7 / 11
第7話
しおりを挟む
ラセルベール殿下が調べてくださるのだから俺は何の心配もせずに堂々と振る舞えばいい。
噂を信じているような馬鹿は後で後悔することになるだろう。
謝るなら今のうちだぞ?
俺にはラセルベール殿下がついているからな。
そして待ち望んでいたラセルベール殿下からの連絡があった。
* * * * * * * * * *
俺はラセルベール殿下に呼び出され、密かに打ち合わせをした。
人目を避けて秘密の会談なんて大物みたいだ。
やがてこういった場が当たり前になるだろうから今のうちに慣れておかないとな。
「調査結果は出た。そこで相談だけど…」
「はい、何でしょう」
「どうせだから大々的に公表しない?ちょうど今度パーティーがあるだろう?その場で発表すると盛り上がると思うんだけど、どうかな?」
学園主催で行われるパーティーは社交に不慣れな人たちの練習の場でもある。
原則として全員参加であり、その場で俺とラセルベール殿下のつながりをアピールできるのは願ってもないことだ。
噂を流した犯人の名誉は失墜し、その無様な姿を衆目に晒すことにもなる。
このチャンスに反対するはずがない。
ラセルベール殿下が俺のために配慮してくださったのだから反対するはずがない!
「是非ともお願いします!」
「ははは、わかったよ。じゃあパーティーの場で公表するから。それまでは調査結果について何も言えないから」
「わかっています。公表を楽しみに待ちます」
「面白い人だね、デリックは」
「恐縮です」
ラセルベール殿下のお気に入りである俺の将来は明るいな。
クレメン子爵家も俺が継いだら伯爵家に陞爵されるかもしれない。
* * * * * * * * * *
それからの日々はパーティーが待ち遠しく、明るい将来を思い描いては悦に浸るものだった。
ある日、不意にミレイの姿を見かけた。
そういえば最近まともに話をしていなかったな。
将来が約束された俺の婚約者にミレイは相応しくない。
せっかくだからパーティーの場で婚約破棄でもしてやろうか?
きっとみんな盛り上がるに違いない。
そんなことを考えていたら驚いたことにミレイのほうから話しかけてきた。
「随分ご機嫌ね。良いことでもあったの?」
「まあな。詳しくは言えないが」
「それは良かったわね。きっとすごいことなのでしょうね」
「まあそうだ。教えてほしいと言われても言うことはできないけどな。これはラセルベール殿下…。おっと、聞かなかったことにしてくれ」
さりげなくラセルベール殿下の名を出したというのにミレイの反応は鈍い。
名前から察することができないような察しの悪さでは、やはり俺の婚約者に相応しくないことが証明された。
こうなったら婚約破棄するしかないな。
それまでは俺の婚約者でいさせてやるから感謝しろ。
「気になるだろうがパーティーまでの辛抱だ。きっと面白いことになるぞ」
「そうなの。それは楽しみだわ」
何も知らないミレイを見ていると大笑いしたくなる。
大勢の前で婚約破棄されたらどんな表情をするのだろう?
俺に対して生意気な態度を取ったことを後悔させてやる。
せいぜい大勢の前で謝るんだな。
そうすれば俺だって考え直してやるかもしれない。
考え直した結果は婚約破棄だけどな!
「うひひ、まあ楽しみに待っていろよ」
噂を信じているような馬鹿は後で後悔することになるだろう。
謝るなら今のうちだぞ?
俺にはラセルベール殿下がついているからな。
そして待ち望んでいたラセルベール殿下からの連絡があった。
* * * * * * * * * *
俺はラセルベール殿下に呼び出され、密かに打ち合わせをした。
人目を避けて秘密の会談なんて大物みたいだ。
やがてこういった場が当たり前になるだろうから今のうちに慣れておかないとな。
「調査結果は出た。そこで相談だけど…」
「はい、何でしょう」
「どうせだから大々的に公表しない?ちょうど今度パーティーがあるだろう?その場で発表すると盛り上がると思うんだけど、どうかな?」
学園主催で行われるパーティーは社交に不慣れな人たちの練習の場でもある。
原則として全員参加であり、その場で俺とラセルベール殿下のつながりをアピールできるのは願ってもないことだ。
噂を流した犯人の名誉は失墜し、その無様な姿を衆目に晒すことにもなる。
このチャンスに反対するはずがない。
ラセルベール殿下が俺のために配慮してくださったのだから反対するはずがない!
「是非ともお願いします!」
「ははは、わかったよ。じゃあパーティーの場で公表するから。それまでは調査結果について何も言えないから」
「わかっています。公表を楽しみに待ちます」
「面白い人だね、デリックは」
「恐縮です」
ラセルベール殿下のお気に入りである俺の将来は明るいな。
クレメン子爵家も俺が継いだら伯爵家に陞爵されるかもしれない。
* * * * * * * * * *
それからの日々はパーティーが待ち遠しく、明るい将来を思い描いては悦に浸るものだった。
ある日、不意にミレイの姿を見かけた。
そういえば最近まともに話をしていなかったな。
将来が約束された俺の婚約者にミレイは相応しくない。
せっかくだからパーティーの場で婚約破棄でもしてやろうか?
きっとみんな盛り上がるに違いない。
そんなことを考えていたら驚いたことにミレイのほうから話しかけてきた。
「随分ご機嫌ね。良いことでもあったの?」
「まあな。詳しくは言えないが」
「それは良かったわね。きっとすごいことなのでしょうね」
「まあそうだ。教えてほしいと言われても言うことはできないけどな。これはラセルベール殿下…。おっと、聞かなかったことにしてくれ」
さりげなくラセルベール殿下の名を出したというのにミレイの反応は鈍い。
名前から察することができないような察しの悪さでは、やはり俺の婚約者に相応しくないことが証明された。
こうなったら婚約破棄するしかないな。
それまでは俺の婚約者でいさせてやるから感謝しろ。
「気になるだろうがパーティーまでの辛抱だ。きっと面白いことになるぞ」
「そうなの。それは楽しみだわ」
何も知らないミレイを見ていると大笑いしたくなる。
大勢の前で婚約破棄されたらどんな表情をするのだろう?
俺に対して生意気な態度を取ったことを後悔させてやる。
せいぜい大勢の前で謝るんだな。
そうすれば俺だって考え直してやるかもしれない。
考え直した結果は婚約破棄だけどな!
「うひひ、まあ楽しみに待っていろよ」
82
お気に入りに追加
518
あなたにおすすめの小説
男と女の初夜
緑谷めい
恋愛
キクナー王国との戦にあっさり敗れたコヅクーエ王国。
終戦条約の約款により、コヅクーエ王国の王女クリスティーヌは、"高圧的で粗暴"という評判のキクナー王国の国王フェリクスに嫁ぐこととなった。
しかし、クリスティーヌもまた”傲慢で我が儘”と噂される王女であった――
幼い頃、義母に酸で顔を焼かれた公爵令嬢は、それでも愛してくれた王太子が冤罪で追放されたので、ついていくことにしました。
克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
設定はゆるくなっています、気になる方は最初から読まないでください。
ウィンターレン公爵家令嬢ジェミーは、幼い頃に義母のアイラに酸で顔を焼かれてしまった。何とか命は助かったものの、とても社交界にデビューできるような顔ではなかった。だが不屈の精神力と仮面をつける事で、社交界にデビューを果たした。そんなジェミーを、心優しく人の本質を見抜ける王太子レオナルドが見初めた。王太子はジェミーを婚約者に選び、幸せな家庭を築くかに思われたが、王位を狙う邪悪な弟に冤罪を着せられ追放刑にされてしまった。
初耳なのですが…、本当ですか?
あおくん
恋愛
侯爵令嬢の次女として、父親の仕事を手伝ったり、邸の管理をしたりと忙しくしているアニーに公爵家から婚約の申し込みが来た!
でも実際に公爵家に訪れると、異世界から来たという少女が婚約者の隣に立っていて…。
【完結】キズモノになった私と婚約破棄ですか?別に構いませんがあなたが大丈夫ですか?
なか
恋愛
「キズモノのお前とは婚約破棄する」
顔にできた顔の傷も治らぬうちに第二王子のアルベルト様にそう宣告される
大きな傷跡は残るだろう
キズモノのとなった私はもう要らないようだ
そして彼が持ち出した条件は婚約破棄しても身体を寄越せと下卑た笑いで告げるのだ
そんな彼を殴りつけたのはとある人物だった
このキズの謎を知ったとき
アルベルト王子は永遠に後悔する事となる
永遠の後悔と
永遠の愛が生まれた日の物語
誤解されて1年間妻と会うことを禁止された。
しゃーりん
恋愛
3か月前、ようやく愛する人アイリーンと結婚できたジョルジュ。
幸せ真っただ中だったが、ある理由により友人に唆されて高級娼館に行くことになる。
その現場を妻アイリーンに見られていることを知らずに。
実家に帰ったまま戻ってこない妻を迎えに行くと、会わせてもらえない。
やがて、娼館に行ったことがアイリーンにバレていることを知った。
妻の家族には娼館に行った経緯と理由を纏めてこいと言われ、それを見てアイリーンがどう判断するかは1年後に決まると言われた。つまり1年間会えないということ。
絶望しながらも思い出しながら経緯を書き記すと疑問点が浮かぶ。
なんでこんなことになったのかと原因を調べていくうちに自分たち夫婦に対する嫌がらせと離婚させることが目的だったとわかるお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる