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第8話
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待ちに待ったパーティーの時間がやってきた。
この場で俺への事実無根の噂を流した犯人がラセルベール殿下から発表される。
大勢の目の前で事実を明らかにされた犯人は激しく後悔するだろう。
だがそれは俺とラセルベール殿下のつながりを強く印象付けてくれることになる。
会場は参加者の中で一番偉いラセルベール殿下の登場を待っている。
そしてラセルベール殿下の登場。
ここから俺の奇跡の大躍進が始まるのだ!
「この場はパーティーのために用意されたものだけど、せっかくだからみんなに楽しんでもらえるよう、余興を用意したよ」
ラセルベール殿下の言葉に誰もが注目する。
この後何が起きるか知っているのは俺とラセルベール殿下だけだろう。
優越感から笑いそうになるが、このような場で笑ってしまっては悪目立ちしてしまう。
まあもう少しの辛抱で堂々と笑えるようになるだろう。
「知っている人も多いだろうけど、ある人物が浮気しているという噂が広まっていた。そして僕はその噂について調べた。その結果をこの場で発表したい」
誰が俺の噂を広めたのか、犯人が明らかになれば俺の名誉は回復し、犯人の名誉が失墜する。
さあ、殿下。
犯人を明らかにしてください!
「ミレイ・ペイロース男爵令嬢が浮気しているという噂を広めたのは、彼女の婚約者であるデリック・クレメン子爵令息だった」
「え…???」
いやいや、それは違うだろう。
俺が浮気しているという噂を流したのがミレイということを言い間違えたのか?
ははは、ラセルベール殿下はご冗談がお好きなようで。
周囲を見渡せば罪人を見るような視線ばかりだった。
まさか…みんな冗談だと理解できなかったのか!?
「ラセルベール殿下、人をお間違えではありませんか?俺が浮気しているという噂の件ではありませんか?」
「間違えてはいないよ。デリック、君がミレイ嬢の噂を広めていたんだ。間違いない」
「そんな……。でも約束してくださいましたよね?噂の真相を明らかにすると」
「ああ、確かに約束したね。でもデリックは勘違いしているようだね。デリックが浮気しているという噂ではなくて、ミレイ嬢が浮気しているという噂の真相だよ」
「何ですと!?そのようなことは一言もおっしゃってはいなかったではありませんか!」
「そうだね。デリックが勝手に都合良く解釈しただけじゃないか」
言われてみれば確かに噂の真相を明らかにするとは約束してくれた。
どの噂なのか明言はされなかった…………。
まさかラセルベール殿下は俺を嵌めようとしたのか?
大失態だ。
ラセルベール殿下が相手では俺が何を言っても無駄だろう。
それこそ国王陛下を動かさなくては挽回できそうにない状況だ。
終わった……。
俺だけでなくクレメン子爵家も終わりだ………。
「よろしいでしょうか?」
この状況を打破できるかもしれない可能性があった。
声の主はミレイ。
婚約者のために無実を訴えてくれれば被害を最小限に抑えられるかもしれない。
ミレイが歩み寄ってくる。
不覚ながらミレイのことが女神か何かのように思えてしまった。
ああ、俺はミレイに愛されていた。
婚約者の窮地を救うのは愛以外の何物でもないからな。
この場で俺への事実無根の噂を流した犯人がラセルベール殿下から発表される。
大勢の目の前で事実を明らかにされた犯人は激しく後悔するだろう。
だがそれは俺とラセルベール殿下のつながりを強く印象付けてくれることになる。
会場は参加者の中で一番偉いラセルベール殿下の登場を待っている。
そしてラセルベール殿下の登場。
ここから俺の奇跡の大躍進が始まるのだ!
「この場はパーティーのために用意されたものだけど、せっかくだからみんなに楽しんでもらえるよう、余興を用意したよ」
ラセルベール殿下の言葉に誰もが注目する。
この後何が起きるか知っているのは俺とラセルベール殿下だけだろう。
優越感から笑いそうになるが、このような場で笑ってしまっては悪目立ちしてしまう。
まあもう少しの辛抱で堂々と笑えるようになるだろう。
「知っている人も多いだろうけど、ある人物が浮気しているという噂が広まっていた。そして僕はその噂について調べた。その結果をこの場で発表したい」
誰が俺の噂を広めたのか、犯人が明らかになれば俺の名誉は回復し、犯人の名誉が失墜する。
さあ、殿下。
犯人を明らかにしてください!
「ミレイ・ペイロース男爵令嬢が浮気しているという噂を広めたのは、彼女の婚約者であるデリック・クレメン子爵令息だった」
「え…???」
いやいや、それは違うだろう。
俺が浮気しているという噂を流したのがミレイということを言い間違えたのか?
ははは、ラセルベール殿下はご冗談がお好きなようで。
周囲を見渡せば罪人を見るような視線ばかりだった。
まさか…みんな冗談だと理解できなかったのか!?
「ラセルベール殿下、人をお間違えではありませんか?俺が浮気しているという噂の件ではありませんか?」
「間違えてはいないよ。デリック、君がミレイ嬢の噂を広めていたんだ。間違いない」
「そんな……。でも約束してくださいましたよね?噂の真相を明らかにすると」
「ああ、確かに約束したね。でもデリックは勘違いしているようだね。デリックが浮気しているという噂ではなくて、ミレイ嬢が浮気しているという噂の真相だよ」
「何ですと!?そのようなことは一言もおっしゃってはいなかったではありませんか!」
「そうだね。デリックが勝手に都合良く解釈しただけじゃないか」
言われてみれば確かに噂の真相を明らかにするとは約束してくれた。
どの噂なのか明言はされなかった…………。
まさかラセルベール殿下は俺を嵌めようとしたのか?
大失態だ。
ラセルベール殿下が相手では俺が何を言っても無駄だろう。
それこそ国王陛下を動かさなくては挽回できそうにない状況だ。
終わった……。
俺だけでなくクレメン子爵家も終わりだ………。
「よろしいでしょうか?」
この状況を打破できるかもしれない可能性があった。
声の主はミレイ。
婚約者のために無実を訴えてくれれば被害を最小限に抑えられるかもしれない。
ミレイが歩み寄ってくる。
不覚ながらミレイのことが女神か何かのように思えてしまった。
ああ、俺はミレイに愛されていた。
婚約者の窮地を救うのは愛以外の何物でもないからな。
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