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第5話
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翌日、私はジェイラード様が率いる騎士団の小隊と合流した。
騎士だけあって馬に乗る人が多いようだけど、私は馬に乗れない。
私が乗るのは馬車だろうか。
「わざわざ馬車まで用意してくださったのですか?」
「幌付きの荷馬車なので乗り心地の保証はできませんが…これが精いっぱいです。アラベリー伯爵様をお乗せするには相応しくありませんので本当に申し訳ありません」
謝罪するジェイラード様との距離感が気になってしまった。
私は正式にアラベリー伯爵を継いだのだし、ここには小隊のみんなの目もある。
適切な振る舞いをするジェイラード様は信用できるし、少しだけさみしくもある。
「いえ、謝罪は不要です。わざわざ馬車を用意してくださったことに感謝します」
「そう言ってもらえると助かります。ちなみに帰りは不正の証拠を持ち帰るために利用します」
「そうだったのですか…」
荷馬車だという理由にも納得できてしまった。
「道中の危険は我々が排除します。それにアラベリー伯爵領でも必ずアンジェ様の身を守ると誓います。そのために護衛も同乗することをお許しください」
「ありがとうございます。許可します」
「感謝します。では準備が整い次第、出発しましょう」
こうしてアラベリー伯爵領へ向かい出発した。
どうなるか不安でいっぱいだった行きに比べ、帰りはこんなにも頼もしい人たちが一緒だ。
それに不正の調査もあるから継母もオーレンス様もきっと何かしらの罪に問われるだろう。
それだけの確信がなければ騎士団を派遣するはずがないのだから。
今頃二人は何をしているだろう?
束の間の幸せでも味わっているのだろうか?
* * * * * * * * * *
道中の危険はほぼ無いし、戦力としては過剰ともいえる。
そもそも小隊とはいえ武装した騎士の集団に挑むような人はいない。
山賊がいても逃げ出すだろう。
そういったこともあり、またジェイラード様の気遣いもあり、私は緊張とは無縁の、悪くいえばジェイラード様との会話を楽しむ余裕すらあった。
あまり自分のことを話そうとはしなったジェイラード様だけど、騎士団での働きぶりは見事としか言えなかった。
真面目で能力も高く、実績も十分。
若くして小隊長を任されるのも納得だった。
他の話はもっぱら私のことだった。
どうしても不幸な身の上話になってしまったけど、私は同情してもらうために話したのではない。
「いろいろと苦労なさったのですね」
「…そうですね。でももう大丈夫です。ジェイラード様がいるのですから」
「任せてください。不正を働いた人は逃しませんから」
ジェイラード様は真面目だ。
頼りがいもあるし、きっと私に優しくしてくれるのも私が守るべき対象だからだろう。
職務に忠実なのだと思うと少しだけ胸が痛む。
もしかしたらお父様が亡くなってから初めて信頼できる人に会えたのかもしれない。
「どうかしましたか?」
「いえ、領地ももうすぐだなと思っていました」
私の本心には気付いていないのだろう。
だから私は当たり障りのないことでごまかした。
もうすぐ領地。
私は帰ってきた。
正当なアラベリー伯爵を継ぐ者として、今まで好き勝手してきた継母を許さない。
共謀しているであろうオーレンス様も許さない。
ジェイラード様たちがきっと真実を明らかにしてくれる。
騎士だけあって馬に乗る人が多いようだけど、私は馬に乗れない。
私が乗るのは馬車だろうか。
「わざわざ馬車まで用意してくださったのですか?」
「幌付きの荷馬車なので乗り心地の保証はできませんが…これが精いっぱいです。アラベリー伯爵様をお乗せするには相応しくありませんので本当に申し訳ありません」
謝罪するジェイラード様との距離感が気になってしまった。
私は正式にアラベリー伯爵を継いだのだし、ここには小隊のみんなの目もある。
適切な振る舞いをするジェイラード様は信用できるし、少しだけさみしくもある。
「いえ、謝罪は不要です。わざわざ馬車を用意してくださったことに感謝します」
「そう言ってもらえると助かります。ちなみに帰りは不正の証拠を持ち帰るために利用します」
「そうだったのですか…」
荷馬車だという理由にも納得できてしまった。
「道中の危険は我々が排除します。それにアラベリー伯爵領でも必ずアンジェ様の身を守ると誓います。そのために護衛も同乗することをお許しください」
「ありがとうございます。許可します」
「感謝します。では準備が整い次第、出発しましょう」
こうしてアラベリー伯爵領へ向かい出発した。
どうなるか不安でいっぱいだった行きに比べ、帰りはこんなにも頼もしい人たちが一緒だ。
それに不正の調査もあるから継母もオーレンス様もきっと何かしらの罪に問われるだろう。
それだけの確信がなければ騎士団を派遣するはずがないのだから。
今頃二人は何をしているだろう?
束の間の幸せでも味わっているのだろうか?
* * * * * * * * * *
道中の危険はほぼ無いし、戦力としては過剰ともいえる。
そもそも小隊とはいえ武装した騎士の集団に挑むような人はいない。
山賊がいても逃げ出すだろう。
そういったこともあり、またジェイラード様の気遣いもあり、私は緊張とは無縁の、悪くいえばジェイラード様との会話を楽しむ余裕すらあった。
あまり自分のことを話そうとはしなったジェイラード様だけど、騎士団での働きぶりは見事としか言えなかった。
真面目で能力も高く、実績も十分。
若くして小隊長を任されるのも納得だった。
他の話はもっぱら私のことだった。
どうしても不幸な身の上話になってしまったけど、私は同情してもらうために話したのではない。
「いろいろと苦労なさったのですね」
「…そうですね。でももう大丈夫です。ジェイラード様がいるのですから」
「任せてください。不正を働いた人は逃しませんから」
ジェイラード様は真面目だ。
頼りがいもあるし、きっと私に優しくしてくれるのも私が守るべき対象だからだろう。
職務に忠実なのだと思うと少しだけ胸が痛む。
もしかしたらお父様が亡くなってから初めて信頼できる人に会えたのかもしれない。
「どうかしましたか?」
「いえ、領地ももうすぐだなと思っていました」
私の本心には気付いていないのだろう。
だから私は当たり障りのないことでごまかした。
もうすぐ領地。
私は帰ってきた。
正当なアラベリー伯爵を継ぐ者として、今まで好き勝手してきた継母を許さない。
共謀しているであろうオーレンス様も許さない。
ジェイラード様たちがきっと真実を明らかにしてくれる。
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