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第4話
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アラベリー伯爵領から王都までは馬車で三日ほどかかる。
若い娘の一人旅は危険だけど、幸いにして問題も起きずに王都までやってくることができた。
私が向かったのは王城の爵位の継承を司る部署。
受付の人は成人したばかりの私が爵位を継ぐ手続きを申し込んだことで驚いたけど、身分を証明する指輪と、アラベリー伯爵家の資料を確認して私の申し込みが受理された。
どれくらい時間がかかるのかはわからないけど、しばらく待つように言われたから待つしかないかった。
そしてしばらく待っていると、不意に声をかけられた。
「貴女がアンジェ・アラベリー様ですか?」
「はい、そうですが…」
見た目はまだ若い男性で、文官とは違い武人のような雰囲気を発していた。
「各領地の不正を取り締まる騎士団の小隊長を務めておりますジェイラードと申します。いくつか伺いたいことがありますが、よろしいでしょうか?」
「はい」
「内容が内容ですので別室で話を伺わせていただきます」
「はい」
不正ということで継母とオーレンス様のことが頭に思い浮かんだ。
そのことなのかはジェイラード様との話し合いでわかるだろう。
私は素直に指示に従った。
* * * * * * * * * *
私はジェイラード様に訊かれるがままに全て正直に答えた。
それに私の事情も話した。
継母が嫁いできたこと、お父様の急死、オーレンス様との婚約、継母から虐げられた日々、オーレンス様からの婚約破棄…。
辛い日々を思い出し、つい堪えきれず涙を流してしまったけど、そんな私にジェイラード様は労わるような優しい言葉をかけてくれた。
優しいふりをしていたオーレンス様とは違い、心から私のことを気遣ってくれたように感じられた。
ジェイラード様は騎士ということもあり、きっと立派な志を抱いているのだと思う。
でもそれに甘えるだけではいけない。
私はアラベリー伯爵を継ぐのだから、強くならなくてはならない。
「取り乱してしまってすみません」
「大変だったでしょう。でももう大丈夫です。我々が不正を明らかにし、アンジェ様に平穏な日々を取り戻すことをお約束します」
「…ありがとうございます」
ジェイラード様の言葉を信用する。
私の表情も和らいだのか、ジェイラード様も少しだけ微笑んでくれた。
でも真面目な表情に戻った。
「さて、リタニーとオーレンス様のことですが、不審な点が多くあります。これは直接アラベリー伯爵領へ調査しに行かないといけません」
「はい」
「それにアンジェ様の身の安全も確保しなくてはなりません。騎士団の小隊が同行することを許可願えますか?」
「許可します。ですが私はまだ正式にアラベリー伯爵位を継いだわけではありませんが…」
「問題ありませんよ。すぐに解決しますから」
その時だった。
ドアがノックされ、文官が入ってきた。
告げられた言葉は爵位を継ぐ手続きが完了したとのことだった。
「ほら、問題ありませんでしたよ」
お茶目な振る舞いはジェイラード様なりに私を安心させるための行動だったのだろう。
真面目な騎士として振る舞い、時にはこんな一面を見せるなんて…。
それからは細かい打ち合わせをした。
私はアラベリー伯爵として領地に戻る。
護衛と不正の調査を兼ねてジェイラード様が率いる小隊が同行する。
なんという心強い味方だろうか。
これで継母とオーレンス様の不正を明らかにし適切な罰を与える。
今までは法で縛られていたけど、法に則りアラベリー伯爵を継いだ私が法に基づき二人の企みを明らかにする。
その先に待つのも法による裁きだ。
若い娘の一人旅は危険だけど、幸いにして問題も起きずに王都までやってくることができた。
私が向かったのは王城の爵位の継承を司る部署。
受付の人は成人したばかりの私が爵位を継ぐ手続きを申し込んだことで驚いたけど、身分を証明する指輪と、アラベリー伯爵家の資料を確認して私の申し込みが受理された。
どれくらい時間がかかるのかはわからないけど、しばらく待つように言われたから待つしかないかった。
そしてしばらく待っていると、不意に声をかけられた。
「貴女がアンジェ・アラベリー様ですか?」
「はい、そうですが…」
見た目はまだ若い男性で、文官とは違い武人のような雰囲気を発していた。
「各領地の不正を取り締まる騎士団の小隊長を務めておりますジェイラードと申します。いくつか伺いたいことがありますが、よろしいでしょうか?」
「はい」
「内容が内容ですので別室で話を伺わせていただきます」
「はい」
不正ということで継母とオーレンス様のことが頭に思い浮かんだ。
そのことなのかはジェイラード様との話し合いでわかるだろう。
私は素直に指示に従った。
* * * * * * * * * *
私はジェイラード様に訊かれるがままに全て正直に答えた。
それに私の事情も話した。
継母が嫁いできたこと、お父様の急死、オーレンス様との婚約、継母から虐げられた日々、オーレンス様からの婚約破棄…。
辛い日々を思い出し、つい堪えきれず涙を流してしまったけど、そんな私にジェイラード様は労わるような優しい言葉をかけてくれた。
優しいふりをしていたオーレンス様とは違い、心から私のことを気遣ってくれたように感じられた。
ジェイラード様は騎士ということもあり、きっと立派な志を抱いているのだと思う。
でもそれに甘えるだけではいけない。
私はアラベリー伯爵を継ぐのだから、強くならなくてはならない。
「取り乱してしまってすみません」
「大変だったでしょう。でももう大丈夫です。我々が不正を明らかにし、アンジェ様に平穏な日々を取り戻すことをお約束します」
「…ありがとうございます」
ジェイラード様の言葉を信用する。
私の表情も和らいだのか、ジェイラード様も少しだけ微笑んでくれた。
でも真面目な表情に戻った。
「さて、リタニーとオーレンス様のことですが、不審な点が多くあります。これは直接アラベリー伯爵領へ調査しに行かないといけません」
「はい」
「それにアンジェ様の身の安全も確保しなくてはなりません。騎士団の小隊が同行することを許可願えますか?」
「許可します。ですが私はまだ正式にアラベリー伯爵位を継いだわけではありませんが…」
「問題ありませんよ。すぐに解決しますから」
その時だった。
ドアがノックされ、文官が入ってきた。
告げられた言葉は爵位を継ぐ手続きが完了したとのことだった。
「ほら、問題ありませんでしたよ」
お茶目な振る舞いはジェイラード様なりに私を安心させるための行動だったのだろう。
真面目な騎士として振る舞い、時にはこんな一面を見せるなんて…。
それからは細かい打ち合わせをした。
私はアラベリー伯爵として領地に戻る。
護衛と不正の調査を兼ねてジェイラード様が率いる小隊が同行する。
なんという心強い味方だろうか。
これで継母とオーレンス様の不正を明らかにし適切な罰を与える。
今までは法で縛られていたけど、法に則りアラベリー伯爵を継いだ私が法に基づき二人の企みを明らかにする。
その先に待つのも法による裁きだ。
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