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第6話
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アラベリー伯爵邸はもう目前だ。
「最終確認だ。リタニーの身柄を抑えて事情を訊く。オーレンス様もいるなら同じように身柄を抑えて事情を訊く。その間に手の空いたものが不正の証拠を洗う。いいな」
「はっ」
ジェイラード様の指示に返事をする隊員たちが心強い。
「では行きましょう、アンジェ様」
「ええ。皆様、よろしくお願いします」
私はアラベリー伯爵邸に帰ってきた。
騎士小隊を連れ、不正の証拠を押さえ継母とオーレンス様の罪を明らかにするために。
* * * * * * * * * *
「なんなの!?貴方たちは!」
邸宅の中に入った騎士団の面々を見て、継母が驚き困惑している。
そして私と目が合ってしまった。
「アンジェ、貴女の仕業なの!?どういうつもり!?」
途端に強気になる継母。
残念だけど強気でいられないことを教えてあげる。
「まだわからないのですか?彼らは不正を調査する騎士団です」
「そんな…。私は無罪よ!全部オンネル男爵が企んだことなの!私は無理矢理協力させられていただけなの!」
盛大に自白してくれたからジェイラード様たちも楽だと思う。
所詮継母は平民でしかないのだから騎士に逆らって良いことなんて全く無い。
下手すれば無礼討ちされてしまうかもしれない。
特に罪を犯したことが濃厚だし、抵抗したことにして斬ることだってできなくはない。
そんなことをするジェイラード様ではないと思うけど。
「重要な情報を自白した。あの女の身柄を抑えろ」
「はっ」
「乱暴にしないで!私はアラベリー伯爵夫人なのよ!?」
迫る騎士たちに脅えたのか、継母は言ってはいけないことを口にした。
私はお前を継母だと認めたことは一度たりともなかった。
お父様の後妻なんて認めない。
それに今では私がアラベリー伯爵なのだ。
「身分詐称の罪も追加でお願いします」
「…了解しました」
そんな小さな罪を追加したところで罰が重くなるとも思えない。
ジェイラード様は内心呆れてしまったかもしれない。
でも私としては許せないことだった。
継母が連れられて行き、今度は別の人が現れた。
「なんの騒ぎだ!ここがアラベリー伯爵邸だと知っての事か!」
偉そうに言ったのはオーレンス様だった。
オーレンス様がここにいるのは継母に関係があるのだろう。
どうせ身柄を抑える対象なのだから、事情は後で知ることができるだろう。
「まさか…アンジェ!お前の仕業なのか!?」
いくら元婚約者だからといって、私をお前呼ばわりするのは失礼だ。
勘違いしているオーレンス様に現実を教えてあげないと。
「私が関わっていますが、そもそも彼らは不正の調査のためにやって来ました。いろいろと都合が良かったので私と同伴しましたけど、私の仕業と言いがかりをつけるのはやめてください」
「くっ、醜い嫉妬だな!」
「嫉妬なんてしていませんよ。それよりもどうしてオーレンス様がここにいるのですか?ここはアラベリー伯爵邸です。招かれてもいないオーレンス様がいて良い場所ではありません」
「ふん、俺はアラベリー伯爵になる人間だ。だからここはもう俺の家のようなものだ」
何を言っているのだろうか?
オーレンス様は継母のことが好きだとは言っていた。
好き、つまり結婚する。
まさか……お父様の後妻だった継母と結婚すればアラベリー伯爵になれるとでも思っていたの!?
「ふふっ、俺の主張が正しいと認めたか?」
「…そんなことはありません」
「強がろうとアンジェとはやり直すことはない!大人しく俺とリタニーが結婚するのを祝えばいいんだ!」
……やはり継母と結婚してアラベリー伯爵家を手にするつもりだった。
間違いを正したところで私が言っても聞く耳を持たないだろう。
ここは法に則って罪を罰せられることで理解してもらったほうがいい。
「ジェイラード様、お願いします」
「あの男も捕らえろ」
「はっ」
オーレンス様の身柄を拘束しようと騎士が迫り、無駄な抵抗を試みるオーレンス様。
その時だった。
手が偶然か意図したものなのか、騎士の顔に当たってしまったのだ。
「攻撃を確認した!容赦するな!」
「せいっ!」
「ぐへっ」
オーレンス様は騎士に投げられ背中から床に叩きつけられていた。
他の騎士が手足をロープで縛っていく。
「気を失っているようです」
「適当に転がしておけ。まずはリタニーから事情を訊くことにする」
「はっ」
ジェイラード様は私に向き合った。
「帳簿や資金を管理している場所を教えていただけますか?それとそれら資料を検める許可を頂きたく思います」
「許可します」
「ありがとうございます」
この際だから遠慮せずに何でもやってほしい。
そして二人の不正を暴いて罪を明らかにしてほしい。
「最終確認だ。リタニーの身柄を抑えて事情を訊く。オーレンス様もいるなら同じように身柄を抑えて事情を訊く。その間に手の空いたものが不正の証拠を洗う。いいな」
「はっ」
ジェイラード様の指示に返事をする隊員たちが心強い。
「では行きましょう、アンジェ様」
「ええ。皆様、よろしくお願いします」
私はアラベリー伯爵邸に帰ってきた。
騎士小隊を連れ、不正の証拠を押さえ継母とオーレンス様の罪を明らかにするために。
* * * * * * * * * *
「なんなの!?貴方たちは!」
邸宅の中に入った騎士団の面々を見て、継母が驚き困惑している。
そして私と目が合ってしまった。
「アンジェ、貴女の仕業なの!?どういうつもり!?」
途端に強気になる継母。
残念だけど強気でいられないことを教えてあげる。
「まだわからないのですか?彼らは不正を調査する騎士団です」
「そんな…。私は無罪よ!全部オンネル男爵が企んだことなの!私は無理矢理協力させられていただけなの!」
盛大に自白してくれたからジェイラード様たちも楽だと思う。
所詮継母は平民でしかないのだから騎士に逆らって良いことなんて全く無い。
下手すれば無礼討ちされてしまうかもしれない。
特に罪を犯したことが濃厚だし、抵抗したことにして斬ることだってできなくはない。
そんなことをするジェイラード様ではないと思うけど。
「重要な情報を自白した。あの女の身柄を抑えろ」
「はっ」
「乱暴にしないで!私はアラベリー伯爵夫人なのよ!?」
迫る騎士たちに脅えたのか、継母は言ってはいけないことを口にした。
私はお前を継母だと認めたことは一度たりともなかった。
お父様の後妻なんて認めない。
それに今では私がアラベリー伯爵なのだ。
「身分詐称の罪も追加でお願いします」
「…了解しました」
そんな小さな罪を追加したところで罰が重くなるとも思えない。
ジェイラード様は内心呆れてしまったかもしれない。
でも私としては許せないことだった。
継母が連れられて行き、今度は別の人が現れた。
「なんの騒ぎだ!ここがアラベリー伯爵邸だと知っての事か!」
偉そうに言ったのはオーレンス様だった。
オーレンス様がここにいるのは継母に関係があるのだろう。
どうせ身柄を抑える対象なのだから、事情は後で知ることができるだろう。
「まさか…アンジェ!お前の仕業なのか!?」
いくら元婚約者だからといって、私をお前呼ばわりするのは失礼だ。
勘違いしているオーレンス様に現実を教えてあげないと。
「私が関わっていますが、そもそも彼らは不正の調査のためにやって来ました。いろいろと都合が良かったので私と同伴しましたけど、私の仕業と言いがかりをつけるのはやめてください」
「くっ、醜い嫉妬だな!」
「嫉妬なんてしていませんよ。それよりもどうしてオーレンス様がここにいるのですか?ここはアラベリー伯爵邸です。招かれてもいないオーレンス様がいて良い場所ではありません」
「ふん、俺はアラベリー伯爵になる人間だ。だからここはもう俺の家のようなものだ」
何を言っているのだろうか?
オーレンス様は継母のことが好きだとは言っていた。
好き、つまり結婚する。
まさか……お父様の後妻だった継母と結婚すればアラベリー伯爵になれるとでも思っていたの!?
「ふふっ、俺の主張が正しいと認めたか?」
「…そんなことはありません」
「強がろうとアンジェとはやり直すことはない!大人しく俺とリタニーが結婚するのを祝えばいいんだ!」
……やはり継母と結婚してアラベリー伯爵家を手にするつもりだった。
間違いを正したところで私が言っても聞く耳を持たないだろう。
ここは法に則って罪を罰せられることで理解してもらったほうがいい。
「ジェイラード様、お願いします」
「あの男も捕らえろ」
「はっ」
オーレンス様の身柄を拘束しようと騎士が迫り、無駄な抵抗を試みるオーレンス様。
その時だった。
手が偶然か意図したものなのか、騎士の顔に当たってしまったのだ。
「攻撃を確認した!容赦するな!」
「せいっ!」
「ぐへっ」
オーレンス様は騎士に投げられ背中から床に叩きつけられていた。
他の騎士が手足をロープで縛っていく。
「気を失っているようです」
「適当に転がしておけ。まずはリタニーから事情を訊くことにする」
「はっ」
ジェイラード様は私に向き合った。
「帳簿や資金を管理している場所を教えていただけますか?それとそれら資料を検める許可を頂きたく思います」
「許可します」
「ありがとうございます」
この際だから遠慮せずに何でもやってほしい。
そして二人の不正を暴いて罪を明らかにしてほしい。
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