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第8話
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セレステアと離婚することになったのだから、これでメランと結婚することができる。
離婚も結婚も父上にとっては吉報だろう。
俺は父上に報告をした。
だが予想外の反応を父上が見せたのだ。
「馬鹿者が!!!」
「何が問題だったというのです?離婚は喜ばしいことでしょう?」
「それはある。だがセレステアには浮気の事実を口外させないため少なくない金を支払うことになったのだぞ。せっかく口止めしてやったというのにお前が台無しにするとはな……」
俺の知らないところでセレステアはそんな勝手なことをしていたのか!?
余計なことをしたせいで怒られる破目になったじゃないか!
「ですが吉報もあります。メランと結婚しようと思います。メランの同意は得ています」
「………せめて浮気せずにセレステアと離婚すれば良かっただろうに」
「メランへの愛が嘘ではないことを証明するためにも行動で示す必要があったのです。それに浮気ではありません。本気です。どこに恥じるべき理由があるというのですか?」
「…………本気だろうと世間的には浮気と見なされるのだ。バリート伯爵家の人間が浮気するような人間だと思われるのは不本意だ」
確かにそのように思われるのは癪だ。
だがメランへの愛が本物だと周囲に見せつければ思い違いだと気付かせてやれるだろう。
「メランと結婚することで本気だと示せます。始まりがどうあれ愛が本物だと証明すれば批判も的外れと一笑に付すことができるでしょう」
「…もういい。ともかく責任を持ってメランと結婚しろ」
「もちろんです」
「……」
父上はどことなく不満そうな表情だ。
ならば早くメランと結婚し跡継ぎを産ませることが必要だな。
そうすれば安心してくれるに違いない。
「すぐにでもメランに伝えたいと思います。良い返事が貰えることは確定していますので安心してください」
「………ああ」
父上は酷くお疲れのようだ。
メランも待っているだろうから今は父上に構ってはいられない。
* * * * * * * * * *
俺はメランのもとへと急ぎ、セレステアとの離婚が成立したことを伝えた。
「ライールは本気なのね。わかったわ、結婚しましょう」
「嬉しいよ。やっと想いが実ったんだ。メランのことは初恋だったし、初恋の相手と結婚できるなんて夢みたいだ」
「夢ではなくて現実よ。だから私を幸せにしてね?」
「もちろんだとも!」
メランの返事はわかっていたとはいえ、実際に言葉にされると嬉しいものだ。
しかしメランの親はメランのことに興味を失ってしまったらしい。
一度結婚に失敗したくらいで酷い親だと思う。
だが俺がいれば幸せな家庭を築くことができる。
これからは俺たちは家族になる。
「幸せな家庭を作ろうな」
「ライールには期待しているわ」
* * * * * * * * * *
それから俺とメランはできるだけ早く結婚をした。
不満だったのは結婚式を盛大なものにはできなかったことだ。
俺もメランも二回目の結婚式ということで外聞が良くなかったせいでもある。
だが式が派手なら良いというものではない。
俺たちの愛は結婚式程度では揺るがないのだから。
ただ、メランの表情は幸せそうなものではなかった。
本当は派手な結婚式を望んでいたのだろう。
外聞なんて気にせず派手な式にしてやれば良かったが、親が金を出し渋ったのも派手な式にできなかった理由の一つだった。
離婚も結婚も父上にとっては吉報だろう。
俺は父上に報告をした。
だが予想外の反応を父上が見せたのだ。
「馬鹿者が!!!」
「何が問題だったというのです?離婚は喜ばしいことでしょう?」
「それはある。だがセレステアには浮気の事実を口外させないため少なくない金を支払うことになったのだぞ。せっかく口止めしてやったというのにお前が台無しにするとはな……」
俺の知らないところでセレステアはそんな勝手なことをしていたのか!?
余計なことをしたせいで怒られる破目になったじゃないか!
「ですが吉報もあります。メランと結婚しようと思います。メランの同意は得ています」
「………せめて浮気せずにセレステアと離婚すれば良かっただろうに」
「メランへの愛が嘘ではないことを証明するためにも行動で示す必要があったのです。それに浮気ではありません。本気です。どこに恥じるべき理由があるというのですか?」
「…………本気だろうと世間的には浮気と見なされるのだ。バリート伯爵家の人間が浮気するような人間だと思われるのは不本意だ」
確かにそのように思われるのは癪だ。
だがメランへの愛が本物だと周囲に見せつければ思い違いだと気付かせてやれるだろう。
「メランと結婚することで本気だと示せます。始まりがどうあれ愛が本物だと証明すれば批判も的外れと一笑に付すことができるでしょう」
「…もういい。ともかく責任を持ってメランと結婚しろ」
「もちろんです」
「……」
父上はどことなく不満そうな表情だ。
ならば早くメランと結婚し跡継ぎを産ませることが必要だな。
そうすれば安心してくれるに違いない。
「すぐにでもメランに伝えたいと思います。良い返事が貰えることは確定していますので安心してください」
「………ああ」
父上は酷くお疲れのようだ。
メランも待っているだろうから今は父上に構ってはいられない。
* * * * * * * * * *
俺はメランのもとへと急ぎ、セレステアとの離婚が成立したことを伝えた。
「ライールは本気なのね。わかったわ、結婚しましょう」
「嬉しいよ。やっと想いが実ったんだ。メランのことは初恋だったし、初恋の相手と結婚できるなんて夢みたいだ」
「夢ではなくて現実よ。だから私を幸せにしてね?」
「もちろんだとも!」
メランの返事はわかっていたとはいえ、実際に言葉にされると嬉しいものだ。
しかしメランの親はメランのことに興味を失ってしまったらしい。
一度結婚に失敗したくらいで酷い親だと思う。
だが俺がいれば幸せな家庭を築くことができる。
これからは俺たちは家族になる。
「幸せな家庭を作ろうな」
「ライールには期待しているわ」
* * * * * * * * * *
それから俺とメランはできるだけ早く結婚をした。
不満だったのは結婚式を盛大なものにはできなかったことだ。
俺もメランも二回目の結婚式ということで外聞が良くなかったせいでもある。
だが式が派手なら良いというものではない。
俺たちの愛は結婚式程度では揺るがないのだから。
ただ、メランの表情は幸せそうなものではなかった。
本当は派手な結婚式を望んでいたのだろう。
外聞なんて気にせず派手な式にしてやれば良かったが、親が金を出し渋ったのも派手な式にできなかった理由の一つだった。
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