現状を知らないのだと思う。
問題は手紙の内容だった。
もう私一人だけの問題ではないのでレドリックにも内容を伝え、どうするか相談する。
「どうも妹の嘘がバレたみたいなの」
「あれからもう随分経つよな?よく今までバレなかったな」
「モルトルーズ殿下も残念な人だから……」
「そうだったな………」
モルトルーズ殿下はともかく、問題はラライアだ。
「嘘がバレてモルトルーズ殿下から婚約破棄されそうになったって。それでラライアが馬鹿でしかないけど、自分で毒を飲んで私に毒を盛られたって嘘を本当にしようとしたみたいなの」
「簡単にバレそうだな」
「実際に簡単にバレたと思うわ。それで後遺症が残って、その治療のために薬が欲しいって。ハートレー商会で薬を取り扱うようになったことを知ってのことでしょうね」
「なるほどな」
「それで、リリエルはどうしたい?」
もう縁を切っているのだから助ける義理はない。
むしろ助けないほうが自業自得だからいいのかもしれない。
でも私はハートレー商会の人間。
レドリックはハートレー商会を継ぐ立場にあって、私はその妻。
何を一番優先すべきかは決まっている。
「薬を高値で売ってあげるのはどう?」
「ははは、いいね」
この機会にハートレー商会の利益に貢献してもらう。
嫌なら買わなければいいし、私たちは適正価格で売るだけ。
その価格にはラライアへの慰謝料請求みたいなものも上乗せされているけど。
* * * * * * * * * *
それから間もなく、また手紙が届いた。
しかも今度の差出人はモルトルーズ殿下だった。
きっと不愉快な内容だと思うけど見なかったことにはできない。
……内容は想像通り不愉快なものだった。
今になって私と復縁したいと言ってきたのだ。
そんな気はないし、私はレドリックと結婚して良かったと思っている。
モルトルーズ殿下と復縁する可能性は天文学的な確率よりも低い。
このような手紙が届いたことをレドリックに告げない訳にはいかなかったけど、さすがレドリック、告げたら告げたで良い案を出してくれた。
「たしか王城には出入り禁止にされただろう?モルトルーズ殿下には王族の発言の重さを守ってもらわないとね」
そう、私はモルトルーズ殿下から王城へ出入り禁止が申し渡されていたのだ。
復縁するならモルトルーズ殿下は自分の発言の責任を取らないということ。
そのような行為を国王陛下が許すとは思えない。
王子という身分を捨て城から出たなら、身分という唯一の魅力すら失ったモルトルーズ殿下と復縁するメリットが皆無になってしまう。
最初から復縁する気が無かったけど。
「何かあったらその手を使うわ。さすがレドリックね」
「リリエルとの幸せを守るためならお安い御用さ」
得意気な顔になっているレドリックを可愛らしいと思ってしまう。
それはともかく、出入り禁止のことも書いてお断りの手紙を書かないと。
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