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第9話
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ラセルベール殿下から秘密裏に呼び出され、噂を流したのはデリック様だと告げられた時は驚いた。
その時に持ち掛けられた取引がパーティーの場でデリック様の罪を明らかにすることだった。
私は提案を受け入れ、後は殿下にお任せ。
そしてラセルベール殿下は約束通り、パーティーの場でデリック様の罪を明らかにしてくれた。
もうデリック様の名誉はこれ以上ないくらいに落ちたけど、私の用はまだ済んでいない。
それなのにまだデリック様は勘違いしているのか、私に期待しているような眼差しを向けてくる。
私の発言で注目されていることがわかる。
慣れない状況に落ち着かないけど、ここは気持ちを強く持つべき場面。
「私、ミレイ・ペイロースはデリック・クレメンとの婚約を破棄します。婚約者の悪評を広めるような人は信用できませんから」
「そんな……」
デリックが崩れ落ちた。
きっと私が助けると勝手に勘違いしていたのだろうし、どうして私が助けると思ったのか理解できない。
デリックが先に攻撃してきたのだから最後まで私は反撃の手を緩めるはずがないのに。
「婚約破棄は見届けたよ。理由だって問題ない。ミレイ嬢からデリックへの婚約破棄に異議があるならこの僕に言ってね」
ラセルベール殿下の言葉もあり、会場内は拍手が鳴り響いた。
別に拍手されたい訳ではなかったけど………ラセルベール殿下の沙汰を支持している意思表明としての拍手なのだろう。
ラセルベール殿下には感謝しているので私も拍手を送る。
真実を明らかにしてくれたのだし、殿下の言葉がデリックの非を証明するものであり、私に非のない形で婚約破棄できた。
これ以上ないくらい上出来。
ラセルベール殿下が手を上げ拍手を終わらせる。
「このように婚約したからといって相手に裏切られることもある。だから相手のことをよく見極めてから婚約すべきなんだ。焦ると良くないことになる場合は多いからね」
その通りだと思った。
私とデリック様の婚約はお互いのことをあまり知ってはおらず、そのような状態のまま親同士の主導で決められたものだった。
もし婚約せずに見極めることができたならデリック様を選ばなかったと思う。
男爵令嬢ごときが高望みするなと言われるかもしれないけど、釣り合いの取れる相手だって多くいるし、その中にはデリック様よりももっと良い人だっているはずだ。
デリック様との婚約を破棄したり解消したりすれば親が何を言うかわからなかったけど、ラセルベール殿下が認めてくださったのだから親も文句は言えないだろう。
ラセルベール殿下には感謝しかない。
「だから僕も相手をよく見極めて婚約者を決めるよ。あと1くらいは見極める期間にする予定だから」
ラセルベール殿下はそのことを言いたくて私に協力してくれたのだと思う。
失敗した実例を出して婚約者選びを先送りにしている理由に説得力を持たせた。
別に私を利用してくれても構わなかった。
私にとっては望まないデリック様との婚約を破棄できるようにしてくれたのだから。
「さあ、余興はここまで。これからは楽しいパーティーの時間だよ。意中の相手をダンスに誘うも良し、この機会に思い切って声をかけてみるのもいいかもしれないね。でもこれはきっかけだから。婚約するかは慎重にね」
ある意味盛り上がったけど、本当のパーティーはこれからだ。
私も婚約者がいなくなったのだから良い相手を探すのもいいと思う。
ちらりとデリック様の様子を見たら係の人に会場の外へと運ばれていく最中だった。
デリック様に相応しい結果だと思った。
その時に持ち掛けられた取引がパーティーの場でデリック様の罪を明らかにすることだった。
私は提案を受け入れ、後は殿下にお任せ。
そしてラセルベール殿下は約束通り、パーティーの場でデリック様の罪を明らかにしてくれた。
もうデリック様の名誉はこれ以上ないくらいに落ちたけど、私の用はまだ済んでいない。
それなのにまだデリック様は勘違いしているのか、私に期待しているような眼差しを向けてくる。
私の発言で注目されていることがわかる。
慣れない状況に落ち着かないけど、ここは気持ちを強く持つべき場面。
「私、ミレイ・ペイロースはデリック・クレメンとの婚約を破棄します。婚約者の悪評を広めるような人は信用できませんから」
「そんな……」
デリックが崩れ落ちた。
きっと私が助けると勝手に勘違いしていたのだろうし、どうして私が助けると思ったのか理解できない。
デリックが先に攻撃してきたのだから最後まで私は反撃の手を緩めるはずがないのに。
「婚約破棄は見届けたよ。理由だって問題ない。ミレイ嬢からデリックへの婚約破棄に異議があるならこの僕に言ってね」
ラセルベール殿下の言葉もあり、会場内は拍手が鳴り響いた。
別に拍手されたい訳ではなかったけど………ラセルベール殿下の沙汰を支持している意思表明としての拍手なのだろう。
ラセルベール殿下には感謝しているので私も拍手を送る。
真実を明らかにしてくれたのだし、殿下の言葉がデリックの非を証明するものであり、私に非のない形で婚約破棄できた。
これ以上ないくらい上出来。
ラセルベール殿下が手を上げ拍手を終わらせる。
「このように婚約したからといって相手に裏切られることもある。だから相手のことをよく見極めてから婚約すべきなんだ。焦ると良くないことになる場合は多いからね」
その通りだと思った。
私とデリック様の婚約はお互いのことをあまり知ってはおらず、そのような状態のまま親同士の主導で決められたものだった。
もし婚約せずに見極めることができたならデリック様を選ばなかったと思う。
男爵令嬢ごときが高望みするなと言われるかもしれないけど、釣り合いの取れる相手だって多くいるし、その中にはデリック様よりももっと良い人だっているはずだ。
デリック様との婚約を破棄したり解消したりすれば親が何を言うかわからなかったけど、ラセルベール殿下が認めてくださったのだから親も文句は言えないだろう。
ラセルベール殿下には感謝しかない。
「だから僕も相手をよく見極めて婚約者を決めるよ。あと1くらいは見極める期間にする予定だから」
ラセルベール殿下はそのことを言いたくて私に協力してくれたのだと思う。
失敗した実例を出して婚約者選びを先送りにしている理由に説得力を持たせた。
別に私を利用してくれても構わなかった。
私にとっては望まないデリック様との婚約を破棄できるようにしてくれたのだから。
「さあ、余興はここまで。これからは楽しいパーティーの時間だよ。意中の相手をダンスに誘うも良し、この機会に思い切って声をかけてみるのもいいかもしれないね。でもこれはきっかけだから。婚約するかは慎重にね」
ある意味盛り上がったけど、本当のパーティーはこれからだ。
私も婚約者がいなくなったのだから良い相手を探すのもいいと思う。
ちらりとデリック様の様子を見たら係の人に会場の外へと運ばれていく最中だった。
デリック様に相応しい結果だと思った。
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